基本的なIT資産管理の方法
IT資産管理の基本的な方法を見ていきましょう。
1:目的を明確にする
一口にIT資産管理といっても、その目的は企業によって異なります。例として、以下の目標が考えられます。
- コンプライアンス
- 特にソフトウェアで注意すべき項目です。ライセンス期限切れの製品を使っているとコンプライアンス違反になるため、管理しなければなりません。
- コスト最適化
- 不要になったIT資産を廃棄するなどし、無駄なコストを削減します。
- セキュリティ対策
- IT資産からの情報流出を防ぐには、適切なIT資産管理が欠かせません。
- 説明責任
- 社内のIT資産について経理や他社と情報共有する際、適切な管理をしていればスムーズに進みます。
2:管理対象を明確にする
管理対象がどのようなものであるか明確化するため、以下の情報を整理しましょう。
- 管理機器
- 物理的デバイスやソフトウェア、ライセンスごとに区分します。マウスやケーブルなどの備品もそれぞれ1つの資産として数えます。
- 資産区分
- 買取やレンタル、リースなど、資産形態を明らかにしましょう。リース品であれば管理番号がついています。番号がないものや、複数の機器にまとめて番号が付与されている場合は、独自に番号を付け直しましょう。
- 利用区分
- 商用や社内での開発用など、用途によって区分します。
各資産についてこれらの情報を整理することで、廃棄してよいかどうか判断しやすくなります。
3:資産管理台帳を作成する
実際にIT資産を管理するために、資産管理台帳を作成する必要があります。管理対象が少なければ手作業で管理できますが、多い場合はIT資産管理システムを導入するとよいでしょう。管理台帳には、以下の種類があります。
大まかな情報を把握する「資産管理台帳」
もっとも基本的な情報を管理します。記載内容は以下のとおりです。
- ■管理番号
- ■機器情報
- ■所在
- ■導入日
- ■固定資産番号
- ■リース番号
- ■リース期限
管理する資産が少ない場合、資産管理台帳だけで事足りることも多いです。
リース機器の情報を把握する「リース管理台帳」
リース機器が多い場合に、その詳細を管理するための台帳です。以下のような項目を記載しましょう。
- ■案件名
- ■リース会社名
- ■料金
- ■契約日
- ■契約番号
- ■リース機器の所在
無形資産の情報を把握する「ソフトウェア管理台帳」
ソフトウェアはハードウェアと別に管理したほうが分かりやすいです。以下のような項目を記載しましょう。
- ■ソフトウェア名
- ■ベンダー名
- ■料金
- ■導入日
- ■バージョン
- ■ライセンス情報(形態、使用許諾条件など)
4:ハードウェアに情報を記載する
台帳に情報をまとめると同時に、機器本体にも情報を記載しましょう。管理番号や名称、日付などを記したシールを貼り付けます。今後導入する機器は、キッティングの段階でシールを貼り付けておくのが理想的です。
また、近年ではバーコードシールを貼り付け、スキャナで読み取れるようにするケースも少なくありません。

効率的にIT資産管理を行う方法
続いて、日常的なIT資産管理を効率化する方法を見ていきましょう。
運用ルールを策定する
資産管理台帳の情報と現状に差異が生じないよう、機器が増減する際には注意が必要です。そのため、そのときに情報を台帳に反映させるルールを策定しておきましょう。また、新たに機器を購入する際は、台帳の情報をもとにプランを立てることで、無駄のない購入が実現します。
さらに、定期的な棚卸も必要です。年に2回程度、すべての管理対象を整理し、台帳の情報との間に相異がないか確認します。資産を管理している部署に依頼するか、資産管理部門が各部署を回って棚卸を行いましょう。
中長期スケジュールを策定する
ライセンス期限などを適切に把握するには、年単位での中長期スケジュールが欠かせません。以下のような情報をまとめておきましょう。
- ■棚卸時期
- ■機器のサポート期限
- ■ライセンス期限
- ■リース期限
- ■法改正への対応時期
IT資産管理の手法
IT資産管理台帳は、どのようなツールで作成すればよいのでしょうか。
Excelを用いる
もっともシンプルな方法です。ほとんどの企業で使われているソフトウェアであり、新たなツールは不要です。
ただし、テンプレートを自社で作成する必要があります。また、管理対象が増えるとその分作業量も増加します。導入は簡単ですが、長期的な目で見ると負担が大きい方法といえるでしょう。
IT資産管理システムを用いる
IT資産管理の専用ソフトウェアを用いることで、快適に資産管理を実施できます。ソフトウェアのバージョンやライセンスなど、複雑な情報の管理も容易です。従業員の負担とミスが発生する可能性を最小限に抑えられるでしょう。
IT資産管理システムには、クラウド型とオンプレミス型があります。クラウド型は導入コストが低く、システムのメンテナンスなどをベンダーに一任できるのが特徴です。一方、オンプレミス型は機能が豊富なうえ、システムが自社で完結するため、セキュリティに優れています。
スモールスタートしたい場合はクラウド型、本格的に大規模な導入を実施したい場合はオンプレミス型がよいでしょう。費用とメリットを考慮し、自社に適切な製品を選ぶことが大切です。
IT資産管理を正しく行って、運用効率を向上!
IT資産管理の手順は以下のとおりです。
- 1.目的の明確化
- 2.管理対象の明確化
- 3.管理台帳の作成
- 4.機器への情報記載
運用ルールを策定し、中長期的なスケジュールを立てて管理しましょう。また、資産管理を行えるツールにはExcelやIT資産管理システムがあります。前者なら低コスト、後者なら効率的な管理が実現します。
今後管理負担が増えることも考え、IT資産管理システムの導入を検討してはいかがでしょうか。
