病院でのIT資産管理の重要性
病院におけるIT資産管理の重要性は年々高まっています。その理由を見ていきましょう。
利用するIT機器やソフトウェアが増加している
地域医療連携の推進やオンライン資格確認の導入など、近年の医療分野の情報化推進により、病院で利用するIT資産の数と種類は急速に増加しています。一例として、以下のようなものがあります。
- ●電子カルテ
- ●レセプト
- ●医薬品などの在庫管理システム
- ●会計システム
- ●セキュリティソフト
- ●設備を操作するPC・タブレット
従来、医療機関ではIT資産の管理にExcelなどの簡単なツールが使われていました。しかし、病院の規模や従業員数が増えるにつれて、多くのIT資産を保有するようになり、その管理が難しくなりつつあるのが現状です。結果、現在では膨大なIT資産に対して十分な対応ができていない病院が多く存在しています。これらの要因により、IT資産の管理体制を根本的に見直す必要性が高まっています。
情報セキュリティへの関心が高まっている
IT機器の普及にくわえ、情報漏えい事件が相次いで報道されたこともあり、近年では情報セキュリティへの関心が高まっています。
特に病院では、患者の基本情報や治療内容、生活習慣など、重大な個人情報を扱います。さらに、これらの記録は一定期間保存しなければならないため、適切な管理体制を構築し情報漏えい事故を防止することが重要です。また、IT機器に保存されているデータは紙媒体よりも流出時の損害が大きいため、管理には細心の注意を払う必要があります。
IT資産管理の概要について詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。
病院でのIT資産管理における課題
IT資産管理を行ううえで、病院特有の課題が存在します。ここでは、病院でのIT資産管理における課題について、具体的に解説します。
一般企業より管理業務の負担が重い
医療機関で扱うIT資産は形態が多様なため、管理も煩雑化しがちです。病院で扱う主なIT資産は、以下のとおりです。
- ■基幹システム
- 電子カルテや医事会計システムなどが該当します。大病院ではこれらのシステムを利用するための端末を千台単位で保有していることもあります。
- ■部門別システム
- 臨床検査部門や薬剤部門など、病院にはさまざまな部門があり、それぞれにITシステムが存在します。管理が各部門に委ねられるため、医療情報システム部が全容を把握するのが困難です。
- ■ネット系システム
- メールやネット検索用のシステムです。医療情報システム部が管理します。
- ■そのほか
- 医療スタッフが個々に利用する業務用の携帯やPC・タブレットなどにも患者情報が蓄積される場合があります。
このように、多くのIT機器や業務システムを活用しており、部門や用途によって異なるIT資産を保有しているのが病院の特徴です。他システムとの連携ができないものも多く、一括管理が難しいことも課題として挙げられます。
ITに対応できる人材が少ない
通常の企業には情報システム部門があります。IT知識に長けた従業員がおり、ほかの従業員はIT関係のトラブルや相談を情報システム部門に問い合わせます。
しかし、病院ではIT専用の部門を設置しているケースが少ないのが現状です。医療情報システム部が兼任している場合もありますが、ITシステム全般に長けた人材が集まっているわけではありません。
特に中小規模の病院では医療専門職の従業員しかおらず、情報部門が設置されていないことが大半です。資金が不足しておりIT知識に長けた人材を雇用できないケースや、通常業務が忙しくIT資産管理に手が回らない場合も少なくありません。そのため、IT資産の運用管理やセキュリティ対策が十分ではない病院が多くあります。
このように病院でのIT資産管理は、潜在的なリスクを抱えた不安定な状態で行われているのが実態です。
病院でのIT資産管理を適正化する方法
IT資産管理における病院特有の課題を解決するには、どのような対策を取ればよいのでしょうか。ここでは、病院におけるIT資産管理の方法を具体的に解説します。
台帳を使って利用状況を把握する
IT資産情報や利用状況を一目で把握できる仕組みが必要です。一般的な企業と同じように、IT資産管理台帳を作成するとよいでしょう。台帳はExcelやIT資産管理ツールなどで作成できます。院内のどこに、何がどのくらいあるのかを把握するために、以下の項目を記載しましょう。
- ●製品名
- ●機器番号
- ●管理番号(院内での管理用に付与する番号)
- ●機器区分(パソコン、タブレットなどの名称)
- ●メーカー名
- ●利用者名
- ●ソフトウェアライセンス情報
- ●バージョン情報
- ●設置場所
管理対象が多い場合は、ハードウェア用やソフトウェア用、ライセンス用など複数の台帳を用意することもあります。可能な限り詳細な情報を記載し、対象機器の情報・状態をすぐに確認できるようにしておくのが理想的です。
IT資産管理ツールの導入を検討する
Excelでも台帳を作成できますが、管理対象が多いと作業負担が大きくなります。また、IT機器のリアルタイムな利用状況は把握できません。
効率的な管理を実現し、トラブルにも迅速に対処するには、IT資産管理ツールの導入が有効です。IT資産管理ツールは機器のログやバージョンなどの情報をリアルタイムで自動取得できます。サーバやネットワークのインベントリ情報やソフトウェアのライセンス管理が可能なものもあり、IT資産管理の負担を大幅に軽減します。
また、製品によっては脆弱性のあるソフトウェアの自動停止、遠隔でPCのトラブル対処など、高度な機能も搭載しています。院内に散在するIT資産を一元管理できるため、セキュリティやコストの面でもメリットは大きいでしょう。
以下の記事では、ITトレンド編集部がおすすめするIT資産管理ツールを比較紹介しています。製品の導入を検討したい方は、ぜひご一読ください。
まとめ
IT資産管理ツールを導入することで、IT知識に長けていなくても、適切な管理を効率よく行うことが可能になります。自院のIT資産管理やセキュリティ対策に課題を抱えている場合は、この機会に専用ツールの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
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