マーケティングオートメーション導入前に整えたい準備
MAは導入前の準備が結果を大きく左右します。目的や体制が曖昧なまま進めると、機能を持て余したり、想定した効果を実感しにくくなったりする場合があるため、順を追って確認していきます。
導入目的とゴールの明確化
MAを導入する目的は、企業によってリード獲得の強化や営業への引き渡し精度の向上、休眠顧客の掘り起こしなどさまざまです。目的があいまいなまま製品選定を進めると、必要な機能が不足したり、逆に使わない機能に費用をかけたりする可能性があります。
目的を明確にするには、現状の見込み客管理でどこに課題があるかを整理することが出発点になります。関係部署でゴールを共有しておくと、導入後の評価基準もぶれにくくなります。目的を数値目標として言語化しておくと、後の効果測定にもつなげやすくなります。目的が複数ある場合は、優先順位を決めておくと機能選定の判断がしやすくなります。
既存の顧客データの整理
MAは蓄積した顧客データをもとに動くため、データの整理状況が運用の土台になります。表記のゆれや重複したデータが残っていると、配信先の誤りやスコアリングの精度低下、想定外の重複配信につながる場合があります。
導入前に、氏名や企業名の表記ルールを統一し、重複データを整理しておくことが望ましいといえます。データの整理には一定の工数がかかるため、導入スケジュールに組み込んでおくと安心です。整理作業を外部に依頼できるか、あらかじめ確認しておくのも一つの方法です。
マーケティングオートメーションのシナリオ設計の進め方
MAの効果を左右するのがシナリオ設計です。同じ機能を使っていても、設計次第で成果に差が出ることがあるため、ここではシナリオを組み立てる際に押さえておきたい観点を紹介します。
顧客の検討段階に応じたシナリオ設計
見込み客は検討段階によって求める情報が異なります。情報収集の初期段階の相手に営業色の強いメールを送ると、離脱につながる場合があります。段階ごとに配信するコンテンツを変えるシナリオ設計が有効な選択肢になります。
最初から複雑なシナリオを組むのではなく、まずは基本的な流れを作り、配信結果を見ながら段階的に調整していく進め方が実務的といえます。効果検証の指標もあらかじめ決めておくと、改善の方向性が定めやすくなります。想定外の反応があった場合に備え、シナリオの分岐条件も事前に検討しておくとよいでしょう。
スコアリング基準の設定と見直し
スコアリングは、見込み客の関心度合いを数値化する仕組みです。基準が実態と合っていないと、営業に引き渡すタイミングがずれる可能性があります。行動履歴や属性情報をもとに、自社の営業プロセスに合った基準を設定することが求められます。基準は業種や商材によって異なるため、他社の事例をそのまま流用しない姿勢も大切です。
スコアリング基準は一度決めて終わりではなく、営業からのフィードバックを踏まえて定期的に見直す仕組みを持っておくと、精度を維持しやすくなります。商談化に至らなかった案件の傾向も分析しておくと、基準の精度をさらに高めやすくなります。
マーケティングオートメーションの運用体制づくり
MAを継続的に活用するには、運用を支える体制づくりが欠かせません。特定の担当者に依存すると、その人が不在になったときに運用が滞るおそれがあるため、複数人で支える仕組みを整えることが大切です。
運用担当者の役割分担
MAの運用には、コンテンツ作成やシナリオ設計、データ分析などさまざまな作業が発生します。一人の担当者にすべてを任せると、業務が滞ったときに運用全体が止まってしまう可能性があります。
役割を分担し、複数人で状況を把握できる体制を整えておくと、担当者の異動や休暇の際にも運用を継続しやすくなります。操作マニュアルや設定内容を記録に残しておくことも、引き継ぎをスムーズにする材料になります。定例のミーティングで進捗を共有しておくと、役割ごとの偏りにも気づきやすくなります。
効果測定とレポーティングの仕組み
運用の成果を把握するには、開封率やクリック率、商談化率などの指標を定期的に確認する仕組みが必要です。数値を見ないまま配信を続けると、成果につながらない配信を続けてしまい、改善の機会を逃してしまうおそれがあります。
レポートは関係者が見やすい形式にまとめ、定例会議などで共有する場を設けると、部門を越えた改善提案につながりやすくなります。数値の推移をグラフなどで示すと、変化の傾向を関係者間で共有しやすくなります。
ITトレンドでは、最新の製品・サービスを多数比較・掲載しています。まず資料を取り寄せて機能や特徴をさまざまな製品で比較してみてください。忙しい業務時間内でも、各社に問い合わせる手間なく、たった1回の入力(約60秒)でマーケティングオートメーションツールの一括資料請求が可能です。浮いた時間で、じっくりと製品を比較検討し進めましょう。
営業部門とマーケティング部門の連携課題
MAの効果を最大限に引き出すには、営業部門との連携が欠かせません。マーケティング部門だけで完結する取り組みではないため、連携がうまくいかない場合に起こりやすい課題を整理します。
リード引き渡し基準のずれ
マーケティング部門が想定する「見込みの高いリード」と、営業部門が求める基準にずれがあると、せっかく育成したリードが商談につながりにくくなる場合があります。基準のずれは、両部門の目線合わせが不十分なことや、評価する項目の違いなど複数の要因が関係していると考えられます。
定期的に営業とマーケティングが集まり、実際の商談結果をもとに引き渡し基準をすり合わせる場を設けると、ずれを小さくしていくことができます。商談に至らなかった理由を振り返る場を設けることも、基準の見直しに役立ちます。
情報共有の仕組みづくり
営業とマーケティングでツールが分かれていると、見込み客の状況が正しく伝わらないことがあります。CRM(顧客との関係やり取りを一元管理するシステム)など営業側のシステムとMAを連携させることで、情報の行き来をスムーズにできる場合があります。連携方法は製品によって異なるため、選定時にAPI連携(システム同士を自動でつなぐ仕組み)の可否を確認しておくことも欠かせません。
連携時にはデータ項目の対応関係を事前に確認し、反映されない項目や表示形式の違いがないかをテストしておくことが望ましいといえます。連携が停止した際にすぐ気づけるよう、通知の設定もあわせて確認しておくと安心です。
マーケティングオートメーション導入後によくあるつまずき
導入後しばらく経ってから表面化する課題もあります。稼働直後は問題なく見えていても、運用を続けるなかで浮かび上がるよくあるつまずきと、対処の方向性を紹介します。
コンテンツ不足によるシナリオの停滞
シナリオを設計しても、配信するコンテンツが不足していると途中で止まってしまう場合があります。特に導入初期は、既存の資料を転用するだけでは検討段階に合わせた内容が用意できないことがあります。制作体制が整わないまま運用を始めると、シナリオの後半が空白になりやすい点にも注意が必要です。
コンテンツ制作の担当と作成スケジュールをあらかじめ決めておくと、シナリオの停滞を防ぎやすくなります。既存の営業資料やFAQを整理し、活用できる素材から準備を進める方法もあります。制作リソースが不足する場合は、外部の制作会社への依頼も選択肢の一つです。
効果が見えにくいときの見直し方
導入から一定期間が経っても効果を実感しにくい場合、原因はシナリオ設計だけでなく、リストの質やコンテンツの内容、営業への引き渡し方法など複数の要素が関係していることがあります。単一の要因に絞り込まず、段階ごとに数値を確認することが大切です。
改善が難しいと感じたときは、自社だけで抱え込まず、製品ベンダーのサポートや運用支援サービスに相談する選択肢も検討するとよいでしょう。他部署の意見を取り入れることで、見えていなかった課題に気づける場合もあります。
マーケティングオートメーションツールの主な製品
ここでは、マーケティングオートメーションツールの導入検討にあたって押さえておきたい代表的な製品を紹介します。
Account Engagement
- Salesforce製品としての高い信頼性とリーズナブルな価格体系
- Salesforceとの連携設定も簡単に実現
- 展示会などのマーケティング投資対効果が平均34%向上
株式会社セールスフォース・ジャパンが提供する「Account Engagement」は、BtoB企業向けのマーケティングオートメーションツールです。見込み顧客の行動データをもとにしたスコアリング機能でホットリードを可視化し、メール配信やランディングページ作成、SalesforceのCRMと連携した営業への引き渡しまでを一元管理できます。マーケティングと営業部門の連携を強化し、リードナーチャリングの効率化を支援します。
b→dash
- データマーケティングに必要な16の機能をオールインワンで搭載
- SQLを使わずにノーコードで誰でも簡単にデータ活用を実現
- AI活用で顧客ごとにアプローチを最適化し、効率的に成果を最大化
株式会社データXが提供する「b→dash」は、社内に散在する顧客データを統合し、ノーコードで活用できるデータマーケティングプラットフォームです。CDP(顧客データ基盤)としてデータ統合・加工を行いながら、メール配信やLINE配信、Web接客などの施策実行までを一つのツールで完結できます。エンジニアに依頼せずマーケティング部門が主体的にデータ活用を進められる点が特徴です。
esm marketing
- 匿名リードにも効果的なアプローチが可能で顧客獲得に強い
- シンプルかつカンタンな操作と導入でミニマムスタートが可能
- MAツールを利用したことがなくても安心な手厚いサポート体制
ソフトブレーン株式会社が提供する「esm marketing」は、CRM/SFA分野での豊富な導入実績を持つ同社が手がけるマーケティングオートメーションツールです。実名の顧客情報だけでなく匿名の見込み顧客の行動も可視化し、興味関心に応じたアプローチを行えます。ダッシュボードでの顧客状況の把握やリード再獲得機能により、営業とマーケティングの連携強化を支援します。
SalesAutopilot (SalesAutopilot Kft.)
- メールやSMSでマーケティングを自動化
- CRMと連携し、顧客情報を一元管理
- ユーザー行動に応じた施策の自動実行
LEADPAD (株式会社Rockets)
- 独自の顧客スコアでアプローチタイミングを検知
- 企業DBを基に商談・受注を分析
- 分析・実行で商談創出
まとめ
マーケティングオートメーションは、導入前の準備とシナリオ設計、運用体制、営業部門との連携が整って初めて効果を発揮しやすくなります。導入後に課題が見つかっても、原因を一つに決めつけず、段階的に見直していく姿勢が求められます。小さな改善を積み重ねる意識を持つことが、長期的な運用の安定につながります。自社の目的に合う製品を比較したい方は、資料請求を活用して検討を進めてください。


