リードとは
リードの意味を詳しく見ていきましょう。
一般に「見込み客」を指す
営業用語で使われるリードは、一般的に見込み顧客という意味で使われます。
英語の「lead」は、指揮するという意味を連想する人が多いでしょう。しかし、「きっかけ」という意味も含んでいるため、「売上のきっかけとなる顧客」のことをリードと呼ぶようになりました。
一般的な顧客は販売する対象全てを意味するため、リードよりも範囲が広いです。リードはまだ取引がない顧客、取引に発展しそうな顧客として使われる違いがあります。
リードの定義は企業・部署によって異なる
リードの定義は明確ではありません。多くの場合、企業や部署が独自に定義を設けています。業種や業態、商材などによって「リード」として定義すべき内容が異なるため、そうせざるを得ないのです。
だからといって、企業や部署の垣根を超えた共通の定義がまったくないわけではありません。そこで、以下ではその例を3つ紹介します。
1.MQL(Marketing Qualified Leads)
MQL(Marketing Qualified Leads)はマーケティング部署がフォローするリードです。マーケティング活動により創出する、見込み度の高い顧客を意味します。
例として、マーケティング部署が新聞広告やメルマガで見込み顧客を集めたとしましょう。しかし、その全員が受注につながるわけではありません。メルマガをじっくり読んで購買意欲が高まった顧客もいれば、開封さえしていない顧客もいるはずです。
そのような顧客の中から、マーケティング部署は見込み度の高い顧客を選別します。メルマガ開封率やURLクリック率などに基づいて見込み度を測定し、それが高かった顧客をMQLとするのです。こうして創出されたMQLは営業部署に引き継がれます。
2.TQL(Teleprospecting Qualified Leads)
TQL(Teleprospecting Qualified Leads)は電話を始めとしたインサイドセールスの担当者がフォローするリードです。
先述したとおり、マーケティング部署は見込み度の高い顧客をMQLとし、営業部門に引き渡します。そして、そのMQLに電話によるアプローチを試みた結果、商談につながった顧客がTQLです。MQLよりもさらに見込み度が向上した段階と言えるでしょう。こうして獲得されたTQLはそのまま電話で成約を目指すか、顧客訪問へとつなげられます。
3.SQL(Sales Qualified Leads)
SQL(Sales Qualified Leads)は営業担当者がフォローするリードです。そして、SQLはそこに至るまでのプロセスによって、以下の2種類に大別されます。
- SAL(Sales Accepted Lead)
- MQLやTQLを経て、営業担当者に引き渡されたリードを営業担当者に渡されたリードです。営業担当者が受け入れられなかった場合は、マーケティングや電話を始めとしたインサイドセールスに戻されることもあります。
- SGL(Sales Generated Lead)
- MQLやTQLを経ることなく、初めから営業活動によって創出したリードです。
リード管理とは
続いて、リード管理について見ていきましょう。
見込み客や顧客の購買プロセスを管理すること
リード管理とは、見込み客や顧客の購買行動のプロセスを管理することです。売上を作るための仕組みであり、顧客数が多い場合は特に重要な業務と言えます。リード管理を効率化すれば、営業部門は売上に繋がる顧客に対して営業活動をできるため、成果を出しやすくなります。
現状の顧客だけを管理するのではなく、今までのリードが生まれた過程を分析することも重要です。新規顧客と接点を持つところから、受注に至るまでのプロセスを適切に管理・把握します。
ツールによって管理を効率化できる
リード管理はリアルタイムに行う必要があります。顧客の状態は目まぐるしく変化するからです。
このような状態に対して、エクセルや紙媒体を用いた管理では十分とは言えません。特に、受注までのプロセスが複雑な場合や顧客数が多いケースでは、見込み度が高い顧客を逃すおそれがあります。
リード管理でリアルタイム性を確 保するには、ITシステムの活用が欠かせません。SFA(営業支援システム)やCRM(顧客管理システム)が一般的ですが、そのほかマーケティングオートメーションツールも使われています。
マーケティングオートメーションとは、マーケティング活動の自動化という意味です。メルマガの配信や広告の効果分析といったマーケティング活動をITシステムで自動化します。少ない人手でも効率的にマーケティングを続けられるため、深刻化する人手不足の解消方法として注目されています。
リードを管理するためのプロセス
リード管理は主に3つのプロセスに分類されます。それぞれ詳しく見ていきましょう。
1.リードジェネレーション(リード獲得)
リード管理の最初の段階は「リードジェネレーション(リード獲得)」です。自社商品の見込み客を集める一連の活動のことで、展示会などのイベント参加やメルマガ配信などが該当します。
このリードジェネレーションには、大きく分けて「インバウンド型」と「アウトバウンド型」の2種類があります。
リード側からのアプローチを促す「インバウンド型」
インバウンドとは、リードの方から自社へアプローチしてくることです。
しかし、もちろん放っておいてもリードはアプローチをしてくれません。したがって、インバウンド型リードジェネレーションでは、自社HPやSNSで情報発信をすることでリードからのアプローチを促します。
インバウンド型は近年デジタル化が進んだことにより登場しました。後述する従来のアウトバウンド型と異なり、担当者の負担が少ないのが特徴です。
ただし、インバウンド型はアウトバウンド型と比較すると、成果が出るのが遅いデメリットがあります。地道に情報発信を繰り返してリードの関心を惹きつけなければなりません。
企業から主体的に働きかける「アウトバウンド型」
アウトバウンドとは、企業からリードに働きかけることです。展示会での名刺交換やダイレクトメール、新聞・雑誌などへの広告出稿など長く親しまれてきた手法がこちらに該当します。
アウトバウンド型リードジェネレーションのメリットは、すぐに成果が現れやすいことです。特に、自分が購入する商品の選定にあまり労力を割きたがらないリードは、アウトバウンド型アプローチをすぐに受け入れる傾向にあります。
ただし、近年は社会の情報化により、能動的に商品の情報を調べる人が増え、アウトバウンド型アプローチによる効果は減少してきています。また、企業側からアプローチする以上、インバウンド型より多くの人手が必要になるのもデメリットです。
2.リードナーチャリング(リード育成)
リードナーチャリングとは、既存の顧客をより見込み度が高い顧客になるよう育成することです。
新規顧客と接点があったとしても、自社製品の知識がなく関心が低ければ有効なリードとは呼べません。成約につなげるには、創出したリードに対して継続的に情報提供を行い、関心を高めていく必要があります。
ここで理解しておきたいのが、リードナーチャリングではリードジェネレーションよりも緻密な顧客情報管理が求められる点です。マーケティングオートメーションツールなどを有効活用しましょう。
3.リードクオリフィケーション(リード選別)
リード管理では、育成したリードを営業部門の成果に繋がりやすいように選別しなければなりません。このリードを選別することをリードクオリフィケーションと呼びます。
選別にはスコアリングという手法が用いられます。これは顧客の興味関心を点数化することです。例えば「メルマガを開封したら〇点」「本文のリンクを踏んだら△点」のように計算し、リードの見込み度を数値化します。
この数値が高いほど、見込み度が高いということです。合計点数が基準を超えたリードに絞ってアプローチすれば、営業活動が円滑に進むでしょう。
リード管理ツールの中には、設計したスコアリングに合わせて点数をカウントし、通知まで自動で行えるものもあります。
リード管理を行い、営業活動に活かしましょう
リードとは見込み顧客のことです。部署別に以下のように定義されています。
- MQL
- マーケティング部署が育成した見込み顧客
- TQL
- 電話により商談につなげた見込み顧客
- SQL
- フィールドセールス担当者が抱える見込み顧客
また、リード管理は以下の3プロセスからなります。
- リードジェネレーション
- 獲得
- リードナーチャリング
- 育成
- リードクオリフィケーション
- 選別
リード管理を行い、営業活動を効率化しましょう。