マーケティングオートメーション(MA)とは
マーケティングオートメーション(MA)の概要を見ていきましょう。
煩雑な業務を自動化し、営業を効率化する仕組み
マーケティングオートメーションとはその名の通り、マーケティングを自動化する仕組みです。
従来のマーケティングはすべて人の手で管理する必要があり、大きな手間と労力を要しました。しかし、マーケティングオートメーションでは煩雑な業務をシステムに任せられるため、営業活動が効率化します。
特にWebにおける集客や顧客情報の処理、メルマガ配信などをソフトウェアに任せて自動化することを指します。
商談を増やし、収益アップが見込める
マーケティングオートメーションの目的は、商談を増やし、収益を増加させることです。具体的には、次のような理由から商談が増加します。
- ■的確なアプローチにより購買意欲向上が見込める
- ■見込み客の漏れがなくなる
- ■属人性を排除できる
マーケティング部門は、見込み客を見つけて営業に引き継ぎます。マーケティングオートメーションを利用すれば顧客の購買意欲を的確に高められ、営業の成功率が向上します。また、自動化することで漏れやミスがなくなるため、商談数や成約率が上昇します。
マーケティングオートメーション(MA)が必要になった背景
なぜマーケティングオートメーションが必要になったのでしょうか。
顧客の購買行動の変化
マーケティングオートメーションが必要になった理由の1つは、顧客の購買行動の変化です。
商品情報を入手する手段が限られていたころは、営業によるベンダーからの情報提供が購買決定の鍵を握っていました。ところが、インターネットの普及した現在、ベンダーから営業されずとも顧客は自分で情報を集められます。
そのため、現在では多くの顧客がベンダーと接触する前に購入検討を終えています。結果として、従来のアウトバウンド方式の営業では顧客を獲得できなくなりました。
そこで登場したのがインバウンド型のマーケティングオートメーションです。Webで情報収集する顧客のデータを集め、営業に活かせます。
企業のマーケティング力不足
企業のマーケティング力不足も原因の1つです。
従来のマーケティング手法にはさまざまな問題がありました。担当部門ごとの連絡が取れていない、そもそも会社内にマーケティング部門が存在しないなど、力不足といえる状態でした。
ところが、マーケティングオートメーションを導入すれば、それらの問題を一気に解決できます。ツールで自動化するので手間をかけずに済み、力不足を補えます。
また、クラウド型システムの登場により、ツールは価格が下がりつつあるのも普及の一因です。無料で導入できる製品も珍しくありません。低コストで多くの企業がマーケティングオートメーションを導入できるようになりました。
One to Oneマーケティングの実現
One to Oneマーケティングが実現できることも一因です。
従来のマスマーケティングの手法では、顧客一人ひとりにアプローチすることは困難でした。ところが、マーケティングオートメーションのツールを使えば、これを少ない手間で実現できます。
メルマガ自動配信や顧客の行動分析機能などにより、ほぼ自動でOne to Oneマーケティングが実現します。その結果、多数の顧客に向けて同じアプローチをするよりも、高い購買率や満足度が達成できるようになりました。
マーケティングオートメーション(MA)の活用方法
マーケティングオートメーションは、マーケティング業務を可視化・自動化するものです。その対象は以下の4つに分類されます。
- ■リード創出
- ■リード育成
- ■リード選別
- ■リード管理
ではそれぞれ詳しく見ていきましょう。
1:リードジェネレーション(見込み客創出)
マーケティングの最初の段階は、リードジェネレーションです。将来的に自社の顧客になりうる見込み客を発掘します。具体的には、以下のような活動により見込み客を創出します。
- ■セミナーや展示会の開催
- ■営業担当者の活動(名刺交換)
- ■資料請求
- ■メルマガ登録
- ■ホワイトペーパーのダウンロード
マーケティングオートメーションはこれらの活動を自動化・効率化します。Web集客はもちろん、セミナーや営業担当者の活動で収集したリスト管理などにも有効です。
2:リードナーチャリング(見込み客育成)
次の段階はリードナーチャリングです。リードジェネレーションの段階で創出した見込み客の購買意欲を高めます。具体的には、以下のような活動が必要です。
- ■メルマガ配信
- ■DM送信
- ■セミナー開催
- ■ステップメール
- ■SNSでの情報発信
- ■スマホアプリの活用
営業部は、即座に成約に結び付く顧客を求めるでしょう。しかし、リードジェネレーションの段階で創出した新規顧客がすぐに商品を買うことは稀です。リードナーチャリングの過程で時間をかけて見込み客を育成しましょう。
また、この時に大切なのは、顧客に合わせたアプローチをすることです。マーケティングオートメーションの機能が活躍する場面といえます。
3:リードクオリフィケーション(見込み客選別)
育成した見込み客の中から、特に成約の見込みが高い顧客を選別する段階がリードクオリフィケーションです。その顧客を営業部門に引き継ぐことで成約につなげましょう。以下のデータを元に選別します。
- ■オンラインでの行動(アクセス解析などのデータ)
- ■オフラインでの行動(セミナーなどでの関心・態度)
- ■性別や年齢などの属性
また、具体的な選別方法には以下の2種類があります。
- セグメンテーション
- データに応じてリストを分割し、メールを配信する
- リードスコアリング
- データに応じて見込み客に点数を付ける
マーケティングオートメーションがあれば、上記の選別を自動で行えます。選別した顧客は営業部に引き継ぎましょう。その結果、最適なタイミングでの営業が実現します。
4:リード管理
創出から選別までの間、見込み客の情報は適切に管理しておく必要があり、その過程でもマーケティングオートメーションは有効です。たとえば、以下のような機能が役立つでしょう。
- ■名刺データの自動取り込み
- ■営業部門のシステムとデータ連携
一度獲得したリストが、古くなって埋もれてしまう事例もあります。しかし、これらの機能を活用すれば、見込み客のデータをもれなく管理して営業部門に引き継げます。
マーケティングオートメーション(MA)の機能
マーケティングオートメーションの機能の多くは、見込み客の創出・育成・選別を効率化するためのものです。特に育成段階で利用する機能が多く備わっています。では、代表的な機能を見ていきましょう。
Webページの作成・サイト内の顧客分析
Webページの作成やサイト内の顧客行動を分析する機能を備えています。これらは主にリードジェネレーションの段階で役立つ機能です。具体的には、以下のことを実現します。
- ■ランディングページ作成
- ■サイト訪問者に合わせた情報の提示
- ■リターゲティング広告の配信
- ■アクセス解析
訪問者に合った情報提示やリターゲティング広告は、One to Oneマーケティングの機能といえるでしょう。Webサイト訪問者の多くは興味を抱く前に離脱しがちですが、これらの機能によりその機会損失を防止できます。
また、アクセス解析で得たデータは見込み客創出だけでなく、選別時のスコアリングにも役立ちます。
メールの自動配信
メールの自動配信機能を備えています。この機能は、主にリードナーチャリングの段階で役に立つでしょう。
一般のメール配信システムとは異なり、詳細な条件(シナリオ)を設定したメール配信が実現します。見込み客が購買意欲を高める過程をコントロールできるため、通常のメルマガよりも成約率を高められます。
ただし、逆に言えばシナリオを設定しなければ普通のメール配信システムと変わりません。マーケティングオートメーションを導入しただけで満足せず、それを活用して顧客に積極的にアプローチする姿勢が不可欠です。
また、メール配信機能で得た開封率などのデータは、その後のアプローチに活かせます。購買意欲の高い顧客には電話でも接触するなど、次の戦略へつなげましょう。
マーケティングオートメーション(MA)導入の注意点
マーケティングオートメーションの導入を検討する際には、以下の点に注意しましょう。
ノウハウが必要
マーケティングオートメーションを活用するにはノウハウが欠かせません。自動化という特性上、導入しただけで良いと思われがちですが、それは誤りです。たとえば、Webサイトを運営するならSEOの知識、メール配信をするならシナリオ設計の技術が求められます。
十分なリストが必要
そもそもリストがなければ、メールの配信も見込み客の選別もできません。自社に十分なリストがなければ、まずはそれを収集するところから始める必要があります。そのため、すぐに成果が出るわけではありません。
このように、ツールを導入しても一定の手間や時間、技術は必要になることを知っておきましょう。
MAを正しく理解し、業務効率化に向けて導入検討を!
MAとは、マーケティングに必要な業務を自動化し、商談数と収益を増やすことです。市場の変化や企業のマーケティング力不足により普及が進みました。
主にマーケティングの3ステップ(見込み客創出・育成・選別)で活かせる機能が備わっています。具体的には、Webサイト運営やメール配信機能があります。ただし、すべてをシステムに一任できないことには注意しましょう。
ぜひ参考にして、MAの導入を検討してください。