1.利便性が低下し、無許可のBYODが横行した
MDMシステムでは、管理する端末の機能を制限できます。例えば、脆弱性のあるソフトウェアやファイル共有ソフトの使用を制限するなど、情報セキュリティ上の安全性向上につながります。
しかし、機能制限によって端末の利便性が著しく低下してしまう可能性もあります。情報セキュリティを重視するあまり、業務上有用なソフトウェアの使用も制限されてしまう可能性があるからです。
こうした機能制限に加えて、明らかに長すぎるパスワードを設定するように要求することや、端末利用が承認されるまでのプロセスに時間がかかり過ぎるといった場合にも利便性の低下を招きます。
その結果、社員が無許可でBYOD(私的デバイス活用)を行い、かえって情報セキュリティ上のリスクが拡大してしまうケースもあります。

2.紛失や盗難が増加してしまった
MDMシステムを導入し、スマートフォンなどのモバイル端末を業務で活用できると、社外へのデータ持ち出しが容易になり生産性向上に貢献します。
しかし同時に、置き忘れや置き引きなどの紛失・盗難リスクが高まります。MDMシステム導入によりモバイル端末の業務利用が多くなったことで、「紛失や盗難といった情報セキュリティ上の事件・事故の件数が増加してしまった」という企業も珍しくありません。またこうした事件・事故は当然、顧客情報の流出をはじめとした企業の信用を失墜させかねない状況を生み出すきっかけとなりかねないので対策が必要です。
3.情報セキュリティ関連のコスト負担が大きくなった
MDMシステムにはさまざまなセキュリティ機能も搭載されています。その代表例が、リモートワイプです。リモートワイプは、端末の紛失や盗難が発生した場合に遠隔操作によって端末上のデータを消去できる機能です。紛失・盗難された端末からの情報漏えいを防ぐのに役立ちます。
しかし、リモートワイプは対象端末がネットワークに接続できる状態でなければ機能しません。したがって、端末が電波の届かないところにある場合や機内モードの場合には遠隔操作によりデータを消去できないのです。
こうしたMDMシステムに備わるセキュリティ機能の限界を導入後に認識した場合には、別途セキュリティツールを導入してセキュリティ面を強化する必要があります。そのため、「MDMシステム導入により、かえってセキュリティコストが増大してしまった」というケースも見受けられます。
MDMの適切な活用で導入を成功させよう
MDMシステムは、モバイル端末を業務利用する上で欠かせないツールとなりつつあります。しかし、MDMシステムを導入する際には「利便性」と「情報セキュリティ」のバランスが非常に重要です。
失敗例を参考に、自社に適切な機能を有したMDMを選び、導入を成功させましょう。
以下の記事では、MDMのおすすめ製品とあわせて、選び方や注意点も紹介しています。ぜひ参考にしてください。
