BYODとは
BYOD(Bring Your Own Device)とは、従業員が個人で所有するパソコンやスマートフォンなどの端末を業務に活用することを指します。使い慣れたデバイスを使用することによる業務効率化や生産性向上、端末コスト削減などの目的で注目されています。
BYODが急増する背景
スマートフォンの普及率の高さはBYOD導入を後押しする要因のひとつとなりました。また、通信環境が整備され、高速かつ低コストでインターネットにアクセスできるようになり、BYODに役立つアプリやサービスも年々増えています。
総務省の調査では、情報通信機器の世帯保有率は以下のように記されています。
2021年の情報通信機器の世帯保有率は、「モバイル端末全体」で97.3%であり、その内数である「スマートフォン」は88.6%、パソコンは69.8%となっている
参考:令和4年版 情報通信白書|総務省
さらに、働き方改革による勤務形態の多様化やテレワークの拡大もBYODの導入が増えている理由の一つです。
BYODの普及率
アメリカを中心に欧米諸国で浸透しているBYODですが、国内では諸外国に比べてまだまだ普及率が低いようです。ICTの導入状況を調査した総務省のデータには次のように記されています。
2018年時点でBYODを許可している企業は、日本が10.5%、アメリカが23.3%、イギリスが27.8%、ドイツが27.9%
参考:平成30年版 情報通信白書|平成30年 情報通信に関する現状報告の概要|総務省
BYODのメリット
BYODには次のメリットがあります。
- ■業務効率化
- 使い慣れたデバイスを使用することによる業務効率化や生産性向上が期待できる。
- ■端末にかかるコストの削減
- 企業側が負担する端末の購入・維持費用を削減できる。
- ■多様な働き方を可能にする
- 在宅勤務やリモートワークの導入に役立てる。
- ■シャドーITへの対策
- 「シャドーIT」とは、私用デバイスを勝手に業務で利用するなど、従業員が会社に無断で導入したIT機器やサービスを指す。ルールを整えたうえで適切に活用できれば、セキュリティリスクを減らせる。
BYODのデメリット
BYODにあるのはメリットばかりではありません。次はデメリットを紹介します。
- ■情報漏えいの危険性が高まりやすい
- 紛失・盗難やデータの持ち出しによる機密情報の漏えいリスクがある。また、私物端末のため機能制限などのセキュリティ管理がしにくい。
- ■プライベートと仕事の境目が曖昧になりやすい
- 時間や場所を問わず業務に関する情報を入手しやすいため、サービス残業の原因となる可能性もある。
- ■費用負担の面で問題が発生しやすい
- かかった通信費の算出がしにくいほか、端末の導入費用の負担などでトラブルになりやすい。
- ■従業員の労働状況の把握が難しくなる
- いつどの程度勤務しているのかの把握ができず、労務管理が複雑になる。
BYODのセキュリティ対策とは
BYOD導入によるセキュリティリスクに備えるためには、機器の管理や環境整備、ルールの構築などが求められます。具体的な例をあげて解説します。
システムを導入する
BYODを導入する多くの企業で利用されているのがモバイルデバイスを管理する「MDM」です。セキュリティソフトのインストールやOSの更新などを一括で実行したり、各端末をリモート制御したりできます。
そのほかBYODのセキュリティ対策として導入されるのは以下のとおりです。
- ●リモートアクセス
- ●クライアント証明書
- ●VPN
- ●ウイルス対策ソフト
運用ポリシーを策定する
理想的なのは、従業員の行動をシステム上ですべて制御できる状態でしょう。しかし、現実にはそうはいきません。どうしても企業の目の届かないところが存在する以上、従業員個人に委ねられる要素が生じます。
そのため、運用ポリシーを策定し社内で周知しておきましょう。やってはいけないこととそうでないことを明確にすることで、従業員のセキュリティ意識を高められます。また、私用のデバイスを業務に用いることに対する従業員の不安を払拭する効果も期待できます。
具体的には、以下のことを定めておきましょう。
- ■業務に用いる範囲(使用するアプリやサービスなど)
- ■企業が監視・制御する範囲
- ■通信料金やセキュリティソフトの料金について
- ■トラブル発生時の対処法
BYODを導入し、社内の生産性を向上させよう!
BYODは業務効率化や端末にかかるコスト削減が可能なことから、導入する企業が増えています。しかし一方で、セキュリティリスクを高める要因ともなりえます。MDMの導入や運用ルールの整備を行い、BYOD導入を成功させましょう。
なお以下の記事から、MDMのおすすめ製品を比較できます。費用や機能が気になる方は参考にしてください。
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