人事考課で評価者と従業員の認識にズレが生じる課題
人事考課の場面では、評価者が意図した評価と、従業員が受け止める内容にズレが生まれることがあります。ここでは、その背景を整理します。
期待値のすり合わせ不足が生むギャップ
考課期間の初めに、評価者と従業員の間で何を目標とし、どのような行動を期待するかを十分にすり合わせていない場合、評価の結果に対する認識にズレが生じやすくなります。期首の目標設定があいまいなまま期末を迎えると、こうした食い違いが起こりやすくなります。目標を数値だけで示すのではなく、その背景にある期待や意図まで丁寧に共有しておくことも、認識のズレを防ぐうえで役立ちます。
従業員が思い描いていた成果と、評価者が重視した観点が異なると、結果に納得しにくくなる場合があります。期初の面談で、目標や評価の観点をできるだけ具体的に共有しておくことが、ズレを防ぐ手がかりになります。あわせて、期の途中でも進捗を確認し合う機会を設けることで、認識のズレを早い段階で修正しやすくなります。
評価結果の伝え方による受け止め方の違い
同じ評価結果であっても、伝え方によって従業員の受け止め方は大きく変わります。結果だけを一方的に伝える形では、なぜその評価になったのかという理由が伝わりにくく、不満につながりやすい傾向があります。忙しさを理由に面談の時間を短く済ませてしまうと、こうした不満はさらに大きくなりやすくなります。
評価の根拠となった具体的な行動や成果を、事実にもとづいて丁寧に説明することが、納得感を高めるうえで重要です。伝え方ひとつで、その後の従業員のモチベーションにも影響が及ぶ可能性があります。良い点と改善したい点をあわせて伝えることで、次の期に向けた前向きな受け止め方につながりやすくなります。
人事考課の評価基準にまつわる課題
評価基準の設計や運用の仕方によっても、人事考課にはさまざまな課題が生じます。ここでは、基準にまつわる代表的な課題を紹介します。
定性的な項目の判断が評価者ごとに分かれる状況
数値で示せる成果とは異なり、協調性やコミュニケーション能力といった定性的な項目は、評価者によって判断が分かれやすい傾向があります。同じ行動を見ても、評価者の価値観によって評価が変わる可能性があります。従業員側から見ても、何をもって高く評価されたのかが分かりにくく、次に向けた行動をイメージしにくいという声も聞かれます。
定性的な項目についても、どのような行動や状態を指すのかをできるだけ具体的に定義しておくことで、判断の分かれ方をある程度抑えられます。評価項目の定義を丁寧に整えることが求められます。あわせて、具体的な行動の例を評価者間で共有しておくと、判断のばらつきをさらに抑えやすくなります。
成果と行動プロセスのバランスが取りにくい点
成果だけを重視すると、結果を出すまでの努力や工夫が評価に反映されにくくなります。一方で、プロセスばかりを重視すると、成果を出した従業員の評価が相対的に低くなってしまう場合もあります。どちらか一方に偏った評価が続くと、従業員の行動そのものが評価軸に引っ張られてしまう可能性もあります。
成果とプロセスの両方をバランスよく評価する仕組みを整えることが望ましいものの、業種や職種によって適切な配分は異なるため、自社の業務特性に応じた調整が必要です。評価の重みづけを整理すると、次のような二つの観点があります。
- ■成果の評価
- 達成した数値や成果物など、結果として現れる部分を確認します。
- ■プロセスの評価
- 目標達成に向けた工夫や取り組み方など、過程にあたる部分を確認します。
人事考課を行う評価者側が抱えやすい負担
人事考課は、評価される側だけでなく、評価する側にもさまざまな負担が生じます。ここでは、評価者が抱えやすい課題を整理します。
部下の人数が多いほど増える確認作業
一人の評価者が多くの部下を担当している場合、全員分の考課シートを確認し、それぞれに適切なフィードバックを行うには相応の時間がかかります。日々の業務と並行して考課作業を進める必要があり、負担が重なりやすい状況です。管理職としての本来の業務に加えて考課作業が重なることで、双方の質が下がってしまう懸念もあります。
部下の人数が多いほど、一人あたりにかけられる時間は限られてしまいます。評価者の負担を考慮した考課スケジュールの設計や、業務量の調整なども検討すべき課題のひとつです。考課の時期が繁忙期と重なると、評価者の負担がさらに大きくなり、確認作業が形式的になってしまう懸念もあります。考課のスケジュールを繁忙期からずらすなど、運用面での細やかな配慮も検討の余地があります。
考課者研修が十分に行われていない実情
評価者としての心構えや評価の方法について、体系的な研修を受けないまま考課を任されるケースも見られます。評価の経験が浅い評価者ほど、判断に迷う場面が多くなりやすいといえます。
考課者研修を通じて、評価の観点や陥りやすい傾向を評価者間であらかじめ共有しておくことで、評価者自身の不安を軽減し、判断の質を高めることにつながります。研修の機会がないまま経験だけに頼った評価を続けると、評価者ごとの差がさらに広がっていく可能性があります。
ITトレンドでは、最新の製品・サービスを多数比較・掲載しています。まず資料を取り寄せて機能や特徴をさまざまな製品で比較してみてください。忙しい業務時間内でも、各社に問い合わせる手間なく、たった1回の入力(約60秒)で人事評価システムの一括資料請求が可能です。浮いた時間で、じっくりと製品を比較検討し進めましょう。
人事考課の結果が処遇に反映されにくい課題
考課の結果と、実際の昇給や昇格などの処遇との結びつきがあいまいな場合、従業員の納得感にも影響します。ここでは、処遇への反映に関する課題を紹介します。
評価と昇給・昇格の連動があいまいなケース
考課で高い評価を得ても、昇給や昇格にどう反映されるのかが明確でない場合、従業員は考課の意義を実感しにくくなります。評価結果と処遇の連動ルールがあいまいなままでは、努力の方向性も見えにくくなります。
評価結果がどのように処遇へ反映されるのかを、あらかじめ従業員に説明できる仕組みを整えることが、考課制度全体への信頼につながります。反映のルールをあらかじめ見える形にしておくことで、従業員自身が次に目指すべき方向を考えやすくなる効果も期待できます。
評価理由が本人に十分説明されない状況
評価結果だけを通知し、その理由を詳しく説明しない運用では、従業員が納得感を持ちにくくなります。特に、期待していた評価と異なる結果だった場合、理由の説明が不足していると不満が残りやすくなります。
評価の根拠を具体的な事実にもとづいて説明する機会を設けることが、処遇への納得感を高めるうえで欠かせない取り組みといえます。説明を面談の場で丁寧に行うことで、評価者と従業員の信頼関係を長く維持しやすくなります。
人事考課の課題を改善するための取り組み方
これまで挙げた課題は、制度の設計と運用の両面から改善に取り組める部分があります。ここでは、改善に向けた考え方を紹介します。
評価者研修や目線合わせの機会づくり
評価者同士が同じ事例をもとに評価をすり合わせる研修や、評価基準の解釈を確認し合う場を定期的に設けることで、評価者ごとの判断の差を抑えやすくなります。継続的な取り組みとして位置づけることが重要です。一度の研修だけで終わらせず、考課の時期ごとに振り返りの機会を設けることも効果的です。
あわせて、新任の評価者には特に丁寧な研修機会を用意し、評価の考え方を早い段階で身につけてもらうことも、組織全体の評価の質を保つうえで役立ちます。ベテランの評価者が新任者に日常的に助言できる体制を整えておくと、経験の浅さを補いやすくなります。
考課結果を対話に活用する運用への転換
考課結果を一方的に通知するだけでなく、面談を通じた対話の材料として活用する運用へ転換することで、従業員の納得感を高めやすくなります。評価者と従業員が今後の課題を一緒に考える機会にもなります。
結果をただ伝えるだけでなく、今後の成長に向けた具体的な行動を一緒に考える対話の場として考課面談を位置づけることが、制度への信頼を高める近道になります。日頃から評価者と従業員が率直に話せる関係を築いておくことも、面談の質をさらに高めるうえで欠かせません。
人事考課の運用課題に対応するシステムの選び方
人事考課で生じやすい進捗管理の煩雑さや評価基準のばらつきといった課題は、システムの機能次第で改善しやすくなります。ここでは特徴の異なる人事評価システムを紹介します。
HRMOSタレントマネジメント
- シリーズ累計100,000社導入!
- MBO、OKR、コンピテンシーなど様々な評価の対応!
- 初めてでも安心!専任サポートと上限なしでMTG可能
株式会社ビズリーチが提供する「HRMOSタレントマネジメント」は、MBOやOKR、コンピテンシー評価、360度評価など多様な評価方式に対応した人事評価システムです。直感的な画面設計により、初めて利用する担当者でも評価シートの作成や配布、進捗管理を進めやすく、スマートフォンからの入力にも対応しています。1on1機能を通じて評価者と被評価者のコミュニケーションを促します。
ジンジャー人事評価
- テキスト・選択肢・計算式等、多様な入力方式に対応し操作が容易
- 評価者毎の進捗管理が一目で把握でき評価依頼が1クリックで完結
- 権限設定により入力担当者毎で閲覧項目のカスタマイズが可能
jinjer株式会社が提供する「ジンジャー人事評価」は、評価シートの作成から配布、回収、最終評価までをオンラインで一元管理できるクラウド型の人事評価システムです。テキストや選択肢、計算式など多様な入力形式に対応し、ドラッグ&ドロップで評価シートを自由にカスタマイズできます。従業員情報から評価者を自動でピックアップする機能も備えています。
あしたのクラウドHR
- 導入4,000社でシェアNo.1※評価制度がなくてもゼロから構築可能
- Excel管理からの脱却。質の高い目標・評価を実現する機能多数
- 評価から給与・賞与のシミュレーションまで一貫して対応可能
株式会社あしたのチームが提供する「あしたのクラウドHR」は、目標設定から面談、評価、査定までの一連の流れをクラウド上で一元管理できる人事評価システムです。既存の評価制度がない企業でもゼロから制度構築を進められる点が特徴で、コンピテンシー評価やMBO、360度評価など複数の手法に対応しています。評価軸別・評価者別・部署別に評価結果を分析できます。
人事評価制度の構築・運用 (株式会社HRButler)
- 従業員100名以下の企業に導入実績あり
- 制度構築費用と月額制の定着コンサルティング。
- 経験豊富な人材が個社別に提案
GROW360 (Institution for a Global Society株式会社)
- ESCO採用、グローバルな能力測定
- 人的資本ROIを見える化し意思決定を支援
- 事業成果に直結するファクターの特定・分析
まとめ
人事考課には、評価者と従業員の認識のズレや評価基準の判断の分かれやすさ、評価者側の負担、処遇への反映のしにくさなど、さまざまな課題が起こりやすい傾向があります。研修や対話の機会を丁寧に整えることが、課題の改善につながります。制度と運用の両面から見直しを続ける姿勢が、納得感のある人事考課につながります。自社の運用を見直すきっかけとして役立ててください。


