生産管理システムのシェア情報との向き合い方
シェア調査は集計対象や業種の範囲によって結果が変わります。まずはシェア情報の性質を理解し、比較検討にどう活用できるかを確認しておきましょう。
業種や生産方式によって変わる集計結果
生産管理システムのシェアは、対象とする業種や生産方式によって結果が変わります。組立加工業向けの調査と、プロセス製造業向けの調査では、上位に挙がる製品が異なる場合があります。中小企業向けの調査と大企業向けの調査でも、上位に来る製品の傾向が異なることがあります。
公開されている数値を確認する際は、調査対象の業種や企業規模があわせて示されているかを確認しましょう。自社と近い条件の調査結果であれば、比較検討の参考にしやすくなります。異なる条件の数値を単純に比較すると、実態と異なる印象を持ってしまうおそれがあります。調査の実施時期が古い場合は、現在の市場動向と乖離している可能性もあわせて考慮しましょう。
シェアの高さと自社の生産形態への適合は別問題
シェアが高い製品は導入事例や情報量が豊富な傾向がありますが、自社の生産形態に合うかどうかは別に確認する必要があります。個別受注生産か見込み生産かによって、必要な機能の範囲は大きく変わります。多品種少量生産か少品種大量生産かによっても、重視すべき機能の優先度は異なります。
シェアの数値だけを根拠に導入を決めると、自社の生産工程に合わない機能が中心の製品を選んでしまう可能性があります。シェアは候補を知るきっかけとして活用し、実際の機能や操作性は個別に確認することが重要です。同業種での導入事例が公開されている場合は、自社に近い環境での利用イメージをつかむ手がかりといえます。
生産管理システムで確認したい機能範囲
受注管理から工程管理、在庫管理まで、生産管理システムが対応する範囲は製品によって異なります。自社に必要な範囲を確認しましょう。
工程管理と進捗の可視化
生産管理システムの中核となる機能のひとつが、工程ごとの進捗状況を可視化する機能です。どの工程まで作業が進んでいるかをリアルタイムで確認できると、納期遅延の兆候を早期に把握しやすくなります。作業者ごとの負荷状況を確認できる機能があれば、人員配置の見直しにも活用できます。
進捗の表示方法や、遅延が発生した際の通知機能は製品によって差があります。自社の生産工程の複雑さにあわせて、必要な粒度で進捗を管理できるかを確認しておくと、導入後の運用がしやすくなります。工程数が多い製品では、表示のカスタマイズ性も比較材料のひとつです。
在庫管理と資材の発注連携
原材料や部品の在庫を管理し、必要なタイミングで発注できる機能も、生産管理システムで確認したい項目です。在庫の残数や発注のタイミングを自動で通知できる機能があると、欠品や過剰在庫を防ぎやすくなります。ロット管理やトレーサビリティの記録に対応しているかも、業種によっては重要な確認項目です。
発注先とのデータ連携ができるかどうかも、業務効率に影響する確認項目です。連携方法や対応できる発注先の範囲は製品によって異なるため、自社の取引先との組み合わせで動作するかを事前に確認しましょう。連携が難しい場合は、データの手入力にかかる手間もあわせて見積もっておくと安心です。
生産管理システムの導入形態
クラウド型かオンプレミス型か、業種特化型か汎用型かなど、導入形態によって選び方の観点が変わります。自社の運用体制にあわせた形態を選ぶことが、長期的な運用のしやすさにつながります。
業種特化型と汎用型の違い
アパレルや金属加工など、特定の業種向けに機能を絞った業種特化型のシステムがある一方、幅広い業種に対応する汎用型のシステムもあります。業種特化型は、自社の業務フローに近い形で導入できる場合があります。業界特有の用語や帳票にあらかじめ対応している製品もあり、導入時の設定負担を抑えられる場合があります。
汎用型は柔軟にカスタマイズできる反面、自社の業務に合わせた設定作業が必要になる場合があります。どちらが自社に合うかは、業務フローの独自性や、カスタマイズにかけられる予算・期間にもとづいて判断しましょう。将来的な業容拡大や新業種への展開も見込んで、拡張性を確認しておくとよいでしょう。
クラウド型とオンプレミス型の運用負担の違い
クラウド型は、自社でサーバーを保有せずに利用できるため、初期費用や保守の負担を抑えやすい形態です。拠点が複数ある場合や、情報システム部門の人員が限られている場合に選ばれることがあります。ソフトウェアの更新がベンダー側で行われるため、常に最新の機能を利用しやすい点も特徴です。
オンプレミス型は、自社内にシステムを構築するため、既存の基幹システムとの連携をより柔軟に設計できる場合があります。保守体制を自社で担えるかどうかも、選択の判断材料です。社外ネットワークへの依存を避けたい場合に選ばれる傾向がありますが、初期費用は比較的高くなる場合があります。
ITトレンドでは、最新の製品・サービスを多数比較・掲載しています。まず資料を取り寄せて機能や特徴をさまざまな製品で比較してみてください。忙しい業務時間内でも、各社に問い合わせる手間なく、たった1回の入力(約60秒)で生産管理システムの一括資料請求が可能です。浮いた時間で、じっくりと製品を比較検討し進めましょう。
生産管理システム導入で起こりやすい課題
導入後に運用面で想定外の課題が発生することもあります。事前に起こりやすい事象を把握しておきましょう。
既存の基幹システムとのデータ連携エラー
会計システムや販売管理システムなど、既存の基幹システムと連携する際に、データの同期エラーや反映の遅延が発生する場合があります。原因はネットワーク環境やデータ形式の不一致など、複数の要因が関係することがあります。連携先のシステムがバージョンアップされた際に、対応関係が崩れるケースもあります。
連携エラーが発生した際に、エラー内容を確認できるログ機能や、手動で再連携できる仕組みがあるかを確認しておくと、業務への影響を抑えやすくなります。頻発する場合は、ベンダーとあわせて連携先システムの担当者にも状況を共有しましょう。責任範囲をどちらか一方に限定せず、双方で原因を切り分ける体制を整えておくことが望ましいといえます。
現場担当者の定着に向けたルール整備
システムを導入しても、現場の担当者が操作に慣れず、紙の記録と併用してしまう課題が起こりやすいものです。操作研修の機会を複数回設け、疑問点をすぐに相談できる窓口を用意することが望ましいといえます。年齢層や機器操作の経験差に配慮し、段階的に定着を図ることも有効です。
入力ルールが担当者ごとに異なると、データの正確性が損なわれる場合があります。入力項目や手順をマニュアル化し、複数人で運用状況を確認できる体制を整えることが有効です。定着状況を定期的に確認し、必要に応じてマニュアルを更新する運用も取り入れましょう。
生産管理システムの比較と選び方
最後に、実際に比較検討を進める際の具体的な進め方をまとめます。自社で確認できる範囲から着手しましょう。
自社の生産方式と課題の整理
まず確認したいのは、個別受注生産か見込み生産かといった生産方式と、現在抱えている課題です。課題を具体的に洗い出しておくと、システムに求める機能の優先度が明確です。納期遅延や在庫の過不足など、日々の業務で困っている点を具体的な事例とともに整理すると、要件が伝わりやすくなります。
あわせて、現場の担当者から日々の業務で困っている点をヒアリングしておくとよいでしょう。経営層の視点だけでなく、現場の視点も取り入れることで、実際の運用に即した要件を整理しやすくなります。部門をまたいだ課題がある場合は、関係者全員で認識をそろえておくと導入後の混乱を防ぎやすくなります。
資料請求やデモでの比較検討
気になる製品が複数ある場合は、資料請求やデモを通じて機能や操作性を具体的に比較する方法が有効です。カタログだけでは分かりにくい画面の使いやすさや、自社工程への対応可否は、実際に確認することで判断材料が増えます。可能であれば実際の生産データを使ったデモを依頼し、自社の業務にどこまで適合するか確認しましょう。
比較する際は、工程管理の粒度や在庫連携の範囲、既存システムとの連携可否など、事前に整理した項目に沿って各社の情報を並べると比較しやすくなります。複数の担当者で比較表を共有し、検討を進めましょう。導入後のサポート体制や、追加費用が発生する条件もあわせて確認しておくと安心です。
生産管理システムの主な選択肢を比較
生産管理システムは製造業の生産形態や規模によって適した機能が異なります。ここでは代表的な製品の特徴を紹介します。
TPiCS-X
- 国内外で2129社以上の実績(英語・中国語・ベトナム語の対応)
- 一品生産(製番管理)や繰り返し生産(MRP)の機能が充実
- 短納期の対応や、在庫削減を目的とされる企業にお勧めします
株式会社ティーピクス研究所が提供する「TPiCS-X」は、量産から小ロット多品種、個別受注生産まで幅広い生産形態を一元管理できる生産管理パッケージです。独自の需給調整ロジック「f-MRP」により、資材の発注を数か月先で確定させつつ、直近の生産計画変更にも柔軟に対応できます。製品構成や製造リードタイム、ロットサイズをもとに生産・調達計画を自動作成する機能も備えています。
TECHS-S NOA
- アクティブユーザ10万人超! 導入社数4,500社超の実績あり
- 仕掛原価と完成時予測原価をリアルタイムに管理!
- 導入から稼動まで各専門スタッフが全面サポート!
株式会社テクノアが提供する「TECHS-S NOA」は、個別受注型の機械・装置製造業向けに開発された生産管理システムをクラウド対応にした製品です。Webブラウザ上で稼働し、部品マスタの事前登録なしでCADやExcelの部品表データを取り込んで運用を開始できます。標準帳票のレイアウトを自由に編集してオリジナル帳票を作成できるほか、仕掛中の原価と完成時の予測原価をリアルタイムに把握できる点も特徴です。
生産革新 Ryu-jin
- 工程別の在庫や負荷を考慮した最適な生産計画の立案が可能
- 製品・仕掛品・原材料在庫を削減し納期遵守率アップ
- ロットトレースによる品質向上や得意先との信頼を強化
株式会社大塚商会が提供する「生産革新 Ryu-jin」は、自動車・電気部品や金属・樹脂・食品などを繰返生産・量産加工する製造業向けの生産管理システムです。内示やフォーキャスト、確定受注などの情報をもとに変化に強い生産計画を立てられ、工程間の仕掛在庫を含めた在庫の適正コントロールと納期遵守を支援します。ロットトレースにも対応しており、品質向上や取引先との信頼強化にもつながります。
FLEXSCHE (株式会社フレクシェ)
- ワンクリックで生産計画を自動立案し、工程を一元管理。
- 工程・設備の可視化で計画精度向上を支援
- 計画変更に柔軟なスケジューリングで対応。
いずみ生産管理システム (有限会社イズミソフトウェア)
- 受注・在庫・工程を一元管理する生産管理機能
- 高速サーバークライアントでネット業務に対応
- 誰でも無料で利用可能なフリーウェアの形式。
まとめ
生産管理システムのシェアは調査方法によって数値が変わるため、比較検討の一つの参考情報として扱うことが大切です。実際の選定では、工程管理や在庫連携の範囲、導入形態、既存システムとの連携可否など、自社の生産方式に照らして確認できる項目をもとに検討しましょう。現場の課題を具体的に整理したうえで比較することが、導入後のミスマッチを防ぐ近道です。気になる製品があれば、資料請求を通じて具体的な機能を確認することをおすすめします。


