業種でRPAがつまずく共通の背景
個別の業種を見る前に、なぜ業種によって合う合わないが生じるのかを押さえましょう。RPAは万能ではなく、得意な業務環境があります。その前提と自社の実態がずれると、懸念が生まれます。
定型業務が少なく非定型が多い
RPAは、手順が決まった反復作業を得意とします。ところが業種によっては、その都度判断が必要な非定型の業務が中心で、自動化できる作業が限られます。定型業務が少ないと、RPAの効果を実感しにくくなります。
導入を検討する際は、自社にどれだけ定型作業があるかを見極めることが大切です。自動化できる業務が乏しければ、費用に見合う効果は得られません。まず対象業務の性質を棚卸しし、RPAが活きる余地があるかを確かめましょう。
独自システムや紙文化の壁
業種特有の専用システムや、紙でのやり取りが多い環境も、RPA導入の壁になります。独自システムは標準の連携に対応しておらず、つなぐのに手間がかかることがあります。紙が多ければ、そのままではロボットが扱えません。
こうした環境では、システムの連携方法や、紙をデータ化する仕組みを別途考える必要があります。自社のシステム環境と業務の進め方を整理し、どこに壁があるかを把握しておきましょう。壁の所在が分かれば、対処の方法も見えてきます。
建設・医療で起きやすい懸念
まず、建設業と医療法人を見ていきます。現場中心の働き方や、専門性の高いシステム環境が、自動化を難しくする場面があります。それぞれの懸念を具体的に取り上げましょう。
建設業:現場中心で自動化対象が絞りにくい
建設業は、現場での作業が中心で、パソコンに向かう定型業務の比重が相対的に小さい傾向があります。現場ごとに進め方が異なることも多く、一律に自動化できる作業を見つけにくいのが実情です。自動化の対象が絞りにくいと、導入の効果も限定的になります。
ただし、本社の経理や書類作成など、定型的な事務作業は存在します。そうした部分に絞れば、RPAを活かせる余地があります。現場ではなく間接部門の業務に目を向け、自動化できる作業を見極めることが有効です。
医療法人:専用システムと厳格な要件
医療法人では、電子カルテなど医療専用のシステムが使われます。こうしたシステムは独自の作りになっていることが多く、RPAとの連携が難しい場合があります。加えて、患者情報という機密性の高いデータを扱うため、セキュリティ要件も厳格です。
導入では、専用システムと連携できるか、セキュリティ要件を満たせるかを慎重に確認する必要があります。データの取り扱いに関する制約も踏まえなければなりません。医療分野での導入経験がある提供元に相談すると、現実的な進め方が見えてきます。
飲食・介護で起きやすい懸念
続いて、飲食店と介護業界を見ていきます。多店舗運営やアナログな業務、独自システムとの連携が課題になりやすい業種です。二つの例から確認しましょう。
飲食店:多店舗運営とアナログ業務の壁
飲食業は、店舗ごとに業務が回り、本部での集計作業が発生します。多店舗を展開する企業では、各店の売上やシフトのデータを集める作業が煩雑です。ただ、店舗の業務には紙や口頭でのやり取りが多く、そのままではRPAが扱えない部分もあります。
効果を出すには、本部でのデータ集計や発注といった定型業務に自動化を絞るのが現実的です。店舗のアナログな業務まで一気に自動化しようとすると、うまくいきません。どの業務がデータ化されているかを見極め、自動化の範囲を定めましょう。
介護:独自システム連携の不具合
介護業界では、介護報酬の請求など専用のシステムが使われます。こうした独自システムは、RPAとの連携で不具合が起きることがあります。画面の作りが特殊だと、ロボットが要素を正しく認識できず、処理が止まる場合があります。
導入前には、自社が使う介護システムとRPAが安定して連携できるかを検証することが欠かせません。実際の画面でロボットが正しく動くかを試しておきましょう。連携に不安が残る場合は、対応実績のある製品や提供元を選ぶことが安心につながります。
ITトレンドでは、最新の製品・サービスを多数比較・掲載しています。まず資料を取り寄せて機能や特徴をさまざまな製品で比較してみてください。忙しい業務時間内でも、各社に問い合わせる手間なく、たった1回の入力(約60秒)でRPAツールの一括資料請求が可能です。浮いた時間で、じっくりと製品を比較検討し進めましょう。
業種の懸念を乗り越える選び方
業種特有の壁は、製品選びと導入の工夫で乗り越えられます。自動化に向く業務の見極めと、業種での実績・サポートの確認について整理しました。導入で後悔しないための視点として役立ててください。
自動化に向く業務を見極める
どの業種でも、まずは自動化に向く定型業務を見極めることが出発点です。現場の非定型業務ではなく、間接部門の集計や書類作成といった、手順が決まった作業に目を向けましょう。対象を正しく絞れば、業種を問わず効果を出せます。
業務を「手順が決まっているか」「データ化されているか」で仕分けると、自動化の候補が見えてきます。紙や口頭のやり取りが多い部分は、先にデータ化を検討する必要があります。無理に全業務を対象にせず、活きる領域から始めましょう。
業種での導入実績とサポートを確認する
業種特有の事情に対応するには、その業種での導入経験がある製品や提供元が頼りになります。同じ業種での実績があれば、専用システムとの連携や、つまずきやすい点への助言を期待できます。導入事例を確認しておきましょう。
あわせて、導入や運用を支えるサポート体制も重要です。独自システムとの連携で不具合が起きたとき、相談できる窓口があるかを確かめましょう。業種での実績とサポートの両面から、安心して任せられる製品を選んでください。
- ■自動化対象の見極め
- 間接部門の定型業務など、手順が決まった作業に絞る
- ■システム連携の検証
- 専用・独自システムと安定して連携できるかを事前に試す
- ■セキュリティ要件
- 機密データを扱う業種では要件を満たせるかを確認
- ■業種での実績
- 自社と同じ業種での導入経験やサポートがあるか
業種特有の業務にも対応しやすいRPAツール
ここでは、独自システムの操作や紙書類の多い業務にも対応しやすいRPAツールを紹介します。自社の業種で使えそうか、資料やトライアルで確かめてみてください。
ロボパットAI
- 現場で作成するために開発されたRPAであり作成が容易
- 導入企業には専属の担当者がつき、個別にサポート
- コスト削減だけでなく、DX推進サービスを提供
「ロボパットAI」は、株式会社FCEが提供する純国産のRPAツールです。高度な画像認識で画面上の操作対象を指定できます。専用の連携機能がない独自システムでも、画面さえ表示できれば操作を自動化しやすい点が特徴で、業種特有のシステムを使う現場でも活用を検討できます。プログラミング不要で現場の担当者だけで作成でき、専任担当の伴走支援も受けられます。まずはトライアルで自社のシステムに合うかを確かめたい企業に向いた製品です。
pengu
- シンプルUIとマンツーマン育成で、現場でもすぐ使えるRPA
- ETLとOCRもセットで複雑なExcel集計作業や紙帳票読取りも自動化
- スモールスタートから部門まるごとまで柔軟な料金プラン
「pengu」は、オムロン株式会社が提供する業務自動化サービスです。データ収集のOCR、データ集計のETL、パソコン作業のRPAを一つにまとめています。紙でのやり取りが多い業種でも、紙書類の読み取りからデータ化、入力までを一貫して自動化できる点が特徴です。シンプルなUIとマンツーマンの教育プログラムで、現場の社員が自ら使いこなせます。紙文化が根強い現場の事務作業を効率化したい企業に向いた製品といえます。
WinActor
- パソコン1台からのミニマムスタートで導入が簡単
- 時間がかかる大量の処理を行いたいときにぴったり
- RPA技術者検定保有者による勉強会を定期的に開催
「WinActor」は、スターティアテクノス株式会社が提供する純国産のRPAツールです。Windows上の幅広いアプリケーションを横断して操作を自動化できます。多くの業種・現場で使われてきた実績があり、間接部門の経理や書類作成といった定型業務の自動化に活用しやすい点が特徴です。日本語のサポート体制が整い、導入時の相談もしやすくなっています。まずは本社の事務作業から自動化を始め、業種に合う使い方を探りたい企業に向いた製品です。
業種別のRPA導入に関するFAQ
業種ごとのRPA導入についてよく寄せられる質問と回答をまとめました。
- Q1:定型業務が少ない業種でも導入できますか?
- 間接部門の集計や書類作成など、手順が決まった業務があれば導入できます。現場の非定型業務ではなく、そうした定型作業に対象を絞ることが大切です。自動化できる作業がどれだけあるかを、まず棚卸ししましょう。
- Q2:専用システムとも連携できますか?
- 連携できる場合もありますが、独自の作りだと不具合が起きることがあります。自社が使うシステムでロボットが正しく動くかを、導入前に検証することが欠かせません。対応実績のある製品を選ぶと安心です。
- Q3:紙が多い業務は自動化できますか?
- 紙のままではRPAは扱えませんが、AI-OCRでデータ化すれば自動化の対象にできます。まずはどの業務がデータ化されているかを見極め、紙が多い部分はデータ化の仕組みとあわせて検討するとよいでしょう。
- Q4:業種に合うか事前に確かめられますか?
- トライアルで自社の業務を試し、同じ業種の導入事例を確認することで見極められます。専用システムとの連携やセキュリティ要件を満たせるかを、実際に検証してから判断することをおすすめします。
まとめ
RPAツールが業種によって合わないのは、建設の現場中心の業務、医療の専用システム、飲食のアナログ業務、介護の独自システム連携といった、業種特有の事情が背景にあります。乗り越える鍵は、自動化に向く定型業務を見極め、専用システムとの連携を事前に検証し、業種での実績とサポートを確認することです。自社の業務環境を整理したうえで、資料請求から自社の業種に合う製品を見比べてみてください。


