RPA運用が失敗する構造
個別の失敗を見る前に、共通する構造を押さえましょう。RPAは作ることに目が向きがちですが、失敗の多くは運用段階で起こります。まずはこの構図を理解しておきましょう。
作って終わりにならない
RPAは、ロボットを作った時点がゴールではありません。連携先のシステムが更新されればロボットは動かなくなり、修正が必要になります。作りっぱなしにすると、いつの間にか止まっているロボットが増えていきます。
安定運用には、ロボットを継続的に保守する前提で体制を組むことが欠かせません。誰が修正を担うか、どう変更を把握するかを決めておく必要があります。導入を運用の始まりと捉え、その後の維持まで見据えて計画しましょう。
保守されないロボットが増える
次々にロボットを作っても、保守が追いつかなければ、動かないロボットや誰も中身を把握していないロボットが積み上がります。こうした状態は、エラーの放置やトラブルの温床になります。数が増えるほど、管理は難しくなります。
これを防ぐには、作る数と保守できる量のバランスを意識することが大切です。むやみに増やさず、重要な業務から着実に自動化し、維持できる範囲に収めましょう。作ることと保つことを、セットで考える姿勢が求められます。
少人数運用の壁
RPA運用の失敗で目立つのが、担当者が足りずに回らなくなるケースです。事務担当ひとりへの負荷集中や、情シス不在によるトラブル対応の遅れは、多くの企業が抱える悩みといえます。対策を見ていきましょう。
事務担当ひとりで開発も運用も抱える
RPAの担当が事務担当ひとりの場合、ロボットの開発から日々の運用、トラブル対応までを一手に引き受けることになります。通常業務と兼務していると手が回らず、ロボットの保守が後回しになりがちです。その人が不在になれば、運用は止まってしまいます。
対策として、プログラミング不要で扱いやすい製品を選び、複数人で担当を分けられる体制をつくることが有効です。作り方や運用の手順を文書化し、代わりが務まる状態にしておきましょう。ひとりに依存しない仕組みが、運用を支えます。
情シス不在でトラブルに対応できない
社内に情報システム部門がないと、ロボットが止まったときの原因究明や修正でつまずきます。専門知識が必要な対応を現場の担当者が抱え込むと、復旧が遅れ、業務に影響が出ます。IT担当がいない企業では特に注意が要ります。
この課題には、扱いやすい製品を選び、提供元のサポートを活用する考え方が有効です。トラブル時に相談できる窓口があるか、修正を支援してもらえるかを、契約前に確認しておきましょう。頼れる先を確保しておくことが、運用の安定につながります。
多拠点・分業での管理問題
複数の拠点や担当者が関わると、運用の難易度は一段上がります。ロボットのバージョン管理や権限のもつれは、規模が大きくなるほど深刻です。二つの問題を取り上げます。
多拠点でロボットのバージョンが混乱する
拠点ごとに同じような業務のロボットを作ると、少しずつ異なるバージョンが乱立します。どれが最新で、どれを使うべきかが分からなくなり、古いロボットが動き続けてトラブルを招くことがあります。管理されないバージョンは、混乱のもとです。
これを防ぐには、ロボットを一元管理し、バージョンを把握できる仕組みが欠かせません。どの拠点でどのロボットが動いているかを可視化できる製品を選びましょう。開発のルールを全社でそろえることも、乱立を防ぐうえで重要です。
作成と管理の分業で権限がもつれる
ロボットを作る人と、運用を管理する人が分かれる体制では、誰にどこまでの権限を与えるかが難しくなります。権限の設定を誤ると、重要なロボットが勝手に変更されたり、逆に必要な人が操作できなかったりします。統制の乱れは、事故につながります。
要となるのは、役割ごとに操作や編集の権限を細かく設定できる機能です。作成、実行、管理といった役割を整理し、必要な範囲に権限を絞りましょう。運用を始める前に、誰が何をできるかの一覧を作っておくと、設定の漏れを防げます。
ITトレンドでは、最新の製品・サービスを多数比較・掲載しています。まず資料を取り寄せて機能や特徴をさまざまな製品で比較してみてください。忙しい業務時間内でも、各社に問い合わせる手間なく、たった1回の入力(約60秒)でRPAツールの一括資料請求が可能です。浮いた時間で、じっくりと製品を比較検討し進めましょう。
運用を安定させる進め方
ここまでの失敗は、進め方の工夫で防げます。運用ルールと管理体制の整備、管理機能とサポートの活用について整理しました。導入計画に組み込んで、安定した運用を目指しましょう。
運用ルールと管理体制を整える
安定運用の土台は、ルールと体制の整備です。誰がロボットを作り、誰が保守し、変更をどう記録するかを決めておきましょう。作成の手順や命名のルールをそろえると、担当が変わっても運用が引き継げます。
あわせて、ロボットの一覧と稼働状況を把握できる状態を保つことが大切です。どのロボットが何のために動いているかが分かれば、保守も統制もしやすくなります。導入初期からルールを定め、体制を整えておくことが後の混乱を防ぎます。
管理機能とサポートを活用する
多数のロボットを扱うなら、稼働を一元管理できる機能が頼りになります。どのロボットが止まっているかをすぐ把握でき、バージョンや権限も管理できる製品を選びましょう。管理機能の充実度は、運用規模が大きいほど効いてきます。
加えて、困ったときに頼れるサポート体制も確保しておきましょう。提供元の支援範囲や問い合わせ窓口を把握し、社内の担当も決めておけば、トラブル時に慌てずに済みます。仕組みと支援の両輪で、続く運用を支えてください。
- ■運用ルール
- 作成・保守の担当、変更の記録、命名や手順のルールを決める
- ■担当の分散
- 扱いやすい製品を選び、複数人で運用できる体制にする
- ■一元管理
- ロボットの稼働状況・バージョンを可視化できる機能を使う
- ■権限とサポート
- 役割ごとの権限を整理し、提供元の支援窓口を確保する
安定した運用を支えるRPAツール
ここでは、少人数でも運用しやすく、管理機能やサポートが整ったRPAツールを紹介します。作った後も無理なく使い続けられるか、資料で確かめてみてください。
WinActor
- パソコン1台からのミニマムスタートで導入が簡単
- 時間がかかる大量の処理を行いたいときにぴったり
- RPA技術者検定保有者による勉強会を定期的に開催
「WinActor」は、スターティアテクノス株式会社が提供する純国産のRPAツールです。管理ツール「WinDirector」と組み合わせれば、複数のロボットの実行や状態を一元的に管理できます。どのロボットが動いているかを把握しやすく、多拠点でのバージョンの乱立や権限のもつれを防ぎたい運用に役立ちます。日本語のサポート体制も整っています。作成から管理までを見据え、統制の効いた運用を目指したい企業に向いた製品といえます。
ロボパットAI
- 現場で作成するために開発されたRPAであり作成が容易
- 導入企業には専属の担当者がつき、個別にサポート
- コスト削減だけでなく、DX推進サービスを提供
「ロボパットAI」は、株式会社FCEが提供する純国産のRPAツールです。プログラミング不要で、現場の担当者だけでロボットを作成・運用できます。導入企業には専任の担当者が付き、無償で伴走支援を受けられるため、情シスがいない企業でもトラブル時に相談しやすい点が特徴です。扱いやすい操作性で複数人に担当を広げやすく、ひとりへの依存を避けやすくなっています。少人数でも無理なく運用を続けたい企業に向いた製品です。
RoboTANGO(ロボタンゴ)
- 録画機能でパソコン上で操作するだけで簡単にRPAの作成が可能
- 低価格なのに1ライセンス複数のPCで利用できる。
- Excel、基幹システム、チャット・メールへの転記に強い
「RoboTANGO(ロボタンゴ)」は、スターティアテクノス株式会社が提供する国産のデスクトップ型RPAツールです。低価格で導入しやすく、導入前後のサポートに力を入れています。録画による分かりやすい操作でロボットを作れるため、担当者を限定せず複数人で運用しやすい点が特徴です。フローティングライセンスにより少人数でも無駄なく使えます。事務担当が中心となって、サポートを受けながら運用を続けたい企業に向いた製品といえます。
RPAツールの運用に関するFAQ
RPAツールの運用についてよく寄せられる質問と回答をまとめました。
- Q1:担当者ひとりでも運用できますか?
- 扱いやすい製品を選び、作り方や運用手順を文書化しておけば、少人数でも運用は可能です。ただしひとりに依存すると不在時に止まるため、複数人で担当を分けられる体制をつくることをおすすめします。
- Q2:情シスがいなくても大丈夫ですか?
- プログラミング不要で扱える製品を選び、提供元のサポートを活用すれば運用できます。トラブル時に相談できる窓口や、修正を支援してもらえる体制があるかを、契約前に確認しておくと安心です。
- Q3:ロボットのバージョン管理はどうすればよいですか?
- ロボットを一元管理し、どの拠点でどのバージョンが動いているかを可視化できる製品を選ぶことが有効です。あわせて、開発のルールを全社でそろえると、似たロボットの乱立を防げます。
- Q4:作成と管理を分ける場合の注意点は?
- 役割ごとに操作や編集の権限を細かく設定できる機能が重要です。作成、実行、管理といった役割を整理し、必要な範囲に権限を絞りましょう。運用開始前に権限の一覧を作っておくと、設定の漏れを防げます。
まとめ
RPAツールの運用失敗は、担当者ひとりで回らない、情シス不在、バージョンの混乱、権限のもつれといった形で表れますが、根っこは体制と管理の仕組みの不足にあります。防ぐ鍵は、作って終わりにせず保守を前提に体制を組み、運用ルールを整え、一元管理の機能とサポートを活用することです。運用のしやすさという観点で製品を見極めましょう。自社の体制を踏まえ、資料請求から複数製品を比較してみてください。


