SCMの選び方が業種によって変わる理由
SCM(サプライチェーン・マネジメント)は、調達から生産、在庫、販売までの流れを一元的に管理する仕組みです。ただし、需要の読みにくさや在庫の扱い方は業種で異なるため、同じ製品が全業種に向くとは限りません。まず業種ごとの違いを把握しましょう。
業種ごとに異なる需給の変動要因
需給を乱す要因は業種によって異なります。製造業では部品の調達リードタイムや設備の稼働状況が、小売業では天候や販促の有無が需要に影響します。食品や医薬品では、使用期限や品質管理の制約が在庫の扱いを左右します。
このため、SCMを比較する際は機能の数よりも、自社の変動要因を計画に反映できるかを確認することが大切です。業種特化型の製品か、設定で業種要件に対応する汎用型の製品かも、比較の段階で整理しておくと判断がスムーズです。
業種別に確認したい機能の整理
業種ごとに優先して確認したい機能を下表にまとめました。自社の業種に近い行を参考に、資料請求やデモの際に質問する項目を整理してください。
| 業種 | 優先して確認したい機能 |
|---|---|
| 製造業 | 生産計画との連動、部品の所要量計算 |
| 卸売業 | 多品目の発注管理、仕入先との納期共有 |
| 小売チェーン | 店舗別の需要予測、自動補充 |
| 食品メーカー | 賞味期限やロットを考慮した在庫引き当て |
| アパレル | シーズン品の需給調整、色やサイズ別の管理 |
| 物流業 | 倉庫や輸配送との情報連携 |
| 医薬品メーカー | 基幹システム連携、ロットと品質情報の管理 |
表の項目はあくまで目安です。同じ業種でも取扱品目や販売チャネル、取引先の数によって必要な機能は変わります。自社の業務フローを書き出し、どの工程で手作業や判断の迷いが生じているかとあわせて確認しましょう。
製造業・医薬品メーカーにあうSCMの条件
製造業と医薬品メーカーは、生産と在庫を計画どおりに結びつける点で共通しています。一方で医薬品は品質管理やロット管理の要件が厳しく、基幹システムとの連携方法がより重要です。それぞれの確認ポイントを見ていきます。
製造業は生産計画との連動を確認する
製造業向けのSCMでは、需要計画から生産計画、部品の調達計画までを連動して立案できるかが重要です。完成品の需要が変わったときに、必要な部品の数量や発注時期が更新される仕組みがあると、計画の手直しを減らせます。
あわせて、自社の生産方式に対応しているかも確かめましょう。見込生産と受注生産では計画の立て方が異なり、設備や人員の能力をどこまで計画に反映できるかも製品によって差があります。デモでは自社に近い条件で計画を作成してもらうと、適合度を判断しやすくなります。
医薬品メーカーは基幹システムとの連携方法を確認する
医薬品メーカーでは、受注や在庫、原価を管理する基幹システムとSCMを連携させる場面があります。連携方式がAPI(システム同士をつなぐ窓口)か、ファイル連携かによって、データの更新頻度や開発の手間が変わります。
また、ロット番号や使用期限、品質検査の状態をSCM側で扱えるかも確認が必要です。品質管理に関わる社内規程やGMP(医薬品の製造管理と品質管理の基準)との関係は、品質保証部門やベンダーとあわせて確認すると安心です。連携に不具合が起きた際の検知方法も聞いておきましょう。
卸売業・小売チェーン・物流業向けSCMの選び方
卸売業と小売チェーンは扱う品目数が多く、仕入先や店舗との情報のやり取りが日常的に発生します。物流業では、荷主や配送先との情報共有が前提です。発注や補充、情報連携をどこまでシステムに任せられるかを、業態ごとに整理します。
卸売業は多品目の発注管理と納期共有を確認する
卸売業では、数千から数万の品目を複数の仕入先から調達するケースがあります。品目ごとに発注点(在庫がこの数量を下回ったら発注する基準)や発注単位を設定し、発注案を自動で作成できるかを確認すると、担当者の作業量を見積もりやすくなります。
仕入先との納期回答をシステム上で共有できるかも重要です。メールや電話でのやり取りが残ると、入荷予定の把握が遅れる場合があります。取引先側に必要な操作や費用、取引先ごとに異なる発注条件を登録できるかもあわせて確認しましょう。
小売チェーンは店舗別の需要予測と補充を確認する
小売チェーンでは、同じ商品でも店舗の立地や客層によって売れ方が異なります。店舗ごとの販売実績をもとに需要を予測し、補充量を算出できるかを確認しましょう。
天候や販促、曜日による変動を予測に反映できるかもポイントです。POS(販売時点情報管理)システムとの連携方法や、データの取り込み頻度によって予測の鮮度が変わります。予測値を担当者が修正できるか、店舗数が増えたときの処理時間もベンダーに確認しておくと安心です。
物流業は倉庫や輸配送システムとの連携範囲を確認する
物流業では、荷主の在庫を預かり、保管や輸配送を担う立場からSCMを活用します。そのため、WMS(倉庫管理システム)やTMS(輸配送管理システム)とどこまで連携できるかが重要です。入出庫の実績や在庫数を荷主と共有できれば、問い合わせ対応の手間を減らせる可能性があります。
複数の荷主を扱う場合は、荷主ごとにデータを分けて管理し、閲覧権限を設定できるかも確認しましょう。荷主側のシステムとの連携方式や費用負担、データ連携が止まった際の連絡手順も、契約前に整理しておくと安心です。
ITトレンドでは、最新の製品・サービスを多数比較・掲載しています。まず資料請求して、さまざまな製品の機能や特徴を比較してみてください。忙しい業務時間内でも、各社に問い合わせる手間なく、たった1回の入力(約60秒)でSCMの一括資料請求が可能です。浮いた時間で、じっくりと製品を比較検討し進めましょう。
食品メーカーとアパレル業でのSCMの在庫管理
食品メーカーとアパレル業は、在庫に「期限」がある点で共通しています。食品は賞味期限、アパレルは販売シーズンが過ぎると在庫の価値が下がりやすくなります。期限を踏まえて需給を調整できるかが確認のポイントです。
食品メーカーは賞味期限を考慮した引き当てを確認する
食品メーカーでは、賞味期限の近いものから出荷する先入れ先出しや、取引先ごとの納品期限ルールに対応する必要があります。SCMが製造日や賞味期限をロット単位で管理し、出荷可能な在庫を判定できるかを確認しましょう。
期限切れが近い在庫を一覧で把握できる機能があると、値引き販売や出荷先の変更などの対応を早めに検討できます。引き当てのルールを自社や取引先の基準にあわせて設定できるか、例外的な出荷を手動で調整できるかも、デモで確かめておくと安心です。
アパレル業はシーズン品の需給調整を確認する
アパレル業では、シーズン前に生産量を決め、販売期間中に追加生産や店舗間の在庫移動で調整する流れがあります。色やサイズ別の在庫を把握し、販売の進み具合に応じて計画を見直せるかを確認しましょう。
前年の同時期の販売実績を参照できるかも重要です。新商品は実績がないため、類似商品のデータを使って需要を見積もれるかが判断材料です。シーズン終了時の残在庫を色やサイズ別に集計できる機能があると、次の計画にも生かせます。
業種にあうSCMを比較する手順
業種ごとの確認ポイントを把握したら、製品のタイプを見きわめて比較を進めます。資料だけでは業務への適合度を判断しにくいため、自社の条件を伝えて情報を集め、デモで確かめる流れが有効です。進め方の例を紹介します。
業種特化型と汎用型のどちらが向くかを見きわめる
SCMには、特定の業種向けに機能を用意した製品と、設定によって幅広い業種に対応する製品があります。業種特化型は、業界特有の帳票や管理項目があらかじめ用意されている場合があり、導入時の設定作業を減らせる可能性があります。
一方、汎用型は複数の事業を持つ企業や、将来の業態変更を見込む企業にとって有力な候補です。どちらが向くかは業務の独自性や予算、社内の運用体制によって異なります。両方のタイプから資料請求し、同じ条件で比べるとよいでしょう。
自社の業種要件を一覧にして資料請求する
比較を始める前に、自社の業種で欠かせない要件を一覧にまとめましょう。例えば食品メーカーなら賞味期限の管理方法、小売チェーンなら店舗数と補充の頻度、物流業なら荷主の数と連携先のシステムといった項目です。
一覧があれば、資料請求後に各社の資料を同じ基準で読み比べられます。資料で判断できない項目は、ベンダーへの質問事項として残しておきましょう。同業種での活用例があるかも、あわせて問い合わせておくと比較の材料が増えます。
同業種に近い条件でデモを依頼する
候補を絞り込んだら、自社に近い条件でデモを依頼します。品目数や拠点数、取引先ごとのルールなど、実際の業務に近いデータで操作を見せてもらいましょう。標準機能で対応できる範囲と、追加設定が必要な範囲を見分けられます。
デモには計画担当者だけでなく、在庫や発注を扱う現場の担当者にも参加してもらうとよいでしょう。画面の見やすさや入力の手間など、日々の運用で気になる点を事前に洗い出せます。
業種ごとの要件と照らし合わせたいSCM製品
計画立案を支える製品から配送の管理に使う製品まで、対象業務の異なるSCM関連の製品を紹介します。自社の業種で優先したい機能と照らし合わせながら比較してください。
PlanNEL
- 創業26年、グローバル400社超の導入実績とノウハウ
- 導入前コンサルティングから運用支援までのワンストップ対応
- 段階的に利用範囲を広げるスモールスタート
ザイオネックス株式会社が提供する「PlanNEL」は、需要予測から在庫・補充・供給・生産計画までをワンストップで扱うSCM計画ソリューションです。製造業のように需要計画と生産計画を連動させたい企業では、比較の候補になるでしょう。特定の業務に絞ったスモールスタートから利用を始め、段階的に範囲を広げられます。導入前のコンサルティングから運用支援まで対応しているため、業種特有の要件をどう反映するかは、導入前の段階で確認するとよいでしょう。提供形態はオンプレミス、クラウド、SaaSです。
TCloud for SCM
- 専用の車載端末など機器不要でスマホとネット環境のみで利用可能
- 長年の経験で培ったノウハウを詰め込んだ配送業務システム
- リアルタイムに位置・作業情報を送信し、配送状況を可視化
都築電気株式会社が提供する「TCloud for SCM」は、スマートデバイスで配送業務を管理するクラウド型の動態管理システムです。動態管理や配送予実管理、作業実績管理に加え、リアルタイムの交通情報とナビゲーションの機能を備えています。専用の車載端末などは不要で、スマートフォンとインターネット環境があれば利用できます。位置情報や作業情報がリアルタイムに送信されて配送状況を可視化できるため、輸配送の進み具合を把握したい物流業などで検討できる製品です。
SAP SCMソリューション (SAPジャパン株式会社)
- 低コストでSCMの導入が可能!
- 生産性や持続性の維持が可能!
- 成功を収めている企業の実例あり!
Freely (株式会社日本コンピュータ開発)
- 経済産業省認定のITツール
- マグネット感覚で作業指示カードを割り当て
- 30日間無料トライアルあり
DigitalTraceabilityService (PwCコンサルティング合同会社)
- ステルスインクで識別コードを印刷し、スマホで流通経路を特定。
- タグと位置情報で偽物特定、ブランド毀損リスク低減
- 肉眼不可の超微細タグ技術、設備変更ほぼ不要。
Coupa Supply Chain Design & Planning (Coupa株式会社)
- 高度なAI・テクノロジーを用いて、より優れた意思決定が行える
- 需要のモデル化で、精度の高い需要シナリオや分析が可能
- ノーコードで素早く作成・展開するソリューションを提供
まとめ
SCMの選び方は、業種ごとに需給を乱す要因や在庫の扱い方が異なるため、重視すべき機能も変わります。製造業は生産計画との連動、卸売業や小売チェーンは発注と補充、食品やアパレルは期限を踏まえた在庫管理が確認のポイントです。物流業は倉庫や輸配送との連携、医薬品メーカーは基幹システム連携とロット管理を確かめましょう。自社の業種にあう製品を見きわめるために、まずは複数の製品を資料請求して比較してみてください。

