SCMと連携する主なシステムと受け渡すデータ
SCMは単独で使うより、社内のほかのシステムとデータをやり取りすることで役割を果たします。どのシステムと何のデータを受け渡すのか、どの方式で連携するのかを最初に整理しておくと、製品の比較や見積もりの依頼を具体的に進められます。
主な連携先とやり取りするデータ
SCMの主な連携先と、やり取りする代表的なデータを下表にまとめました。自社で使っているシステムに当てはめ、連携が必要な範囲を確認しましょう。
| 連携先 | やり取りする代表的なデータ |
|---|---|
| ERP(基幹システム) | 品目や取引先のマスタ、受注、在庫、購買の情報 |
| 生産管理システム | 生産計画、製造指示、生産実績 |
| WMS(倉庫管理システム) | 倉庫ごとの在庫、入荷と出荷の実績 |
| 需要予測ツール | 品目ごとの予測値、予測に使う販売実績 |
連携先が多いほど、データの整合性を保つための設計が重要です。どのシステムの値を正とするかを、データの種類ごとに決めておきましょう。
連携方式の種類と特徴
SCMの連携方式には、主にAPI連携、ファイル連携、連携ツールの利用があります。API連携はシステム同士が直接データをやり取りする方式で、更新の間隔を短くしやすい点が特徴です。ただし、双方のシステムにAPIが用意されている必要があります。
ファイル連携は、CSVなどのファイルを出力して取り込む方式です。既存システムの改修を抑えやすい一方、取り込みの間隔によって情報が古くなる場合があります。連携ツールは、複数のシステム間のデータ変換や受け渡しを仲介するソフトウェアで、連携先が多い企業で選択肢に入ります。
ERPや生産管理システムとSCMをつなぐ
ERPと生産管理システムは、SCMの計画に必要な基礎データを持つシステムです。連携が不十分だと、計画に使う情報が古くなったり、手作業での転記が残ったりする可能性があります。連携の内容と確認方法を見ていきましょう。
ERPとマスタや受注・在庫を同期する
ERPとの連携では、品目や取引先のマスタ、受注や在庫の情報をSCMに取り込み、SCMで作成した発注や計画をERPに戻す流れが考えられます。マスタが両方のシステムでずれていると、計画の結果が正しく反映されない場合があります。
連携できるERPの製品名や、標準の連携機能が用意されているかを確認しましょう。標準連携がない場合は、APIやファイルでの連携開発が必要です。データの更新間隔を業務の要求にあわせて設定できるかも確認しておくと安心です。
生産管理システムと計画や実績をやり取りする
製造業では、SCMで立てた需給計画を生産管理システムに渡し、生産管理システムから生産の実績を受け取る連携が考えられます。どちらのシステムで生産計画を立てるかによって、受け渡すデータの内容が変わります。
連携の設計では、SCMと生産管理システムの役割分担を先に決めましょう。両方で計画を立てると、どちらが最新かわからなくなる可能性があります。計画の確定や変更をどのタイミングで連携するかも、業務の流れにあわせて決めておくことが大切です。
既存システムとの連携実績を確認する
自社のERPや生産管理システムとの連携に、ベンダーが対応した実績があるかを確認しましょう。連携の経験があれば、注意点や必要な工数をあらかじめ把握できている場合があり、見積もりの精度にも影響します。
実績を確認する際は、連携したシステムの製品名やバージョン、連携方式、データの種類まで具体的に聞くことが大切です。同じ製品でもバージョンや設定によって連携の方法が異なる場合があるため、自社の環境にあわせた確認を依頼しましょう。
WMSや需要予測ツールとSCMの連携
倉庫の在庫を管理するWMSや、需要を予測する専門のツールとの連携は、計画の精度に直結します。どの情報をどの間隔で受け取るかによって、計画に反映できる情報の鮮度が変わるため、連携の内容を具体的に確認しましょう。
WMSと在庫や入出庫の実績をつなぐ
WMSとの連携では、倉庫ごとの在庫数や入荷と出荷の実績をSCMに取り込みます。SCMで作成した出荷指示や補充の計画をWMSに渡す連携が必要な場合もあります。
WMSの在庫とSCMの在庫が一致していないと、計画の前提がずれてしまいます。データを取り込む間隔と、取り込みに失敗した場合の通知方法を確認しましょう。外部の倉庫会社のWMSと連携する場合は、倉庫会社の対応範囲や費用もあわせて確認が必要です。
需要予測ツールの予測値を取り込む
SCMに予測機能があっても、専門の需要予測ツールを併用する企業もあります。その場合は、ツールが出力した予測値をSCMの需要計画に取り込めるかを確認しましょう。品目の単位や期間の区切りがそろっていないと、取り込み時に変換が必要です。
予測ツールに販売実績を渡す連携も必要です。予測値と実績の差を確認し、予測の手法を見直す流れまで設計できると、計画の改善につなげやすくなります。どちらのシステムの予測を採用するかの判断基準も決めておきましょう。
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API連携とCSV出力の柔軟さを見きわめる
連携のしやすさは、資料の「API対応」「CSV対応」という表記だけでは判断できません。APIで扱えるデータの範囲や、CSVで出力できる項目の自由度は製品によって異なります。比較の際に確認したい具体的な項目を紹介します。
APIの公開範囲と仕様書の確認
API連携のしやすさを判断するには、APIで取得や登録ができるデータの範囲を確認しましょう。在庫は取得できても計画は登録できないなど、データの種類によって対応が異なる場合があります。
APIの仕様書が公開されているか、開発用の検証環境が用意されているかも重要です。一定時間あたりの呼び出し回数に上限がある場合は、連携するデータ量に対して十分かを確認しましょう。APIの仕様変更が予定される際の通知方法も聞いておくと安心です。
CSV出力の項目と形式の自由度
CSV出力が柔軟かどうかは、出力する項目や並び順を利用者が選べるか、文字コードや日付の形式を変更できるかで判断できます。連携先のシステムが求める形式にあわせられれば、変換の手間を減らせます。
CSVの取り込みについても、項目の対応付けを画面で設定できるか、エラーの行だけを確認して修正できるかを確認しましょう。出力や取り込みを決まった時刻に自動で実行できる機能があると、手作業での操作を減らせます。
連携ツールの活用可否
連携するシステムが多い場合は、データ連携ツールを使う方法もあります。データ連携ツールは、異なるシステムの間でデータの形式を変換し、受け渡しを自動化するソフトウェアです。
SCMがどの連携ツールに対応しているか、接続用の部品が用意されているかを確認しましょう。連携ツールを使うと、システムごとに個別の連携開発をする場合と比べて、変更時の対応範囲を整理しやすくなる場合があります。ただし、ツールの利用料や運用の担当者も必要です。
SCMの連携開発を進める体制と運用
連携開発は、SCMのベンダーだけでなく、連携先のシステムの提供会社や社内の担当者が関わる作業です。役割分担があいまいだと、開発の遅れや稼働後の対応の滞りにつながる場合があります。体制と運用の確認点を整理します。
連携開発の担い手と役割分担
連携開発は、SCMのベンダーが担う場合、連携先システムの提供会社が担う場合、外部の開発会社に依頼する場合があります。誰がどの部分を開発し、費用をどう分担するかを契約前に明確にしましょう。
社内では、データの意味や業務の流れを説明できる担当者を決めておくことが大切です。特定の担当者だけに知識が集まらないよう、連携の仕様を文書にまとめ、複数人で共有しておきましょう。仕様の変更履歴を残しておくと、後の改修にも役立ちます。
連携テストと稼働後の監視
連携の稼働前には、通常のデータだけでなく、数量がゼロのデータや大量のデータなど、例外的な条件でもテストしましょう。データが欠けたり重複したりしないかを確認することが重要です。
稼働後は、連携の失敗を検知して担当者に通知できるか、ログで原因を確認できるか、失敗した処理を再実行できるかを確認しておきましょう。連携の不具合はSCMと連携先の双方に原因がある可能性があるため、問い合わせ先と対応の手順を整理しておくと安心です。
他システムとの連携を前提に検討したいSCM製品
需要予測や生産計画など、ERPや生産管理システムとデータを受け渡す場面のある製品を紹介します。連携方式や対応範囲は製品ごとに異なるため、資料やデモで確認してください。
PlanNEL
- 創業26年、グローバル400社超の導入実績とノウハウ
- 導入前コンサルティングから運用支援までのワンストップ対応
- 段階的に利用範囲を広げるスモールスタート
ザイオネックス株式会社が提供する「PlanNEL」は、需要予測から在庫・補充・供給・生産計画までをワンストップで提供するSCM計画ソリューションです。需要予測と生産計画、在庫管理の機能を一つの仕組みで扱えるため、需要予測ツールを別に用意するか、SCM側の機能を使うかを比較する際の候補といえます。提供形態はオンプレミス、クラウド、SaaSです。導入前のコンサルティングから運用支援までワンストップで対応しています。ERPやWMSとの連携方式や開発の範囲は、導入前の段階で相談するとよいでしょう。
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まとめ
SCMの連携性を判断するには、ERPや生産管理システム、WMS、需要予測ツールとどのデータをどの方式で受け渡すかを整理することが出発点です。標準連携の有無や連携実績、APIの公開範囲、CSV出力の柔軟さを比べ、連携開発の体制と稼働後の監視まで確認しましょう。自社のシステム環境にあう製品を見つけるために、複数のSCMを資料請求して連携の条件を比較してみてください。

