SCMの運用体制は人数と管理範囲で考える
SCMを導入しても、運用する人や管理の範囲にあっていなければ定着しにくくなります。体制を考える際は、日々の計画業務を誰が担うかと、どこまでの拠点や会社を対象にするかの2点を整理すると、必要な機能が見えてきます。
担当者が少ない企業で起こりやすい負担
生産管理や在庫管理の担当者が1人から2人の企業では、計画の作成とデータの入力、システムの保守を同じ人が担うケースがあります。この場合、システムの設定が複雑だったり、手入力の項目が多かったりすると、日々の業務が圧迫される可能性があります。
また、担当者が休んだときに計画が止まるおそれもあります。少人数で運用する場合は、作業量を減らせるかに加えて、ほかの社員が操作を引き継げるかもSCM選びの判断材料にしましょう。
多拠点やグループ企業で求められる管理範囲
工場や倉庫、営業所が複数ある企業では、拠点ごとに在庫や需給の情報が分散しがちです。本社で全体の在庫を把握できないと、ある拠点では欠品し、別の拠点では在庫が余るといった偏りが生じる場合があります。
グループ会社まで管理範囲を広げる場合は、会社ごとに異なる基幹システムや品目コードをどう扱うかも課題です。対象範囲が広いほど、データの統合方法や、権限をどこまで細かく設定できるかが重要です。品目数や拠点数が今後増える見込みがあれば、将来の範囲も含めて対応できるかを確かめておきましょう。
少人数や情シス不在でもSCMを運用するポイント
専任のシステム担当者がいない企業でも、製品の提供形態やサポートの範囲を選べば、SCMを運用できる可能性があります。保守の手間、日々の操作の負担、導入時の支援の3つの観点で確認しましょう。
クラウド型で保守の負担を減らす
情シス(情報システム部門)がいない企業では、サーバの管理やソフトウェアの更新を自社で行う負担が課題です。クラウド型のSCMであれば、サーバの運用やバージョンアップを提供会社が担う契約が用意されている場合があります。
ただし、どこまでを提供会社が担い、どこからが自社の作業かは製品や契約によって異なります。ユーザーの追加や権限の設定、データのバックアップの扱いなど、自社に残る作業を契約前に一覧で確認しておきましょう。運用開始後の想定外の負担を防ぎやすくなります。
計画作成と画面操作の手間を確かめる
担当者が1人でも回せるかは、日々の計画作成にかかる時間で判断できます。需要予測や発注案の作成をシステムが自動で行い、担当者は結果を確認して修正するだけで済む仕組みがあると、作業時間を短縮できる可能性があります。
画面の見やすさも重要です。在庫の過不足が色分けで表示されるなど、確認すべき箇所がひと目でわかるかを試用やデモで確かめましょう。マニュアルが日本語で用意されているかも、少人数運用では大切な確認項目です。
導入支援とサポートの範囲を確認する
社内にシステムの知識を持つ人が少ない場合は、導入時にどこまで支援を受けられるかが重要です。初期設定の代行、マスタ(品目や取引先などの基本情報)登録の支援、操作研修など、提供される内容は製品によって異なります。
導入後の問い合わせ窓口の受付時間や、対応方法がメールか電話かも確認しておきましょう。支援が有償の場合は費用もあわせて見積もると、総額で比較できます。社内でも操作手順を文書にまとめ、担当者以外が参照できる状態にしておくと引き継ぎが円滑です。
本社で多拠点の在庫と需給を一元管理する
多拠点の情報を本社でまとめて管理するには、データの形式をそろえることと、拠点ごとの役割を決めることが欠かせません。SCMの機能だけに頼らず、運用ルールとあわせて整備することで、一元管理の効果が期待できます。
拠点ごとのマスタとコード体系を統一する
本社で在庫や需給を一元管理するには、品目や拠点、取引先のコード体系をそろえる必要があります。拠点ごとに同じ部品を別のコードで管理していると、SCMに取り込んでも同じ品目として集計できない場合があります。
導入前にマスタを整理し、コードの付け方のルールを決めておきましょう。SCMにコードの変換表を登録できる機能があるかも確認すると、既存システムを残したまま統合する際の選択肢が広がります。
本社と拠点の権限範囲を分ける
一元管理といっても、あらゆる操作を本社だけで行う必要はありません。全体の需給計画は本社が立て、拠点は自拠点の在庫の入力や補充依頼を担うなど、役割を分けると運用の負担を分散できます。
SCMで役割ごとに操作できる範囲や閲覧できるデータを設定できるかを確認しましょう。誤って他拠点の計画を変更するといった意図しない操作を防ぐためにも、権限の細かさと操作履歴の記録機能は重要な確認項目です。拠点の担当者が交代した際に、権限を速やかに付け替えられるかも見ておくと安心です。
拠点間の在庫移動を計画に組み込む
多拠点を一元管理する利点の一つは、拠点間で在庫を融通できることです。ある倉庫で在庫が余り、別の倉庫で不足している場合、新たに発注する前に拠点間の移動で対応できる可能性があります。
SCMが拠点間の移動を補充の選択肢として提案できるか、移動にかかる日数や費用を計画に反映できるかを確認しましょう。移動の指示を誰が出し、誰が実行を確認するのかもあわせて決めておくと、指示の行き違いを防ぎやすくなります。
ITトレンドでは、最新の製品・サービスを多数比較・掲載しています。まず資料請求して、さまざまな製品の機能や特徴を比較してみてください。忙しい業務時間内でも、各社に問い合わせる手間なく、たった1回の入力(約60秒)でSCMの一括資料請求が可能です。浮いた時間で、じっくりと製品を比較検討し進めましょう。
グループ会社の在庫と生産・調達計画を統合する
グループ会社まで含めて計画を統合すると、会社をまたいだ在庫の融通や調達の集約を検討しやすくなります。一方で、会社ごとにシステムや業務ルールが異なるため、データ連携の方法と更新のルールを先に決めておくことが重要です。
グループ間のデータ連携の方式
グループ各社の在庫や生産計画をSCMに集める方法には、基幹システムとのAPI連携や、定期的なファイル取り込みがあります。APIはシステム同士を自動でつなぐ仕組みで、更新の頻度を高めやすい一方、各社のシステムに開発が必要な場合があります。
ファイル連携は導入の負担を抑えやすい反面、取り込みのタイミングによって情報が古くなる可能性があります。各社のシステム環境と、どの程度の鮮度で情報を共有したいかを踏まえて方式を選びましょう。
統合計画の更新頻度と承認ルール
グループ全体の計画を統合する場合、各社が計画を更新するタイミングがそろっていないと、集計結果が実際の状況とずれる場合があります。週次や月次など、計画を締める日程をグループで決めておきましょう。
あわせて、統合した計画を誰が承認し、各社にどう展開するかも決めておく必要があります。SCMに承認の流れを設定できる機能や、計画の変更履歴を残す機能があると、会社間での確認作業を進めやすくなります。担当者の異動に備え、ルールは文書で共有しておくと安心です。
生産管理と営業が分業しても使えるSCMの条件
生産管理部門と営業部門が別々に業務を担う企業では、販売計画と生産計画の受け渡しがSCM運用の要です。部門ごとに必要な情報や操作は異なるため、それぞれの業務にあった画面と、情報を受け渡すルールの両方を整えましょう。
部門別に画面と入力項目を設定できるか
営業部門は販売見込みや受注状況を入力し、生産管理部門は生産計画や在庫を確認するなど、部門ごとに使う機能は異なります。全員が同じ画面を使う設計だと、不要な項目が多く入力の手間が増える場合があります。
部門や役職ごとに表示する画面や入力項目を設定できるかを確認しましょう。営業担当者が慣れた表計算ソフトの形式で販売見込みを入力できるなど、入力の負担を抑える工夫があると、情報の入力が滞りにくくなります。入力期限を過ぎた項目を通知できるかも確認しておきましょう。
販売計画と生産計画の受け渡しルールを決められるか
分業体制では、営業部門の販売計画が生産計画に反映されるまでの流れを明確にすることが重要です。販売計画の締め切り日や、急な受注変更の連絡方法が決まっていないと、生産側の対応が遅れる可能性があります。
SCMで販売計画の確定状況を可視化し、変更があった際に関係者へ通知できるかを確認しましょう。会議で使う資料をSCMの画面で共有できれば、部門間で同じ数字を見ながら調整を進められます。変更の理由をコメントとして残せる機能があると、後から経緯を確認する際にも役立ちます。
運用体制の設計とあわせて検討したいSCM製品
少人数での運用から多拠点・グループ全体の管理まで、運用体制を考える際の比較候補となる製品を集めました。導入支援の範囲や、段階的に利用を広げられるかもあわせて確認してください。
PlanNEL
- 創業26年、グローバル400社超の導入実績とノウハウ
- 導入前コンサルティングから運用支援までのワンストップ対応
- 段階的に利用範囲を広げるスモールスタート
ザイオネックス株式会社が提供する「PlanNEL」は、需要予測から在庫・補充・供給・生産計画までをワンストップで提供するSCM計画ソリューションです。特定の業務に絞ってスモールスタートし、運用が定着してからサプライチェーン全体へ利用範囲を広げる進め方が可能です。導入前のコンサルティングから運用支援までワンストップで対応しています。サポート窓口は電話やチャット、メールなどで、平日9時から17時まで受け付けています。運用を担う人数が限られる場合は、どこまでの支援を受けられるかを事前に確認するとよいでしょう。
SAP SCMソリューション (SAPジャパン株式会社)
- 低コストでSCMの導入が可能!
- 生産性や持続性の維持が可能!
- 成功を収めている企業の実例あり!
Coupa Supply Chain Design & Planning (Coupa株式会社)
- 高度なAI・テクノロジーを用いて、より優れた意思決定が行える
- 需要のモデル化で、精度の高い需要シナリオや分析が可能
- ノーコードで素早く作成・展開するソリューションを提供
Connecting One® Cloud (大日本印刷株式会社)
- 販促物の発注・配送・在庫管理を一元管理可能。
- 在庫状況をリアルタイムで確認でき欠品防止を支援。
- 蓄積データの分析により発注計画や制作数検討を支援。
まとめ
SCMの運用体制は、担当者の人数と管理する範囲によって適した形が変わります。少人数や情シス不在の企業は、クラウド型の提供形態と導入支援の範囲を確認しましょう。多拠点やグループ会社ではコード体系の統一と権限設定、部門分業の企業では画面設定と計画の受け渡しルールが確認のポイントです。自社の体制にあう製品を見つけるために、複数の製品を資料請求して運用面まで比較してみてください。

