SCMを導入しても成果が出にくい背景
SCMの導入で成果が出ない状況は、導入の進め方そのものに原因がある場合があります。個別の問題を確認する前に、導入の目的や成果の判定基準が明確だったかを振り返ることで、見直しの方向性が定まりやすくなります。
システムの稼働が目的になってしまう
SCMの導入プロジェクトでは、システムを予定どおり稼働させることに注力するあまり、業務の進め方の見直しが後回しになる場合があります。従来の業務の流れをそのままシステムに置き換えると、手作業や確認の手間が残りやすくなります。
導入の目的が、在庫の削減なのか、計画作業の効率化なのか、情報共有の改善なのかを改めて確認しましょう。目的に照らして業務の流れを見直すと、システムの使い方の改善点が見えてきます。
成果の判定基準を決めないまま進める
導入前に成果の判定基準を決めていないと、導入後に効果が出ているかを判断できません。在庫金額や欠品率、計画作成の時間など、導入前の数値が記録されていない場合、改善の有無を説明するのが難しくなります。
判定基準がない場合は、今からでも指標を決めて記録を始めましょう。数か月分のデータがそろえば、変化の傾向を確認できます。指標は経営層や現場と共有し、定期的に確認する場を設けることが大切です。
SCM導入後も属人化が解消しない理由
SCMを導入すれば属人化が解消されると期待されることがありますが、システムを入れただけでは担当者の経験に頼る状態が続く場合があります。属人化が残る理由を3つの観点から確認しましょう。
判断の基準がシステムに反映されていない
熟練した担当者は、取引先の事情や過去の経験をもとに、発注量や在庫の水準を調整していることがあります。こうした判断の基準がSCMの設定値に反映されていないと、システムの計画案を担当者が毎回修正する状態が続きます。
属人化を解消するには、担当者がどのような理由で計画を修正しているかを聞き取り、設定値やルールとして登録することが大切です。修正の理由をSCM上に記録できれば、判断の基準を後から整理する材料として活用できます。
操作できる人が限られている
SCMの操作や設定の変更を特定の担当者だけが行っていると、その担当者が不在の際に業務が止まる可能性があります。導入時の研修を一部の担当者だけが受けた場合に、こうした状態が生じやすくなります。
複数の担当者が操作できるように権限を設定し、操作手順を文書にまとめて共有しましょう。定期的に担当を交代して操作する機会を設けると、知識が特定の人に集まりにくくなります。ベンダーの研修やマニュアルも活用するとよいでしょう。
例外対応が個人の経験に頼っている
急な受注の変更や仕入先の納期遅れなど、例外的な状況への対応は、担当者の経験に頼りやすい業務です。対応の方法が記録されていないと、同じ状況が起きた際に別の担当者が判断に迷う場合があります。
例外対応の事例を記録し、対応の手順や判断の目安をナレッジとして共有しましょう。SCMのコメント機能や社内の共有フォルダを使い、誰が見ても経緯がわかる状態にしておくことが大切です。対応が定型化したものは、SCMの設定やルールに反映していきましょう。
Excelや在庫台帳からの移行で失敗する原因
Excelや個別の在庫台帳からSCMへ移行する段階は、つまずきが生じやすい工程です。データの準備や計算ルールの確認、旧来の方法との並行運用の設計が不十分だと、移行後に混乱が生じる場合があります。主な原因を整理します。
データの形式と品質のばらつき
Excelや在庫台帳は、担当者や拠点ごとに形式が異なる場合があります。品目コードの付け方や単位、日付の書き方がそろっていないと、SCMにデータを取り込む際にエラーが発生したり、同じ品目が別々に登録されたりする可能性があります。
移行前に、データの形式を統一し、重複や欠損がないかを確認しましょう。データの整備には想定以上の時間がかかる場合があるため、移行計画の中で担当と期間を確保しておくことが大切です。
Excel独自の計算ルールの見落とし
長く使われてきたExcelの需給計画には、担当者が独自に組み込んだ計算式や補正のルールが含まれていることがあります。こうしたルールを確認しないまま移行すると、SCMの計算結果が従来の計画と異なり、現場が結果を信頼できなくなる場合があります。
移行前に、Excelの計算式や補正の理由を洗い出し、SCMの設定で再現できるかを確認しましょう。再現できないルールは、必要性を見直したうえで運用ルールとして残すか判断します。
並行運用期間の設計不足
移行の際にExcelとSCMを並行して使う期間を設けないと、SCMの結果に問題があった場合に比較や修正ができません。反対に、並行運用の期間が長すぎると、二重入力の負担が続き、現場の負担が大きくなります。
並行運用の期間と、SCMに一本化する判断基準を事前に決めておきましょう。例えば、一定期間の計画結果を比較し、差が許容範囲に収まった時点で切り替えるといった基準です。切り替え後の問い合わせ窓口も用意しておくと安心です。
ITトレンドでは、最新の製品・サービスを多数比較・掲載しています。まず資料請求して、さまざまな製品の機能や特徴を比較してみてください。忙しい業務時間内でも、各社に問い合わせる手間なく、たった1回の入力(約60秒)でSCMの一括資料請求が可能です。浮いた時間で、じっくりと製品を比較検討し進めましょう。
SCM導入後も欠品や過剰在庫が減らない原因
欠品や過剰在庫の削減を目的にSCMを導入しても、状況が改善しない場合があります。原因はシステムだけでなく、入力するデータや設定値の運用、部門間の連携にもあります。複数の要因を順に確認しましょう。
需要予測の前提となるデータの不足
SCMの需要予測は、過去の販売実績などのデータをもとに計算されます。実績の期間が短い、欠品で売れなかった分が実績に反映されていない、販促の影響が区別されていないといった場合、予測の精度が下がる可能性があります。
予測に使うデータの期間と内容を確認し、必要に応じて補正しましょう。新商品のように実績がない品目は、類似商品のデータを使うなどの対応が必要です。予測と実績の差を定期的に確認し、データの不足を見つけることが大切です。
見直されないまま残る在庫基準の設定値
安全在庫や発注点、リードタイムなどの設定値は、導入時に登録したまま見直されていない場合があります。需要の変化や仕入先の変更があっても設定値が古いままだと、計画が実際の状況とずれ、欠品や過剰在庫の原因となります。
設定値を見直す担当と頻度を決め、定期的に確認する運用をつくりましょう。予実の差が大きい品目から優先して見直すと、作業量を抑えながら効果を高められます。見直しの履歴を残しておくと、変更の効果も確認できます。
部門間の情報共有の遅れ
営業部門の受注見込みや販促の予定、調達部門が把握している納期の変更などが計画の担当者に届くのが遅れると、SCMの計画に反映されません。システムの機能が十分でも、情報の共有が遅れれば計画の精度は下がります。
部門ごとにSCMへ情報を入力する担当と期限を決め、入力の状況を確認できるようにしましょう。定期的に部門をまたいで計画を確認する会議を設けると、情報の抜けや食い違いに早く気づけます。
繁忙期にSCMの処理が遅くなるケースと備え
繁忙期には、受注の変更や計画の再作成が増え、SCMの処理に時間がかかる場合があります。処理の遅れは計画の確定を遅らせ、発注や出荷にも影響します。遅れが起こる要因と、事前に備えておきたい運用を整理します。
処理が遅くなる主な要因
処理の遅れには、データ量の増加、計画の再計算の集中、連携先システムからのデータ取り込みの遅延など、複数の要因が関係します。クラウド型の場合は、提供会社側のサーバの状況が影響する可能性もあります。
原因を特定するには、どの処理にどれだけ時間がかかっているかを記録することが大切です。処理の時間帯や対象データの量とあわせてベンダーに伝えると、原因の切り分けを進めやすくなります。自社の設定やデータの持ち方に改善の余地がある場合もあります。
処理の遅れに備える運用
繁忙期の前に、再計算の時間帯を分散させる、変更のあった品目だけを再計算するなどの運用ルールを決めておきましょう。処理が遅れた場合に、どの計画を優先して確定させるかを決めておくことも有効です。
処理能力の追加が可能か、その費用や手続きをベンダーに確認しておくと、必要な場合に速やかに対応できます。繁忙期の後には処理の状況を振り返り、次の繁忙期に向けた改善点を整理しましょう。
導入後の見直しに向けて検討したいSCM製品
需給計画や在庫の把握、生産スケジュールの管理など、導入後に成果が出ない原因の見直しに関わる製品を紹介します。現在の運用で残っている課題と照らし合わせて比較してください。
PlanNEL
- 創業26年、グローバル400社超の導入実績とノウハウ
- 導入前コンサルティングから運用支援までのワンストップ対応
- 段階的に利用範囲を広げるスモールスタート
ザイオネックス株式会社が提供する「PlanNEL」は、需要予測から在庫・補充・供給・生産計画までをワンストップで提供するSCM計画ソリューションです。導入前のコンサルティングから運用支援まで対応しており、導入後の運用面の支援内容も確認しておくとよいでしょう。特定の業務に絞ったスモールスタートから、利用範囲を段階的に広げられます。欠品や過剰在庫が残る業務から優先して見直す使い方も検討できます。提供形態はオンプレミス、クラウド、SaaSで、四半期ごとに大型アップデートを実施しています。
Coupa Supply Chain Design & Planning (Coupa株式会社)
- 高度なAI・テクノロジーを用いて、より優れた意思決定が行える
- 需要のモデル化で、精度の高い需要シナリオや分析が可能
- ノーコードで素早く作成・展開するソリューションを提供
Connecting One® Cloud (大日本印刷株式会社)
- 販促物の発注・配送・在庫管理を一元管理可能。
- 在庫状況をリアルタイムで確認でき欠品防止を支援。
- 蓄積データの分析により発注計画や制作数検討を支援。
Freely (株式会社日本コンピュータ開発)
- 経済産業省認定のITツール
- マグネット感覚で作業指示カードを割り当て
- 30日間無料トライアルあり
まとめ
SCMを導入しても成果が出ない場合、原因はシステムだけとは限りません。データの品質や設定値の運用、業務ルール、部門間の情報共有など、複数の要因が重なっていることがあります。属人化やExcelからの移行、欠品や過剰在庫、繁忙期の処理の遅れなど、つまずいている段階を切り分けて見直しましょう。運用の見直しで解消しにくい場合は、機能や連携の条件が自社にあう製品を資料請求して比較することも選択肢です。

