SCMの見積もりで見落としやすい費用
SCMの見積書には、製品の利用料や導入支援費が記載されますが、自社で負担する作業や将来の追加費用までは含まれていないことがあります。見積もりの範囲を把握し、範囲外の費用を洗い出すことから始めましょう。
見積もりの範囲を確認する理由
見積書に記載される金額は、ベンダーが提供する製品やサービスの費用です。自社の担当者がマスタを整備する時間や、既存システムの改修費用、連携先のシステム提供会社に支払う費用は、SCMのベンダーの見積もりに含まれない場合があります。
見積もりを受け取ったら、どの作業がベンダーの範囲で、どの作業が自社や第三者の範囲かを確認しましょう。範囲を一覧にまとめると、範囲外の費用を見積もる対象が明確になり、予算の抜けを防ぎやすくなります。
見積もり外になりやすい費用の例
SCMの導入で、ベンダーの見積もりとは別に発生しやすい費用の例を整理しました。自社の状況に当てはまるものがないか確認してください。
- ■マスタ整備の社内工数
- 品目や取引先、在庫基準などの情報を整理し、登録する作業にかかる時間
- ■既存システム側の改修費
- 基幹システムや倉庫管理システムをSCMとつなぐために必要な改修の費用
- ■教育と並行運用の工数
- 操作研修の受講や、旧来の方法とSCMを並行して使う期間の作業時間
- ■将来の追加料金
- 品目や拠点、ユーザーの増加、オプション機能の追加に伴う費用
社内の工数は金額に表れにくいものの、担当者の時間を使う以上はコストです。概算で人件費に換算しておくと、総額の比較に含めやすくなります。
品目数・拠点数・ユーザー数による追加料金
SCMの料金は、利用規模に応じて変わる体系が見られます。導入時の規模では予算内でも、事業の拡大に伴って費用が増える可能性があります。どの単位で料金が変わるのかを、契約前に確認しておきましょう。
従量課金の単位と段階
SCMの料金体系には、ユーザー数に応じて料金が増えるもの、管理する品目数や拠点数で料金の段階が分かれるもの、処理するデータ量で料金が変わるものなどがあります。どの単位で課金されるかは製品によって異なります。
段階的な料金体系では、一定の数を超えると上位の料金帯に移る仕組みが用いられる場合があります。現在の規模が料金帯の境目に近い場合は、少しの増加で費用が大きく変わる可能性があるため、境目の数値を確認しておくことが大切です。
アカウントや拠点を追加するときの料金
導入後にユーザーのアカウントや拠点を追加する場合、その費用が月額料金に上乗せされるのか、別途の初期費用がかかるのかを確認しましょう。拠点の追加では、マスタの登録や設定作業の支援費が発生する場合もあります。
閲覧だけのユーザーに安価な料金が設定されている製品もあるため、利用者の役割ごとに必要なアカウントの種類を整理すると、費用を抑えられる可能性があります。追加の手続きにかかる期間も、事業計画にあわせて確認しておくと安心です。
マスタ整備や連携開発などの隠れコスト
隠れコストとは、製品の料金表には表れないものの、導入や運用に伴って発生する費用です。SCMでは、データの準備や既存システムとの連携、社員の教育にかかる費用が代表的です。それぞれの見積もり方を整理します。
マスタ整備にかかる社内工数
SCMで計画を立てるには、品目や取引先、拠点、在庫基準などのマスタを整備する必要があります。既存のデータが部門や拠点ごとに異なる形式で管理されている場合、統一する作業に想定以上の時間がかかる可能性があります。
工数を見積もる際は、対象の品目数と、確認や修正が必要なデータの割合を把握しましょう。サンプルの品目で整備作業を試し、1品目あたりの時間を計ると、全体の工数を見積もりやすくなります。ベンダーにデータ整備の支援を依頼する場合の費用も比較しておきましょう。
既存システムとの連携開発費
SCMを基幹システムや倉庫管理システムと連携させる場合、連携の開発費がかかることがあります。標準の連携機能があれば費用を抑えられる場合がありますが、自社のシステムが対象外だと個別の開発が必要です。
連携開発では、SCM側だけでなく連携先のシステム側にも改修が必要な場合があります。それぞれの提供会社から見積もりを取り、費用の分担を確認しましょう。稼働後の連携の保守費用や、どちらかのシステムを更新した際の改修費も見込んでおくことが大切です。
教育と定着支援の費用
SCMを現場に定着させるには、操作研修や運用ルールの整備が必要です。ベンダーの研修が有償の場合は、受講する人数や回数に応じて費用がかかります。社内で研修を行う場合も、講師役の担当者や受講者の時間がコストとして発生します。
導入直後は問い合わせ対応や操作の補助にも時間がかかります。定着支援のサービスを利用するか、社内で対応するかを検討し、どちらの場合も費用や工数を見積もっておきましょう。
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SCMの3年間の総コストを試算する
SCMの費用を比較する際は、初年度だけでなく、数年間の利用を前提にした総コストで比べることが大切です。初期費用が安くても月額費用が高い製品や、その逆の製品があるためです。3年間を例に、試算の進め方を紹介します。
総コストに含める項目
3年間の総コストには、初期費用、3年分の利用料、オプション機能の費用、連携開発費と保守費、導入支援や研修の費用、社内工数の換算額を含めましょう。規模の拡大を見込む場合は、追加料金も年ごとに加えます。
オンプレミス型の場合は、サーバなどの設備費用と年間の保守費用も含める必要があります。項目を表にまとめ、製品ごとに同じ項目で金額を並べると、どこで差が生じているかを確認できます。為替の影響を受ける海外製品の場合は、料金の通貨と改定の条件も確認しておきましょう。
3年総額の計算例
仮に、初期費用が150万円、月額料金が12万円、連携開発費が80万円、連携の保守費が年10万円の製品を考えます。3年分の利用料は12万円×36か月=432万円、保守費は10万円×3年=30万円です。
これらを合計すると、150万円+432万円+80万円+30万円=692万円です。ここに社内工数の換算額や、規模の拡大による追加料金を加えて総額を判断します。金額はあくまで計算方法を示すための仮の数値で、実際の費用は製品や契約により異なります。
総コストを抑えるための契約の確認
総コストを抑えるには、契約の条件を確認することも大切です。年額でまとめて支払う場合の割引の有無や、複数年契約の条件、価格改定の際の通知時期などを契約前に確認しましょう。
導入当初は必要な機能だけで契約し、運用が定着してからオプションを追加する方法もあります。この場合は、後から追加する際の費用が当初から契約する場合と比べてどう変わるかを確認しておきましょう。契約の更新時期には利用状況を振り返り、使っていない機能やアカウントを整理することも有効です。
総額の見積もりを取り寄せて比べたいSCM製品
利用範囲の広げ方や利用に必要な環境が異なるSCM関連の製品を紹介します。追加料金や連携開発費の条件は製品ごとに異なるため、資料請求の際に3年間の総額を前提に確認してください。
PlanNEL
- 創業26年、グローバル400社超の導入実績とノウハウ
- 導入前コンサルティングから運用支援までのワンストップ対応
- 段階的に利用範囲を広げるスモールスタート
ザイオネックス株式会社が提供する「PlanNEL」は、需要予測から在庫・補充・供給・生産計画までをワンストップで提供するSCM計画ソリューションです。特定の業務に絞ったスモールスタートから、利用範囲を段階的に広げる進め方に対応しています。拡張したときに費用がどう変わるかは、見積もりの段階で確認しておくとよいでしょう。導入前のコンサルティングから運用支援まで対応しており、マスタ整備や連携の作業をどこまで依頼できるかも比較の材料です。提供形態はオンプレミス、クラウド、SaaSです。
TCloud for SCM
- 専用の車載端末など機器不要でスマホとネット環境のみで利用可能
- 長年の経験で培ったノウハウを詰め込んだ配送業務システム
- リアルタイムに位置・作業情報を送信し、配送状況を可視化
都築電気株式会社が提供する「TCloud for SCM」は、スマートデバイスで配送業務を管理するクラウド型の動態管理システムです。専用の車載端末などの機器を用意する必要がなく、スマートフォンとインターネット環境があれば利用できます。そのため、車両ごとの機器購入や設置作業を前提としない費用構成で検討できます。動態管理や配送予実管理、作業実績管理、リアルタイムの交通情報とナビゲーションに対応しています。利用台数が増えた場合の料金の変わり方は、見積もり時に問い合わせて確認しましょう。
SAP SCMソリューション (SAPジャパン株式会社)
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Freely (株式会社日本コンピュータ開発)
- 経済産業省認定のITツール
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SCMの追加コストに関するよくある質問
SCMの追加コストや契約条件について、導入を検討する方から寄せられやすい疑問をまとめました。
- Q1:SCMの解約時に違約金は発生しますか?
- 契約期間の途中で解約する場合に、残りの期間分の利用料の支払いや違約金が定められていることがあります。条件は製品や契約によって異なるため、最低利用期間と中途解約の扱いを契約前に確認しましょう。
- Q2:解約時にデータを持ち出す費用はかかりますか?
- データを出力する機能が標準で用意されている場合もあれば、出力の作業を有償で依頼する場合もあります。出力できるデータの範囲と形式、費用の有無を事前に確認しておくと、乗り換えの際の負担を見積もれます。
- Q3:契約途中で料金が改定されることはありますか?
- 提供会社の判断で料金が改定される可能性はあります。改定の通知時期や、契約期間中の料金が据え置かれるかは契約条件によって異なるため、利用規約や契約書で確認しておきましょう。
- Q4:オプション機能を後から追加すると料金は割高ですか?
- 製品によって、セットで契約した場合の割引が設けられている場合があります。後から追加する予定がある機能は、追加時の料金と当初から契約する場合の料金を比べて判断するとよいでしょう。
まとめ
SCMの費用は、月額料金や初期費用だけでなく、品目数や拠点数、ユーザー数による追加料金まで含めて見積もることが大切です。マスタ整備や連携開発、教育といった隠れコストも加えておく必要があります。3年間の総コストを同じ項目で比べ、解約条件やデータの持ち出し方法も契約前に確認しましょう。費用の内訳を比べやすくするために、複数のSCMを資料請求し、同じ前提条件で見積もりを依頼してみてください。

