目標管理システムの連携性を見極める基本
連携性は、つながるかどうかだけで判断できません。何を自動化したいのか、どの方式でつなぐのかを先に決めておくと、製品ごとの違いを比べやすくなります。方式ごとの特徴は、下の表で確認してください。連携の目的があいまいなまま進めると、必要な機能の判断が難しくなります。
| 連携の方式 | 特徴 | 確認する点 |
|---|---|---|
| API | システム同士が自動でデータをやり取りする | 公開されている範囲と利用条件 |
| CSV | ファイルで取り込みや出力を行う | 項目、文字コード、実行の手間 |
| 標準連携 | 製品があらかじめ用意した接続機能 | 対応する連携先と範囲 |
連携で自動化したい作業を洗い出す
連携の目的は、手作業の入力や転記を減らし、データの食い違いを防ぐことです。まず、現在どの作業を人の手で行っているのかを書き出しましょう。
社員情報の登録、異動の反映、評価結果の受け渡しなど、頻度の高い作業から優先度をつけます。全作業の自動化を目指さず、効果の大きい作業に絞ると、費用と準備の負担を抑えられる場合があります。
担当者の作業時間を事前に把握しておくと、効果の判断にも役立ちます。優先度は、人事部門と現場の双方の意見を聞いて決めましょう。
データの流れる向きと更新の頻度を決める
連携には、他のシステムから目標管理システムへ送る場合と、その逆の場合があります。社員情報は人事システムから取り込み、評価結果は給与計算へ渡すといった向きを整理しましょう。
更新の頻度も確認が必要です。日次で自動反映するのか、評価の期末にまとめて取り込むのかによって、必要な機能が変わります。
反映までの時間差が業務に影響しないかも、あわせて見ておきましょう。向きを間違えると上書きの事故につながるため、設定画面での確認も大切です。
標準連携とAPIの違いを理解する
標準連携は、製品があらかじめ用意している接続機能で、設定だけで使える場合があります。一方でAPIは、自社の開発や連携ツールを使って、柔軟に接続するための仕組みです。
標準連携の対象や範囲は、製品ごとに異なります。名前が同じ連携でも、取り込める項目が限られるケースがあるため、必要な項目が対象に含まれるかを提供会社に確認しましょう。
将来APIで拡張できるかも、聞いておくと選びやすくなります。標準連携で足りない部分を補える余地があると安心です。
人事や勤怠、給与の連携で確認したい点
目標管理は、人事評価や処遇と結びつくため、人事、勤怠、給与の各システムとの連携を中心に検討します。連携先ごとに、確認したい点を整理します。いずれも、運用ルールとあわせて決めることが大切です。評価に関わる情報のため、扱いは慎重に検討しましょう。
人事システムから社員情報を取り込む
社員の所属や役職、上長の情報は、目標を承認し評価する流れの土台です。人事システムやタレントマネジメントシステムと連携できれば、組織変更のたびに手作業で修正する負担を減らせます。
確認したいのは、取り込める項目と更新のタイミングです。異動や退職、休職の情報が評価の期間中に変わった場合に、過去の目標や評価がどう扱われるかも聞いておきましょう。取り込みに失敗した場合の通知方法も、あわせて確認すると安心です。
給与計算システムとの連携を考える
評価結果が賞与や昇給に反映される企業では、給与計算システムとのデータの受け渡しが論点です。目標管理システムから評価結果を出力し、給与側へ渡す流れは、構成の一つです。
ただし、評価結果と給与の算定は、社内の規程と承認を経て確定する場合があります。自動で連携するのか、確認後にファイルで渡すのかを、運用ルールとあわせて決めておきましょう。自動で連携する場合は、誤った評価が反映されないよう確認の手順も用意すると安心です。
勤怠管理システムとの連携を検討する
勤怠データは、目標の達成状況を直接示す情報ではありません。しかし、勤務の状況を面談の参考にしたい場合や、稼働の実績を目標に関連づけたい場合に、連携が検討されます。
連携の必要性は、運用の目的によって異なります。勤怠情報を評価に使うかどうかは、社内の評価制度と、従業員への説明のしやすさを踏まえて判断しましょう。
必要性が低い場合は、無理に連携せず、別の方法で参照するのも選択肢です。参照のみであれば、画面の共有で足りる場合もあります。
チャットツールやシングルサインオンとの連携
日常の業務で使うツールと連携できると、目標管理システムを開く手間が減り、定着しやすくなります。通知とログインの2つの面から確認しましょう。どちらも、情報の見え方と管理のしやすさにかかわります。社内の運用ルールとの整合も見ておきましょう。
TeamsやSlackへの通知を活用する
Microsoft TeamsやSlackなどのチャットツールに通知を送れれば、目標の入力期限や承認依頼に気づきやすくなります。メールだけの通知より、現場で確認しやすい場合があります。
確認したいのは、通知できる内容と、通知先を個人とチャンネルのどちらにできるかです。評価結果のような機微な情報が、意図せず多くの人に見える設定にならないかも、事前に確かめておきましょう。通知の文面に評価の内容を含めない設定ができると、より安心です。
シングルサインオンでアカウントを管理する
シングルサインオンとは、1回のログインで複数のサービスを使える仕組みです。社内で認証基盤を使っている場合は、目標管理システムが対応しているかを確かめましょう。
退職や異動の際に、アカウントを自動で無効にできるかも重要です。ログインの管理が一元化されると、利用者の手間が減るだけでなく、アカウントの放置による情報漏えいのリスクも抑えられます。多要素認証との組み合わせが可能かも、情報システム部門と確認しておきましょう。
通知の設計で入力の定着を後押しする
通知は、数が多すぎると読まれなくなり、少なすぎると期限を逃す原因となります。入力の期限前、承認の依頼時、結果の確定時など、必要な場面を決めて設定しましょう。重要度の低い通知はまとめて送ると、見逃しを減らせます。
通知の文面や送信の時間帯を管理者が調整できるかも、製品によって異なります。従業員が通知に慣れてしまわないよう、運用を始めてから見直せる製品かどうかを確認しておくと安心です。通知の設定は、利用状況を見ながら調整していきましょう。
ITトレンドでは、最新の製品・サービスを多数比較・掲載しています。まず資料請求して、さまざまな製品の機能や特徴を比較してみてください。忙しい業務時間内でも、各社に問い合わせる手間なく、たった1回の入力(約60秒)で目標管理システムの一括資料請求が可能です。浮いた時間で、じっくりと製品を比較検討し進めましょう。
APIとCSVで広げる目標管理システムの連携性
標準連携で足りない部分は、APIやCSVで補えます。どちらも公開されている範囲や操作の手間が製品によって異なるため、具体的に確認しましょう。止まったときの復旧まで含めて見ておくと、運用のイメージがつかめます。導入後に困る場面を想像して、質問を準備しておきましょう。
- ■APIの確認
- 取得や更新できる項目、認証の方式、呼び出し回数の上限
- ■CSVの確認
- 出力できる項目、文字コード、取り込み時のエラー表示
- ■復旧の確認
- 失敗の通知、履歴の確認、再実行の可否
API連携で確認したい公開範囲と条件
APIがあるといっても、扱える情報は製品ごとに異なります。目標、評価、社員情報のうち、どの項目を取得や更新できるのかを、仕様書や提供会社への問い合わせで確かめましょう。
認証の方式や、一定時間に呼び出せる回数の上限も確認点です。API利用に追加費用が必要な場合もあるため、契約の範囲を見積もりの段階で明確にしておくと、導入後の想定外を防げます。仕様が変わる際の事前案内があるかも、確認しておくとよいでしょう。
CSVの出力項目と柔軟性の見極め
CSVの出力は、集計や他システムへの受け渡しに役立ちます。出力できる項目を選べるのか、決まった形式のみなのかで、利用のしやすさが変わります。
文字コードや日付の形式が相手のシステムと合わないと、文字化けや取り込みの失敗につながる場合があります。ExcelでCSVを開く運用が多い場合は、実際のファイルで試して確かめましょう。
列の並びを変更できるかも、運用を想定して確認したい点です。出力の操作を管理者以外が行えるかも見ておきましょう。
連携が止まったときの復旧方法
連携は、設定の変更や、連携先の仕様変更、通信の不具合など、複数の要因で止まる場合があります。製品側だけでなく、利用者側や連携先側の事情も影響します。
失敗したときに管理者へ通知されるか、履歴で原因を調べられるか、手動で再実行できるかを確認しましょう。止まっても業務を続けられる代替手段として、CSVでの手作業も用意しておくと安心です。
復旧の手順は、担当者が代わっても対応できるよう文書にしておきましょう。復旧後は、止まっていた間のデータが反映されたかも確認します。
連携性を導入前に検証する進め方
連携性は、資料の説明だけでは判断しにくい部分です。要件の整理、検証、責任の切り分けの順に進めると、導入後の食い違いを減らせます。この進め方は、情報システム部門や現場を巻き込むうえでも有効です。ここでの確認は、導入後の運用の安定につながる作業です。
連携要件を一覧にして優先度をつける
連携したい相手、データの種類、方向、頻度を一覧にまとめましょう。必須の連携と、あれば便利な連携に分けると、製品への質問が整理され、比較が進めやすくなります。
一覧は、情報システム部門や人事部門、現場の管理職と共有して作成します。後から連携の漏れが見つかると、追加費用や運用の変更が発生する場合があるため、関係者の意見を事前に集めておきましょう。優先度の低い連携は、運用が安定してから追加する進め方もあります。
検証環境やトライアルで動作を確かめる
資料の記載だけで判断せず、検証環境やトライアルで、実際のデータの流れを試しましょう。社員情報の取り込みや、評価結果の出力など、運用で使う操作を一通り確かめます。
本番のデータを使う場合は、社内の規程や提供会社の利用条件を確認してください。動いたことだけで判断せず、項目の欠けや重複がないか、文字化けしていないかまで確認すると、導入後の手戻りを抑えられます。検証の結果は日付とあわせて記録し、比較する製品ごとに残しておきましょう。
連携先と提供会社の責任範囲を確認する
複数のシステムをつなぐと、不具合の原因が目標管理システムの側か、連携先の側かを切り分けにくい場合があります。問い合わせ先や対応の範囲を、契約の前に確認しましょう。
連携先の仕様変更に伴う改修を、誰が、どの費用で行うのかも決めておきたい点です。提供会社の支援範囲、自社で担当する範囲を文書にしておくと、トラブル時の判断が早まります。
保守の窓口が1か所にまとまっているかどうかも、確認する価値があります。契約書の記載で、どこまでが提供会社の支援かを確かめましょう。
連携の範囲を手がかりに見る目標管理システム
人事や労務、勤怠などとの連携や、従業員データの取り込みに関する記載がある製品を、製品ページの情報から取り上げました。連携の範囲は個別に確認してください。
HRBrain
- 人事評価をクラウドで効率化!プロセスの透明化で納得度も向上
- 管理者・現場メンバーともに使いやすいシンプルなUI
- 専任のサポートが導入から運用定着化までを手厚くサポート
株式会社HRBrainが提供する「HRBrain」は、クラウド型の人事評価・タレントマネジメントシステムです。連携先として、労務管理、勤怠管理・就業管理、人事システム、社内SNS・ビジネスチャット、シングルサインオンなどの製品が製品ページに掲載されており、APIの提供もあります。目標や面談記録をクラウドで管理でき、公開範囲の設定や、進捗が遅れているメンバーへの催促も行えます。具体的な連携の内容は、利用中のシステムごとに確認しましょう。
SmartHR
- 目標管理やOKRなど、制度に合わせたフローを柔軟に作成可能
- 進捗管理と自動リマインドで、設定〜回収までをスピードアップ
- パソコンを持たない従業員でもスキマ時間に目標入力・確認が可能
株式会社SmartHRが提供する「SmartHR」は、人事・労務の従業員データを一元管理できるクラウド型のサービスで、人事評価の機能も提供しています。部署や役職のデータを参照して承認者や評価者を自動で設定でき、期中の異動や昇格があっても労務データと連動するとされています。APIの提供もあり、設定した目標や評価の履歴は従業員ごとの人材データにまとめて蓄積され、コメント機能でフィードバックも残せる点が特徴です。
Talentify
- OKR・MBOに対応した柔軟な目標設定
- 目標進捗率可視化で、目標達成率の向上を継続的にサポート
- AIが目標文章を自動生成し、具体的な目標設定を誰でも手軽に実現
株式会社kickflowが提供する「Talentify」は、クラウド型の目標管理・人事評価システムです。部署、役職、等級の情報を目標設定の支援に活用し、承認者は組織図から一括で割り当てられ、異動や退職の際もサイクルの途中で差し替えられます。APIの提供もあり、OKRとMBOに対応し、進捗の履歴は1on1面談の材料にも使えます。目標文章の作成を支援するAI機能もありますが、外部システムとの連携範囲は個別に確認しましょう。
Wistant (株式会社フルート)
- AIで1on1運用を自動化し、継続的な管理をサポート。
- マネジメントの可視化で組織課題を発見し改善を促進。
- 従業員の意欲を高め、生産性と顧客満足度の向上を図る。
Weekdone (Weekdone)
- OKRだけでなく、日次・週次の進捗を自動レポートで可視化。
- 目標ツリー表示とダッシュボードで組織全体の動きを俯瞰。
- 14日間の無料トライアルと3ユーザーまで無料プランあり。
目標管理システムに関するよくある質問
目標管理システムの連携性についてよくある質問と回答をまとめました。
- ■Q1:連携性を確認するとき、最初に何を整理すべきですか?
- A:自動化したい作業、連携する相手、データの向きと更新の頻度を整理しましょう。手作業で負担が大きい業務から優先度をつけると、製品への質問を具体的に絞れます。
- ■Q2:APIがあれば、どの人事システムとも連携できますか?
- A:APIがあっても、取得や更新できる項目、認証の方式、呼び出し回数の上限などは製品によって異なります。自社の連携先で必要な項目が扱えるかを、提供会社に確認しましょう。
- ■Q3:CSVでの連携と標準の連携機能は、どう使い分けますか?
- A:標準の連携機能は設定だけで使える場合があり、手間を抑えられます。対象外の項目や連携先は、CSVの取り込みと出力で補う方法があります。文字コードや項目の形式も確認しましょう。
- ■Q4:連携が止まったとき、どのように備えればよいですか?
- A:失敗時に管理者へ通知されるか、履歴で原因を調べられるか、手動で再実行できるかを確認しておきましょう。止まっている間の代替手段として、CSVでの手作業の手順も用意すると安心です。
まとめ
目標管理システムの連携性は、連携する相手、データの種類、方式の3点で判断できます。人事、給与、勤怠、チャットツールのほか、APIやCSVの柔軟性、連携が止まったときの復旧方法まで確認することが大切です。連携要件を一覧にしたうえで、複数の製品の資料を請求し、同じ基準で比較してみてください。

