予算管理の目的と基本の流れ
予算管理は、立てた計画と実際の数字を突き合わせ、経営の進み方を調整するための活動です。全体の流れをつかんでおくと、どこに手間がかかるのかが見えてきます。まずは流れと、確認する数字を整理します。
予算を立ててから差を調べるまでの流れ
予算管理は、大きく4つの段階で進みます。目標をもとに数字を組み立てる段階、部門ごとに配る段階、実際の数字を集めて計画と比べる段階、そして差が出た理由を調べて次の行動を決める段階です。この流れを毎月または3か月ごとに繰り返します。
- ■予算編成
- 目標や前年の実績をもとに、売上や費用の計画の数字を組み立てる段階
- ■予算配分
- 組み立てた数字を、部門や事業、費用の種類ごとに割り当てる段階
- ■予実対比
- 会計システムなどから実際の数字を集め、計画との差を確かめる段階
- ■差異分析
- 差が出た理由を調べ、計画の直しや現場の行動につなげる段階
計画と実績を比べるときに見る数字
計画と実績を比べるときは、金額の差だけでなく、達成率もあわせて見ます。売上、もうけ(売上から仕入れ分を引いた金額)、人件費や広告費といった費用ごとに、計画の数字、実際の数字、その差、達成率を並べる形が基本です。部門別、商品別、月別と切り口を変えて見られると、原因を絞り込みやすくなります。
期の途中で前提が変わることもあります。年度のはじめに立てた予算だけでなく、途中で直した見込みの数字とも比べられるようにしておくと、今の状況にあった判断ができます。どこまで細かく見るかは、集計の手間と相談しながら決めましょう。
予算管理に取り組むメリット
予算管理の効果は、数字を作ること自体ではなく、その数字を見て行動を変えられる点にあります。経営、部門、お金の流れという3つの角度から利点を整理します。
経営の判断材料を早く手に入れられる
決算を締めてから結果を知る形では、手を打てる時間が限られます。毎月、計画と実績を比べる仕組みがあれば、売上の伸び悩みや費用の増えすぎを期の途中で見つけられます。年度末を待たずに、投資の見直しや新しい取り組みを検討できる点が利点です。
例えば、上半期の時点である事業のもうけが計画を下回っているとわかれば、価格や原価を調べる時間を確保できます。判断のもとになる数字が手元にあることで、経験や感覚だけに頼らない話し合いができます。
部門ごとの受け持ち範囲をはっきりさせられる
予算を部門ごとに配ると、それぞれが管理する数字の範囲がはっきりします。自分の部門の費用や売上への意識が高まり、使い方を考える機会が生まれます。部門長が自分で数字を確認する習慣ができれば、経理への問い合わせも減らせます。
ただし、細かく分けすぎると、部門どうしの調整に時間がかかることがあります。どの部門にも共通してかかる費用の扱いや、複数の部門にまたがる案件をどこに計上するかを、先に決めておきましょう。決めた内容を文書に残せば、担当者が代わっても続けられます。
お金の流れの見通しを立てやすくなる
予算管理では、売上や費用だけでなく、入金と支払いの時期も計画に入れられます。見通しがあれば、お金が足りなくなりそうな時期を前もって知ることができます。銀行への相談や支払い条件の調整も、余裕をもって準備できます。
設備の購入や採用など、まとまった支出を予定している場合は、その影響も計画に入れておきましょう。実際の数字との差を毎月見ていれば、思っていた動きと違う段階で計画を直せます。急に資金が足りなくなる事態を避けやすくなる点は、実務での効果です。
予算管理のデメリットと運用の課題
効果が期待できる一方で、続けるには相応の負担がかかります。先に課題を知っておくと、体制づくりや仕組みの検討を進めやすくなります。ここでは3つの課題を取り上げます。
数字を集めて確かめる作業に時間がかかる
実際の数字を集める作業では、会計、販売管理、経費精算など、いくつもの場所からデータを取り出すことになります。部門ごとに書式が違うと、まとめるだけで時間がかかります。月のはじめの短い期間に作業が集中し、担当者の負担が重くなることもあります。
手作業での写し取りが増えるほど、入力の間違いや集計もれが起こりやすくなります。数字が合わないことがわかると、原因を探す作業がさらに増えます。作業そのものを減らす手立てを考えないと、分析に使う時間を確保できません。
形だけの運用になりやすい
予算を立てても、実績と比べるだけで終わり、行動につながらないことがあります。差が出た理由が「思ったより少なかったため」といった説明で止まると、次の手を決められません。報告のための作業だけが残る状態です。
これを避けるには、差が決めた幅を超えたときに理由を報告する、といった基準を先に決めておく方法があります。あわせて、報告した内容をどの会議で扱い、誰が判断するのかまで決めておきましょう。数字を見る場と、決める場をつなげることが重要です。
現場に納得してもらうまでに手間がかかる
予算が経営側の考えだけで決まると、現場が達成できる見込みを持てず、目標として働かないことがあります。反対に、現場の希望をそのまま積み上げると、会社の目標との差が埋まりません。どちらの進め方でも、調整の作業が必要です。
予算を組み立てる段階で、計画のもとになる数字や条件を共有しておくと、話し合いの土台がそろいます。決めた後も、期の途中の変化にあわせて直せる余地を残しておくと、現場の実情とかけ離れた計画になりにくくなります。調整にかかる時間も、あらかじめ予定に入れておきましょう。
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表計算ソフトとシステムを使う場合の違い
負担を減らす手段として、専用システムの利用が選択肢に入ります。ただし、どの会社にもシステムがあうわけではありません。両方の違いを整理してから判断しましょう。
表計算ソフトで管理する場合の特徴
表計算ソフトは、追加の費用がかからず、自社の書式にあわせて自由に作れる点が特徴です。部門の数が少なく、集計する項目も限られているなら、この方法で続けられます。使い慣れた担当者が多い点も、始めやすさにつながります。
一方で、ファイルが部門ごとに分かれると、どれが最新かの管理や、集めてまとめる作業に手間がかかります。計算式を書き換えてしまい数字がずれることや、作った人以外は中身がわからない状態も起こり得ます。誰がいつ直したかを追えないため、数字が合わないときの確認に時間がかかることもあります。
予算管理システムを使う場合の特徴
予算管理システムは、各部門からの入力を1か所に集め、集計や割り当ての計算を自動で扱える形です。会計システムから実際の数字を取り込める製品なら、写し取りの作業を減らせます。入力の履歴や承認の記録が残る点も、確認の手間を軽くします。
導入するときは、費用と設定の手間がかかります。費用の種類や部門の構成を登録し、今あるシステムとつなげるかを確かめる作業が必要です。つなげる会計システムの範囲、取り込む間隔、取り込みに失敗したときに管理者へ知らせが届くかを、比べる段階で確認しておきましょう。
計画と実績の差を把握できる予算管理システム
表計算ソフトでの集計から切り替える際に候補となる、計画の作成と実績の突き合わせを扱えるシステムを紹介します。
Loglass 経営管理
- 散在する経営データを収集・統合し、予実管理を効率化
- ノーコードで配賦を自動化、複数パターンの比較も簡単に
- ダッシュボードで可視化、ドリルダウンで明細まで即確認
株式会社ログラスが提供する「Loglass 経営管理」は、予算の作成から実績の集計、差異の分析までを一つの画面で扱える経営管理システムです。各部門から集めた計画を統合し、会計システムの実績と突き合わせて確認できます。表計算ソフトでの運用に近い操作感を保ちながら、最新の数値がどれか分からなくなる状態を避けられる点が特徴です。集計の作業を減らし、内容の検討に時間を使いやすくなります。
DIGGLE
- 着地予測の精度を向上させ、正確な意思決定を支援!
- 科目よりも細かい、予算の内容ごとの予実突合を可能に!
- 予算-見込-実績を一体管理し、新たな予実管理体験を提供!
DIGGLE株式会社が提供する「DIGGLE」は、予算の策定と実績の管理を支える経営管理システムです。部門ごとに作成した計画を集約し、実績との差を確認しながら見通しを更新できます。会計システムから実績を取り込む運用に対応しており、月次の集計にかかる作業を抑えられます。予算の版を管理できるため、修正を重ねた際にどの案が最新かを追える点も実務に役立ちます。
Manageboard
- API連携で実績取り込みも簡単!正確な経営データを瞬時に取得!
- 素早い「データ集計」と「分析」で意思決定の精度が劇的に向上!
- 非財務情報も一括管理!社員のコスト意識向上へ!
株式会社マネーフォワードが提供する「Manageboard」は、予算の作成と実績の分析を扱う経営管理システムです。会計データをもとに部門別や事業別の集計を行い、計画との差を確認できます。複数の条件で見通しを立てる使い方にも対応しており、状況が変わった際の再計算を進めやすくなります。表やグラフでの表示に対応し、社内での共有にも活用できます。
KUROTEN. (エキサイト株式会社)
- 管理会計の関連データをすべて一元管理!
- 変動費率の設定でより根拠のある分析が可能!
- 「経営管理診断」で会社の事業改善を全面的にサポート!
Jedox (株式会社KSK-Knot)
- Excelライクな操作で直感的な高度分析
- データ統合から可視化までをワンストップで実現。
- AIによる予測・シミュレーションで意思決定を支援。
予算管理に関するよくある質問
予算管理の進め方についてよく寄せられる疑問をまとめました。社内での検討にお役立てください。
- Q1: 予算管理はどのくらいの頻度で行うべきですか?
- 毎月、実績と比べる形が基本の進め方です。変化の速い事業では、主な数字だけを毎週確認する方法もあります。回数を増やすほど集計の負担も増えるため、確認する項目を絞ったうえで間隔を決めましょう。
- Q2: 中小企業でも予算管理は必要ですか?
- 会社の大きさにかかわらず、お金の流れの見通しを立てるうえで役立ちます。部門が少ない場合は、会社全体の売上と主な費用だけから始める方法があります。最初から細かく分けず、続けられる範囲で設計することが重要です。
- Q3: 予算と実績の差はどこまで許してよいですか?
- 業種や項目によって考え方が変わるため、決まった基準はありません。売上と固定費で許す幅を分けて決めておき、その幅を超えたら理由を報告するという運用にする方法があります。過去にどのくらい上下したかを参考に検討しましょう。
- Q4: システムを入れれば集計作業はなくなりますか?
- すべての作業がなくなるわけではありません。実績の取り込みや計算は自動にできる範囲がありますが、もとになる数字の入力や、差が出た理由を書く作業は担当者が行います。どの作業を減らせるかを製品ごとに確認して判断しましょう。
まとめ
予算管理には、経営の判断材料を早く手に入れられること、部門ごとの受け持ち範囲をはっきりさせられること、お金の流れの見通しを立てやすくなることという良い点があります。一方で、集計の負担や形だけの運用になりやすい点、現場との調整という課題も伴います。まずは自社の部門数と、集計にかかっている時間を確認し、表計算ソフトで続けるかシステムを使うかを検討しましょう。製品を比べたい方は、資料請求を活用してみてください。


