予算計画とは？
予算を達成するために、それまでの経営活動を分析したり改善したりすることを予算管理と呼びます。予算管理のうち、分析結果を基に予算を立てることを予算計画といいます。つまり、予算計画は予算管理のPDCAサイクルの中で、P（計画）の段階に該当する作業です。ここで立てられた計画は実行に移され、やがて分析されて次の計画へとつながります。
予算管理に関してはこちらの記事で詳しく解説しているので、興味のある方はぜひ参考にしてください。
予算計画の立て方
ここでは、予算計画の立て方を３つのステップに分けて紹介します。
１．トップダウン方式
トップダウン方式とは、上の立場にいる人が計画を決め、下の立場に伝える方式です。日本語で「上意下達方式」ともいわれます。
具体的にいうと、経営者や管理部門の人が予算計画を立てて現場に伝える手法です。ベンチャー企業や中小企業、営業力によって売上が変動しやすい企業でよく使われています。
トップダウン方式のメリットは、意思決定が迅速にできることです。一部の人が決定して残りの従業員に伝えるだけであるため、余計な手間がかかりません。
ただし、予算を決定する経営者や管理者は会社全体についてよく理解しておく必要があります。現場が受け入れられないような予算を決めると、社員のモチベーションが低下するためです。また研究開発など、従業員の能力によって成果が左右されやすい事業には向いていません。
２．ボトムアップ方式
ボトムアップ方式はトップダウン方式の逆で、各部署が策定した予算を基に企業全体の予算を決める方式です。日本語で「下意上達方式」とも呼びます。
各現場の意見を踏まえて、現実的な予算を立てられるのがメリットです。経営陣が事業のすべてを把握できない大企業などでよく用いられます。
ただし、決定までに時間がかかるのが難点です。また各現場の担当者は、自分たちが予算を達成できない事態を避けるため、ゆとりを持って予算を策定します。結果、十分に努力しなくても達成できてしまう予算計画が立てられ、優れた成果を挙げられなくなります。
予算計画の流れ
トップダウン方式とボトムアップ方式は、どちらにもメリットとデメリットがあります。そのため、両者を組み合わせて使うのが一般的です。ここでは、予算計画の具体的な流れを見ていきましょう。
１．予算の目標を明確にする
最初はトップダウン方式の考えに従って、経営陣が予算の目標を掲げます。具体的な決め方は企業によりますが、一般的なのは直前期の営業利益を参考にすることです。
ただし、予算計画を立てる段階では直前期の営業利益はまだ分かりません。予想される数値を基に考える必要があります。
またこの段階では、目的意識を持つことが大切です。目的が曖昧なまま予算を立て、そのまま放置してしまう失敗例も珍しくありません。予算を立てるのは、何らかの行動に結び付けるためです。自社が具体的に何を改善し、何に取り組みたいのかをこの段階でよく考えましょう。
２．部門ごとに予算を決める
続いて、経営陣が決めた予算の目標値を各部門に割り振ります。トップダウン方式からボトムアップ方式へと移行する途中段階です。
どのように割り振るかは過去の実績を参考にしましょう。部門ごとに損益計算書を作成すると、より参考にしやすくなります。そして、各部門は割り振られた目標値を基に予算を策定します。
３．各部署の予算を合算して調整する
最後は、ボトムアップ方式の考え方に従って予算を決定します。各部門が策定した予算と、全体の目標を擦り合わせましょう。
複数の部門の意見を合わせなければならない以上、一度で決めるのは困難です。何度か調節を繰り返し、最適な予算計画を目指します。
予算計画を実行するには
これまで紹介した予算計画の流れをスムーズに遂行するうえで有効なのが、予算管理システムの活用です。予算管理システムとは、予算管理に関する業務を円滑化するITツールです。
たとえば、部門ごとに予算を決める段階では、それぞれの部門と経営陣がやり取りをしなければなりません。Excelで予算計画を管理している場合は、部門との連絡手段は別途確保する必要があるでしょう。
しかし、予算管理システムがあればその必要はありません。予算策定に関わるすべての従業員がシステム上にアクセスし、データを入力できます。
ほかにも、予算計画と実績の差を分析する機能や、データをB/SやP/Lなどの表として出力する機能もあります。これらの機能を活用すれば、予算計画に費やす時間や労力が減り、より重要な業務に注力できるようになるでしょう。
予算管理システムに興味がある方は、こちらの記事を参考にしてください。予算管理システムについて詳しく説明しています。
適切な予算計画を立て、ツールで効率良く管理しよう！
予算計画とは予算管理のPDCAサイクルのうち、Pを指す作業です。トップダウン方式とボトムアップ方式があり、２つの方式を融合させて用いるのが一般的です。予算計画は以下の流れで行います。
- １．予算目標の明確化
- ２．部門ごとに予算を決定
- ３．各部署の予算を合算して調節
上記の作業は予算管理システムを使うことで円滑化します。システムの活用も視野に入れ、予算計画体制を見直してみてください。
