予実管理とは

予実管理とは、企業の予算と実績を管理する管理会計業務の一つで、予算実績管理とも呼ばれます。企業の経営目標を達成するためには、事前に設定した予算や売上目標と現段階での実際の経費や売上を対比させ、数値の差異分析を行う必要があります。目標値とのズレを確認し、目標達成のための具体的な課題や対策法を検討することが予実管理です。
予実管理を行えば、問題点の明確化や対策の実践がスピーディーになるため、多くの企業が実践している経営手法の一つです。

予実管理の必要性
予実管理を実施することで、自社の状況を定量的に分析できるようになります。「予算を達成できそうにない」といった漠然とした理解ではなく、何がどのくらい足りないのかが数値で具体的に把握できます。反対に、目標に対してよい成果が得られたときの要因分析にも役立つでしょう。
また、上場企業の場合は業績予想の開示が求められており、証券取引所に提出する資料のひとつに予算実績比較表があります。事業の運営を進める中で将来予測情報を修正するケースも出てきますが、その際に月次の予算実績管理が必要となるのです。
予実管理と経営管理の関係
予実管理は経営資源をどのように調達し再分配するかを考えるためにも重要です。
経営管理には以下の4つの機能が必要とされ、予実管理はモニタリング機能にあたります。
- ■プランニング機能
- 適切な数値目標や課題を設定する機能。事業計画の企画・立案・推進など
- ■コントロール機能
- 数値目標や課題が達成できるよう進捗管理をする機能。進捗サポートなど
- ■モニタリング機能
- 数値目標が予定どおりの動きをしているか観測し、問題がある場合は解消計画を立てる機能。
- ■コーディネート機能
- 各事業間の調整機能。各事業間での利害衝突を解消する。
予実管理の手順
予実管理は以下の3つの手順で行われます。ここでは、予実管理の手順を解説します。
- 1.予算目標を立てる
- 2.予算を設定する
- 3.月次でチェックし軌道修正する
それぞれの手順について詳しく解説します。
予算目標を立てる
予実管理は実績を予算目標に近づける活動です。そのため、第一に予算目標を立てるところから始めます。
このとき、企業としての成長を目指しながらも、現実的に達成可能な目標を立てましょう。達成がほぼ不可能な高い目標は無意味であるためです。「努力は要するが達成不可能ではない」といえる程度の目標を意識しましょう。
予算を設定する
次は実際の予算を決める段階です。このときには過去の実績を参考にします。ただし、具体的にいつのデータを参考にするのかはよく考えなければなりません。特に、繁忙期と閑散期による差が大きい業種の場合は、それを踏まえて現実的な予算を考える必要があります。
データを集めたら、それを基に予算を設定します。自社の能力に見合った予算にしましょう。
月次でチェックし軌道修正する
予算と実績は、月次で比較しましょう。予算と実績の乖離をできるだけ早く発見しなければ、対応が遅れて損失が大きくなるためです。また、一度に確認する期間が短いほど、詳細な分析が可能になります。
分析の際は売上額ではなく、販管費を差し引いた営業利益に着目して予実差を確認してください。どれだけ売上が高くても経費が多くかかっていれば赤字になってしまうためです。
予算と実績に乖離が見られたら、軌道修正を考えましょう。売れていない商品があればその原因を突き止め、売れている商品があればさらに売れるよう工夫します。定量的なデータを基にして、得られる利益がもっとも大きくなる一手を打ちましょう。
予実管理のポイント
予実管理において覚えておくべきポイントが4つあります。
- ・適切な予算を設定する
- ・こまめにチェックして課題を発見・改善する
- ・PDCAサイクルを活用する
- ・予実管理表を活用する
それぞれのポイントについて詳しく解説します。
適切な予算を設定する
前述したように、予算は高すぎるものを設定してはいけません。達成不可能な予算を掲げられると、従業員がモチベーションを失うためです。しかし、低すぎてもいけません。適度な予算を設定し、従業員のモチベーションを引き出さなければなりません。
こまめにチェックして課題を発見・改善する
より現状に則した対応をとるためには、定期的かつ頻繁に現状分析を行う必要があります。予算と実績の乖離をリアルタイムに比較して、課題やその原因を究明し、改善策を打ち出しましょう。
PDCAサイクルを活用する
予算と実績の差を埋めるには、PDCAサイクルを実践するのが最善です。
- 1.Plan(計画)
- 2.Do(実行)
- 3.Check(評価)
- 4.Action(改善)
PDCAサイクルに則り、あらかじめ数値のモニタリングを行う時期のスケジュールを組んで予実管理を行うことも有効でしょう。PDCAサイクルの構造を理解し、繰り返し実践していけば予算設定の精度が高まり、課題の早期解決が期待できます。
予実管理表を活用する
エクセルなどを活用することで、予実管理表を作成できます。予実管理表を作成すれば、予算や期に応じた予実管理を実現できるでしょう。明確な予算設定や適正な予算値が必要になるものの、エクセルという活用しやすいフォーマットであれば比較的容易に予実管理表を作成し、運用できます。
予実管理表の作成方法
予実管理表の作成方法は以下の2つがあります。
- ・エクセルで作成する
- ・予算管理システムで作成する
エクセルは自由度が高いため、自社に合ったオリジナルの予実管理表が作成できるでしょう。しかし、エクセルでは管理が進むにつれてシートが増え数式が複雑になるなど、結果的に管理が煩雑になる場合があるため注意が必要です。
予算管理システムは、予算計画からデータの集約、モニタリングや評価機能を備えたシステムです。実績と予算の差異をグラフや図表などで出力でき、業績をタイムリーに把握、分析できる機能も備えています。会計システムと連携できる予算管理システムであれば、データの入力や収集も自動で行えるため業務負担の軽減も可能です。
以下の記事では、予算管理システムについて詳しく解説しています。実際にどんな製品があるかや、どんな機能があるのか見てみたい方はぜひ参考にしてください。
予実管理を効率的に行う方法
個人事業主や中小企業であれば、先程紹介したようにエクセルを使ったり、用紙に書いたりして手作業で予実管理を行っている場合も多いでしょう。しかし、入力にかかる手間や人為的ミスといったリスクを鑑みると、事業規模の拡大にあわせて予算管理システムや予実管理システム、SFA(営業支援ツール)などのシステムを導入がすると効率的です。システムごとの主な機能を以下にまとめました。
- ■予実管理システム・予算管理システム
- 予算の編成から予実管理、集計データの分析や業績の予想まで、予算に関わる一連の業務をサポートする。予実管理機能に限定したシステムもある。
- ■SFA
- 顧客情報や営業情報、案件管理など、企業の営業活動を管理・分析する。予実管理も含まれていることが多い。
そのほか、予実管理機能の搭載された会計ソフトなどもあります。どのシステムも、エクセルに比べて集計作業に知識を要しないため、業務の属人化を防ぎ管理しやすくなるのがメリットです。部署ごとの予算を取りまとめるのにも、システムを用いて社内全体で共有しやすい環境を作ると便利でしょう。
各システム名をクリックすると、最新の製品人気ランキングが確認できます。気になる製品があれば資料請求も可能です。
適切に予実管理をして企業の課題を改善しよう
予実管理はエクセルなどを用いて手作業でも行えます。しかし、予算と実績の差異をリアルタイムに分析し、課題の早期発見・解決を目指すのであれば予算管理システムや予実管理システム、SFAなどのツールを導入するのがおすすめです。適切な予実管理で経営目標をスピーディーに達成していきましょう。
予実管理を効率的かつ確実に行うために、ITトレンドに掲載しているシステムの利用もぜひ検討してみてはいかがでしょうか。ITトレンドではさまざまな予算管理(予実管理)システムを紹介しているので、本記事の内容とあわせて参考にしてください。
