プロジェクトにおける予算管理とは
プロジェクトにおける予算管理とは、プロジェクトの売上やコストを想定し、実績と想定の乖離を防ぐ活動のことです。具体的には以下の予算を管理します。
- 【売上予算】
- 見積もりに基づく見込みの売上。目標ではなく、現実的に得られる予定の売上額のこと。
- 【経費予算】
- プロジェクトの進行にかかる経費。具体的には、物品やサービスの購入費、交際費、出張費など。
- 【外注費予算】
- 業務を外注する場合に生じる費用の予算。委託先や委託内容が決まっていなくても、過去の実績に基づいて見積もられる。
- 【工数予算】
- プロジェクトにおける工数にかかる費用。正確に把握するには、精度の高い工数管理が必要になる。
プロジェクト予算管理のメリット
プロジェクトの着手前に予算管理を実施しておくことで、より綿密かつ現実的な予算計画が実現します。現状かかっている経費を把握し、そのうえで予算計画を立てておけば、j自社の不利益は回避できるでしょう。
また、プロジェクト単位での予算管理を実施しておけば、企業全体で活用できる予算の全体像も把握しやすくなるでしょう。「プロジェクト」全体を見渡すうえでの「スポット」ととらえて予算管理すれば、既存のリソースでも十分に予算管理における課題を解消できるかもしれません。
プロジェクト予算管理の基本的なステップ
プロジェクト予算管理を実施する際は、以下に挙げるステップを参考にしてください。
- 1.プロジェクト目標の設定
- 2.作業範囲の決定
- 3.作業範囲内にある成果物を依存関係ごとに分解
- 4.リソースのリストアップ
- 5.プロジェクトにかかる総費用の見積り
- 6.臨時費の計上
- 7.予算編成
- 8.支出のモニタリング計画立案
- 9.プロジェクト関係者による確認・承認
プロジェクトにおける予算管理の課題
プロジェクトにおける予算管理はスムーズにいかないことがあります。適切な予算管理を行うには、どのような課題を解決する必要があるのでしょうか。
正確な実績が入力されないことがある
プロジェクトにおける予算の中で、もっとも重要度が高いのは工数予算です。そして、工数予算を管理するには、高精度な工数管理が欠かせません。
ところが、忙しいプロジェクトにおいては、工数管理がおろそかになりがちです。たとえば、メンバーが1ヶ月分の工数をまとめてExcelや専用ツールに入力するケースがあります。これでは正確な工数を入力できません。期間が空けば空くほど記憶が曖昧になるためです。
精度の高い管理を実現するには、できるだけ高い頻度で入力する必要があります。
工数を正しく入力できなければ、実際に集計した際に大きな差が生じることになります。また、プロジェクトのデータを過去の実績として、次のプロジェクトに活かすこともできません。
データの集計が業務の負荷になる
工数の集計が大きな負担となり、業務を妨げているケースも見られます。
たとえば、複数のプロジェクトやほかの業務も兼任しているメンバーに関する集計作業は、煩雑になりがちです。工数単価がメンバーごとに異なる場合も同様です。
また、工数の単位の設定が悪く、負担を増大させているケースもあります。
たとえば、10分単位での工数管理には問題があります。30分なら0.5時間として計算できるのに比べて、10分は0.167時間であり計算が煩雑になるためです。細かく管理するという点ではよいものの、煩雑なせいで管理がおろそかになるのでは本末転倒です。
こういった負担をメンバーに強いているのであれば、メンバーではなく業務や管理の体制に問題があるといえます。
現状のコストを把握しづらい
予算管理が属人化していると、現状かかっているコストを把握しづらくなります。また、既存業務に追われていると、予算申請などが後回しになりがちです。予算申請が後回しになると抜け漏れの発生頻度が増えるため、現状のコストがさらに明確になりにくいでしょう。
現状、予算管理にどれほどのコストがかかっているか把握することは、自社の予算管理における既存フローを見直すきっかけにもなります。
過去のプロジェクトを参考にできない
プロジェクトごとに予算や方向性に違いが出るため、過去のデータを参考に予算を組みにくいといえます。あくまでプロジェクト単位で「どのような予算がどれほどかかるか」を新しく考える必要があるでしょう。
過去のデータを参考にする際は、あくまで予算管理における「手法」などのベースになるような情報に特化しておくことを推奨します。
プロジェクトにおける予算管理のポイント
ここでは、プロジェクトにおける予算管理のポイントを2つ紹介します。
計画との差を定期的にチェックする
予算管理において避けなければならないのは、気が付いたら予算と実績に大きな差が開いているという事態です。気付くのが遅れれば遅れるほど軌道修正は難しくなります。
その事態を防ぐために、定期的に計画と実績の差を確認する機会を設けましょう。はじめから計画どおりに進行するのが理想ですが、そのようなことはめったにありません。計画と実績に乖離が発生することを前提に、リアルタイムで状況を監視しなければなりません。
また、どのくらい乖離が生じたら対策を実施するのか線引きをしておきましょう。そうすることで、軌道修正すべきかどうかの判断が迅速になります。判断が遅れると乖離は大きくなる一方であるため、いざというときには素早く決断する必要があります。
ツールを使って作業を簡単にする
前述したように、メンバーが工数入力の手間を惜しみ、長期間の工数をまとめて入力するようなことは避けなければなりません。したがって、その手間を削減し、高頻度での工数入力を促す仕組みが求められます。
そこで有効なのが、予算管理に特化したITツールである予算管理システムです。予算管理システムを導入すれば、管理に伴うさまざまな手間を削減できます。
たとえば、勤怠管理システムと連携することで工数入力の手間を省けます。従来のように、勤怠管理と工数管理で別々に入力する手間がなくなり、メンバーの負担が軽減するでしょう。
また、メンバーだけでなく、プロジェクト管理者にとって有益な機能も少なくありません。たとえば、実績と予算の差を分析する機能を使えば、次のプロジェクトの予算策定に活かせるでしょう。
ツールを使って効果的にプロジェクトの予算管理を行おう!
プロジェクトにおける予算管理とは、売上予算や工数予算などの計画と実績を管理することです。適切に管理するには、以下の問題を解決する必要があります。
- ■メンバーが正確な実績を入力しない
- ■データ集計がメンバーの負担になる
また、プロジェクトの予算管理における留意点は以下の2つです。
- ■計画と実績の差を定期的にチェックする
- ■予算管理ツールで管理の負担を軽減する
以上を踏まえ、効果的に予算管理を行いましょう。