名刺管理とはどのような取り組みか
種類を追う前に、何のために行うのかを押さえておきましょう。目的が定まると、必要な範囲も見えてきます。
名刺管理が必要になる理由
名刺には、取引先の担当者名、所属、連絡先といった情報が記載されています。商談の履歴と結び付けて管理できれば、次に連絡する際の判断材料になります。担当者が異動や退職をした際に、後任へ引き継ぐ資料としても機能します。
整理されていない状態では、必要な連絡先を探すのに時間がかかります。同じ企業に複数の担当者が別々に接触していることに気づけない、といった状況も起こり得ます。個人の手元にとどまっている情報を組織で扱える形にすることが、名刺管理の主な狙いです。
紙やファイルでの管理との違い
名刺入れやファイルに保管する方法でも、枚数が少なければ対応できます。ただし枚数が増えると、目的の一枚を探し出すまでに時間がかかります。担当者が変わった名刺と古い名刺が混在し、どれが最新か分からなくなることもあります。
データとして管理すれば、企業名や担当者名、役職といった条件で検索できます。相手の所属が変わった際に情報を更新する仕組みを備えた製品もあります。誰がその相手と接点を持っているかを社内で確認できる点も、紙での管理にはない違いです。
データ化の方法による種類
紙の名刺を情報に変える工程は、製品によって進め方が異なります。代表的な三つの方法を確認します。
スキャナーで読み取る方法
専用または汎用のスキャナーに名刺をセットし、まとめて読み取る方法です。一度に複数枚を処理できるため、これまで蓄積してきた名刺を一括して取り込む場面に向いています。
読み取った画像から文字を認識してデータに変換する工程が入ります。名刺のレイアウトや文字の装飾によっては、認識の結果に手直しが必要になる場合があります。機器を用意する費用と設置場所が必要になる点も、検討時に踏まえておきましょう。
スマートフォンで撮影する方法
受け取った名刺をその場で撮影し、アプリから登録する方法です。外出先や商談の直後に登録できるため、社内へ持ち帰るまでの間に紛失する事態を避けられます。
営業担当が社外で活動する時間の長い企業では、この方法が運用に馴染みやすくなります。ただし撮影の角度や照明によって読み取りの結果が変わる場合があります。社内で撮影方法の目安を共有しておくと、手直しの手間を減らせます。
オペレーターによる入力を含む方法
読み取った内容を人が確認して入力する工程を含む方法です。文字認識だけでは正確に読み取りにくい名刺でも、データの精度を保ちやすくなります。
一方で、登録してからデータとして使えるようになるまでに時間がかかる場合があります。急ぎで連絡先を確認したい場面に備え、画像の状態でも参照できるかを確かめておくとよいでしょう。処理する枚数に応じて費用が変わる契約もあるため、月あたりの見込み枚数を整理しておきましょう。
管理する範囲による種類
誰の名刺を、誰が見られる状態にするかによっても、製品の性格が分かれます。二つの考え方を確認します。
個人が自分の名刺を整理する範囲
受け取った本人が自分の名刺を検索できるようにする使い方です。手元の整理を効率化することが目的で、導入の手続きも簡単に済みます。
一方、情報は個人の手元にとどまるため、担当者が異動した際の引き継ぎには別の作業が必要です。組織として人脈を把握したい場合は、この範囲では目的を果たせません。まず個人の整理から始め、必要に応じて共有の範囲へ広げる進め方も選べます。
全社で共有する範囲
登録された名刺を、権限に応じて他の従業員も参照できるようにする使い方です。同じ企業に誰が接触しているかを確認でき、部署をまたいだ連携の材料になります。
担当者が退職しても情報が組織に残るため、引き継ぎの負担を抑えられます。ただし、誰がどこまで閲覧できるかの設計が必要です。取引に関わる情報を含む場合もあるため、公開の範囲は関係部署と相談したうえで決めましょう。
ITトレンドでは、最新の製品・サービスを多数比較・掲載しています。まず資料を取り寄せて機能や特徴をさまざまな製品で比較してみてください。忙しい業務時間内でも、各社に問い合わせる手間なく、たった1回の入力(約60秒)で名刺管理ソフトの一括資料請求が可能です。浮いた時間で、じっくりと製品を比較検討し進めましょう。
導入前に確認したい注意点
他社の従業員に関する情報を扱うため、運用面での整理が欠かせません。検討段階で押さえておきたい点を二つ挙げます。
個人情報としての取り扱い
名刺に記載された氏名や連絡先は、個人情報として扱う必要があります。取得した情報をどの目的で利用するのか、社内の誰まで参照できるのかを整理し、社内規程に沿った運用にしておくことが望まれます。
保管する場所や期間、退職者が登録した情報の扱いも決めておきましょう。案内メールの送信に利用する場合は、送信に関する取り決めも確認が必要です。具体的な取り扱いについては、社内の個人情報保護の担当や法務部門に確認しながら進めることをおすすめします。
登録が続かない場合への備え
仕組みを用意しても、登録の手間が大きいと使われなくなります。展示会などで大量に受け取った名刺が机の上に残ったままという状況も起こり得ます。
対策としては、その場で撮影できる手段を用意する、部署ごとに登録の担当を決める、登録した情報が営業活動で使われる場面を作るといった方法があります。登録状況を確認できる製品であれば、進んでいない部署へ働きかける材料にもなります。担当者一人の呼びかけに頼らない仕組みにしておきましょう。
名刺管理システムの選び方
ここまでの分類を踏まえ、実際に選ぶ際の確認事項を整理します。
目的と対象者の整理
最初に、何のために導入するのかを具体化します。個人の整理が目的なのか、組織で人脈を共有したいのか、営業活動の記録と結び付けたいのかによって、選ぶべき製品が変わります。
あわせて、対象となる人数と登録の見込み枚数も整理しましょう。人数や枚数に応じた料金体系を採る製品が多く、規模の想定は費用の試算に直結します。まず営業部門から始めて広げる計画であれば、その予定も伝えておくと提案を受けやすくなります。
既存システムとの連携範囲
営業支援システムや顧客管理システムと連携できるかは、活用の幅を左右する要素です。名刺の情報と商談の記録が別々に管理されていると、参照のたびに画面を行き来する手間が生じます。
連携の方式に加えて、どの項目をどちらの方向へ同期するかも確認しておきましょう。同じ企業や担当者が重複して登録された場合の扱いも、事前に確かめておきたい部分です。判断が難しい部分は情報システム部門に相談しながら進めましょう。
費用体系とサポート範囲の確認
料金は、利用人数に応じた月額制、登録する枚数によるプラン分け、機器の購入費用を含む形など、製品によって考え方が異なります。人による入力を含む方式では、処理する枚数が費用に影響します。
サポートについては、どこまで対応してもらえるのかを具体的に確かめます。操作方法の案内にとどまるのか、既存の名刺の一括取り込みを支援してもらえるのかは製品ごとに差があります。社内展開の進め方を相談できるかも、定着を左右する要素です。
名刺情報のデータ化を支えるシステム
データ化の方法や共有範囲にあわせて検討できる、名刺管理システムを紹介します。
Sansan
- 名刺管理市場シェア84%。業種・規模を問わず1万1000社が導入
- 精度99.9%でデータ化。名刺情報を正確にデータ化し、全社で共有
- 企業情報や営業履歴を一元管理し、商談準備を効率化
Sansan株式会社が提供する「Sansan」は、名刺をスキャンして取り込み、全社で共有できる名刺管理システムです。取り込んだ情報を営業活動に活用できる構成になっており、同じ企業への複数部署からの接触を把握しやすくなります。データ化の精度を高める仕組みも備えています。
ホットプロファイル
- 毎日、「購買意欲の高い見込み客情報」が営業に届きます。
- 営業の組織力を強化し営業の効率的な活動を支援
- BtoBビジネスで求められるサービスを容易に拡張
株式会社ハンモックが提供する「ホットプロファイル」は、名刺管理と営業支援の機能をあわせて備えたシステムです。名刺を起点に顧客情報を蓄積し、案件の進捗管理につなげられる構成になっています。個人での整理から全社共有まで、運用の範囲を選べる点が特徴です。
Eight Team
- 6,000社を超える中小企業に選ばれています
- Eightの名刺を社内で一元管理します
- 名刺データを一括でCSVダウンロードし活用できます
Sansan株式会社が提供する「Eight Team」は、スマートフォンでの名刺撮影に重点を置いたチーム向けの名刺管理サービスです。外出先で受け取った名刺をその場で登録できるため、社内へ持ち帰るまでの紛失を防ぎやすくなります。チームでの共有を前提とした設計になっています。
PHONE APPLI PEOPLE
- 名刺はスマホで撮影するだけで登録でき、ペーパーレスを促進
- 社員のスキルを可視化。コラボレーション活性化や人的資本活用
- 顔写真と居場所が表示されるため誰がどこにいるかが即座に分かる
株式会社 Phone Appliが提供する「PHONE APPLI PEOPLE」は、名刺情報をWeb社内電話帳として一元管理できるシステムです。スマートフォンで撮影した名刺を高精度なOCR機能で読み取り、部署やチームなど単位を選んで共有できます。社員の所在確認や検索など、名刺管理以外の機能もあわせて備えています。
kotoca (Sola株式会社)
- あらゆる「コト」を記録・管理できる汎用性
- シンプルで使いやすいUI
- AES256でデータを強固に暗号化
名刺管理ソフトに関するよくある質問
導入を検討する担当者から寄せられることの多い質問と回答をまとめました。
- Q1: これまで溜めてきた名刺も取り込めますか?
- まとめて読み取る手段を用意する製品が多くあります。枚数が多い場合は、取り込み作業を支援するサービスを提供する事業者もあります。まず対象とする範囲を決め、費用と期間を確認したうえで進めるとよいでしょう。
- Q2: 読み取りの精度はどの程度期待できますか?
- 名刺のレイアウトや文字の装飾、撮影の条件によって結果が変わります。人による確認を含む方式では手直しを抑えやすくなりますが、その分の費用と時間がかかります。自社が扱う名刺で試用して確かめることをおすすめします。
- Q3: 退職した従業員の名刺情報はどうなりますか?
- 全社で共有する範囲で運用していれば、組織の情報として残せます。個人の範囲にとどまる運用では、退職時に引き継ぎの作業が必要です。取り扱いの方針は、社内規程とあわせて事前に決めておきましょう。
- Q4: 導入までにどのくらいの期間がかかりますか?
- 対象人数や既存名刺の取り込み量、他システムとの連携範囲によって幅があります。撮影方式を少人数で使う場合は短期間で始められる一方、全社展開や営業支援システムとの連携を伴う場合は準備に時間を要します。具体的な期間はベンダーに確認しましょう。
まとめ
名刺管理の種類は、データ化の方法と管理する範囲という二つの軸で整理できます。データ化では、スキャナーによる一括処理、スマートフォンでの撮影、人による入力を含む方式があり、精度と手間の兼ね合いが異なります。範囲では、個人の整理にとどめるか全社で共有するかによって得られる効果が変わります。目的と対象者を整理したうえで、連携範囲や費用、個人情報の取り扱いまで確認して選びましょう。まずは資料請求から検討を進めてみてください。


