名刺管理の現状・課題
ほとんどの社会人が、今までに貰った名刺の平均枚数が1,000枚を超えると言われています。そして、年に1回も整理しない人が約2割を占めており、名刺探しに多くの時間を費やしているのが現状です。
そして、営業担当者が各自で名刺を管理している場合、業務の属人化も課題として挙げられます。営業担当者以外は顧客情報を把握していないケースが多く、担当者の不在時に顧客から問い合わせがあっても適切な対応ができません。
また、そのような状況では顧客情報を組織で共有できないので、名刺を基にテレアポリストを作るなど、営業資源として活用するのは難しいでしょう。
名刺管理を行う方法
名刺管理を行う方法にはアナログ式・デジタル式の2つがあります。それぞれの方法を見ていきましょう。
アナログ式
名刺をそのままの状態で管理する方法です。枚数が少ない方におすすめの方法で、コストもあまりかかりません。しかし、アナログ式での管理は名刺の枚数が多い方には不向きです。保管できる枚数に限りがあり、増えるにつれ名刺を探しにくくなるためです。
なお、アナログ式では名刺ホルダーを活用するのが一般的ですが、それ以外の管理方法もあります。それぞれの特徴を見ていきましょう。
1.名刺ホルダー
そのままホルダーに差し込んで名刺を管理します。自分が使いやすいように保管方法をアレンジできるのが特徴です。定期的に名刺を整理する時間を確保している方におすすめです。販売されている名刺ホルダーの主な種類は以下のとおりです。
- 回転式名刺ホルダー
- 机の上に置くタイプなので持ち運びはできませんが、枚数の多い方に最適です。五十音順や時系列順など、自分が検索しやすい方法で名刺を保管できます。
- ファイル式名刺ホルダー
- 各ページ1枚の名刺を収納ポケットに保管するタイプです。時系列での管理に最適ですが、名刺が増えたとき、入れ替えが不便です。レフィルを追加できないので、名刺枚数が多い方には不向きかもしれません。
- バインダー式名刺ホルダー
- 収納ポケットに名刺を差し込むタイプです。ページごと外せるため、名刺の並び順を簡単に変えられます。レフィルを追加すれば名刺の保管枚数を増やすことが可能です。
2.ボックスタイプの名刺ケース
専用のボックスを用いた方法で、大量の名刺管理におすすめです。インデックスを使えば五十音順や企業別、業種別など、名刺をカテゴリーごとに分けて保管できます。しかし、カテゴリーを細かくしすぎると、都度の入れ替えが面倒になりがちです。そのため、カテゴリーは、ある程度大まかに分けると良いでしょう。
3.ノート
テープを使い、ノートに名刺を貼り付ける方法です。上記で紹介した管理方法の中でもっともコストがかかりません。企業・業種別というように、自分好みの名刺管理が可能です。ノートの余白に名刺に関連する情報を記入できるので、後の振り返り時に役立ちます。
ただ、ノートの場合は名刺の差し替えができません。また、名刺の貼り方に気を付けないと、裏面に記載された情報が見えなくなるので注意が必要です。
デジタル式
デジタル式は、名刺をデータ化して管理する方法です。名刺のデータ化による主なメリットは以下のとおりです。
- 検索性の向上
- データにインデックスを付ければ「五十音順」「企業名」「業種別」などで検索が行えます。
- 物理的な保管スペースが不要
- サーバやHDDの容量があれば、アナログ式よりも膨大な量の名刺データを保管できます。
- 利便性の向上
- クラウドサービスを利用する場合、社外でも名刺のデータベースにアクセス可能です。
デジタル式での主な名刺管理方法は以下の4つが挙げられます。それぞれの特徴を紹介します。
1.名刺スキャナ
名刺スキャナで名刺をデータ化します。専用の名刺管理ソフトが付帯されているのが一般的です。紙での保管に比べ、名刺の保管枚数が大幅にアップします。しかし、スキャナの文字認識の精度が低い場合は手直しが必要です。また、社外への持ち出しが難しい製品もあります。
2.エクセル
エクセルに名刺データを入力する方法です。パソコンにエクセルが入っていればコストをかけずに名刺管理を行えますが、手入力するので手間がかかります。なお、エクセルで名刺管理を行う際は以下の点に気を付けましょう。
- パソコンへの負荷
- パソコンのスペック次第で、処理能力が低下するおそれがあります。また、データ量が膨大になると、パソコンの動きが遅くなるケースもあります。そこで、企業や業種ごとに複数のファイルを準備し、1つあたりのデータ量を小さくしましょう。
- 社外での使用リスク
- 名刺データの入力や閲覧を社外で行うと、情報漏えいのリスクがあります。フリーWi-Fi利用時のハッキングや、情報の窃取といった被害に遭う可能性が高いです。
- 人的ミスのリスク
- 手作業で打ち込んでいくので、入力間違い、漏れといったミスが発生しやすいです。
3.スマホアプリ
名刺管理アプリを活用する方法です。スマートフォンで名刺を撮影して情報をデータ化します。ほとんどのアプリがクラウドでデータの保管・管理を行っています。そのため、外出先でも名刺の登録が可能です。しかし、名刺の読み取りは1枚ずつしか行えないので、大量の名刺交換が発生する方の利用は難しいでしょう。
また、無料・有料を含めてさまざまな種類のアプリがあり、何を基準に選べば良いのか分からないケースがあるようです。
4.外注
名刺のデータ化を外注に依頼する方法です。これには、外注先へデータを送るケースと自社まで出向いてもらうものの2種類があります。前者は、名刺のスキャンは自社で行い、データの修正・管理を外注先が行う方法です。後者は、外注先の人材を招き、社内でデータのスキャン・アップロードを行います。データの保管・管理も外注先が担います。
名刺管理を外注に依頼すれば、専用の機器を用意する必要はありません。また、手間をかけずに名刺をデータ化できます。しかし、ほかの名刺管理方法と比べるとコストがかかりやすいです。加えて、外注先がどのようなセキュリティ対策に取り組んでいるのかを、あらかじめ調べる必要があります。
名刺管理をうまく行うポイント
名刺管理を行う上での注意点を、アナログ式・デジタル式の2つに分けてそれぞれ解説します。
アナログ:属性ごとに並び替え・分類をする
アナログ式の場合はインデックスを活用し、検索性を高めましょう。まず、名刺の分類からスタートします。一般的な分類の方法は以下のとおりです。
- 五十音順
- 企業・個人名で名刺を分類します。もっともオーソドックスで分かりやすいルールです。
- 業種別
- 名刺に記載されている人物の業種・ジャンル別(物流、金融、教育など)に分類します。特定の業種に助力してほしい場面で役立つ方法です。
- 時系列
- 名刺交換をした順に名刺を分類します。ビジネス上の関わりが深い人が前列に来る仕組みです。分類するスパンは、名刺交換をする頻度によって1か月、3か月、6か月と区切ると良いでしょう。
デジタル:バックアップ・セキュリティ対策を講じる
名刺は個人情報の集まりですが、紙のままだと紛失しても個人情報保護法違反に該当しません。
しかし、紙ではなくデータ化して紛失・流出してしまうと個人情報の漏えいに該当し、罰せられます。そのため、名刺管理をデジタル式で行う場合は、万全なセキュリティ対策を講じることが大切です。
特に手軽さゆえに利用者が多い名刺管理アプリは注意が必要です。スマートフォンのストレージへアクセス許可を求めるアプリも中にはあります。アクセスを許可してしまうと、意図せずに名刺データが第三者へ流出する事態に発展しかねません。
そして、名刺データは定期的にバックアップをとり、データ喪失のリスクに備えてください。データ喪失はいつ起こるか分からず、発生した場合はすべての顧客情報が白紙になります。
被害を最小限に抑えるためにも、組織ぐるみの取り組みが非常に重要になります。
名刺管理の最適な方法を選択し、取引チャンスを増やそう!
名刺管理の課題は下記のとおりです。
- ■枚数が多く整理整頓の頻度が低い
- ■管理が属人化している
これらを解決する方法と注意点は以下のとおりです。
- アナログ式
- 名刺を紙のまま管理する方法。属性ごとに分類して検索性を高める
- デジタル式
- 名刺をデータ化して管理する方法。バックアップ・セキュリティ対策が必要となる
自社での最適な名刺管理方法を模索し、取引チャンスを増やせるよう努めてください。