資料請求リスト
0

チームビルディングこそが最強のビジネスツール。方法論と事例を紹介

2023年01月17日 最終更新

チームビルディングこそが最強のビジネスツール。方法論と事例を紹介

1980年代から普及した、チーム単位で仕事を進めるという方法は、もはやいまでは常識です。特に変化の激しい現代では、少人数単位で効率的に仕事を進めることが求められています。チームビルディングの成否が仕事の成果に影響するといっても過言ではありません。

そこで今回は、現代におけるチームのあり方とチームビルディングの事例をご紹介します。

この記事は2021年11月時点の情報に基づいて編集しています。
目次

    そもそもチームとは何か?

    チームとはいったい何なのでしょうか。「グループ」とはどう違うのでしょうか。仕事で当たり前のように使われる「チーム」という言葉の意味を、きちんと答えられる人は意外に多くありません。

    そこでチームビルディングについて理解する前に、まずチームとは何か考えてみましょう。

    組織とは

    チームは「組織」の一形態です。そもそも組織とは何でしょうか。

    経営学者バーナードによれば、「意識的で、計画的で、同じ目的をもつ2人以上の協働活動」と定義されます。つまりこの定義に当てはまればどのような活動も組織と言えます。

    例えば、あなたが小規模な飲み会の幹事をやることになった場合、2人以上で飲み会の成功に向けて計画的に取り組めば、それは組織になり得ます。反対に単に2人で集まるだけでは組織にはなりません。企業における組織も、何かしらの目的を共有して意識的かつ計画的に集まっているといえます。

    「チーム」と「グループ」の違い

    では「意識的で、計画的で、同じ目的をもつ2人以上の協働活動」である組織の中で、「チーム」と「グループ」はどう違うのでしょうか。

    組織行動論では、グループ」は「特定の目的を達成するために集まった、互いに影響を与え合い依存しあう複数の人々」と定義されます。簡単に言えばグループとは、メンバーがお互いの業務助け合うために、主に情報共有を目的として交流する集団です。一方でチームは「協調を通じてプラスの相乗効果(シナジー)を生むもの」と定義されています。

    つまり「グループ」は互いに情報共有することが目的であるのに対し、チームは業績を高めるために存在しているということをよく理解する必要があります。

    チームビルディングとは何か?

    「チーム」と同様に、「チームビルディング」は、仕事の中でよく聞く言葉です。定義を確認しておきましょう。

    チームビルディングとは

    チームビルディングを直訳すれば、「チーム」をビルド(構築)する行為です。では、単にチームを結成することがチームビルディングなのでしょうか。

    チームビルディングに関しては、経営学、心理学、社会学などの幅広い分野で議論がなされてきました。こうした議論は、しばしば「いかにして効率的で優れたチームをつくるか」を中心的な目的として論じられます。

    つまり、チームビルディングとは単にチームメンバー同士が仲良くなることや団結力が高まることではなく、シナジーを生み出すための効果的なチームをつくる手段です。

    効果的なチームとは

    では効果的なチームとはどのようなチームなのでしょうか。

    世界中で読まれている組織行動論の教科書「組織行動のマネジメント」によれば、効果的なチームをつくるには大きく4つの要素があるとされています。

    1.基盤

    まず1つめは基盤です。基盤はチーム業績に大きく影響を与える要因です。基盤は、資源、リーダーシップ、信頼関係、評価と報酬4つから構成されます。

    資源
    チームがうまくいくためには、そもそもある程度の資源が必要です
    リーダーシップ
    リーダーがいなければチームは成り立ちません
    信頼関係
    チームメンバー同士が信頼関係がなければ協働することはできません
    評価と報酬
    メンバーがチームに貢献するためには、チームへの貢献を評価して報酬に反映させることが重要です

    2.構成

    メンバー構成も効果的なチームの重要な要素です。効果的なチームのメンバー構成は7つの項目から成り立ちます。

    メンバーの能力
    メンバーの個々の能力
    パーソナリティ
    メンバーの性格などのパーソナリティ
    役割の割り当て
    誰がどんな業務を担うのか役割を決めること
    多様性
    メンバーの多様性
    チームの規模
    チームの人数規模
    メンバーの柔軟性
    メンバーが互いに柔軟に対応できるか
    メンバーの嗜好
    メンバーの仕事上の好み、例えば個人プレーが好きなメンバーが多いチームは個人プレーが多くなる

    3.職務設計

    チームが成功するためには、そのチームが何の業務を遂行するのか職務設計をする必要があります。同時にチーム内でもメンバーに対し、各メンバーがどのような業務をするのかを明確にしなければなりません。

    4.プロセス

    効果的なチームを構成する最後の要因は、プロセスです。プロセスはチームにおける仕事の処理方法です。優れたチームには5つのプロセスがあります。

    共通の目的
    効果的なチームはメンバーに方向性や共通の価値観をビジョンとして共有しています
    具体的な目標
    成功するチームは、具体的で測定可能な目標が設定されています
    チームの自信感
    優れたチームはリーダーとメンバーが自分たちに自信や誇りを持っています
    コンフリクトの程度
    良いチームになるには、時にはほどよい対立も必要です
    社会的手抜きの回避
    効果的なチームは、メンバーがサボらないように、メンバーに対し達成責任を追求しています

    一般的に私たちはチームビルディングといえば研修やゲームなど、何らかのアクティビティをイメージするでしょう。しかし、チームビルディングは、効果的なチームを作るために、基盤、構成、職務設計、プロセスの4つの要因のどこを見直すか検討することを意味します。

    チームが機能するには?

    実際の現場では、なかなかここまでの大掛かりな見直しや検討は難しいでしょう。そこで最低限、チームが効果的に機能するためのコツをご紹介します。

    最適なチーム人数

    チームを作る際に管理者が最も悩むのが、チームの人数ではないでしょうか。

    組織行動論の研究結果では10名未満のメンバーで構成されたチームが最も効果的であるとされています。10名以上になるとサボる人員が増えることが研究でも明らかになっているため、チームを作る際には構成人数を10名未満にしましょう。

    チームメンバーの役割

    あなたのチームでは、チームの役割やメンバーの役割を明確に定義しているでしょうか。役割があいまいな場合、シナジーを生み出すことはできません。

    チームメンバーの特性を活かして、助言役、調整役、企画担当など役割をあらかじめ決めて、チームとして相乗効果が最大化できるようにしましょう。

    近年のチームビルディング

    以上のように効果的なチームをつくるためには数多くの要素が必要です。しかし、最近のチームビルディングは、特にチームメンバーの関係性に焦点があてられています。近年のトレンドをご紹介します。

    タックマンモデル

    チームはどのように生まれ、どのように成長するのでしょうか。心理学者のブルース.W.タックマンは、チーム形成の過程を「タックマンモデル」を用いて説明しています。タックマンモデルによれば、チーム結成から機能するまでには5つの段階があるそうです。

    (1)形成期
    文字通りチームが結成された段階です。この段階では、リーダーがメンバーに役割や方針を理解させるとともに、メンバー同士が互いを知ることが求められます。
    (2)混乱期
    メンバーが互いを理解し合えないことにより、主張がぶつかり合って混乱が生じる時期です。この時期はあえてぶつかり合いを避けず、互いに理解し合うことを促進しましょう。
    (3)統一期
    混乱期を乗り越えることができれば、メンバー同士がより深く互いを知り、一体感が生まれ始めます。仕事もやっとうまく行きはじめるでしょう。
    (4)機能期
    チームとして機能する時期です。リーダーがきちんと方針と役割分担さえ与えていれば、メンバーは自律的に動くことができます。
    (5)散会期
    チームが解散を迎える時期です。目的の達成やプロジェクトの終了など、チームはいつか終わるものです。最後までリーダーがメンバーに感謝していれば、よい形でチームを締めくくることができるでしょう。

    よく互いの意見が合わずに崩壊しそうになるチームがあります。しかし、優れたチームは、チーム崩壊の危機を乗り越えていることを覚えておきましょう。

    ダニエルキムの成功循環モデル

    このようにチームが形成されていく中で、具体的にチームの生産性を向上させる方法として「成功循環モデル」が用いられます。マサチューセッツ工科大学教授のダニエル・キムが提唱した「成功循環モデル」は、組織のよいサイクルと悪いサイクルを説明した理論です。

    成功循環モデルは関係性の質、思考の質、行動の質、結果の質の4つの過程から構成されます。簡単に言えば、チームメンバーの信頼関係がチームの結果に大きく影響するということです。

    私たちは多くの場合、良い結果が出なければ行動を変えようとします。しかし行動を変えても、メンバーの関係性が悪ければ良い結果が出てもすぐに元の悪い結果に戻ってしまうでしょう。

    心理的安全性がチームを加速させる

    成功循環モデルに加えて近年、特に注目されているのが「心理的安全性」です。心理的安全性のある環境とは、チームの中でメンバーが自由に自分をさらけだせる環境を言います。

    メンバーが上司の前で失敗を恐れ、無難な仕事ばかりしているとチームは高い業績を上げることが難しくなります。心理的安全性が生産性の高いチームの重要な要素だと発見したのはGoogleです。Googleでは効果的なチームをつくるために、マネージャーとメンバーが本音で語り合うセッションを継続的に実施しています。

    このように近年のチームビルディングはチームの機能よりも、チームの関係性を改善することで生産性を高める取り組みが増えています。

    チームビルディングの事例

    最後にチームビルディングの事例としてヤッホーブルーイング社の例を紹介しましょう。

    ヤッホーブルーイングは、「よなよなエール」や「水曜日の猫」などオリジナリティの高いクラフトビールを製造販売しています。

    ヤッホーブルーイングでは、お互いに自由に意見を言い合えるフラットな職場づくりを目的としてさまざまな取り組みを行っています。

    1つはチームビルディング研修を全社員に実施。1回だけの研修ではなく、継続的に実施し、チームビルディング研修の講師まで自社で育成しています。研修では仕事のことだけでなく、家族やプライベートのことなどを社員同士が本音で議論しているそうです。

    また、単に研修だけを行うのではなく、自由に意見を言い合えるためのコミュニケーションの仕組みを確立しています。例えば社員同士が雑談をするための朝礼を実施するほか、クラウドを活用して全社員が各部門の議事録などを自由に見られるようにしています。

    仕事の進め方に関してはプロジェクト制を採用。プロジェクトの責任者も立候補制にしています。

    このようにヤッホーブルーイングでは、社内の心理的安全性を高めるとともに、社員が自ら進んで仕事を進められる環境を整えています。

    まとめ

    チームビルディングというと、チームビルディング研修を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。研修をやることがチームビルディングでもなければ、チームのメンバー同士が仲良くなることだけがチームビルディングでもありません。

    効果的なチームをつくるために、チームのどの要素が課題なのかを考え見直すことが本当のチームビルディングです。ヤッホーブルーイング社のように雑談ができる仕組みを導入することや、社員が自発的に仕事に取り組める環境を整えてもよいでしょう。

    いずれにしても今回ご紹介した要素を参考に、まずはあなたのチームは何が課題なのかをぜひ考えてみてくださいね。

    新NISAに関する実態調査アンケート

    アンケート回答者の中から毎月抽選で10名様に

    Amazonギフトカード1,000円分が当たる!

    電球

    ITトレンドMoneyみんなのおサイフ事情では

    「新NISAに関する実態調査」をしております。

    ぜひご協力ください。

    it-trend moneyロゴ
    新nisaアンケートロゴ
    \匿名OK!カンタン2分で完了/アンケートに答える
    このページの内容をシェアする
    facebookに投稿する
    Xでtweetする
    このエントリーをはてなブックマークに追加する
    pocketで後で読む