ゲストプロフィール
エピックベース株式会社 取締役
西澤 宗氏
1988年生まれ。埼玉県宮代町出身。2011年に明治大学を卒業後、株式会社イノベーションに入社。Webマーケティングの営業や新規事業の立ち上げや、自社MAツールの営業責任者を経験し2016年12月にIPO。2017年4月より株式会社セールスフォース・ドットコムに中堅中小企業向けの外勤営業として入社。初年度から年間目標を達成し、史上初の記録を残したことなどが評価され、2019年2月より当時の最年少で同社大阪支社の外勤営業部長に昇進、マネジメントに従事。
2020年3月、取締役としてエピックベースを共同創業。
西澤さんが紹介する3つのITツールはこちら
はじめに
ーー御社の事業について教えてください。
弊社は、音声×AIを活用したスマート書記という議事録作成・共有・管理を自動化・効率化するSaaSツールを開発・販売しています。将来的には、ビジネスにおけるさまざまな音声、例えば会議や商談、電話などの音声をデータ活用していきたいです。今後は、世の中のDXを促進するためのツールとコラボレーションすることも視野に入れながら、あらゆるところから音声の"一次情報"が集まるような戦略を考えています。
例えば営業のシーンでは、商談などでのお客様の声が"一次情報"と定義できると思います。しかし実際には、すごく重要なはずの"一次情報"をうまく使えてないという課題があると感じています。そういった課題を解消するために、まずはスマート書記を使って一次情報を集め、さらにその情報をビジネスで活用する、というステップで事業を発展させていきたいですね。
ーー西澤さんのミッションについて教えてください。
私は取締役という立場で、新規営業やCSなどのビジネスサイド全般を管轄しています。弊社はまだ人数が少ない会社なので、マネジメントや会社としての意思決定だけではなく、自分自身も現場の最前線で営業したり、CSの解約阻止アプローチに関わったりすることもあります。
普段は、メンバーとのコミュニケーションする際は、正直に忖度なく素のままの自分でいられるような環境づくりを心がけていますし、そういう企業文化を作りたいです。ただ、もちろんビジネスという意味では、事業としてのビジョンや目標を追いかけるストイックさも必要だと思っています。そういったオープンコミュニケーションと、目標達成への強い気持ちを素直に行動につなげることが両立できるような環境を作ることもミッションの一つです。
スマート書記
スマート書記は、議事録作成・共有・管理ツールです。自画自賛で恐縮ですが、本当うちのツール最高なんです!(笑)。会議後の「議事録を作る時間」ってもったいないんですよね。でも、情報共有という観点では、ドキュメントを残す必要があるので、大変だけどやらないといけないことだと思います。そこで、会議の情報やコミュニケーションの内容を共有することにかかる工数を削減し、会議時間をより深い議論の場にするために活用しています。
メモをしながら同じツールで会議の録音ができるところと、録音した音声とメモにタイムスタンプをつけることで、紐づけられ、後から聞きなおしが楽になることがほかのツールとの違いですね。例えば、会議が始まったらブラウザを立ち上げて、スマート書記を開いてボタンを押すだけで録音でき、とても気軽に使えます。実は今、このオンライン取材も録音しているんですよ。
また会議中に、スマート書記上で「ここ大事」などのメモを取っていくと、自動的に音声に対してタイムスタンプをつけて紐づけてくれます。後からメモの確認したい部分をクリックすると、紐づいた部分の音声と文字起こし結果がピンポイントで確認できるんです。
最近実装した、会議に参加している話者を識別できる機能も好評です。商談で使えば、お客様の発言のところだけを抽出して、重要な発言をすぐに確認することができます。
↑スマート書記によって文字起こしされた議事録内容
ーー議事録を取る以外に、普段の業務でも使いますか?
カジュアルな打ち合わせも、とりあえずスマート書記で録音しています。会議中にメモもスマート書記に一元化されているので、打ち合わせが終わった後に参加していないメンバーにもURLを送付するだけで、メモと録音音声・文字起こしデータを共有でき、情報共有の手間が減ったと感じます。
ーー「文字起こしされたものを編集して議事録を作る」という使い方以外に、メモを確認しながら音声や文字起こし内容を見て情報を補完したり、クイックに全体の流れを確認できるのがおもしろいですね。商談の場面でも使えそうです。
商談内容を上司に共有するときにもめちゃくちゃ使えます。マネジメントをする立場としては、営業担当の意見を聞きたいんじゃなくて、お客様のリアルな声が知りたいっていうシーンってあるんですよね。
そんな時は、メンバーが上司に商談報告をする際にURLを共有するだけで、スマート書記で作成した商談メモとお客様のリアルな声を一緒に共有でき、上司の課題を解決できます。上司が商談内容をもっと細かく知りたいと思ったら、文字起こしのところからぱっとポイントだけ確認して、「じゃあ、この案件はこうやってクロージングした方がいい」みたいなより的確なアドバイスがしやすくなると思います。
マーケティングなど商品開発している人も、実際のお客様の声が欲しいですよね。「全部の録音を聞くのは大変」というときもスマート書記を使って記録を残しておけば課題がリアルに分かるので、よりお客様のためになるものが作る手助けになると思います。
ーー文字起こしデータの確認と、音声の確認のどちらもできると思いますが、西澤さんの使い分け方法はありますか?
どの情報が欲しいか、ですよね。”一次情報”と言われる、声や言葉のニュアンスなどを、素のままの情報で知りたいときは音声を確認します。例えば代表がVC(ベンチャーキャピタル)と面談したときの内容の共有は、ランニング中にスマートフォンで二倍速にして聞いたりします。アドバイスをもらった時も、テキストで共有を受けるだけではどんな意図・テンションで言ってくださった内容か分からないけど、音声を聞いたら一発で分かりますよね。
一方で、商談や定例会議の記録など、決まったことやTODOがある程度まとまった情報をクイックに確認したいときは、テキストを見ながら深掘りしたいポイントだけ音声を聞くという感じです。最初に知りたい情報が何かっていうのが区分けになっていますね。
- Q.どんなときに使っているか
- 定例会議、VCとの面談の記録。商談の録音とフィードバック。
- Q.気に入っている機能
- 自動で話者を識別できる機能はめちゃくちゃいいです!お客様の発言だけを見たい・聴きたい、が簡単に実現できます。音声とメモ・文字起こし内容が全て紐づくタイムスタンプ機能も便利です。
- Q.おすすめの企業
- 議事録を作成することが多い経営企画の部署の方におすすめです。特にICレコーダーの録音を聞き直しながら膨大な時間をかけて議事録を作っているという方には、ぜひ使ってほしいです。また、私のようにBtoB営業のマネジメント層にもおすすめですね。
スマート書記の公式ページはこちら
https://www.smartshoki.com/
Salesforce
弊社の場合、Salesforceをリード管理から商談受注という営業プロセスの全てで使っています。導入のきっかけは、私が前職でSalesforce社にいたことです(笑)。もともと前々職で利用していてめちゃくちゃいいなって思っていてSalesforceに転職した、っていうくらいファンだったんです。そう言った背景もあり、会社設立にあたり私がジョインしたタイミングで、別のツールからリプレイスしました。当時の営業担当も使ってみて「めちゃくちゃいいですね」って言ってくれたので嬉しかったです。
何より、定量データの分析の機能がいいですよね。例えば、無料トライアルからの有償化率や解約率の可視化など、レコード数だけではなく自動計算を設定できるので、集計業務に負荷がかからないところがいいと思います。
↑自動でレコードが生成された商品スケジュール画面
今は、スタートアップでも手を出しやすいSales Cloudの「Professional Edition」という商品を、私を含めたインサイドセールスからCSまで営業に関わるメンバー全員が使っています。今は6人ぐらいかな。ゆくゆくは、セールスプロセスの改善にもっと力を入れて、見積書との連携や販売管理までSalesforceでやりたいと思っています。
ーースタートアップ企業にもSalesforceは適していますか?
一般的には、Salesforceはエンタープライズなどある程度成熟した会社が導入する、と考える方が多いと思います。しかし、私はスタートアップこそSalesforceを導入した方がいいと考えています。なぜなら、スタートアップは限られたリソースの中で他社に勝っていかなきゃいけない。そのなかで数値の集計業務や、誰でもできるような業務に工数をかけていても急成長では到底できないと思うんです。
Salesforceを使って面倒な集計業務などを自動化して、セールスがやるべきことを最小限にしてオペレーションを整える。これによって実現する意思決定の確かさ・早さが、受注確率を上げることにも貢献すると思います。やっぱり感覚で意思決定していくことは、成長の妨げになります。Salesforceで自動集計されたデータをもとに経営や営業の戦略の判断をすることで、短期間で成長していくことができるのではないでしょうか。
- Q.どんなときに使っているか
- リード・商談管理、営業に関するデータの定量分析、契約管理。
- Q.気に入っている機能
- 「商品スケジュール機能」です。弊社のようにサブスクリプション型のビジネスだと、毎月いくらの月売上があるのかという計算が手間だったりするんですが、例えば月3万の契約という商品を登録すると、12ヶ月分の3万、3万、3万…っていうレコードを自動生成してくれるので便利です。
- Q.おすすめの企業
- スタートアップこそSalesforceを導入すべきだなって思っています。投資するだけの価値があります。
《Sales Cloud》のPOINT
- 15万社の圧倒的な導入実績とノウハウ
- 導入企業は、売上30%アップを実現!
- 世界でも日本でもトップシェアのCRM/SFA
Calendly(カレンドリー)
Calendlyは日程調整ツールです。チームで導入しており、最上位の有料プランを使っています。それくらい投資する価値があると思います。創業から1年経った2021年4月ごろに、インサイドセールスの生産性を上げたいと思ったのがきっかけで使い始めました。
当時はツール選定にかけられるリソースもないほど工数が逼迫した状態だったんです。そんな時に、周りで既にCalendlyを使っているスタートアップの会社さんがいたので、他社が選定して活用しているツールなら間違いないだろうと思い、「じゃあ、その選定に乗っかろう!」というので決めた記憶があります。
具体的な機能の話をすると、弊社が普段使っているGoogleカレンダーの予定をCalendlyが見て、自動で日程調整の候補日の一覧をURL化してくれるので、それを調整相手に投げるだけで、日程調整が完了する、というものです。設定した期間や時間、担当者などの条件に合った候補日時からお客様が都合がいいものを選べるようになっていますし、日程を確定すれば、弊社だけでなくお客様側のカレンダーにも予定が自動で登録され、そこにZoomなどのWeb会議URLも自動挿入してくれます。
↑Calendly内の西澤さんのスケジュール管理内容
ーー今は、お客様から問い合わせが来たら、インサイドセールスの方がCalendlyを使って返信の対応だけをしているという感じですか?
そうそう、URLを送るだけですね。チームプランにした理由も、アポイントの振り分け自体を自動化させたかったからです。
一つの案件に対して、複数のメンバーのアポイント調整をしたかったんですよね。CalendlyにはRound Robin(ラウンドロビン)という機能があって、この機能を使えば、例えばAさん、Bさんっていう人がいたときに、Aさんには7割の比重でアポイントを入れて、残り3割はBさんへ振る、みたいなことが可能です。
ーー日程候補はメールで送るのが当たり前、という意識がまだまだあると思うんですが、Calendlyを利用したときのお客様の反応はどうですか?
たしかに最初に導入するときはお客様がどんな反応をするか懸念したんですが、実際は全くそんな心配はいりませんでした。逆にアポイントが入りやすくなったと思います。お客様もわざわざメールで返信しなくていいから楽ですよね。明確にアポ率変化の数値を出してはいませんが、感覚的には上がっていると思います。
商談したお客様のなかには、「このツールなんですか?」「Calendlyを紹介してほしい」っておっしゃる方もいらっしゃいます。そういった反応を見ると、お客様のためのツールでもあると思っています。候補日程を送ってダメだったら、またお客様側に候補日程を返信してもらってとか、手間ですよね。お客様側の工数も下げられるので、すごく受け入れられているなと思います。
ーー2022年9月現在、英語版しかありませんが、不自由なく使えてますか?
いや、不自由!(笑)。でも、なんとなく分かりますよ。日本版ができたらめちゃくちゃ嬉しいですね。でも、Google Chromeの翻訳機能を使ってうまく利用できていますし、お客様に見えるコメントなどは、日本語で入力できるので、お客様側は、あまり違和感はないと思います。
- Q.どんなときに使っているか
- 営業では、商談のアポイント調整、CSのキックオフや個別相談会で使っています、他にもVCとの日程調整、人事面接のスケジュールなど、あらゆる場面で使っています。
- Q.気に入っている機能
- 社内メンバーが複数いる場合に、全員が空いている枠か/誰かだけが空いている枠調整するかなど、細かな条件設定ができる機能です。例えば、新人の商談で私の同席が必要という場合は、and条件でお互いが空いているところで日程調整できるし、セールスとして独り立ちした後はor条件に変えて、お客様へ提示できる枠を増やすといったこともできます。
- Q.おすすめの企業
- 日程調整をしないことなんてないので、全ての企業ですね。強いて挙げるとすると、スタートアップはリソースが限られていて、日程調整に時間を割くのがもったいないと思うので、何かしらツールを使った方がいいと思います。
Calendlyの公式こちら
https://calendly.com/
編集後記
実はこの記事の編集作業では、スマート書記の無料トライアルを発行していただいて、文字起こしから編集までやってみました!取材中に、記事にしたいエピソードやキーワードをメモするだけで、後から確認と編集がしやすいので、文字起こしから編集までの時間が3分の1ほど削減できました。同時編集ができるのでチームでの作業にも向いていると思います!
スタートアップ創業2年半ということで、プレイングマネージャーとして現場の声を聞きながら速いペースでの事業成長を実現している西澤さん。少ないリソースで最大限に力を発揮できるように、作業をどんどんシステム化して業務に取り組んでいる姿が印象的でした!取材させていただきありがとうございました!
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