ゲストプロフィール
株式会社シンカ
代表取締役社長 江尻 高宏 氏
関西大学大学院工学研究科修了後、株式会社日本総合研究所(日本総研)に入社。約8年間、金融系の情報システム開発に従事。メインフレームからC/Sシステム、Webシステムまで、広範囲の開発プロジェクトに参画。チームリーダーやプロジェクトマネジャーを経験。
その後、株式会社船井総合研究所(船井総研)に入社。営業戦略やマーケティング戦略、商品戦略を中心に、中小IT企業向けのコンサルティングに注力。その中でも特に、クラウドビジネスの新規参入や、クラウド商品の販売強化に強みを持ち、年間20本ほど講演を行っていた。2013年12月に退社後、2014年1月にIT企業である株式会社シンカを設立。「ITで 世界をもっと おもしろく」を経営理念に、クラウドサービスを中心にITを世界に広めることに注力している。
江尻さんが紹介する3つのツールはこちら
はじめに
ーー今回、江尻さんが“コミュニケーション活性化”というテーマで今回のおすすめツールを選定された理由を教えてください。
2020年に始まったコロナ禍によって、仕事はテレワークが主体になりましたよね。リモートで働くことは、仕事の効率化や、オフィスという場所にとらわれずに働ける、東京一極集中を解消する、などのメリットをもたらしました。けれど一方で、会社での雑談や、ちょっと顔色が良くない部下に「コーヒーを飲みにいこうか」と誘って様子を聞いてみるなど、“ちょっとしたコミュニケーション”がだいぶ薄れてきているような気がします。
人は一人では生きていけないですし、Withコロナの時代でも、以前のような気軽なコミュニケーションをして、上司と部下の温かい関係を築けたらいいなと思っています。「テレワークがITで実現したのなら、コミュニケーションもITで実現できる」と思っているので、今回はこのテーマに絞ってみました。
ーー今日は、御社の「カイクラ」もご紹介していただきますが、江尻さんはなぜ音声テックに着目されたのでしょうか。
前職で経営コンサルティングをしていたときに、全国の中小企業を見て回りましたが、地方に行くほど仕事はアナログで、電話をものすごく使っていると感じました。地元密着で仕事をしている企業は、取引先との雑談の間に発注したりするんですよね。
ですが、口頭でのやりとりにはトラブルが付きもので、生産性が下がっていることもあります。そんな状況を見て、「記録が残らないコミュニケーションを続けると、いつまでたっても楽にならない」と思い、固定電話の会話を見える化することからサービスをスタートしました。カイクラのネーミングの由来は、「会話をクラウドでおもしろく」なんですよ。
Notion
弊社では、Notionを「社内Wikipedia」と呼んでいます。Notionは、オールインワン ワークスペースがコンセプトの情報共有ツールで、メモ作成、プロジェクト管理、タスク管理が合体しています。リモートワークになってから、いろいろな場所で様々な人が仕事をしていますが、混乱を招かないために「社内情報のアクセス先は一つ」というのは大事なことだと思います。弊社では、PCを立ち上げるとNotionが見られる設定にしています。
さらに、弊社はNotion内に自己紹介ページを作っています。これによって新旧メンバーが短期間で距離を縮めるのに役立っていますね。Slackにチャンネルを作っても情報は流れていってしまうので、Notion上の自己紹介ページは重視しています。
ーーいつ頃、Notionを全社で有料導入されたのでしょうか。
会社で使い始めたのは、採用人数が増えた2022年からです。同じ情報を全員が共有するというのは非常に大事なことで、Notionは、気軽に見られて、簡単に検索でき、誰でも分かるというのが優れていると思います。新入社員にも「これを見ておいてね」と言えるのでいいですね。
- Q.どんなときに使っているか
「社内Wikipedia」として全社で活用しています。私は、社員がどんな動きをしているのかを把握するのにも使っています。各部の情報共有はもちろん、部をまたいだプロジェクトなどもチェックします。
また、自己紹介ページの更新頻度が高い人は、仕事のモチベーションも高い傾向にあったり、更新頻度が低く、情報があまり入っていなかったりする人は課題があるのかな、と推測するなど、アラートとしても見ていますね。
- Q.気に入っている機能
- 法人版では、項目毎にアクセス権の設定ができるのが便利ですね。情報管理とはアクセス権限の管理ともいえるので、権限を設定した上で役員専用ページなどもNotion内に設けています。
- Q.このツールがおすすめの企業
- 社員数が30名を超えたら、Notionで情報管理するべきではないでしょうか。社内の情報管理に課題を感じている企業や、社内全員に情報が行き届いているか不安があるなら導入するといいツールだと思います。
《Notion》のPOINT
- ドラッグアンドドロップでドキュメントを管理
- オリジナルのタグを設定可能
- ほかのツールの内容をNotion内に埋め込み可能
※ITトレンドでは、株式会社ノースサンド様が代理店のNotionを紹介しています。
Jira
とにかく、使い勝手がシンプルなのがJiraの特徴です。プロジェクトを円滑に進めるためのチケット(課題・タスク)管理を実現し、さらに作業の効率化にも適しています。
会議で報告するための報告書作成はまったくの無駄だと思っているので、Jiraを活用することでメンバーのタスク状況を常に把握でき、報告するのに時間がかからないところが気に入っています。
弊社のようなベンチャー企業は、小さいタスクが並行で動いていて、さらに一人が複数のプロジェクトに参画することが多いので、管理ツールは必須です。タスクの多い開発部が4年前から使い始めました。
- Q.どんなときに使っているか
- Jiraを使い始めて、会議がやりやすくなったと感じています。ミーティング中に会議室のモニターにJiraを映して、参加者全員でプロジェクトの進捗を確認できるので、上長や責任者から、メンバーのタスク漏れがなくなったと好評です。
- Q.気に入っている機能
- 「タスクの進捗→承認待ち→作業完了」まで簡単にドラッグ&ドロップできるユーザーインターフェースです。全員で合意して作業終了にできるところが良いですね。
- Q.このツールがおすすめの企業
- 開発部署を持っている企業はもちろん、タスクが多くて、同時にいくつも並行して動いているベンチャー企業の管理部なども重宝すると思います。また、タスク毎の作業時間も管理できるので、工数が分かり、コスト管理もできます。
《Jira》のPOINT
- リックソフトはAtlassian Platinum Solution Partnerです
- 世界65,000以上の企業が利用しているプロジェクト管理ツール
- アジャイル開発・ウォーターフォール開発・ビジネス部門にも
※ITトレンドでは、リックソフト株式会社様が代理店のJiraを紹介しています。
カイクラ
お客様との会話によるコミュニケーションは会社の大切な財産です。カイクラは、電話応対におけるトラブルを無くし、従業員の生産性や顧客満足度を向上させる電話業務効率化ツールです。 現在、全国で2,400社、3,700拠点でご利用いただいています。
固定電話、携帯電話、メール、SNSなど、お客様とのタッチポイントは増えつづけていますが、連絡が取りやすい反面、誰がいつどのツールでコミュニケーションを取っているのかが分かりにくいというデメリットも発生します。履歴がバラバラになってしまうんですね。そこで、カイクラを活用することで、お客様とのコミュニケーションの一元化を実現します。
固定電話や社用携帯での履歴が自動で残ったり、電話の音声をテキスト化したりできるので、会話の見える化も実現します。さらに、クラウドで管理しているので、どの店舗・支社にお客様から連絡が来ても高い品質の顧客対応ができるんです。情報が共有・一元化されることで、「社員(個人)とお客様」の関係が、「会社とお客様」の関係に変わっていくんですよね。
ーーカイクラは、リモートワークでも活躍しそうですね。
そうですね。今はテレワークと出社のハイブリッドな働き方が主流になっていますが、例えば自宅勤務のときに、会社の代表電話から転送された誰からか分からない電話を取るのは結構ストレスになりますよね。カイクラが入っていれば、電話を取る前に相手先が判明し、履歴から何の用件なのか予見もできるので、安心して対応ができます。
ーーカイクラの今後のアップデートの予定を教えてください。
今後は、LINEなどSNSも連携させて、やりとりのすべてを一元化していくことを目指しています。また、音声の情報を自動分析する機能もリリースさせたいですね。音声による情報量は多いので、いい情報も隠れています。いずれは会話からすべて再現されるようになり、「顧客管理」という概念がなくなっていくのではないでしょうか。
- Q.どんなときに使っているか
- 会社に私宛の電話も多いのですが、外出や出張が多いので、リアルタイムには出られないことが多いです。カイクラは相手の音声を録音できるので、出先から相手の話の内容はもちろん、声のトーンなどを確認したりしています。
- Q.気に入っている機能
- SMS(ショートメッセージ)との連携ですね。携帯番号だけで届くショートメッセージは、電話が繋がりにくいお客様への連絡や不在時の伝言に有効です。また、パソコンからショートメッセージを送れるので、メッセージを共有できて、コミュニケーションが途絶えません。
- Q.このツールがおすすめの企業
- 自動車販売会社様や不動産業界のような、単価が高くて、購買頻度が低い商品を提供している業種の方には特に適しています。車や家を買うのは生涯のイベントで、購入に至るまでには多くのコミュニケーションが発生します。さらに、売っておしまいではありませんよね。1年後のご連絡であっても、「○○様、その後お車の調子はいかがでしょうか?」と電話を受けた社内の誰でもが受電時に対応できることが、顧客満足につながります。
《カイクラ》のPOINT
- ◉アカウント数(席数)によって料金の変動なし
- ◉電話番号の変更なしで利用可能
- ◉ワンクリックで最終対応者の情報追記ができる
編集後記
リモートワーク(テレワーク)の普及によって、社内外のコミュニケーションの在り方を不安に思う人は増えているはず。江尻さんの会社では、働き方はハイブリッド型で、週1、2回を出社にしたり、誕生日の人とのランチや、四半期に1回、全社員が集まる全体会議など交流を深めるイベントも大事にしているそうです。
さらに、記事の冒頭にあるように「雑談の場を大事にしている」そうで、今回紹介していただいたITツールも、新しい働き方の中で、使い方次第でコミュニケーションが活性化するものでした。社外とのコミュニケーションでは「取りこぼさない」ように、社内では「手落ちがない」ようにしていくのも、ITツールのバックアップが不可欠と感じました。
カイクラはITトレンドからお問い合わせも可能ですので、ぜひ資料請求をしてみてはいかがでしょうか。
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