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税理士 長谷川先生に聞く!IPO・事業成長に必須のITツール

税理士 長谷川先生に聞く!IPO・事業成長に必須のITツール

IPO(新規上場)する企業の裏側では、どんなITツールの活用がされているのでしょうか。厳格な会計ルールに則り、経営数字を迅速かつ正確に行う上ではITツールを活用した見える化は必須のようです。

今回は、株式会社オペレーション代表で税理士の長谷川先生に、ここ数年で顧問先から10社以上をIPOに導かれた実績から、事業成長をさせている企業が使っている工数管理ツールや、おすすめの原価管理ツールを伺いました。経営者の方だけでなく、実務担当者にも分かりやすく役立つ情報をたくさん教えていただきました。

ゲストプロフィール

株式会社オペレーション
代表 税理士
長谷川正和氏

1989年に大手損保会社に入社し営業担当を経て、本社人事部で新卒社員採用を経験。
のちに都内大手税理士事務所の後継者として転職し、副所長として法人申告、税務調査、ISO品質管理などで手腕を発揮。
その後株式会社オペレーションを設立し代表就任、現在は税理士として法人税務のほか、IPO準備サポート、「会計力」をキーワードに営業パーソン向けの会計リテラシーセミナー等も開催している。

はじめに

ーー最初に、長谷川先生の事業やIPO支援の実績について教えてください。

IPOを目指すベンチャー企業の税務顧問としての業務と、組織管理体制の構築、運営など証券審査に向けた上場準備の支援業務をしています。

今年2022年3月にも1社がIPOされており、2016年以降からの実績でちょうど10社となりました。いわゆる上場計画の2~3期前から上場後も含めた数年単位で業務をご支援している企業様の数です。内部監査や資本政策関係などの一部ご支援を含めるとそれ以上になります。

残念ながら業績の都合からIPOを先送りや親会社と再編成を行うことなどを決める会社様なども当然ありますから、上場準備企業の支援という意味では延べ50社前後になるかと思います。

ーー6年で10社の上場支援とは多いな、という印象があります。

ありがとうございます。規模の大きい専門コンサルや税理士法人も当然あって、もっと広く業務展開していらっしゃるところもありますが、個人税理士がこのIPO領域でサポート業務を継続しているという事務所は多くはないでしょう。

最近は、スタートアップという言葉もよく使いますが、設立当初は事業規模も資本規模も小さいけれども、将来に向けた大きいビジョンをもって起業するケースもありますよね。そういう会社が、IPOを目指すことは将来の視野に入っていても、専門コンサルを入れるコスト負担はなかなかできません。会社に寄り添って経営数字を見たり、株主構成や増資、銀行借入など資金調達など経営者の身近にあって初期の経営全般のご相談に乗るのはやっぱり税理士ですよね。

IPOを目指されるのであれば、IPO実務に精通した税理士とコミュニケーションが取れるような接点を作っておくということは、とても大事なことだと思っています。

IPOの準備で必要なこと

ーーIPO準備はいつごろ始めたらいいのでしょうか?

監査法人が入って、上場のための監査を受ける期間というのが2年間です。しかし、だからと言って「上場準備が2年間」というわけではありません。その2年間というのは学生で言えばテスト期間中みたいなものです。監査法人や主幹事証券会社が、組織管理の体制が上場会社として相応しいかチェックをするわけですよね。そうすると、テストの日になって「今から勉強をします」ということはないはずです。(笑)

私は経営者の方には「監査期間の2年は”テスト期間”だから、地に足の付いた無理のない準備をするなら5年は見ましょう」と言っています。つまり、監査法人による監査を受けるさらに3年前ぐらいから準備をしていくと無理なく計画的に進められます。

ある程度長い目で、ビジネスモデル構築、社風やルール作り、社員採用、業務運営の仕組み、無理のない準備コストのバランスをとりながら段階的に底上げしていくことが必要です。「上場準備2年」という言葉にあまり惑わされずにしっかりとした準備計画を立てて臨んでいくということが、最終的には近道だと思っています。

会計回りから整備を行っていく

ーーでは、具体的に仕組み作り段階の3年間でやるべきことを少し詳しく教えてください。

実際に5年後のIPOを想定して相談をいただいた場合、やはり会計周りから見ていきます。将来IPOを目指す以上は、ただ税務申告だけが出来ればいいという決算から、上場会社が取るべきルールに則った決算書が作れるように、少しずつレベルを上げていくことが必要です。

IPOのための会計制度をふまえ決算を締めるためには、経営者が思っている以上に会社の中で動いているヒト・モノ・カネの動きをより正確に会計ルールに従って描写していかなくてはいけません。

請求書の字面から類推して「これは外注費、これは消耗品、これは支払手数料……」などと形式的な経理処理は、ただ事務的に仕訳処理をしているに過ぎません。その種の決算書・会計資料ではIPO準備にはつながらないとも言えますし、厳しい言い方をすると売上原価の区分さえ正確でなく、とても経営判断に使えるものになっていないケースもあるんですよね。

請求書などの内容を深く理解して洞察し、本当にそれでいいのかということを、まさに社内のヒトやモノの動きを判断した上で、その勘定科目だったり金額だったりを検討しなければいけません。

コスト負担を出来る限り抑えて経理処理をするために、アウトソースを活用することも否定しませんし、シーンに応じては必要なサポートです。けれども、より正しい数字をもって経営判断をしていこうという経営者からすれば、全てを丸投げのような形でアウトソースしていいのか、ということはよく考えたほうがいいかもしれません。経理の内製化やそれに使えるITツールも整備していくことが必要です。

原価管理の重要性

原価計算、業態によって必要になる個別原価計算ですが、原価計算はもちろん会計処理の一環です。原価計算が正確に出来ないと、極論を言えば正確な決算書が出来ないというのと同じことです。モノ作りの業態は特に必要ですね。機械製造、食品製造など何らかの形のあるものもあれば、最近はソフトウェアを始めとしたクラウド型ITツールも含めて、全てモノ作りという範囲に入ると思います。

そもそも「いくらで何を仕入れ、どういうものを作って、いくらでモノを売るか」ということを数字で捉えるのは、企業活動の根本を数字で正確に把握することにほかなりません。

粗利益という言葉があります。売上の元手になったコストを原価と言いますね。売上から原価を引いたものが粗利益です。この粗利益率が高ければ高いほど付加価値の高い、つまりブランド力のあるビジネスをしているということになります。50の投資をして得られる売上が100の会社と、同じ50の投資をして200の売上が得られる会社では、それだけブランド力、商材やサービスの価値が違うということです。

原価を正確に把握できていない事例

ある事例では、経営者の方が自社の決算書を示されて「当社の粗利益率は50%。同じ業態の上場会社の決算書を見ても50%は無いんだよ。うちは利益率が高くて競争力があるから、IPOを目指したい」とおっしゃいました。ところがその決算書は、実は正しい原価が原価として反映されていなかったのです。

損益計算書では、原価の下には「販売費及び一般管理費」という区分があります。つまり、会社が払う経費を正確に原価と販売費・管理費に分けられているからこそ原価が正確に把握されて、適正な粗利益が計算されるのです。当然、上場会社はそれを厳格にやっています。

しかし、正確な原価を拾い切れていない決算書を見た経営者は、その「50%」だけを正しいと思って経営判断をしている状態です。でも実態は、正しい処理をしたら20%ですよというようなオチになってしまいました。こうなると全ての前提が変わってきます。それぐらいのギャップが実は数字の中にあるわけです。

工数管理の重要性

最近はIT関係のソフトウエア開発のお客様からのご相談が多いので、工数管理・原価管理についてIT開発会社を想定してお話しします。たくさんのエンジニアが働くとすれば、1日の業務中でもそれぞれ対応するプロジェクト案件、業務内容などが異なりますよね。

例えば、既存ソフトウエアのメンテナンス、バグ取りみたいな時間があるかもしれないし、利用の利便を図るようなデザイン上の変更があるかもしれません。また次の大きなバージョン2の開発という場合もあるかもしれませんね。また別のエンジニアは、今のシステムには関係ない領域の新規技術の研究開発をやっていることもあるでしょう。さまざまな人が、いろいろな動きを複合的にやっていることは少なくありません。それらを全て一緒くたにして、「開発をやっています」ということではありません。

それぞれの業務を、一日、一ヶ月と、正確に工数時間、極端なことを言うとこれを分単位で把握をして、どれだけの時間が投入されたのかということを、工数管理ができるシステムを使って正確に把握をすることが最初のスタートです。

例えば月給40万円の方がいたとすれば、40万円の人件費投資と言えますよね。A案件の新規開発、B案件の機能追加開発、既存Cシステムのバグ取りなどに、その40万円からいくらずつかかっているのか正確に把握することが必要です。

今は特に人材不足で、エンジニア獲得も競争になっています。当然優秀なエンジニアの人件費というのは高騰していると思われます。その他にも製造業では、材料費を含めたコストがかかってくるわけですから、こういう時代ではなおさら原価管理を精緻に行い、社内外の環境が変化したときに自社の原価構造がどう変化したのか、今まで通りの価格で売っていていいのだろうか?という検討と判断が経営の舵取りとして求められるのです。

Excel管理の落とし穴

工数管理について、最初は一日の稼働記録を例えばExcelに記録することから始める会社もありますが、実はこれも落とし穴がたくさんあります。例えばA案件、B案件があり、一日の稼働を8時間としてみます。さまざまな活動案件に対して稼働時間をExcelで入力していくけれど、足してみたら8時間にならない。この差はなんだ?というようなことが起こってきたり、重複した時間が記録されていたりします。また、ある人の業務定義の認識と、ある人の認識が違うことで誤った集計となるようなミスも起こりえます。

監査法人は当然そういうところも確認します。例えば、一人ひとりのエンジニアの工数を集計したものと出退勤の記録を照らし合わせたときに、整合した数字になっているのだろうかと。それが全然合わなかったらそもそも工数の記録は正しくないということですよね。

ほかにも、数式が動いているつもりが数字がベタ打ちになっていたり、縦計横計が合っていなかったり。間違って式を壊してしまったりと人為的なミスも起きやすいですね。こうしたスプレッドシート管理上のリスクもあります。

工数記録からスタートして、その集計まで誤ったままの数字を積み上げてアウトプットされた決算書は当然正しいとは言えませんから、経営判断や税務申告も誤ることになりますし、IPOのためということで言えば当然監査法人からも指摘を受けることになるでしょう。その指摘に対して、ある程度の期間で対応できなければ遅れていく理由になりますので、初めから、専用に開発された実績のあるツールを使って作業をしていくのが良いと思います。

ITツールを導入するタイミング

ーー正確な原価管理、工数管理をするために、どのタイミングでツールを入れるのが良いでしょうか?

そうですね、最初に上場準備の「2年」という話をしましたけれど、いわゆる直前前期、上場の前に監査期間に入ったときは、もうある程度運用に乗っていないといけません。3年前、4年前ぐらいから、ある程度会社の中でのルール決めをしておいて、現場がツールを使えている状態を目指したいですね。

ただツールを入れただけでは、何も動きません。ツールも必要ですけれども、使うのは一人一人の社員ですから、基本的には社内のコンセンサスが必要です。「何でこんなことをやらなくちゃいけないんだ?」という、「やらされ感」とか「これは仕事の障害だ」というようなことが社員の気持ちのベースにあるようだと、体系立った仕組みを回してくというのはなかなか上手くいきません。

おすすめのITツール

長谷川さんが紹介するおすすめITツールの画像
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  • TeamSpirit / 勤怠管理システム
  • Asana / プロジェクト管理/工数管理
  • ZAC / プロジェクト管理
  • スマレジ / 勤怠管理システム
  • ITツール選定のポイント

    基本としてやることはある程度決まっているので、主要なメンバーが過去に使っていて馴染みがあるという理由や、機能的に周辺プロセスで使っているものとの親和性が高い、という理由などで選択していいと思います。

    最近はクラウドで使える便利なものが増えてきているので、複数社のデモなどを受けて選ばれると良いと思いますね。

    ITツールで数字が見えると会社が変化していく

    ーー原価管理システムなどのITツールを導入した企業の反応や反響を教えてください。

    トップダウンで非常にスムーズに動けるようなケースで、半年ぐらいの時間はかかりますけれども、徐々にある程度出来上がってきますね。

    もちろん1年、2年と時間をかけて精度を上げていくことは、継続的に取り組まなければいけません。けれどある程度出来上がってくると、例えば取締役会でも、経営会議や部門長・責任者の会議の場でだんだん正確な原価などの数字が発表されるようになってきます。

    例えば、「先月のA案件、B案件、C案件の売上と正確な原価、利益がいくら残ったのか」ということが話題に出てくるわけです。経営者や責任者はそういうものを見ると、だんだん更に突っ込んで「何でなんだ?」とか、それがきっかけで議論が始まったり見直したりしようというようなトリガーになってきます。

    それが積み重なっていくことで、経営者の知りたい情報にある程度マッチしたものが一年ぐらいかけて出てくるようになりますね。そうすると、そういう数字を見て会社のさまざまなマネジメントが具体的に行われるわけですから、結果としての決算書や月次の成績も徐々に見えるように変わってきます。もちろん、それだけが理由とは言いませんけれども、一つの背景となって会社がグッとやっぱり伸びて、利益も出てIPOされていくということにつながっている一面があると思いますね。

    ただ大きい数字で漠然と決算書だけを見ていても、各セクションの部門長は自分たちがどういう行動をしたらアウトプットが変わるのかということに、なかなかアクセスできないんですよね。でも決算書を構成している一案件ずつの売上とか、原価とか、顧客単位とか、サービス単位に分けていくことによって、今度は部門長自身が何らかの打手ができるという風に数字の意味が変わってくるわけですよね。

    数字を捉えた必然の一手、数字を捉えた本来やるべき経営の判断やアクションを、自信を持って取れるようになるというのはとても大きいはずです。

    今回はIPO周りの話からしましたけれども、そうではない会社、あるいはIPOはまだ先だけれども付加価値の高い、利益収益性の高い事業を作りたいと考えている会社様であれば、皆さん共通の課題があるはずです。ITツールを活用した見える化に取り組んでいただけると必ず経営のプラスにはなるはずです。

    IPOを目指す企業にメッセージ

    個別原価計算のできるシステムの導入から運用がスムーズにいった会社というのは、結果的に業績も伸びているし、そこに一つの因果関係があるのかなと思います。原価計算というのは開発部門の工数管理だけの話ではなくて、会社全体のマネジメントシステムにつながるんですよね。

    こういった活動を速やかにきちんとシステマティックに動かせる会社は、それ以外のことにおいても非常に強い組織になると思います。

    編集後記

    今回は、「IPOの準備」としての工数管理や原価管理のテーマでしたが、お話を伺うと利益を上げて成長していくためには、IPOを目指す企業以外も取り組んでいくべきことなのだということが分かりました。

    決算書を構成する案件単位での詳細な数字が見えるようになることで、現場の責任者もアクションがしやすくなる、というお話が特に印象に残りました。管理のための管理ツール、ということではなく、自分たちが成果を出しやすくするためのツールとして、ITツールを活用できると社内の浸透も早くなるだろうと感じました。

    IPOに成功した企業が使っているプロジェクト管理ツールや勤怠管理ツールは、ITトレンドからもお問合わせ可能です。自社の工数管理や原価管理が今ひとつ正確に把握できていない、という方はぜひお問い合わせをしてみてください。

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