
売上原価とは?
企業の業績は、営業利益(=売上高-売上原価-販管費)で見ることができます。売上原価と販管費の違いがわからないと、業績の把握はできません。
売上原価:商品を生み出すための直接的な費用
売上原価とは売上を上げるために直接かかった費用で、個々の商品や製品、サービスに紐付けられます。実際に商品や製品が売れた時、仕入れや製造にかかった費用として計上するものです。
サービスの場合は、それを生むために直接かかった費用を指します。売上が上がるまでは在庫資産扱いとなり、売上原価として計上しないので注意しましょう。主に、小売業では商品の仕入代、製造業では製造費、サービス業では人件費や外注費が、売上原価に該当します。
売上原価と販管費の違いとは
売上原価とは販売された商品や製品・サービスを生み出すためにかかる費用のこと。
販管費とは商品や製品・サービスの販売にかかる費用のこと。
という違いがあります。
販管費:販売や管理の活動に必要な費用
販管費とは「販売費及び一般管理費」の略語であり、売上を上げるために間接的にかかった費用のことです。広告宣伝費、間接部門の人件費や経費、企業全体の管理費が販管費に該当します。
たとえば製造業の場合、製造に携わる従業員の人件費は売上原価で計上され、販売活動に携わる従業員の人件費は販管費で計上されます。同一企業内の従業員であっても、業務によって計上する費用項目が異なるため注意が必要です。
営業利益の観点から見た場合、売上増を目指して広告宣伝費に多額の費用を投じても、売上高に対して利益率が低ければ無駄なコストが発生していることになります。
売上原価に含まれるもの
では、売上原価にはどのような費用が含まれるのでしょうか。売上原価に含まれる3つの費用をそれぞれ見ていきましょう。
1.売れた商品にかかった材料費
売上原価には、販売した商品や製品の製造にかかった材料費が含まれます。たとえばパンの場合、小麦粉や卵、牛乳、バターなどが材料費です。多くの商品は、「原材料・貯蔵品→仕掛品→商品」という過程で製造されます。
売上原価は販売した時点で計上するため、販売前の商品や材料、仕掛品は、会計上「棚卸資産」として計上します。材料を仕入れ、販売していないのに売上原価で計上すると、会計の収支が合わなくなるため注意してください。
2.製造部門で働く従業員の人件費
製造に携わる従業員の人件費は売上原価に含まれ、「労務費」と呼ばれます。また、生産・品質管理や生産技術の部門は直接製造には携わりませんが、一定の品質を提供するには必要です。そのため、間接的に製造に携わると見なされ売上原価で計上されます。
売上原価において、製造に直接携わる従業員の人件費を「直接労務費」、間接的に携わる従業員は「間接労務費」と分けて計上します。
3.製品の製造にかかった減価償却費や水道光熱費
売上原価には、製造工場や機械の減価償却費や水道光熱費が含まれます。工場や機械は長期の使用により資産としての価値が下がるため、使用期間に合わせて資産の価値を売上原価の費用として計上します。
また、製品の製造には材料費以外にも水や電気といった経費もかかるものです。工場の稼働に必要な照明や空調などにかかる電気代も売上原価に含まれます。
販管費に含まれるもの
一方、販管費にはどんな費用が含まれるのでしょうか。販管費に含まれる2つの費用をそれぞれ見ていきましょう。
1.一般管理費
一般管理費とは従業員管理や在庫管理など、管理にかかる費用です。主に人事や経理、総務などの管理部門に属する従業員の人件費が該当します。人件費の内訳は、給与や各種手当、社会保険料、福利厚生費などです。そのほか、旅費交通費や地代家賃、水道光熱費などが含まれます。
なお、人件費は従業員の携わる業務によって一般管理費と売上原価に区分され、製造部門は売上原価で計上します。
2.販売費
販売費とは、商品や製品、サービスの販売にかかる費用のことです。たとえば、営業や販売部門に属する従業員の人件費、広告宣伝費や販売手数料、運送費などが該当します。会計処理上、一般管理費と販売費を分けますが、営業や管理部門などを明確に区別していない企業では一般管理費と販売費を分けることは難しいでしょう。
原価計算について理解が深まったらシステムで効率化も
原価管理は難しい、しかし経営においては重要であり間違いがあってはならない。担当者の精神的負担も大きいとされる会計処理業務に効果をもたらすツールとして「原価管理システム」の利用もおすすめです。