実行予算書とは
実行予算書とは、プロジェクトや事業における収支計画を具体的に示した文書のことです。特に、工事や建設プロジェクトなどで頻繁に使用されます。
実行予算書を作成する目的は、計画段階で立てた予算をもとに、実際の支出や収入の管理・追跡を行うことです。プロジェクトの財務状況を正確に把握でき、予算の超過を防ぐことで、適切な資金管理を可能にします。
以下の記事では実行予算について詳しく解説しているため、あわせて参考にしてください。
エクセルを使用した実行予算書の作成方法
エクセルを用いた実行予算書の作成方法として、テンプレートを使用する方法と関数を使って自作する方法があげられます。それぞれ詳しく解説します。
エクセルテンプレートを使用する
一から実行予算書を作成するには時間がかかるでしょう。そのため、エクセルに不慣れな場合やすぐに実行予算書を作成したい場合には、Webで公開されているテンプレートをダウンロードして利用するのがおすすめです。テンプレートではレイアウトや必要な項目がすでに設定されているため、誰でも簡単に作成できます。
Web上にはエクセル初心者向けの簡単なものから、複雑な関数を使ったものまでさまざまな種類があります。無料で使えるテンプレートも多く配布されており、コストをかけずに利用可能です。
しかし、テンプレートは汎用的に作られているため、必要に応じて自社の仕様に調整したほうがよい場合もあります。また、自社にあったものが見つからず、大幅に修正しなければならない場合は、一から作成する方法が適しているでしょう。
関数を利用して自作する
自社に適した実行予算書のテンプレートが見つからない場合は、エクセル関数を駆使して作成しましょう。作成手順は以下のとおりです。
- 1.予算書の項目を決定
- まず予算書に含める項目を決めます。一般的な項目には、工事内容・工事期間・材料費や労務費などの原価・粗利益などがあります。
- 2.項目をエクセルシートに入力
- 決定した項目をセルに打ち込みます。入力後、各項目にあわせてセルの横幅を調整しましょう。
- 3.データを入力
- 各項目に対応するデータを入力します。データの手入力はミスが発生しやすいため、間違いがないか確認しましょう。
- 4.関数を設定
- 原価の合計や粗利益が自動で算出できるよう、適切な関数や数式を入れます。一般的にはセル範囲内の数値を合計するSUM関数や、特定の条件に一致するセルの数値を合計するSUMIF関数などが使用されています。
- 5.フォーマットの調整
- 予算書が見やすくなるようにフォーマットを調整します。セルに罫線を引く、項目行や合計行に背景色を設定するなどして視認性を高めましょう。
エクセルで実行予算書を作成するメリット
実行予算書の作成にエクセルを用いると、以下のようなメリットが得られます。
- ■追加費用がかからない
- 多くの企業ではエクセルがすでにインストールされているため、追加費用なしですぐにはじめられます。また、新たにエクセルを導入する場合でも、専用のシステムやツールを導入するより安価です。
- ■馴染みのあるツールで使いやすい
- エクセルは多くの人にとって馴染みがあり、直感的な操作が可能です。操作に迷った場合でも、Web上で検索すると多くの情報が掲載されているため簡単に解決できます。
- ■カスタマイズできる
- エクセルはセルベースのため、必要な項目やフォーマットにあわせて、レイアウトを簡単に変更可能です。また、ある程度エクセルの知識がある人なら関数や数式、マクロを組みあわせて、自社独自の仕様にあわせたカスタマイズができます。
エクセルで実行予算書を作成するデメリット
エクセルを用いた実行予算書の作成には、コスト面や操作性でのメリットがある反面、デメリットも存在します。エクセルでの作成を考えている場合は、デメリットについても把握しておきましょう。具体的には、以下のようなデメリットがあげられます。
- ●複雑な計算式や関数といった高い技術力を必要とし、属人化する懸念がある
- ●大規模なプロジェクトなどで、データの変更や修正が煩雑だと時間がかかる
- ●データを手入力するため、ミスが起こる可能性がある
- ●バージョン管理やデータの共有が難しく、整合性の問題が発生する
- ●過去のデータや変更履歴の追跡が困難になる
- ●データの可視化や分析の制約があり、大量のデータや複雑な分析には限界がある
実行予算書を効率的に作成するには工事管理システムがおすすめ
エクセルで実行予算書を作成すると、データの変更や修正が煩雑になりやすい、過去のデータや変更履歴の追跡がしにくい、などの課題が発生します。これらの課題は業務の効率を悪化させてしまう可能性もあるでしょう。
そこで、実行予算書をより効率的に作成するためには、実行予算の作成・管理機能が搭載された「工事管理システム」の導入がおすすめです。工事管理システムとは、工事の契約や売上金の回収、工程スケジュールや施工の進捗状況など、工事に関する各種データを一元管理できるシステムです。工事管理システムを活用して実行予算書の作成・管理を行うと、以下のようなメリットがあります。
- ●CSV機能で大量のデータも迅速かつ正確に入力できる
- ●変更や修正が即座に反映される
- ●すべての変更履歴が自動的に保存され、誰がいつ何を変更したかを追跡できる
- ●過去の実行予算書も一元管理されているため、簡単に検索・参照できる
- ●部署や部門が異なる場合でも、実行予算書の共有が簡単に行える
業務効率化を図りたい場合や、エクセルでの作成に限界を感じている場合には、工事管理システムの導入を検討するのがよいでしょう。以下の記事ではおすすめの工事管理システムの価格や特徴などを比較できます。機能や選び方も解説しているので、導入を検討する際はぜひ参考にしてください。
まとめ
テンプレートや関数を活用すれば、エクセルでも実行予算書の作成が可能です。しかし、エクセルは低コストで手軽に利用できる反面、人的ミスや管理の煩雑化が起こりやすいといったデメリットもあります。効率的に実行予算書を作成したい場合は、工事管理システムの導入を検討しましょう。
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