工事台帳とは?
工事台帳とは、工事ごとの原価を集計する台帳です。工事台帳を作成することで、原価計算を明確にでき、工事の進捗状況の把握や提出書類の作成が簡単に行えます。
また、工事台帳は建設業の経営事項審査で提示する必要があるため、必ず工事ごとに記録をつけなければいけません。工事台帳を作成するときは、工事台帳に記載する内容を把握し、その必要性を理解することが大切です。
工事台帳に記入する費用の種類
工事台帳は原価を管理するものであり、その項目は複数あります。工事台帳を正確に管理するために、書き方や書く内容を把握しておきましょう。
ここからは工事台帳に記入する費用の種類を説明していきます。
1.材料費
材料費は、工事に必要な材料の費用です。この材料費には、材料の原価だけではなく、取引にかかった費用も含まれます。
2.労務費
労務費は工事に参加している従業員の賃金を指します。従業員に支払う給料だけでなく、手当や交通費も含まれるため、漏れなく記載する必要があります。
この労務費のポイントは、自社で雇用している従業員の費用のみカウントすることです。そのため、工事現場の事務所の事務員など、自社と雇用関係がないスタッフの費用は含まれません。
3.外注費
外注費は自社と雇用関係がなく、業務を外注している下請業者に支払う費用です。
4.経費
経費とはここまで紹介してきた費用の種類に該当しないものを指します。工事に必要な機材や使用にかかった光熱費などが該当します。
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工事管理における台帳の目的
工事台帳は日々の取引を工事別に記帳し管理を行いますが、工事台帳の役割や目的を正確に把握しておくことが重要です。ここからは工事管理における工事台帳の目的を説明していきます。
1.各工事の利益率を把握するため
工事台帳は工事に必要な費用を適切に管理できるため、収支のバランスを見ながら利益率を把握できます。
今までかかった費用を適切に管理していれば、利益を意識しながら予算を使うことが可能です。逆に、工事台帳をしっかりと管理していなければ、予定以上に人員を補充してしまうなど予算オーバーになりかねません。
2.経営事項審査で提出するため
建設業には、建設業法で定められた経営事項審査があります。この審査では経営状況を客観的に把握し数値による評価を行い、そのときに工事台帳を提出する必要があります。
工事台帳は各工事を適切に管理するだけでなく、経営状況を把握できる資料になるため、しっかりとした管理が重要です。
エクセルを使った工事台帳の作り方
工事台帳は工事管理を行う為に必要な作業ですが、膨大な情報を扱う為、管理側にとって大きな負担になってしまうでしょう。そこで、ポイントになるのは工事台帳の作り方を把握し、日々の業務を効率化することです。
ここではまず、エクセルでの工事台帳の作り方を紹介していきますので是非参考にしてください。
必要項目を入力する
まず初めに、エクセルの先頭の行に以下の項目を入力しましょう。
この作成した項目に、日々発生した費用を入力し管理していきます。このように、エクセルで管理する場合は、マスターとなるシートに工事名や仕入先を登録しておくことで、日々の管理を簡単に行えます。
また、科目の列にフィルターを設定すると、科目を選択するだけで数値を入力できます。
関数を使った分析シートを作成する
すべての記録を同じシートで記載すると、費用管理が複雑になってしまいます。そのため、項目を記載したシートとは別に、関数を使った分析シートを作成しましょう。
関数を活用し、別シートで合計金額を算出するシートを作成しておくことで、分析が簡単に行えます。また、予算や見積もりの内容を記載しておくと、進捗率や残予算を把握しやすくなります。
「工事台帳をエクセルで作りたい!」という方は以下の記事で、エクセルでの工事管理に必要な書類の作り方を詳しく紹介していますので参考にしてください。
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工事台帳をエクセルで管理するメリット・デメリット
エクセルで工事台帳を管理するメリット・デメリットを解説します。自社に最適な管理方法を検討して、業務効率を向上させましょう。
メリット1 コストが低い
エクセルはパソコンに標準装備されており、(またはマイクロソフトのオフィスライセンスを購入)パソコンさえあればコストをかけずに管理できます。
メリット2 自社にあった管理表を作成できる
エクセルに詳しければ、関数を使うことで自社にあったオリジナルの管理表を作成可能です。関数の使い方は、インターネットで調べられます。
メリット3 ファイル共有機能が充実
ファイルを担当者間で共有したり、メールに添付して連絡したりできます。他社が使っているテンプレートをインターネット上からダウンロードし使用することも可能です。
デメリット1 情報共有に遅延が起こる
集計に時間がかかったり、ファイルの提出のタイミングがずれてしまうことで、経営者と現場との間で情報共有に時間がかかることがあります。
デメリット2 転記ミスが発生しやすい
管理するファイルが増加すると、ファイルの転記ミスが発生しやすくなります。一つの現場で複数のファイルを管理する必要があるので、手作業でソフトやファイルに入力するエクセルではミスが起こりやすくなります。
また、関数が間違っているとデータが大きく異なってしまうこともあるので、担当者の負担も大きくなってしまいます。
デメリット3 管理体制の変更に膨大なコストがかかる
工事台帳をエクセルに詳しい社員が作成している場合に、その社員が退社すると誰も編集することができず、エクセルの旧バージョンを使い続けなければならないリスクがあります。
実際にこのようなエクセルにおけるデメリットが発生しており、多くの会社が現場の業務効率化、経営利益増加の実現のためにエクセルでの管理を脱却し、工事管理システムの導入をしています。
工事管理システム導入のメリット
エクセルで工事台帳を作成する場合、現場監督者が担当をすると、現場での業務が終わってから事務所に戻り、入力業務を行う必要があります。
また、エクセルでの管理は、業務が煩雑になりやすく工事台帳を共有しにくい特徴があります。煩雑さを感じる場合は工事管理システムの活用をおすすめします。
1.自動で数値を計算できる
工事管理システムを活用することで、簡単に費用を入力でき、計算も自動で行えます。そのため、入力ミスの軽減に大きく貢献するでしょう。
2.いつどこでも数値を簡単に入力できる
会計システムと連携することで、費用を二重で入力する必要がなくなります。また、アプリ版をリリースしている工事管理システムもあり、その場合、タブレットで数値を入力できるため、事務所に戻って作業をする手間を省けます。
3.社内の工事情報を一括管理できる
工事管理システムを導入することで、社内情報を一括して管理できます。工事管理システムは、業務フローを確立し、社内で共有し運用できます。そのため、担当者が退職しても簡単に引継ぎができる体制を整えられます。
そして、情報が可視化されることによって経営者はリアルタイムで迅速に様々な判断を行えます。
4.経理担当者の負担を軽減できる
特定の締日直前に業務が集中しがちな経理担当者は多いでしょう。工事管理システムを導入することで、業務工数を削減し、早く正確な業務が実現できます。
エクセル使用時より業務量が削減されるので、経営者は人件費の削減にも取り組むことができます。
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工事台帳を有効に使うことで、予算管理や利益管理を適切に行うことができます。そのためには、工事台帳に必要な項目や作り方をしっかりと把握することが大事です。
工事台帳はエクセルで作成・管理するケースが多いですが、現在、多くの企業が工事管理システムを導入し、業務効率化を実現しています。以下の記事ではおすすめの工事管理システムと選び方を詳しく解説しています。ぜひ読んで、製品の導入を検討しましょう。