施工管理アプリとは
施工管理アプリとは、建設現場において、写真や図面などの情報共有やコミュニケーション、案件管理などの作業効率化を図るツールです。現場責任者は工事の進捗管理や原価管理、作業指示、役所への事務手続きなど多くの作業を担います。そのため、施工管理者の負担軽減を目的として施工管理アプリの導入が進んでいます。
施工管理アプリの大きな特徴は、スマートフォンやタブレットでシステムを利用できることです。現場作業者は事務所に戻らず現場で施工管理業務を行えます。2024年4月より建設業においても時間外労働の上限規制の適用が開始されたため、ツール導入による業務効率化だけでなく残業抑制の効果も期待されています。
参考:建設業 時間外労働の上限規制 わかりやすい解説|厚生労働省
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施工管理アプリの主な機能
施工管理アプリの主な機能は、以下のとおりです。
- ■受注工事管理
- 物件情報や契約情報など、受注した工事案件の情報を一覧で管理します。工事案件ごとに案件金額や契約年月日、工期などの管理が可能です。ガントチャートでスケジュール管理ができる製品もあります。
- ■実行予算管理
- 工事は案件ごとに受注金額が異なります。そのため、売上や利益などを可視化させるには、1案件ずつ実行予算を作成しなければなりません。実行予算管理の機能によって工事案件ごとの予算が立てやすくなり、損益などが可視化されます。
- ■発注管理・在庫管理
- 工事の実行予算データにもとづき、発注先や発注金額の管理を行えます。実行予算に自社の利益を加味した掛け率を算出し、発注金額を決定。在庫管理に対応した製品もあります。
- ■支払管理
- 各仕入先への支払日ごとに、支払依頼書などの書類作成や支払方式の調整、仕訳の自動作成などを行います。
- ■入金管理
- 発注元からの入金情報を管理します。総請求金額に対する入金額と残高の管理も可能です。
- ■工事原価管理
- 工事案件ごとに仕入などの原価管理と今後の支払予定を管理できます。総売上に対する原価率の管理も行えます。
- ■工程管理
- 工事案件ごとの進捗状況の確認や管理を行える機能です。
- ■作業日報・現場報告管理
- 案件ごとに日報の入力や報告書の作成が可能です。工事写真の管理や活用もできます。
- ■チャット
- 現場関係者が参加するチャットでコミュニケーションを円滑化します。現場状況の確認や関係者への情報共有を迅速にし、現場の見える化が可能です。
施工管理アプリの選び方
施工管理アプリの選定にあたり、共有対象や操作性、目的などどのようなポイントに注目して比較すべきかを説明します。
共有する範囲
現場情報を共有するのに便利な施工管理アプリですが、共有対象が社内のみなのか、社外関係者も含めるのかによって選ぶアプリも異なります。
例えば施主との打ち合わせや、協力業者・職人など社外との情報共有ツールとして利用したい場合、関係する誰もが使いやすいアプリを選ぶことが重要です。また、施主の個人情報などの機密情報を取り扱うため、管理者・一般・施主など複数の閲覧権限を設定できる機能や、2要素認証などセキュリティが強固な製品を選ぶとよいでしょう。
一方で社内関係者のみで利用したい場合は、電子小黒板対応製品や自動の写真管理機能、報告書作成機能など社内業務を効率化する機能が搭載された製品がおすすめです。
情報共有の範囲をあらかじめ明確にしたうえで、必要な機能があるか確認しましょう。
操作のしやすさ
新人からその道何十年というベテランの職人まで、携わる年齢層が幅広い建築現場や土木現場では、スマートフォンやタブレットの操作が苦手な人もいるかもしれません。
アプリを導入しても操作に戸惑い、結局紙の図面や資料に頼るのであればアプリの導入は無意味に終わります。見やすくわかりやすい画面やワンクリックで操作が可能な製品など、関わるすべての人が容易に利用できるアプリを選びましょう。無料トライアルを提供している製品もあるので、実際に試してからの導入もおすすめです。
また、運用や操作方法の説明会の開催やチャットで24時間サポート対応が可能なアプリもあるため、サポート体制も確認するとよいでしょう。
目的にあった機能
施工管理アプリを選ぶにあたっては、目的を明確にする必要があります。目的に対してどのような機能のアプリを選ぶべきか、ポイントとともに解説します。
- ■現場への指示やコミュニケーションを円滑にしたい
- リアルタイムでやり取りが可能なチャットツール搭載の製品がおすすめです。しかし施主の情報など個人情報を取り扱う場合もあるため、アプリのセキュリティ対策を確認しましょう。
- ■写真の管理を効率化したい
- 作業状況の写真の管理には手間がかかります。各現場の日付ごとに自動で整理し保存する機能を搭載した製品であれば、管理も容易になります。
- ■事務所へ帰ってからのデスクワークを減らしたい
- 日報などの報告書や議事録の作成、打ち合わせなどをすべてアプリ上で行える製品を選ぶとよいでしょう。また、帳票ごとの申請・確認・承認などをクラウド上で作業可能なワークフロー機能があると便利です。
利用料金や費用総額
施工管理アプリは、アカウント数によって料金が変動するケースもあります。施工管理アプリを導入する前に、利用者数や範囲、施工規模を確認しましょう。
また、外部システムとの連携や運用サポートなどにオプション費用がかかったり、既存システムや自社の仕様にあわせたい場合は別途カスタマイズ費用が必要になったりします。初期費用や月額料金の安さだけで判断せず、トータルコストを配慮したうえで比較検討することが重要です。
施工管理アプリのタイプ別比較表
この記事で紹介するおすすめの施工管理アプリについて、特徴別に比較表にまとめました。自社の業務や利用目的にあったタイプはどれか、比較検討する際の参考にしてください。
業種や現場を問わず活用できるタイプ
一言で建設・建築業といっても、ゼネコンや工務店、リフォーム、土木業などさまざまな業種や現場があります。複数の業種が関わる案件の多い企業であれば、幅広い業種に対応する汎用性の高い施工管理アプリの活用がおすすめです。あらゆる職種や現場での業務効率化や、関連会社とのコミュニケーションの円滑化が実現するでしょう。
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特定の業種・現場に特化したタイプ
建設業界のなかで特定の業種や現場を扱う企業であれば、幅広い業種や現場に対応した製品よりも、特定の業種や現場に強みがある施工管理アプリの活用がおすすめです。一つの業種や現場の施工管理に必要な機能を中心にカスタマイズされています。例えば、電気工事や空調工事、土木工事や建設工事などに特化した製品があります。
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以下のボタンから、施工管理アプリの最新資料請求ランキングを確認できます。人気の製品から導入を検討したい方はあわせてご覧ください。
業種や現場を問わず活用できる施工管理アプリ
ここからは、施工管理アプリを特徴別に紹介します。気になった製品は緑の「+資料請求リストに追加」ボタンでカート追加しておくと、あとからまとめて資料請求ができるのでぜひご利用ください。
《ANDPAD(アンドパッド)》のPOINT
- 建設現場の手間がかかる業務を効率化し、残業削減に貢献
- 粗利などの経営情報をリアルタイムで見える化し、経営改善へ
- ゼネコンや専門工事領域でも、ますます活用が広がる
株式会社アンドパッドが提供する「ANDPAD(アンドパッド)」は、現場と経営のさまざまな情報を集約し一元管理する施工管理システムです。パソコンとスマートフォンの両方で利用できます。煩雑になりがちなコミュニケーションや、紙での共有が多い図面や工程表・写真の管理など、多くの業務における一元化が実現します。
提供形態 |
クラウド / SaaS / サービス |
無料トライアル |
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参考価格 |
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機能 |
チャット / 受注管理 / 発注管理 / 実行予算管理 / 支払管理 / 工程管理 |
※"ー"の情報はITトレンド編集部で確認できなかった項目です。詳細は各企業にお問い合わせください。
《BUILDYNOTE》のPOINT
- ”成果にコミット”した機能とサポートで圧倒的な業務効率化を実現
- 現場から経営まで、あらゆる業務をBUILDY NOTEで一元化
- すべての機能がわかりやすいデザインで誰でも簡単操作♪
「BUILDYNOTE」は株式会社フィックスが提供しており、工程管理や施工管理に関わるあらゆる業務に対応する施工管理アプリです。工程表作成と同時に個人タスクも生成されるため、一目ですべきことが把握できます。説明会やアフターフォローが充実しており、現場監督や施工担当者はもちろん、協力会社も運用しやすいでしょう。
提供形態 |
クラウド / SaaS |
無料トライアル |
ー |
参考価格 |
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機能 |
受注管理 / 発注管理 / 原価管理 / 工程管理 |
※"ー"の情報はITトレンド編集部で確認できなかった項目です。詳細は各企業にお問い合わせください。
《蔵衛門》のPOINT
- 工事写真を軸に建設DXを実現できる施工管理システム
- 電子黒板撮影アプリ・台帳ソフト・現場共有機能がすべて使える
- 初期費用・追加料金なし!2ヵ月無料トライアルで導入前に試せる
株式会社ルクレが提供する「蔵衛門」は、パソコンソフトやデータストレージとあわせて、小黒板機能をもつ工事写真アプリが利用できる施工管理サービスです。独自の建設AI技術が搭載されており、図面や工事写真の共有のほか、進捗管理も一元化します。多くの建設会社やゼネコンで利用されています。
提供形態 |
クラウド / SaaS |
無料トライアル |
◯(最大2か月間) |
参考価格 |
初期費用無料
エンタープライズ:月額600円~/メンバー
ライセンスパック:月額1,000円/メンバー
※無料プランあり |
機能 |
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※"ー"の情報はITトレンド編集部で確認できなかった項目です。詳細は各企業にお問い合わせください。
《Kizuku》のPOINT
- チャット機能で最新データを共有 現場管理・工程管理に最適
- 専用スタンプで「秒」でやり取り 高齢な職人にも使いやすい
- 建築業界で20年システムを提供 現場に精通したIT企業が開発
コムテックス株式会社が提供する「Kizuku」は、チャット機能が特徴の施工管理アプリです。チャット形式のトークで施工現場の情報を見える化し、情報共有を迅速化します。また、スタンプを送ると工程表やスケジュールに実績日が自動反映される機能によって、簡単に工程の開始/完了を報告できます。
提供形態 |
クラウド / SaaS |
無料トライアル |
ー |
参考価格 |
初期費用110,000円(税込み) プロプラン30:月額22,000円(税込み)/30アカウント プロプラン50:月額33,000円(税込み)/50アカウント |
機能 |
チャット / 実行予算管理 / 工程管理 |
※"ー"の情報はITトレンド編集部で確認できなかった項目です。詳細は各企業にお問い合わせください。
特定の業種・現場に特化した施工管理アプリ
ここでは、特定の業種や現場に特化した機能をもつ施工管理アプリを紹介します。
《AnyONE(エニワン)》のPOINT
- 住宅関連の建設業の様々なニーズに応える充実の機能!
- 導入実績3300社超、ユーザー数13000超、継続率99.4%の信頼感!
- 高い費用対効果を実現!導入リスクも低く、安心の月額料金制!
エニワン株式会社が提供する「AnyONE(エニワン)」は、工務店やリフォーム会社など住宅系建設業向けオールインワン基幹システムです。業界知識の豊富な建材流通商社が開発に関わり、開発から10年、5,300件以上のアップデートを繰り返して進化させた高いユーザビリティが特徴です。
提供形態 |
オンプレミス / クラウド / SaaS |
無料トライアル |
〇 |
参考価格 |
ー |
機能 |
受注管理 / 発注管理 / 実行予算管理 / 支払管理 / 工程管理 |
※"ー"の情報はITトレンド編集部で確認できなかった項目です。詳細は各企業にお問い合わせください。
《現場一番》のPOINT
- ライブカメラで現場の進捗をリアルタイムに把握できる
- 依頼事項は即時に反映。迅速な指示・確認が可能
- 全員で共有でき、効率の悪い作業のやり直しが発生しない
株式会社 IWAKI STYLEが提供する「現場一番」は、元大工が考案した現場の課題解決に最適な施工管理アプリです。ライブカメラで現場状況をリアルタイムに確認でき、施工している職人も見える化します。施主など現場ごとの関係者とチャット機能でやりとりできるため、スムーズなコミュニケーションにつながるでしょう。
提供形態 |
クラウド / SaaS |
無料トライアル |
〇(14日間) |
参考価格 |
初期費用無料 ライトプラン:9,800円~/2現場 スタンダードプラン:月額19,800円~/5現場 ハイクラスプラン:月額29,800円~/10現場 |
機能 |
チャット / 工程管理 |
無料で導入できる施工管理アプリ
施工管理アプリのなかには無料で使用できるものもあり、導入コストがネックの企業に適しています。ただし、完全無料の施工管理アプリには注意点もあります。利用できる機能やアカウント数に制限のある製品が多く、現場の規模によっては活用しにくい場合もあるでしょう。また、写真や資料などのデータ保存量を増やしたい場合に別途料金が発生するケースもあるため、導入前にベンダーに問い合わせて詳細を確認しましょう。
以下の記事では、無料で使用できる工事管理システムを紹介しているため、あわせて参考にしてください。
施工管理アプリの導入メリット
ここでは施工管理アプリを導入することで得られるメリットについて、詳しく解説します。
情報共有がスムーズに行える
施工管理アプリを導入すれば、工事に関する情報はすべてアプリに集約されるため、データのやりとりや情報共有が迅速に行えます。現場で紙の図面を携帯せずに済むほか、工程の変更管理も容易です。製品によっては、チャット機能を備えたものもあり、現場での指示が行き届きやすくなるでしょう。
さらに協力会社と同じ施工管理を導入していれば、資料だけでなく請求書や発注書の作成や共有もオンライン上で可能です。
長時間労働の改善が見込める
施工管理では工程管理や安全管理、コスト管理などの煩雑な業務が多いうえ、業界全体で人手不足や長時間労働が課題とされています。
システムを導入することで、複数現場の管理を一元化でき、業務効率化やリソースの確保に貢献します。特に施工管理アプリなら、スマートフォンで現場の撮影をしながら確認をし報告書の作成が可能です。写真整理や書類作成、進捗管理のために事務所と現場を行き来する必要もなくなり労働時間短縮につながります。
品質と顧客満足度の向上に貢献する
アプリの導入により、「現場状況の把握ができない」「指示系統が複雑で伝わっていない」などのコミュニケーションの問題を減らし、施工品質の維持に貢献します。アプリを活用した適切な施工管理は工期の遵守や顧客からの信頼を高めることにもつながるでしょう。
施工管理アプリのメリットについては以下の記事でも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
施工管理アプリ導入の注意点
施工管理アプリは自社にあった製品を選ばないと、アプリの導入デメリットが目立ち、業務効率化を思うように進められない場合があります。ここでは、導入に失敗しないために、注意すべきポイントを解説します。
作業現場のシステムと連携できないことがある
導入したアプリが作業現場のシステムと連携できない場合は、アプリで管理しているデータを現場のシステムに転記する必要があります。逆に手間がかかり、思ったように業務効率化できない可能性があるでしょう。導入前に既存の原価管理や支払管理、会計管理など連携したいシステムを洗い出し、システム連携が可能かを確認することが重要です。
複数アプリの利用ではデータの一元化ができないこともある
簡易的な施工管理アプリでは利用できる機能が限られているため、複数のアプリのインストールが必要になる場合もあります。提供会社が同じであれば、アプリ間での一元管理に対応するものもありますが、提供会社が異なる場合はシステム連携やデータの一元管理は難しくなるでしょう。
施工管理アプリで一元管理したいデータを事前に確認しておき、自社に必要な管理機能が備わっているかを導入検討時によく確認することがおすすめです。
最適なシステムを導入するためには、複数企業の製品を比較検討することが重要です。以下のボタンより一括資料請求を活用して各製品の機能や特徴をよく比較し、自社にあった施工管理アプリを見つけてください。
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施工管理アプリの活用事例
ITトレンドに掲載中の施工管理アプリの活用事例を紹介します。
施工管理品質の統一化を実現(株式会社グランドワークス様)
外構エクステリア工事を担う株式会社グランドワークス様では、施工管理業務の品質統一と事業拡大のための生産性向上が課題でした。職人に対するガバナンスが機能しておらず、施工管理の方法や連絡ツール、立ち合いの回数も職人ごとに異なり、統一されていませんでした。
施工管理業務の品質統一や生産性向上を目的に、施工管理アプリの「ダンドリワーク」を導入。ランニングコストの安さが決め手の一つでしたが、充実した管理機能によって上司が部下の現場状況を的確に把握できるようになり、現場の見える化や業務品質の統一が実現しました。
また、営業スタッフや監督が現場を訪れたり、電話で連絡を取ったりする回数を削減できたことで事務作業に時間を割けるようになり、残業時間の削減にも成功しました。課題だった生産性の向上も実現しています。
ダンドリワークの導入事例【株式会社グランドワークス 様】を詳しく見る!
最適な施工管理アプリで業務改善を実現しよう
施工管理アプリの活用によって、情報共有の促進や残業時間の削減、品質向上や遅延防止などのメリットが期待できます。特にアプリ版をリリースしている施工管理システムは、原価管理や支払管理、会計管理などの既存システムとデータ連携がしやすくおすすめです。
なお、自社に最適な施工管理アプリを導入するには、複数の製品を比較検討することが重要です。資料をもとに各製品の機能や価格、特徴をじっくり比較し、自社に適した施工管理アプリを見つけましょう。