巡回点検アプリとは
巡回点検アプリとは、施設や設備、工場、建設現場などの定期的な点検作業をデジタル化し、効率的に管理できるツールです。従来の紙やエクセルを用いた点検管理では、以下のような課題がありました。
- ■紙の点検表の課題
- ・紛失しやすい・記入ミスが発生しやすい・検索やデータ分析が困難
- ■エクセル管理の課題
- ・現場での入力が手間・リアルタイムでの共有が難しい・バージョン管理が煩雑
巡回点検アプリを導入すれば、記入ミスの削減、入力作業の効率化、点検記録の即時共有・分析が可能になります。さらに、スマートフォンやタブレットを活用することで、現場から直接データを送信でき、ペーパーレス化も実現します。
巡回点検アプリの利用シーン
巡回点検アプリは、さまざまな業界や用途で活用されています。ここでは、代表的な利用シーンを紹介します。
利用シーン | 具体例 |
---|---|
設備点検(工場・オフィスビル・商業施設など) | ・空調設備、電気設備、給排水設備などの定期点検や保守管理 ・設備の異常を即時報告し、迅速なメンテナンス対応 |
工場・建設現場の安全管理 | ・作業員の安全確認(ヘルメット着用、危険箇所のチェック) ・機械や資材の点検(クレーン、フォークリフト、足場など) ・作業現場のリアルタイム監視と記録 |
ビル・施設管理(商業施設、病院、学校、公共施設など) | ・共用部分の清掃やメンテナンス記録(エレベーター、照明、空調) ・セキュリティ管理(巡回警備、入退室記録) |
インフラ点検(道路・橋梁・上下水道など) | ・トンネルや橋梁の定期検査、劣化状況の記録 ・上下水道設備の保守、漏水チェック |
このように、巡回点検アプリはさまざまな業界で業務効率化に貢献しています。特に、点検業務のデジタル化を進めたい企業や自治体にとって、導入メリットは大きいでしょう。
なお、設備全般の点検・修理・保守を一元管理したい場合は、設備保全管理システムの導入も検討するとよいでしょう。設備の状態をリアルタイムで把握し、適切なメンテナンス計画を立てることで、故障の未然防止やコスト削減につながります。設備保全管理システムの詳細は以下の記事をご覧ください。
巡回点検アプリを導入するメリット
巡回点検アプリを導入すると、業務の効率化やコスト削減、データの有効活用が可能になります。ここでは、具体的なメリットについて詳しく解説します。
点検データのデジタル化による業務効率化
巡回点検アプリを活用すれば、スマートフォンやタブレットから点検項目を入力し、その場でデータを保存・共有できます。これにより、以下のような業務効率化が実現します。
- ●入力の手間を削減:チェックリスト形式で簡単に入力可能
- ●自動集計・分析:点検結果を即座にデータ化し、報告書を自動生成
- ●作業時間の短縮:オフィスに戻って報告書を作成する手間が不要
データのデジタル化により、点検業務のスピードと精度が向上し、担当者の負担も大幅に軽減されます。
リアルタイム共有による対応の迅速化
クラウドと連携することで、点検データをリアルタイムで関係者と共有でき、以下のような利点があります。
- ■異常を即時報告し、トラブルを早期解決
- 例:工場設備の不具合を発見した際、アプリを通じて管理者にリアルタイム通知し、即座にメンテナンスチームへ対応を指示できます。
- ■拠点ごとの情報共有がスムーズ
- 例:複数の拠点で点検業務を行う場合、アプリを活用すれば各拠点の点検結果を一元的に可視化でき、設備の保守状況や点検スケジュールの進捗管理が効率的に行えます。
- ■現場作業員と本部のコミュニケーション強化
- 例:作業員が写真や動画付きで点検状況を記録し、本部と共有することで、より的確な指示や判断が可能になります。
特に、緊急対応が求められる設備点検や建設現場の安全管理では、リアルタイム共有のメリットは大きいでしょう。
ペーパーレス化によるコスト削減
巡回点検アプリを導入すれば、点検データをクラウド上で管理し、ペーパーレス化が実現します。具体的なメリットは以下のとおりです。
- ●紙の印刷・保管コストを削減(年間数万円〜数十万円の節約が可能)
- ●保管スペースが不要(書類の整理・管理の手間を削減)
- ●過去データの検索が容易(キーワード検索で即座にデータを参照可能)
環境負荷の軽減にも貢献するため、企業のESG(環境・社会・ガバナンス)対応としてもメリットがあります。
過去データの蓄積・分析による品質向上
過去の点検データをアプリで蓄積・分析することにより、以下のような業務改善が期待できます。
- ■設備の故障予測とメンテナンスの最適化
- 設備の劣化傾向を把握し、予防保全(故障前のメンテナンス)の計画を立てられます。
- ■点検業務の改善
- ある設備の異常が特定の季節や時間帯に多発している場合、その要因を分析し、適切な対策を講じられます。
- ■コンプライアンス遵守の強化
- 点検履歴がデジタルデータとして保存されるため、監査や法令対応の際に迅速に対応可能です。
データの活用によって、点検業務の品質向上とコスト削減を同時に実現できます。
写真・動画付きの点検記録による精度向上
巡回点検アプリを活用し、写真・動画を記録に添付することで、以下のメリットがあります。
- ■点検の正確性向上
- 設備の亀裂やサビの状況を写真で記録し、管理者が遠隔でも正確に判断できます。
- ■後からの確認が容易
- 点検後に「本当に異常があったのか?」といったトラブルを防ぐ証拠として、データを保存できます。
- ■作業員間の情報共有がスムーズ
- 「どこを、どのように点検したか」を視覚的に共有できるため、新人作業員の教育にも活用できます。
特に、建設現場・設備保守・インフラ管理など、視覚的な記録が求められる業務で大きな強みとなります。
巡回点検アプリの主な機能
巡回点検アプリには、業務を効率化し、ミスを防ぐための多彩な機能が搭載されています。ここでは、特に重要な5つの機能について詳しく解説します。
機能 | 内容 |
---|---|
点検スケジュールの自動管理 | アプリが点検スケジュールを自動管理し、作業員に通知。スケジュールの抜け漏れや重複を防ぎ、業務の効率化を実現します。 |
GPS連携による巡回ルートの最適化 | 点検エリアをマップ上で管理し、最短ルートを自動計算。移動時間を短縮し、巡回効率を向上させるほか、作業進捗をリアルタイムで把握できます。 |
点検項目のチェックリスト | 点検項目をリスト化し、必須チェックを設定。全項目を確認しないと作業を完了できない仕組みのため、作業漏れやヒューマンエラーを防止します。 |
クラウド連携によるデータ共有 | 現場で記録したデータを即時クラウドに保存し、本社や管理者とリアルタイムで共有。報告業務の手間を削減し、迅速な意思決定を支援します。 |
音声入力・AI解析によるレポート作成 | 作業員が音声で点検内容を記録し、AIがレポートを自動生成。報告業務の負担を軽減し、異常データの蓄積・分析を通じた業務改善が可能になります。 |
巡回点検アプリの選び方
巡回点検アプリを選ぶ際に押さえておきたい5つのポイントを解説します。
自社の業種・用途にあっているか
巡回点検アプリは、製造業、建設業、ビルメンテナンス、インフラ管理、自治体業務など、さまざまな業種で活用されています。まずは、自社の業務に適した機能が搭載されているかを確認しましょう。例えば、製造業向けなら設備点検履歴の管理機能、建設業向けなら写真・動画記録機能が求められます。
また、業務フローにあわせてカスタマイズできるかどうかも重要なポイントです。企業ごとに点検の頻度や報告方法、管理体制が異なるため、画一的な機能では対応しきれない場合があります。
チェックリストの項目追加やワークフローの調整など、柔軟なカスタマイズが可能なアプリを選ぶことで、自社の運用に最適化し、スムーズな導入・定着が実現できます。
直感的に使いやすいか
現場で使用する巡回点検アプリは、シンプルで直感的に操作できることが重要です。点検作業は限られた時間のなかで行われるため、複雑な操作が必要なアプリでは業務効率が低下してしまいます。
そのため、スマートフォンやタブレットでの入力のしやすさ、ボタン配置のわかりやすさ、文字の見やすさなどを確認しましょう。導入前に無料トライアルを活用し、実際の現場スタッフが操作感を確かめることも、スムーズな導入につながります。
オフライン対応しているか
巡回点検は、地下施設、山間部、工場の奥まったエリアなど、ネットワーク環境が不安定な場所でも行われるため、オフライン対応のアプリが必要です。オフライン対応なら、インターネット接続がなくてもデータを入力でき、接続回復後に自動で同期されるため業務が滞りません。
また、災害時や緊急対応時には、オフラインでも写真や点検データを保存し、後からアップロードできる機能が不可欠です。実際の使用シーンを想定し、オフライン環境でもスムーズに作業を進められるかを事前に確認しましょう。
ERP・IoT機器と連携可能か
巡回点検業務は、ERP(基幹業務システム)、IoTセンサー、BIツールなどと連携することで、さらに業務を効率化できます。例えば、IoTデバイスと連携すれば、温度や振動などの異常データを自動収集し、点検結果と統合可能。
また、ERPとの連携により、設備の修理履歴や部品交換のスケジュール管理を一元化でき、保守業務の最適化が図れます。アプリ導入前に、自社の既存システムとスムーズに連携できるかを確認し、将来的な拡張性も考慮して選びましょう。
コストバランスがよいか
巡回点検アプリのコストは、初期費用・月額費用・カスタマイズ費用の3つに分かれます。初期費用には導入時のセットアップや研修費用、月額費用にはライセンスやクラウド利用料、カスタマイズ費用には特定機能の追加やAPI連携の設定費用が含まれます。
低コストで導入できるSaaS型のアプリもありますが、長期的な運用コストや、導入後のサポート体制の充実度も考慮して選ぶことが大切です。初期費用を抑えたとしても、運用後に追加費用がかかる場合があるため、トータルコストを把握したうえで比較しましょう。
おすすめの巡回点検アプリを比較
現場の業務効率化やミス防止に役立つ主要な巡回点検アプリを紹介します。
ANDPAD(アンドパッド)
株式会社アンドパッドが提供する「ANDPAD」は、建設業界向けの施工管理クラウドサービスです。現場での検査・点検業務に対応したチェックリスト機能や、写真・報告の共有機能を備えており、巡回点検の効率化にも活用できます。リアルタイムでの情報共有やデータの一元管理により、現場と本部の連携を強化し、作業品質の向上を支援します。
参考価格:ベンダーへお問い合わせください
CONOC建設業クラウド
株式会社CONOCが提供する「CONOC建設業クラウド」は、建設現場の品質・安全・工程管理を一元化するクラウドサービスです。点検・検査業務を効率化する帳票作成や是正指示機能を備えており、巡回点検の記録・管理にも対応。現場写真の整理や報告書の自動生成機能で、管理業務の負担を軽減し、業務全体のスピードと正確性を向上させます。
参考価格:初期費用350,000円~、月額30,000円~
現場クラウド Conne
株式会社現場サポートが提供する「現場クラウド Conne」は、建設現場の情報共有と業務報告を効率化するクラウド型の現場管理ツールです。点検・報告書の作成や写真付きのチェックリストなど、巡回点検業務にも対応可能。スマートフォンやタブレットからの操作性に優れ、現場作業員と事務所のスムーズな情報連携を実現します
参考価格:月額10,000円/~20名
SmartGEMBA
株式会社アイソルートが提供する「SmartGEMBA」は、スマートデバイスを活用した点検業務支援ソリューションです。点検作業者専用のアプリと、監督・管理者向けのWeb管理画面を組み合わせ、業務効率の向上や品質改善、コスト削減を実現します。最新のタブレットやスマートフォンに対応し、使いやすさを追求した設計が特徴です。
参考価格:ベンダーへお問い合わせください
きろくん2
株式会社クラスココンサルファームが提供する「きろくん2」は、賃貸管理会社向けの建物点検アプリです。定期巡回、定期清掃、原状回復、施工後点検、空室点検、水道検針など、6種類の点検機能を備えています。点検項目ごとに写真を撮影し、状態を選択するだけで報告書が自動作成されるため、業務の効率化とコスト削減に貢献します。
参考価格:ベンダーへお問い合わせください
巡回点検を含む、工事現場全体の業務効率化を図りたい方は、施工管理アプリの比較記事もあわせてご覧ください。
まとめ
巡回点検アプリを導入することで、点検データのデジタル化、リアルタイム共有、コスト削減が実現し、業務の効率化と精度向上につながります。さらに、ペーパーレス化やIoT連携を活用すれば、よりスムーズに点検業務を進められます。
アプリを選ぶ際は、業種・用途に適しているか、直感的に使いやすいか、オフライン対応の有無、既存システムとの連携性、コストバランスなどを慎重に比較することが大切です。
この記事で紹介したおすすめの巡回点検アプリを参考に、自社の業務に最適なツールを導入し、点検業務のデジタル化を進めましょう。