施工管理(工事管理)システムとは?
施工管理(工事管理)とは、資材、予算、工程、進捗などの観点から、請け負った工事が契約どおりに遂行できるように管理することを指し、工事を行う施行会社の現場監督が行います。
そして、施工管理(工事管理)業務を効率的に行うために導入されるのが、「施工管理(工事管理)システム」です。施工管理(工事管理)システムを導入することで業務を一元管理できるようになり、業務の効率化に繋げられます。
似たような言葉で「工事監理」というものもありますが、こちらは設計事務所が執り行い、設計図通りに工事が進んでいるか確認する業務です。以下の記事で詳しく解説しているので、気になる方はあわせてご覧ください。
施工管理(工事管理)システム4つの基本機能
施工管理(工事管理)システムは、主に以下4つの機能を搭載しています。
- 1.発注管理
- 工事ごとに、仕入れ先におこなった発注を登録する機能です。
- 2.原価管理
- 仕入に対して、今後発生する支払予定を管理する機能です。
- 3.売上管理・請求管理
- 工事現場ごとにいくら売り上げたかの管理をする機能です。請求書の発行などがおこなえる製品もあります。
- 4.入金管理
- 工事先への請求に対して、入金状況を管理する機能です。
また、なかには受注管理や工程管理、資産管理、労務・機械管理などの機能を持っているものもあり、工事の契約から売上金の回収まで、一連の業務を一元的に管理することができます。
施工管理(工事管理)システムのメリット
施工管理(工事管理)システムを導入する事によって得られるメリットは、主に以下の5つです。
- ・工事に関するデータを一元管理できる
- ・作業の状況をリアルタイムで把握できる
- ・意思決定を迅速化できる
- ・ペーパーレス化を実現できる
- ・ミスを削減し、業務負担を改善できる
それぞれのメリットについて、詳しく解説します。
工事に関するデータを一元管理できる
工事に関する人・モノ・資金などの経営資源を一元管理できることが、大きなメリットの一つです。それぞれを別々のシステムで管理している場合は、会計処理を行ったり経営判断に必要なデータを出したりする際に、人の手でデータの抽出や加工を行う必要があります。そこで、工事管理システムを使うことで、必要なデータを簡単に取り出せ、かつミスも防げます。
作業の状況をリアルタイムで把握できる
工事現場ごとに作業進捗をリアルタイムで把握できます。これまでは各工事現場ごとに作業の進捗状況などを都度確認する必要があり、そのデータを集計して初めて、当月や今後の売上・利益予測を出せていました。
工事管理システムを導入することで、作業進捗だけではなく、原価や売上の見込みなどもあわせてリアルタイムに把握できるため、正確な予実管理も可能になります。
意思決定を迅速化できる
経営判断を行う経営層が、精度の高いデータをリアルタイムに把握できることで、重要な判断をより迅速に行えます。現在の資産状況・売上・利益・人材状況などの経営情報は、経営層が見たいときに見られなくては重要な判断が遅れがちになるリスクもあります。工事管理システムの導入は、これらのリスクを回避することにつながります。
ペーパーレス化を実現できる
工事現場では、工程管理表や日報など、紙で管理することが多くありますが、工事管理システムを導入することで紙での出力が不要となり、ペーパーレス化にも繋がります。
ペーパーレス化が実現することで、これまで印刷や郵送にかかっていたコストの削減が期待できることがメリットです。
ミスを削減し、業務負担を改善できる
煩雑化しがちな工事管理において、手書きやパソコンへ手入力する管理方法の場合はケアレスミスが起こりやすいのが実際です。施工管理(工事管理)システムを導入することで情報漏れや見落としが減り、ミスの削減が期待できます。
また、帳簿やパソコンで管理している場合は、現場での作業が終わった後に事務所に戻ってから事務作業を行う必要があり、担当者にとって負担になっていました。
施工管理(工事管理)システムにはスマホやタブレットからデータを編集できるものもあり、業務負担の改善が期待できます。
こちらの記事では、スマホ・タブレットのアプリに対応した「施工管理(工事管理)アプリ」について詳しく解説しています。気になる方はあわせてご覧ください。
施工管理(工事管理)システムを導入するデメリットはあるの?
ここまで工事管理システムを導入するメリットを解説してきましたが、注意すべきデメリットもあります。施工管理(工事管理)システムのデメリットは以下の3つです。
- ・管理体制が整っていないと、製品を使いこなせない
- ・自社に不要な機能がある場合も
- ・外部ツールとの連携が難しい場合がある
それぞれのメリットについて、詳しく解説します。
管理体制が整っていないと、製品を使いこなせない
便利な工事管理システムですが、活用するためにはシステム内部に必要な情報が蓄積されていることが前提となります。データを入力する担当者、タイミングなど、管理体制を整えないまま導入してしまうと、紙での管理とシステムでの管理が混在してしまい、データが不完全になってしまうデメリットもあるでしょう。導入前に、運用体制を決めておくことが重要です。
自社に不要な機能がある場合も
とくにパッケージ型の製品は、導入が簡単にできる反面、不要な機能が多く搭載されている可能性もあります。一般的にシステムは高機能・多機能であるほど高価になる傾向がありますが、不要な機能によって価格が高くなったとしたら無駄なコストになります。導入前に、必要な機能は何かをしっかり検討しておきましょう。
外部ツールとの連携が難しい場合がある
ツールによっては、他のツール・システムとの連携が難しい場合もあります。社内で他のシステムをすでに利用している場合、連携ができない場合はデータの移行を手作業で行う必要があるため、手間やミスの原因にもなってしまいます。導入予定のシステムが、社内で利用中のシステムと連携できるかどうか、事前に確認しておきましょう。
施工管理(工事管理)システムの選定ポイント
施工管理(工事管理)システムのメリットを活かし、デメリットを防ぐためには選定ポイントを意識して検討するのがおすすめです。施工管理(工事管理)システムの選定ポイントは以下の4つが挙げられます。
- ・自社の課題を整理しよう
- ・必要な機能は十分に備わっているか
- ・自社に合う提供形態か(クラウド・オンプレミス)
- ・サポート体制の有無
それぞれのポイントについて、詳しく解説します。
自社の課題を整理しよう
施工管理(工事管理)システムを最大限活用するために、まずは自社の課題を整理しましょう。課題を洗い出しておくことで必要な機能がわかるため、製品選定をしやすくなり導入後の失敗も防げます。
必要な機能は十分に備わっているか
自社の課題を整理したうえで、どのような機能が備わった施工管理(工事管理)システムが必要かが見えてきたと思います。施工管理(工事管理)システムでもそれぞれの製品によって搭載している機能や対応規模が違います。必要な機能が十分に備わった製品であるかは、導入前に資料請求をして確認しましょう。
自社に合う提供形態か(クライド・オンプレミス)
施工管理(工事管理)システムにはさまざまな提供形態がありますが、選定の際にポイントとなるのはクラウド型かオンプレミス型の2つです。
クラウド型はインターネットを通じて利用する施工管理(工事管理)システムのことで、導入コストが抑えられる・導入までの時間が短いといったメリットがあります。
オンプレミス型は、自社のサーバー内にソフトウェアをインストールして使用する施工管理(工事管理)システムで、カスタマイズの自由度が高いことが特徴です。
こちらの記事では、クラウド型施工管理(工事管理)システムについて詳しく解説しています。導入を検討する際の参考になるのであわせてご覧ください。
サポート体制の有無
施工管理(工事管理)システムの導入後にわからないことやトラブルがあったときに、サポート体制があると問題を素早く解決できます。施工管理(工事管理)システムの導入が初めて・導入に不安があるといった場合は、サポート体制が充実している製品を選ぶことがおすすめです。
工事管理システムのメリデメを理解して自社に合う製品選定を
施工管理(工事管理)システムを導入することで、経営に大きなメリットがある一方、自社に適切な製品選びをしないと、逆にデメリットとなってしまう可能性もあります。
導入前にしっかりと製品を比較し、自社に最適な製品を導入しましょう。ITトレンドでは製品の比較に必要な資料を無料で一括請求することができるので、あわせてご活用ください。