オンプレミス型Webデータベースとは
オンプレミス型Webデータベースとは、自社が管理するサーバや社内ネットワーク上にシステムを構築し、Webブラウザからデータの登録・検索・編集・共有などを行う仕組みです。
ExcelやAccessなどで管理していた顧客情報・案件情報・在庫・日報・申請データなどをデータベース化し、複数のユーザーで共有できます。Webブラウザから操作するため、利用端末ごとに専用ソフトを導入せずに使える製品もあります。
近年はノーコード・ローコードに対応した製品も多く、専門的なプログラミング知識がなくても入力フォームや一覧画面、業務アプリを作成可能です。自社内にデータを保持しながら、Excel中心の情報管理を効率化したい企業に適しています。
クラウド型Webデータベースとの違い
オンプレミス型とクラウド型の大きな違いは、システムやデータを管理する環境です。クラウド型はベンダーが用意した環境をインターネット経由で利用するのに対し、オンプレミス型は自社サーバや自社管理のIT環境にシステムを構築します。
オンプレミス型は、社内のセキュリティポリシーにあわせてネットワークやアクセス権限を設計しやすく、既存の基幹システムや社内データベースとも連携しやすい点が特徴です。一方で、サーバの構築やバックアップ、アップデートなどは自社側での対応が必要になります。
クラウド型はサーバ構築が不要で、比較的短期間で導入しやすい点が特徴です。データの保管場所やシステム構成を自社で管理したい場合はオンプレミス型、インフラ管理の負担を抑えたい場合はクラウド型が適しています。
クラウド型Webデータベースも比較したい方は、以下の記事をご覧ください。
オンプレミス型Webデータベースが適している企業
クラウドサービスが普及するなかでも、セキュリティ要件や既存システムとの連携などを理由に、オンプレミス型が適している企業があります。ここでは、主なケースを紹介します。
機密データを自社環境で管理したい企業
顧客情報や人事情報、研究開発データ、設計情報など、機密性の高い情報を扱う企業では、データの保管場所が重要です。オンプレミス型であれば、自社のセキュリティポリシーにもとづいてサーバやネットワーク、アクセス範囲を設計できます。
インターネットから切り離した社内ネットワークで運用したい場合や、クラウドサービスの利用に社内規定上の制約がある場合にも適しています。
既存システムやデータベースと連携したい企業
基幹システムや生産管理システムなどがオンプレミス環境で稼働している場合、Webデータベースも同じ社内環境に配置することで連携しやすくなります。
製品によっては、Oracle DatabaseやMicrosoft SQL Serverなどの外部データベースとの接続、CSVによる定期連携、API連携などに対応しています。既存システムのデータを活用して業務アプリを構築したい企業にも向いています。
利用人数が多く全社展開したい企業
オンプレミス型Webデータベースには、ユーザー単位ではなく同時接続数でライセンス料金が決まる製品や、ユーザー数を問わず利用できる製品があります。
数百人から数千人規模で利用する場合、ユーザー単位の月額課金よりもオンプレミス型のライセンス体系が適しているケースもあります。全社員が常時利用するのか、一部のユーザーが交代で利用するのかを踏まえて比較しましょう。
オンプレミス型Webデータベースの2つのタイプ
オンプレミス型Webデータベースは、オンプレミス環境での利用を中心とするタイプと、オンプレミス・クラウドの両方に対応するタイプに分けられます。自社の運用方針や将来的なクラウド活用の有無に応じて選びましょう。
オンプレミス環境での利用を中心とするタイプ
自社サーバへの導入を中心に設計されたタイプです。機密情報を社内環境から出したくない企業や、閉域ネットワークで運用したい企業に適しています。クラウド移行を前提とせず、自社環境でWebデータベースを構築したい場合は優先的に検討するとよいでしょう。
オンプレミス・クラウドの両方に対応するタイプ
自社サーバへの導入に加えて、クラウド環境でも利用できるタイプです。現在はオンプレミスで運用しつつ、将来的なクラウド移行も視野に入れたい企業や、拠点・用途に応じて導入形態を選びたい企業に向いています。オンプレミス版とクラウド版では、料金体系や一部機能、保守方法が異なる場合があるため、導入前に確認しましょう。
▶オンプレミス・クラウドの両方に対応するWebデータベースを見る
オンプレミス型Webデータベースの選び方
オンプレミス型は、導入後のサーバ運用やシステム連携も自社の管理範囲に含まれます。そのため、Webデータベースとしての機能だけでなく、サーバ環境やライセンス、保守体制まで含めて比較することが重要です。
- ●自社のサーバ環境に対応しているか
- ●ノーコード・ローコードで構築できるか
- ●ExcelやAccessから移行しやすいか
- ●既存システムや外部データベースと連携できるか
- ●アクセス権限や認証を細かく設定できるか
- ●想定する利用人数に適したライセンス体系か
- ●サーバの保守・バックアップ体制を整えられるか
- ●必要な業務機能を搭載しているか
自社のサーバ環境に対応しているか
まず確認したいのが、製品のサーバ動作環境です。Windows ServerやLinuxなど、製品によって対応OSが異なります。また、データベースについてもPostgreSQLやMicrosoft SQL Serverなど、対応範囲に違いがあります。
すでに自社で運用しているサーバを利用する場合は、OS・データベース・Webサーバなどの条件を確認しましょう。新たにサーバを用意する場合は、製品ライセンスだけでなく、ハードウェアやOS、データベースライセンスなどの費用も含めて検討する必要があります。
ノーコード・ローコードで構築できるか
現場部門が自ら業務アプリを作成する場合は、ノーコード・ローコード機能を確認しましょう。ドラッグ&ドロップで項目を配置したり、Excelファイルを取り込んでアプリを生成したりする製品なら、開発部門への依頼を減らせます。
ただし、「ノーコード」とされていても、複雑な処理や外部連携にはプログラミングが必要になる場合があります。顧客管理や案件管理などのシンプルなデータ管理だけでよいのか、複雑な業務ロジックまで実装したいのかを整理して比較してください。
ExcelやAccessから移行しやすいか
Webデータベースの導入目的が脱Excel・脱Accessである場合、既存データの移行方法も重要です。ExcelやCSVファイルを直接取り込める製品であれば、データを一から登録し直す負担を抑えられます。
また、Excelに近い入力画面を作成できる製品なら、利用者の操作方法を大きく変えずに移行できます。既存ファイルのレイアウトをどこまで再現できるか、関数や帳票を引き続き利用できるかも確認するとよいでしょう。
既存システムや外部データベースと連携できるか
基幹システムやERP、販売管理、生産管理などのデータを活用する場合は、連携方法を確認しましょう。APIやCSVのインポート・エクスポートだけでなく、外部データベースへ直接接続できる製品もあります。
例えば、基幹システムの商品マスタをWebデータベースから参照したり、現場が入力した実績データを基幹システムへ連携したりする運用が考えられます。リアルタイム連携が必要なのか、定期的なバッチ処理で十分なのかによっても必要な機能は異なります。
アクセス権限や認証を細かく設定できるか
オンプレミス型では、セキュリティ要件が重視されるケースも多いため、ユーザーや部署、役職単位で閲覧・編集権限を設定できるか確認しましょう。
Active Directoryとの連携やWindows認証、SAML認証、LDAP認証などに対応していれば、既存の社内アカウント管理と統合しやすくなります。操作ログや監査ログを記録できるかも確認しておきましょう。
想定する利用人数に適したライセンス体系か
オンプレミス型Webデータベースの料金体系は製品によって異なります。登録ユーザー数で決まるもののほか、同時接続ユーザー数を基準にするものや、サーバ単位で契約するものがあります。
例えば、1,000人がアカウントを持っていても同時に利用するのが50人程度であれば、同時接続数を基準とするライセンスが適している場合があります。現在の利用人数だけでなく、将来的な全社展開も踏まえて総コストを試算しましょう。
サーバの保守・バックアップ体制を整えられるか
オンプレミス型では、サーバの監視やバックアップ、障害対応、アップデートなどを自社で担うケースがあります。
情報システム部門の人員が限られている場合は、導入支援や保守サービスの内容を確認しましょう。ベンダーや販売パートナーにサーバ構築・バージョンアップ・障害対応まで依頼できる製品であれば、運用負荷を抑えられます。
必要な業務機能を搭載しているか
データの登録・検索・編集だけでなく、ワークフローや帳票出力、グラフ・集計、メール通知、スマートフォン対応など、必要な業務機能も確認しましょう。
申請・承認までシステム化したい企業にはワークフロー機能、見積書や報告書を出力する企業には帳票機能が重要です。必要な機能を事前に洗い出し、標準機能で対応できるか、オプションや追加開発が必要かを比較してください。
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簡単な質問に答えるだけで、自社の条件にあった製品を確認できます。
オンプレミス環境での利用に適したWebデータベース
自社サーバや社内ネットワークでの運用を中心とするWebデータベースを紹介します。機密情報を自社環境で管理したい企業や、既存の基幹システム・社内データベースとの連携、セキュリティ要件への対応を重視する企業に適しています。
軽技WebDB
- ノーコードでExcel/CSVを取込みWebアプリを即生成
- 複数アプリを結合しPostgreSQL上で一元管理
- BIツール軽技Web連携でレポートやダッシュボード作成
富士電機ITソリューション株式会社が提供する「軽技WebDB」は、ExcelやCSVファイルを取り込み、ノーコードでWebデータベースや業務アプリを構築できるオンプレミス型ツールです。取り込んだデータはPostgreSQLに蓄積され、Webブラウザから検索・閲覧・編集が行えます。複数のアプリを結合して利用できるほか、Excelへの出力にも対応。同社のBIツール「軽技Web」と連携すれば、蓄積したデータの集計・分析やダッシュボードによる可視化にも活用できます。
UnitBase (株式会社ジャストシステム)
- アカウント数は無制限!同時ログイン数で料金が決まる
- ノンプログラミングで、業務システムを誰でも開発可能
- 標準搭載されている機能のみでワークフローの電子化も可能
オンプレミス・クラウドの両方に対応するWebデータベース
オンプレミスとクラウドのいずれかの導入形態を選べるWebデータベースや業務アプリ作成ツールを紹介します。自社環境でデータを管理したい企業のほか、将来的なクラウド活用を視野に入れている企業にも適しています。提供形態によって料金体系や機能、運用方法が異なる場合があるため、導入前に確認しましょう。
楽々Webデータベース
- 活エクセル|Excelを活用したままExcel業務の課題解決
- かんたん構築|ノーコードでだれもがIT人材に
- つなげて活用|貯めたデータも人もつなげて新たな価値を
住友電工情報システム株式会社が提供する「楽々Webデータベース」は、既存のExcelファイルを活用し、ノーコードで業務アプリを構築できるWebデータベースです。クラウド版とオンプレミス版を提供しており、オンプレミス版では自社サーバやクローズドな環境でデータを管理できます。Excel・CSVによるデータ入出力のほか、WebAPIやWebhookを用いたシステム連携にも対応。同時ログイン数を基準としたライセンス体系で、ユーザー数やアプリ数、データ件数に制限なく利用できます。
AppSuite
- 多種多様なアプリライブラリから業務に合わせたアプリを選択可能
- 直感操作でデータ編集や検索、並べ替えなどが簡単に行えます
- 集計データをポータルで共有してスムーズに社内で情報共有可能
株式会社ネオジャパンが提供する「AppSuite」は、グループウェア「desknet's NEO」上で動作するノーコード業務アプリ作成ツールです。紙やExcelで管理している台帳を取り込んでアプリ化でき、Web上でデータの登録・検索・編集・集計などを行えます。desknet's NEOにはクラウド版とパッケージ版があり、パッケージ版を利用すれば自社環境での運用が可能です。データ管理に加え、ポータルやワークフローなどもまとめて活用したい企業に向いています。
Exment (株式会社カジトリ)
- ノーコードで業務データ管理システムを構築可能
- Web上で情報の一元管理と共有をスムーズに実現。
- テンプレートやワークフロー機能で業務運用を効率化。
Pleasanter
株式会社インプリムが開発する「Pleasanter」は、Webデータベース型の業務アプリを構築できるノーコード・ローコード開発プラットフォームです。オンプレミス版はWindowsやLinuxなどの自社環境へインストールでき、Webブラウザからデータの登録・検索・編集やプロセス管理などを行えます。無償・オープンソースのCommunity Editionも提供しており、スクリプトやAPIによる機能拡張にも対応。自社でサーバを構築・運用しながら、柔軟に業務システムを内製したい企業に適しています。
Forguncy
メシウス株式会社が提供する「Forguncy」は、Excelライクな操作でWeb業務アプリを構築できるノーコード開発・運用基盤です。データベースを内蔵するほか、Microsoft SQL ServerやOracle Database、MySQL、PostgreSQLなどの外部データベースとの連携にも対応しています。Forguncy Serverを用いてオンプレミス環境で運用でき、クラウド利用にも対応。帳票出力やワークフロー、ユーザー認証、バックアップなども備えており、基幹システム周辺のExcel業務をWeb化したい企業に適しています。
オンプレミス型Webデータベースのメリット
オンプレミス型には、自社環境でシステムやデータを管理するからこそ得られるメリットがあります。ここでは、代表的な3つの利点を紹介します。
自社のセキュリティ要件にあわせやすい
サーバやデータを自社環境に配置するため、ネットワーク構成やアクセス方法を自社のセキュリティポリシーにあわせて設計しやすい点がメリットです。インターネットから切り離した環境で運用するなど、機密性を重視した構成にも対応しやすくなります。
既存システムと柔軟に連携しやすい
社内にある基幹システムやデータベースと同じネットワーク内に配置できるため、データ連携の自由度が高い点も特徴です。既存システムからマスタを取得したり、Webデータベースで収集した情報を別システムへ連携したりと、自社の業務にあわせた構成を検討できます。
システムの更新時期を管理しやすい
クラウドサービスでは、ベンダー側の判断で機能追加や画面変更が行われる場合があります。一方、オンプレミス型は、自社の検証や業務スケジュールにあわせてバージョンアップできる製品もあります。システム変更時に十分な検証期間を確保したい企業にも適しています。
オンプレミス型Webデータベースの注意点
オンプレミス型は自由度が高い一方で、自社で対応すべき運用業務やコストも増える傾向があります。導入前に、以下の注意点を確認しておきましょう。
初期費用が高くなりやすい
製品ライセンスのほか、サーバやOS、データベースなどの購入費用が発生する場合があります。環境構築をベンダーへ依頼する場合は、導入支援費用も必要です。ライセンス価格だけで判断せず、サーバ更新や保守契約を含めた数年間の総保有コストでクラウド型と比較しましょう。
サーバの運用・保守が必要になる
オンプレミス環境では、障害監視やバックアップ、セキュリティパッチ、バージョンアップなどの管理が必要です。運用担当者を確保できない場合、安定稼働の維持が課題になる可能性があります。社内の運用体制が十分でない場合は、ベンダーや販売パートナーが提供する構築・保守サービスの利用も検討しましょう。
社外からの利用には追加のセキュリティ対策が必要
テレワークや外出先からオンプレミス型Webデータベースへ接続する場合は、VPNなど安全な通信経路を用意する必要があります。Webブラウザで利用できる製品であっても、インターネットから安全にアクセスできるとは限りません。利用場所や端末を整理したうえで、認証方法やネットワーク構成を検討しましょう。
オンプレミス型Webデータベースに関するよくある質問
オンプレミス型Webデータベースの導入を検討する際によくある疑問をまとめました。
- Q1:オンプレミス型Webデータベースは無料で利用できますか?
- PleasanterのCommunity Editionなど、無償で利用できる製品もあります。ただし、サーバの構築・運用費用や保守担当者の人件費は別途必要です。無料製品でも総コストを確認しましょう。
- Q2:Excelからオンプレミス型Webデータベースへ移行できますか?
- ExcelやCSVの取り込みに対応する製品は多くあります。既存ファイルからアプリを作成できる製品もあるため、移行対象のデータ量やレイアウトを確認して選びましょう。
- Q3:オンプレミス型とクラウド型はどちらがおすすめですか?
- データの保管場所や既存システムとの連携を重視する場合はオンプレミス型、サーバ管理の負担軽減や導入スピードを重視する場合はクラウド型が適しています。
- Q4:ノーコードなら情報システム部門は不要ですか?
- ノーコードでも、サーバ管理やセキュリティ、権限設計、バックアップなどにはIT知識が必要です。情報システム部門と利用部門で役割を分担するとよいでしょう。
- Q5:オンプレミス型でもWebブラウザから利用できますか?
- はい。自社サーバ上で稼働する場合でも、対応ブラウザからアクセスできます。ただし、利用できるブラウザや端末は製品ごとに異なるため、動作環境を確認してください。
まとめ
オンプレミス型Webデータベースは、自社環境でデータを管理しながら、ExcelやAccessなどで行っていた情報管理をWeb化したい企業に適しています。機密情報を社外に保存したくない場合や、既存の基幹システム・データベースと柔軟に連携したい場合にも有力な選択肢です。
製品を比較する際は、サーバ環境への対応、ノーコード・ローコード機能、既存データの移行方法、システム連携、認証・権限管理、ライセンス体系、保守体制を確認しましょう。自社のセキュリティ要件や運用体制を整理し、複数製品を比較したうえで、長期的に運用しやすいWebデータベースを選定してください。


