通年採用とはどのような採用手法か
利点と課題を判断する前に、どのような進め方なのかを押さえておきましょう。従来の採用と何が変わるのかを整理すると、自社に適するかどうかを検討しやすくなります。
通年採用の基本的な考え方
通年採用とは、募集と選考の時期を特定の期間に限定せず、年間を通じて実施する採用手法です。応募があった時点で選考を進め、条件が合えば採用を決めるという流れになります。新卒と中途の双方で採り入れられています。
背景には、働き方や進路の選び方が多様になったことがあります。留学から戻る時期が異なる学生、研究や資格取得を経て就職する人、転職の時期が定まらない人など、決まった時期の募集では応募できない層が一定数存在します。通年採用は、こうした層と接点を持つための手立てとして位置づけられます。
新卒一括採用との違い
新卒一括採用は、決まった時期に募集を行い、同じ流れで選考を進め、一斉に入社する形です。同期という単位でまとめて研修を実施できるため、受け入れの効率という面では利点があります。
| 比較軸 | 通年採用と一括採用の違い |
|---|---|
| 募集の時期 | 通年採用は年間を通じて実施。一括採用は決まった期間に集中する |
| 受け入れ | 通年採用は入社時期が分散する。一括採用はまとめて研修を実施しやすい |
| 担当者の業務 | 通年採用は年間を通じて続く。一括採用は繁忙期が明確に分かれる |
どちらか一方に絞る必要はありません。一括採用を軸としながら、一部の職種で通年の募集を行う形を採る企業もあります。
通年採用のメリット
ここからは、企業側が得られる利益を具体的に整理します。母集団、選考、事業対応という三つの面から確認します。
応募者の幅を広げられる
決まった時期の募集では、その期間に動けなかった人は応募のしようがありません。留学の帰国時期が合わない、大学院での研究が続いている、前職の引き継ぎが長引いているといった事情は珍しくありません。
年間を通じて窓口を開いておけば、こうした人と接点を持てます。他社の選考が一段落した時期に検討し直す応募者と出会える可能性もあります。ただし、窓口を開くだけで応募が増えるわけではなく、通年で募集していることを継続的に発信する取り組みが前提になります。
選考にかける時間を確保できる
応募が特定の時期に集中すると、面接の日程調整に追われ、一人あたりに割ける時間が短くなります。判断を急いだ結果、入社後に想定との違いが表れるケースも起こり得ます。
応募が分散すれば、面接の回数を増やす、現場の社員と話す機会を設けるといった対応を取りやすくなります。応募者にとっても、企業を理解したうえで意思決定できる利点があります。相互の理解が深まることは、入社後の定着にも関わる要素です。
欠員や事業拡大にあわせて動ける
退職者が出た場合や、新しい事業を立ち上げる場合、必要な人材をすぐに募集できる状態は事業運営の助けになります。次の募集時期を待つ運用では、その間の業務を既存の社員で担う必要が生じます。
通年で採用の仕組みが動いていれば、募集要項の作成から選考までの流れをすぐに立ち上げられます。過去の応募者情報を蓄積しておけば、条件の合う人へ改めて連絡する方法も採れます。ただし個人情報の保管期間や再連絡の可否については、取得時の説明内容にもとづいて判断する必要があります。
通年採用のデメリット
利点だけを見て切り替えると、運用が始まってから負担が表面化します。事前に把握しておきたい課題を二つ挙げます。
採用業務が年間を通じて続く
一括採用では繁忙期と落ち着く時期が分かれますが、通年採用ではその区切りがなくなります。募集要項の管理、応募者への連絡、面接の設定、現場との調整といった業務が途切れずに続きます。
採用担当者が他の人事業務を兼任している場合、負担が積み上がる可能性があります。対応が遅れれば応募者の辞退にもつながるため、業務量を見積もったうえで体制を検討する必要があります。応募者管理の仕組みを整え、定型的な連絡を自動化するといった工夫も有効です。
選考基準がぶれやすくなる
同じ時期にまとめて選考する形では、応募者どうしを比較しながら判断できます。応募が分散すると比較の対象が少なくなり、その時々の状況によって判断が変わる可能性があります。
人員が不足している時期に基準が緩み、余裕がある時期に厳しくなるといった揺れも起こり得ます。対策としては、評価の項目と判断の目安を文書として定め、面接官が複数いる場合は認識をそろえる機会を設けることが挙げられます。評価の記録を残し、後から振り返れる状態にしておくことも助けになります。
ITトレンドでは、最新の製品・サービスを多数比較・掲載しています。まず資料を取り寄せて機能や特徴をさまざまな製品で比較してみてください。忙しい業務時間内でも、各社に問い合わせる手間なく、たった1回の入力(約60秒)で採用管理・選考管理システムの一括資料請求が可能です。浮いた時間で、じっくりと製品を比較検討し進めましょう。
通年採用を進めるための準備
切り替えを検討する際に、事前に整えておきたい要素を二つ挙げます。制度だけを変えても、現場が対応できなければ定着しません。
選考基準と受け入れ体制の整備
判断の揺れを抑えるには、求める人物像を言語化し、評価の項目を定めておく作業が欠かせません。職種ごとに必要な経験や適性を整理し、面接で確認する内容をそろえておきましょう。
入社時期が分散すると、研修の実施方法も見直しが必要です。同じ内容を都度実施するのは負担が大きいため、教材を用意して個別に学べる形にする、既存社員が支援役を担う仕組みを設けるといった対応が考えられます。受け入れ部署の負担についても、事前に相談しておくことが望まれます。
応募者への対応速度の確保
応募から連絡までに時間がかかると、他社の選考が先に進み辞退につながる場合があります。通年採用では応募が不定期に発生するため、誰が最初に対応するかを決めておく必要があります。
担当者一人が窓口となる体制は、休暇や出張の際に対応が止まります。複数人で状況を把握でき、対応の履歴が残る仕組みを用意しておきましょう。面接の日程調整を応募者側で選べる仕組みを導入すれば、往復のやり取りを減らせます。
採用管理システムの活用と選び方
通年採用では、応募者の情報が年間を通じて蓄積されます。管理の仕組みが整っていないと、対応の抜けや情報の分散が生じやすくなります。
採用管理システムが担う役割
採用管理システムとは、募集の管理から応募者情報の蓄積、選考状況の管理、評価の記録までをまとめて扱う仕組みです。応募経路が複数にわたる場合でも、一つの画面で状況を確認できます。
選考がどの段階にあるか、次に誰が対応すべきかが可視化されるため、対応漏れを防ぎやすくなります。過去の応募者を条件で検索できる製品であれば、新しい募集の際に再度声をかける運用にも活用できます。評価の記録が残ることは、基準の揺れを確認する材料にもなります。
確認したい機能と連携範囲
自社の選考の流れを再現できるかを確認します。選考段階の設定、面接官による評価の入力、応募者への連絡の自動化、日程調整の仕組みなど、必要な機能を洗い出しましょう。
求人媒体や人材紹介からの応募をどう取り込むかも確認点です。手作業での登録が残ると、通年採用では負担が積み上がります。人事システムとの連携により、入社決定後の情報の引き渡しを自動化できるかもあわせて確かめておくとよいでしょう。
費用体系とサポート範囲の確認
料金は、利用人数に応じた月額制、募集件数や応募者数によるプラン分け、初期費用と月額の組み合わせなど、製品によって考え方が異なります。年間の応募見込み数を整理したうえで試算すると比べやすくなります。
サポートについては、どこまで対応してもらえるのかを具体的に確かめます。操作方法の案内にとどまるのか、初期設定や選考フローの設計を支援してもらえるのか、運用開始後の改善を相談できるのかは製品ごとに差があります。対応時間帯や問い合わせ手段も確認しておきましょう。
通年採用の運用を支える採用管理システム
応募者情報の一元管理や選考状況の把握にあわせて検討できる、採用管理システムを紹介します。
HRMOS(ハーモス)採用
- 応募、選考管理、候補者連絡など、採用業務を「一元化・効率化」
- 現状把握と分析に必要な 「採用データの可視化」
- 工数削減と適切なチャネル活用による「採用コストの最適化」
株式会社ビズリーチが提供する「HRMOS(ハーモス)採用」は、応募者情報の管理から選考の進捗管理までを扱う採用管理システムです。複数の応募経路からの情報を一元的に集約でき、通年採用のように応募が不定期に発生する運用にも対応しやすい構成です。過去の応募者情報を条件で検索できる機能もあります。
HERP Hire
- AIが選考と面接評価を支援し質と速度を向上
- Slack等から書類確認や評価入力を完結
- DataHubで採用指標を自在に可視化し意思決定を支援
株式会社HERPが提供する「HERP Hire」は、複数の求人媒体や紹介会社からの応募を一元管理できる採用管理システムです。選考のステータスを可視化し、対応が滞っている候補者を把握しやすくなります。ビジネスチャットとの連携にも対応しており、選考に関わる社員との情報共有を進めやすくなっています。
ジョブカン採用管理
- 募集から内定までこれ一つ。簡単高機能な採用管理システム
- あらゆる経路からの応募者の情報を取り込み、一括管理!
- 媒体別・面接官別など求人効果の分析・レポート作成も可能!
株式会社DONUTSが提供する「ジョブカン採用管理」は、応募受付から内定までの選考プロセスを管理できるシステムです。応募経路ごとの実績を集計できる機能があり、通年採用のように長期にわたる採用活動の振り返りにも活用できます。他のジョブカン製品との連携にも対応しています。
LEADFOR (株式会社DOTFIND)
- 候補者に選ばれる採用マーケティング支援
- 採用活動の効率化と最適化を実現
- データ連携と分析をシームレスに行います。
レジェンダの採用代行(RPO) (レジェンダ・コーポレーション株式会社)
- 採用戦略の立案から実行までを一貫して支援。
- チーム体制で継続的に伴走支援
- 業務範囲をニーズに合わせて柔軟にカスタマイズ。
通年採用に関するよくある質問
検討する担当者から寄せられることの多い質問と回答をまとめました。
- Q1: 一括採用をやめて通年採用に切り替えるべきですか?
- どちらが適するかは、採用人数や職種、受け入れ体制によって変わります。一括採用を軸に一部の職種で通年募集を行う形も選べます。まずは現在の採用で生じている課題を整理し、通年化で解決できる部分を見極めるとよいでしょう。
- Q2: 通年採用にすると採用コストは増えますか?
- 募集を継続する分の費用や担当者の工数は増える可能性があります。一方で、欠員による業務への影響や、急な募集にかかる費用を抑えられる面もあります。年間の総額で比較し、自社の状況にあてはめて判断することをおすすめします。
- Q3: 入社時期が分散すると研修はどうすればよいですか?
- 都度の集合研修は負担が大きいため、事前に教材を用意して個別に学べる形を整える方法があります。既存社員が一定期間支援する仕組みを設ける企業もあります。受け入れ部署と相談し、無理なく続けられる形を選びましょう。
- Q4: 応募者の情報はいつまで保管できますか?
- 取得時に説明した利用目的と保管期間にもとづいて扱う必要があります。再度連絡する可能性があるなら、その旨を取得時に伝えておくことが望まれます。具体的な取り扱いは、社内の個人情報保護の担当や法務部門に確認しながら決めましょう。
まとめ
通年採用は、募集と選考の時期を限定せず年間を通じて実施する手法です。応募者の幅を広げられ、選考に時間をかけられるほか、欠員や事業拡大にも動きやすくなる点が利点といえます。一方で、採用業務が途切れず続くことや、選考基準が揺れやすくなる課題も伴います。基準の言語化と受け入れ体制を整えたうえで、応募者管理を支える採用管理システムの活用を検討しましょう。まずは資料請求から比較検討を進めてみてください。


