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在宅診療向け電子カルテのセキュリティ|院外で守るべき情報と対策

在宅診療向け電子カルテのセキュリティ|院外で守るべき情報と対策

在宅診療向け電子カルテのセキュリティ対策は、端末の持ち出し、訪問先からの通信、多職種との情報共有という、医療情報が院外に出る場面ごとに考えることが重要です。院内だけで使う電子カルテとは、守る範囲が異なるためです。この記事では、厚生労働省の「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」第7.0版の考え方を踏まえて解説します。患者宅での注意点、持ち出し端末とログインの管理、紛失やサイバー攻撃への備えを順に確認しましょう。

この記事は2026年10月時点の情報に基づいて編集しています。
目次

    ITトレンドがおすすめする製品・サービス

    ■認証と操作記録別
    ■データの保管先別

    在宅診療向け電子カルテで情報が院外に出る場面

    在宅診療では、医療情報が医療機関の建物の外で扱われます。まず、どの場面で情報が院外に出るのかを整理すると、優先して対策すべき点が見えてきます。場面ごとに守る対象と対策の担い手が異なる点を押さえておきましょう。

    訪問用端末の持ち出し

    最も身近な場面は、電子カルテを使うタブレットやスマートフォンを訪問に持ち出すことです。端末を車内や患者宅に置き忘れたり、移動中に盗まれたりすると、端末内や画面に表示された医療情報が第三者に見られるおそれがあります。

    端末にどの情報が保存されるのかは、電子カルテの提供方式によって異なります。端末に記録を一時保存する方式なのか、画面を表示するだけで端末に残さない方式なのかを把握したうえで、必要な対策の範囲を決めましょう。訪問に持ち出す端末の台数や種類を一覧にしておくと、管理の対象がはっきりします。

    関連記事 在宅医療における電子カルテシステムの選び方は?機能や注意点、費用目安を解説

    訪問先からの通信

    訪問先から電子カルテにアクセスする際、医療情報はインターネットを経由して送受信されます。通信が暗号化されていない状態で送られると、途中で内容を読み取られる危険があります。

    クラウド型であれば提供事業者の通信の暗号化方式を、院内サーバーに接続する場合はVPNなどの安全な経路を用意しているかを確認します。患者宅や公共の場所で無料の公衆無線LANに接続しないといった、職員が守るルールも定めておきましょう。

    多職種との情報共有

    在宅診療では、訪問看護ステーションや薬局、ケアマネジャーなど院外の事業所と情報をやり取りします。FAXの誤送信やメールの宛先間違いのように、共有の過程で情報が意図しない相手に届くリスクもあります。

    電子カルテや連携の仕組みで共有する場合は、共有先ごとに閲覧できる範囲を設定できるか、誰がいつ閲覧したかを記録できるかを確認しましょう。患者や家族から共有について同意を得る手順も、あわせて決めておくことが大切です。共有の方法を職員ごとに変えず、院内で統一しておくと誤送信のリスクも下げられます。

    患者宅ならではのセキュリティ上の注意

    患者宅は、家族など医療機関の職員以外の人も過ごす生活の場です。院内とは異なる環境で在宅診療向け電子カルテを使うときに、職員が気をつけたい点を整理します。システムの設定だけでは防ぎにくいため、職員の行動ルールとして決めておくことが大切です。

    画面ののぞき見と置き忘れ

    患者宅では、家族や、同じ時間に訪れた他事業所の職員が近くにいることがあります。端末の画面を開いたままにすると、ほかの患者の予定や記録が目に入るおそれがあるため、必要な画面だけを開き、使い終わったらすぐに閉じる習慣が大切です。

    画面にのぞき見防止フィルムを貼る、一定時間操作がないと自動で画面をロックする設定にするといった対策も有効です。訪問を終えて退出する前に、端末を持ったかを確認する手順を設けている医療機関もあります。

    家族の前で記録を見せる場面

    検査結果や今後の方針を説明する際に、端末の画面を患者や家族に見せることがあります。説明に使う画面に、ほかの患者の情報や職員向けのメモが表示されないかを事前に確認しておきましょう。

    家族が写真を撮りたいと申し出た場合の対応や、説明した内容を記録に残す方法も、院内で決めておくと職員ごとの対応のばらつきを防げます。説明用の画面や印刷物を別に用意する方法も検討するとよいでしょう。

    移動中や車内での端末の保管

    訪問の合間は、車内に端末を置いたまま次の患者宅に入る場面も考えられます。車内に端末を置いたままにすると、車上荒らしなどによる盗難のリスクがあるため、端末を持ち歩くか、外から見えない場所に保管するといったルールを決めておきましょう。

    夏場の車内は高温になり、端末の故障につながることもあります。故障で記録が取り出せなくなる事態に備えて、端末内に未送信の記録を長く残さない運用にしておくと安心です。予備の端末を用意しておけば、故障した場合でも当日の訪問を続けられます。

    ガイドライン第7.0版が示す持ち出し端末の対策

    厚生労働省の安全管理ガイドラインは、2026年6月に第7.0版が公表されています。在宅診療向け電子カルテで使う端末の管理について、ガイドラインで示されている主な考え方を確認します。

    起動パスワードと記録媒体の暗号化

    ガイドラインでは、情報機器を持ち出す場合、盗難や紛失のリスクを想定した手順を作成し、端末の起動パスワードなどを設定することが必須とされています。医療情報が保存されている場合は、記録媒体の暗号化も必要です。

    さらに、医療情報を表示や編集できるアプリの起動にもパスワードを設定するなどの措置が求められています。端末のロックとアプリのログインを二重に設けておくと、端末を紛失した場合でも情報が見られるリスクを下げられます。

    不要なアプリと管理者権限の制限

    タブレットやスマートフォンを持ち出す際は、目的から見て不要なアプリを入れないこと、端末の管理者権限を利用者に原則として付与しないことも重要とされています。職員が自由にアプリを追加できると、不正なアプリから情報が漏れるおそれがあるためです。

    MDM(モバイルデバイス管理)を使うと、端末に入れるアプリを管理者がまとめて制限できます。どのアプリを許可するかを一覧にして、定期的に見直す手順も整えておきましょう。OSやアプリの更新を管理者がまとめて行えるかも、確認しておきたい点です。

    関連記事 在宅診療向け電子カルテへの乗り換え手順と訪問業務の要件

    私物端末(BYOD)の扱い

    職員個人のスマートフォンを業務に使うことをBYODといいます。ガイドラインでは、管理されていない端末でのBYODは許可してはならないとされ、導入する場合はコストや利便性とリスクを評価して検討することが求められています。

    BYODを認める場合でも、医療機関が管理する端末と同等の対策を講じる手順が必要です。端末の管理範囲や退職時のデータの扱いが複雑になるため、在宅診療では医療機関が端末を貸与する方法を基本に検討するとよいでしょう。

    在宅診療向け電子カルテのログインと権限の管理

    端末の対策に加えて、誰が在宅診療向け電子カルテにログインし、どの情報を見られるのかを管理することも欠かせません。認証の方法と権限の管理について確認します。いずれも、電子カルテ側の設定と院内で定める手順の両方で支える必要があります。

    二要素認証への対応時期

    ガイドライン第7.0版では、令和9年度時点で稼働していることが想定される医療情報システムを今後導入または更新する場合、原則として二要素認証を採用することが示されています。二要素認証とは、パスワードと指紋のように異なる2つの要素で本人を確かめる方法です。

    これから在宅診療向け電子カルテを導入する場合は、二要素認証に対応しているかを確認しましょう。訪問先で手袋をしたまま操作する場面もあるため、どの認証方法が現場で使いやすいかも試しておくと安心です。

    職種ごとのアクセス権限と操作ログ

    医師、看護師、事務職員など、職種によって必要な情報は異なります。職種や担当ごとに閲覧や編集の権限を分けておくと、必要以上の情報に触れる人を減らせます。

    あわせて、誰がいつどの患者の記録を見たかという操作ログを残し、定期的に確認する体制を整えましょう。異動や退職の際にアカウントを速やかに停止する手順も、複数の職員で把握しておくことが大切です。

    関連記事 在宅診療向け電子カルテのメリットとは?訪問先で記録できる仕組みと選び方を解説

    紛失やサイバー攻撃が起きたときの備え

    対策を講じても、端末の紛失やサイバー攻撃の可能性をなくすことはできません。起きたときに被害を広げず、在宅診療を続けられるように、事前に手順を決めておきましょう。手順は文書にまとめ、職員が交代しても実行できるようにしておくことが大切です。

    端末紛失時の遠隔ロックと報告手順

    ガイドラインでは、情報機器の紛失や盗難が起きた場合の対応手順を作成し、モバイル端末についてはMDMによる遠隔制御などの対策を事前に講じることも必要とされています。遠隔でロックやデータ消去ができれば、情報が見られるリスクを抑えられます。

    紛失に気づいた職員が誰に連絡し、誰がロックの操作を行うのかを決め、夜間や休日でも対応できるようにしておきましょう。端末の貸し出し記録があれば、どの端末を誰が持っていたかをすぐに確認できます。

    サイバー攻撃を想定した事業継続計画

    ランサムウェアと呼ばれる身代金要求型のウイルスなどで電子カルテが使えなくなると、訪問予定や処方内容を確認できなくなるおそれがあります。厚生労働省は、サイバー攻撃を想定した事業継続計画(BCP)の確認表や手引きも公開しています。

    バックアップがどこに、どの頻度で取られているか、復旧までの間に紙で訪問を続ける手順があるかを確認しておきましょう。提供会社の障害時の連絡体制もあわせて把握し、訓練を通じて手順を見直すことが大切です。

    安全管理の仕組みで比べる電子カルテ一覧

    認証や操作記録、データの保管先など、セキュリティの観点で確認したい特徴を製品ごとにまとめました。

    製品名特徴
    モバカルクリニック電子証明書による認証とTLS1.3による通信の暗号化に対応しています。
    エムスリーデジカルログインログと監査ログを管理でき、データは自動でバックアップされます。
    CLIUS (クリアス)日本医師会の基準に準拠したサーバーで運用。Mac・Windows・iPadで利用可能。
    セコム・ユビキタス電子カルテセコムのデータセンターで情報を一括管理し、院内には診療情報が残りません。
    Zaitak Karteセキュアなクラウドにカルテを保存し、PC・タブレット・スマホから参照可能。

    院外利用の安全管理を確かめやすい電子カルテ

    訪問先から使うことを前提に、認証の方式や操作記録、データの保管体制を説明している製品を紹介します。

    モバカルクリニック

    NTTプレシジョンメディシン株式会社
    《モバカルクリニック》のPOINT
    1. レセコンと連携し、カルテ操作のみで受付・診察会計業務が完結
    2. 高性能なオーダリング機能によりチーム診療を強力にサポート
    3. 在宅医療特化の電子カルテ『モバカルネット』との連携も可能

    NTTプレシジョンメディシン株式会社が提供する「モバカルクリニック」は、3省2ガイドラインに準拠したセキュリティ体制を整えたクラウド型電子カルテです。認証にはX.509準拠の電子証明書による証明書認証を使い、通信はTLS1.3で暗号化しています。データセンターは、ISO/IEC 27001などの認定を受けた施設を日本国内の複数拠点に分散して運用。外来診療向けの製品ですが、在宅医療に特化した「モバカルネット」と連携すると、カルテの記載内容などを共有しながら在宅医療にも対応できます。

    エムスリーデジカル

    エムスリーデジカル株式会社
    《エムスリーデジカル》のPOINT
    1. 初期0円、AIによる自動学習で入力時間80%削減!
    2. 15年利用で約1,000万円のコスト削減が可能!
    3. 金融機関・政府機関も利用する安全技術

    エムスリーデジカル株式会社が提供する「エムスリーデジカル」は、ログインログと監査ログの管理機能を備えたクラウド型電子カルテです。ログイン状況や操作の記録を確認できるため、訪問先からのアクセスを含めた利用状況の点検に役立ちます。データは自動でバックアップされ、災害時の備えにもつながる設計です。オプションのiPadアプリを使えば、訪問先でApple Pencilによる手書き入力や写真の撮影ができ、撮影した写真は電子カルテへ転送されます。

    CLIUS (クリアス)

    株式会社DONUTS
    《CLIUS (クリアス)》のPOINT
    1. 事前カルテの記入、訪問スケジュールの調整もラクラク
    2. Mac、Windows、iPadで自由に運用!書類一括印刷もOK
    3. 在宅医療を低コストでスタートできる

    株式会社DONUTSが提供する「CLIUS (クリアス)」は、厳重な情報保護管理体制のもと、日本医師会の基準に準拠したサーバーで運用されるクラウド型電子カルテです。Mac・Windows・iPadで利用でき、訪問先でもカルテの閲覧や編集ができます。事前カルテの作成や定期処方、書類作成などの在宅機能を、追加のオプション料金なしで使える点も特徴です。基本プランでは、医師が開いているカルテをサポート担当者が遠隔操作して、トラブルや疑問の解決をリアルタイムで支援します。

    セコム・ユビキタス電子カルテ (セコム医療システム株式会社)

    製品・サービスのPOINT
    1. 在宅、外来、入院機能を標準搭載
    2. 万全なサポート体制が好評
    3. 多様な部門システムとの連携実績

    Zaitak Karte (株式会社アイソル)

    《Zaitak Karte》のPOINT
    1. セキュアなクラウドにカルテを保存!いつでもどこでも参照できる
    2. さまざまな在宅医療関連の文書作成に対応!
    3. インターネットFAX連携で病院に戻らず処方箋や紹介状を送れる!

    まとめ

    在宅診療向け電子カルテのセキュリティは、端末の持ち出し、訪問先からの通信、多職種との情報共有という院外の場面ごとに対策を考えることが重要です。ガイドライン第7.0版が示す起動パスワードや暗号化、私物端末の扱い、二要素認証への対応を確認し、患者宅での使い方や紛失時の手順も院内で決めておきましょう。電子カルテの資料請求で認証方式や端末内データの扱いを比較し、自院にあう製品を検討してください。

    IT製品・サービスの比較・資料請求が無料でできる、ITトレンド。「在宅診療向け電子カルテのセキュリティ|院外で守るべき情報と対策」というテーマについて解説しています。在宅診療向け電子カルテの製品 導入を検討をしている企業様は、ぜひ参考にしてください。
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