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在宅診療向け電子カルテ導入の進め方|訪問業務の整理から稼働まで

在宅診療向け電子カルテ導入の進め方|訪問業務の整理から稼働まで

在宅診療向け電子カルテの導入は、製品を比べる前に、訪問1回の流れと職種ごとの分担を書き出すことから始めるとスムーズです。患者宅で何を入力し、帰院後に誰が何をするかが決まれば、必要な機能や端末、運用ルールが見えてきます。この記事では、在宅診療を行う医療機関に向けて、導入前に決める運用方針、実際の訪問ルートでの試用から本稼働までの手順、導入後に定着させる工夫を順に解説します。

この記事は2026年10月時点の情報に基づいて編集しています。
目次

    ITトレンドがおすすめする製品・サービス

    ■導入時の状況別
    ■導入支援の内容別

    在宅診療向け電子カルテの導入は訪問業務の整理から

    在宅診療向け電子カルテの導入でつまずきやすいのは、現場の業務と製品の使い方がかみあわない場合です。導入後に運用を大きく変えずに済むよう、最初に今の訪問業務を書き出して、電子カルテに任せたい範囲をはっきりさせましょう。

    訪問1回の流れを時系列で書き出す

    まず、訪問前の準備から患者宅での診察、帰院後の処方や書類作成までを、時系列で書き出します。例えば、前日に訪問予定を確認する、当日に前回記録と持参する物品を確認する、患者宅でバイタルサインと所見を記録する、といった具合です。

    それぞれの作業に、現在はどの道具を使い、どのくらい時間がかかっているかを書き添えると、電子カルテで効率化したい作業が見えてきます。定期訪問と緊急往診では流れが異なるため、両方を書き出しておくと、導入後の運用を考えるときにも役立ちます。

    関連記事 在宅診療向け電子カルテのメリットとは?訪問先で記録できる仕組みと選び方を解説

    職種ごとの入力と閲覧の分担を決める

    次に、医師、看護師、事務職員などが、どの場面で何を入力し、何を閲覧するのかを整理します。例えば、医師は患者宅で所見を入力し、同行する看護師がバイタルサインを記録し、事務職員は帰院後に書類やレセプトを担当するといった分担です。

    分担が決まると、必要な端末の台数や、職種ごとに設定するアクセス権限も見えてきます。一人の職員に入力が集中する分担になっていないかも確認し、休みの日でもほかの職員が代わりに対応できるようにしておきましょう。

    紙やFAXで続けている業務を洗い出す

    在宅診療では、訪問看護ステーションへの指示書、ケアマネジャーへの報告、薬局とのやり取りなど、紙やFAXで続けている業務が残っていることがあります。導入を機にどこまで電子化するかを決めるために、こうした業務も一覧にしておきましょう。

    ただし、相手の事業所が電子での共有に対応していなければ、紙やFAXを続ける必要があります。すべてを一度に変えようとせず、院内で完結する業務から電子化し、連携先とは相談しながら段階的に進めると、現場の混乱を抑えられます。

    導入前に決めておく在宅診療の運用方針

    業務の整理ができたら、製品選びの前提となる運用方針を決めます。ここで決めた内容は、提供会社に要望を伝える際の資料としても使えるため、院内の関係者で共有しておきましょう。

    外来と同じ電子カルテで扱うかを決める

    外来も行う医療機関では、外来と在宅を一つの電子カルテで扱うか、在宅診療向けの仕組みを別に用意するかを決めます。一つにまとめれば患者情報を一元管理でき、別にすれば外来の運用を変えずに在宅診療を始められます。

    どちらが適しているかは、在宅患者の人数、外来と在宅の比重、今の電子カルテの更新時期などによって変わります。今の電子カルテの提供会社に在宅向けの機能やオプションがあるかを確認したうえで、ほかの製品とも比べて判断しましょう。将来、在宅患者が増えた場合にどちらの形が対応しやすいかも、判断の材料に加えておくと安心です。

    端末と通信回線を用意する

    訪問に持ち出す端末は、医療機関が用意して職員に貸与する方法が基本です。タブレットとスマートフォンのどちらを使うか、何台必要か、故障に備えた予備機を用意するかを決め、電子カルテが対応する機種やOSも確認しておきましょう。

    通信回線は、訪問エリアで電波が届きにくい場所がないかを事前に把握したうえで選びます。紛失時に端末をロックできる管理の仕組みや、端末の起動パスワードの設定など、厚生労働省の安全管理ガイドラインを踏まえた端末管理のルールも、この段階で決めておくと安心です。

    居宅同意取得型のオンライン資格確認の流れを決める

    訪問診療では、患者宅でマイナンバーカードによる本人確認と、薬剤情報などの提供への同意を取得する居宅同意取得型のオンライン資格確認の仕組みがあります。初回訪問時に、医療関係者が持参したモバイル端末などで同意を取得し、訪問診療が続く間は医療機関側で資格情報を確認する流れです。

    この運用を行うには、資格確認に使う端末や、取得した情報を電子カルテやレセコンでどう参照するかを決めておく必要があります。初回訪問で誰が手続きを行うのかも、職員の分担にあわせて決めておきましょう。マイナンバーカードを持っていない患者への対応方法も、あわせて確認しておくと当日に慌てずに済みます。

    試用から本稼働までの導入ステップ

    運用方針が固まったら、候補の在宅診療向け電子カルテを試し、患者情報を登録して本稼働に進みます。訪問診療を止めずに切り替えるための手順を、3つのステップで紹介します。

    ステップ1. 実際の訪問ルートで試用する

    候補の製品が絞れたら、デモ機や試用アカウントを借りて、実際の訪問ルートで試してみましょう。院内での説明だけでは、電波の弱い訪問先での動き、患者宅での入力のしやすさ、移動中の確認のしやすさまではわかりません。

    試用には、普段訪問する医師や看護師に参加してもらい、気づいた点を記録してもらいます。入力にかかる時間、画面の見やすさ、帰院後の作業がどれだけ減るかといった観点で、複数の製品を同じ条件で比べると判断しやすくなります。試用の期間や台数に制限があるかは、事前に提供会社へ確認しておきましょう。

    関連記事 在宅医療における電子カルテシステムの選び方は?機能や注意点、費用目安を解説

    ステップ2. 患者情報と訪問予定を登録する

    契約後は、患者基本情報、病名、処方、訪問の曜日や頻度、緊急時の連絡先などを電子カルテに登録します。現在の管理方法によっては、データを取り込める項目と手作業で入力する項目が分かれるため、どの項目を誰が登録するかを提供会社と相談して決めましょう。

    訪問看護指示書の有効期間など、期限のある書類の情報は特に漏れがないよう注意が必要です。登録後は、担当職員が元の資料と照合する時間を確保しておくと、稼働後の書類の発行遅れを防げます。登録作業は訪問の少ない曜日に集中して行うなど、診療への影響を抑える計画を立てましょう。

    ステップ3. 職員研修と稼働初日の体制を整える

    本稼働の前に、職種ごとに必要な操作を中心とした研修を行います。全員に同じ内容を説明するより、医師は患者宅での記録、事務職員は書類とレセプトのように、実際に使う場面に絞ると覚えやすくなります。

    稼働初日は、訪問件数を普段より抑える、操作に慣れた職員が同行する、紙の記録用紙を予備として持参するといった備えをしておきましょう。提供会社が稼働日に立ち会うのか、電話での問い合わせ対応なのかも事前に確認しておくと安心です。

    関連記事 在宅診療向け電子カルテへの乗り換え手順と訪問業務の要件

    導入後に在宅診療の現場へ定着させる工夫

    在宅診療向け電子カルテは、稼働した後の使い方の見直しによって効果が変わります。現場の声を取り入れながら、使い方を少しずつ整えていきましょう。見直しの進め方を、導入前から決めておくと安心です。

    入力テンプレートの見直し

    稼働直後は、訪問記録の入力に時間がかかることがあります。よく使う所見や指導内容を定型文として登録する、疾患や状態ごとに入力項目をまとめたテンプレートを作るといった工夫で、入力の手間を減らせる場合があります。

    テンプレートは、使いながら過不足を見直すことが大切です。特定の職員だけが作るのではなく、医師と看護師が一緒に確認し、変更した内容を院内で共有する手順にしておくと、記録の書き方のばらつきも抑えられます。テンプレートが増えすぎると探す手間が生じるため、使われていないものを定期的に整理することも大切です。

    稼働後の振り返りの場づくり

    稼働から一定期間が過ぎたら、困っている点や改善したい点を職員から集める場を設けましょう。訪問の合間に書き込める共有のメモを用意しておくと、忙しい職員の意見も集めやすくなります。

    集めた意見は、院内のルールで解決できるものと、提供会社への相談が必要なものに分けて整理します。設定の変更で解決できる場合もあるため、提供会社の問い合わせ窓口や設定の相談先を確認しておくと、改善を進めやすくなります。

    連携先との情報共有の段階的な拡大

    院内で電子カルテの運用が安定してきたら、訪問看護ステーションや薬局、ケアマネジャーとの情報共有の方法を見直す段階に進みます。導入前に洗い出した紙やFAXの業務のうち、相手の事業所も対応できるものから電子での共有に切り替えていきましょう。

    共有を始める前には、患者や家族から同意を得る手順と、共有先ごとに閲覧できる範囲を決めておくことが大切です。地域の医師会や連携先が使っている仕組みも確認し、無理なく続けられる方法を選ぶと定着しやすくなります。

    関連記事 在宅診療向け電子カルテを内製で補うには?訪問業務ツールの作り方

    導入のしやすさで比べる在宅診療向け電子カルテ

    研修やお試し利用、データ移行など、導入時の支援に注目して製品の特徴を一覧にしました。

    製品名特徴
    モバカルクリニック運用開始前に3回の操作研修があり、稼働初日は現地で立ち会い対応を実施。
    CLIUS (クリアス)在宅機能を追加のオプション料金なしで利用でき、基本プランは遠隔操作で支援。
    エムスリーデジカルレセプト電算ファイルからのデータ移行に対応し、乗り換えを進めやすい設計。
    セコムOWEL約1か月の無料お試し環境あり。契約から稼働までは約1か月が目安です。
    homisORCAとあわせて契約窓口を一本化でき、メール・電話の無償サポートあり。
    Zaitak Karte在宅専門にも外来併設のクリニックにも対応し、患者情報を一元管理できます。

    導入の進め方にあわせて選べる電子カルテ

    在宅診療を新たに始める場合と、外来の電子カルテに在宅向けの機能を加える場合のどちらにも比較しやすいよう、導入支援の内容とあわせて紹介します。

    モバカルクリニック

    NTTプレシジョンメディシン株式会社
    《モバカルクリニック》のPOINT
    1. レセコンと連携し、カルテ操作のみで受付・診察会計業務が完結
    2. 高性能なオーダリング機能によりチーム診療を強力にサポート
    3. 在宅医療特化の電子カルテ『モバカルネット』との連携も可能

    NTTプレシジョンメディシン株式会社が提供する「モバカルクリニック」は、外来の電子カルテに在宅医療への対応を加えたい診療所が比べやすいクラウド型電子カルテです。在宅医療特化の「モバカルネット」と連携し、外来から在宅、在宅から外来への移行もスムーズに行えます。導入前には操作研修を3回行い、訪問かオンラインかは希望にあわせて調整。運用開始の初日は現地で立ち会い対応を実施し、専用マニュアルも用意されています。画面を見たい、操作してみたいという場合のお試し利用も可能です。

    CLIUS (クリアス)

    株式会社DONUTS
    《CLIUS (クリアス)》のPOINT
    1. 事前カルテの記入、訪問スケジュールの調整もラクラク
    2. Mac、Windows、iPadで自由に運用!書類一括印刷もOK
    3. 在宅医療を低コストでスタートできる

    株式会社DONUTSが提供する「CLIUS (クリアス)」は、在宅医療を低コストで始めやすいクラウド型電子カルテです。事前カルテの作成や定期処方、書類作成、訪問スケジュールの調整といった在宅機能を、カルテの基本料金に追加のオプション料金なしで利用できます。地図連携や前回担当者からの引き継ぎの自動化など、訪問診療の立ち上げ時に手間がかかりやすい患者管理も支援。基本プランでは、医師が開いているカルテをサポート担当者が遠隔操作し、稼働後の疑問やトラブルにリアルタイムで対応します。

    エムスリーデジカル

    エムスリーデジカル株式会社
    《エムスリーデジカル》のPOINT
    1. 初期0円、AIによる自動学習で入力時間80%削減!
    2. 15年利用で約1,000万円のコスト削減が可能!
    3. 金融機関・政府機関も利用する安全技術

    エムスリーデジカル株式会社が提供する「エムスリーデジカル」は、パソコンに詳しくない職員でも使いやすいよう、シンプルな操作性にこだわったクラウド型電子カルテです。ほかの電子カルテから乗り換える場合は、レセプト電算ファイルからのデータ移行に対応しています。システムの更新作業が不要で、WindowsとMacのどちらでも台数を問わず追加料金なしで使えるため、訪問用の端末を増やす計画も立てやすくなります。オプションのiPadアプリでは、手書き入力や撮影した写真の転送ができます。

    セコムOWEL (セコム医療システム株式会社)

    《セコムOWEL》のPOINT
    1. 充実した在宅機能、スムーズな外来管理機能を搭載!
    2. Windows/MacOS対応で端末を自由に選べる!
    3. 豊富な動画マニュアルと手厚いサポートで安心利用!

    homis (メディカルインフォマティクス株式会社)

    《homis》のPOINT
    1. "在宅医目線"のシステムで入力作業の最小化を実現!
    2. 多職種とリアルタイムで情報共有。コミュニケーションを活性化!
    3. 診療から請求業務までワンストップで対応可能!

    Zaitak Karte (株式会社アイソル)

    《Zaitak Karte》のPOINT
    1. セキュアなクラウドにカルテを保存!いつでもどこでも参照できる
    2. さまざまな在宅医療関連の文書作成に対応!
    3. インターネットFAX連携で病院に戻らず処方箋や紹介状を送れる!

    まとめ

    在宅診療向け電子カルテの導入は、訪問1回の流れと職種ごとの分担を書き出すことから始めると、必要な機能や端末、運用ルールを決めやすくなります。外来と同じ電子カルテで扱うか、端末と通信、オンライン資格確認の流れを決めたうえで、実際の訪問ルートで試用し、登録と研修を経て本稼働に進みましょう。導入支援の内容も製品によって異なるため、電子カルテの資料請求で比較し、自院にあう製品を検討してください。

    IT製品・サービスの比較・資料請求が無料でできる、ITトレンド。「在宅診療向け電子カルテ導入の進め方|訪問業務の整理から稼働まで」というテーマについて解説しています。在宅診療向け電子カルテの製品 導入を検討をしている企業様は、ぜひ参考にしてください。
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