ITトレンドがおすすめする製品・サービス
- ■データの出力・連携方式別
- SS-MIX2などの標準規格への対応:CLIUS (クリアス)、セコム・ユビキタス電子カルテ
- 電子カルテ情報共有サービスなど医療DXへの対応:モバカルクリニック
- ■データの保存先別
- クラウド上のデータベース:CLIUS (クリアス)、モバカルクリニック、エムスリーデジカル、Zaitak Karte、セコム・ユビキタス電子カルテ
- 院内サーバーのデータベース:Qualis Cloud/Qualis
- ■バックアップ・移行別
在宅診療向け電子カルテのデータベースに残る情報
データベースとは、情報を決まった形式で整理して保存し、検索や集計ができるようにした仕組みです。在宅診療向け電子カルテでは、外来の電子カルテとは異なる種類の情報も蓄積されます。どの情報がどこに保存されるのかを知っておくと、データの移行や活用の計画を立てやすくなります。
診療記録や処方、病名の情報
外来と同じく、診察の記録や処方、病名、検査結果、バイタルサインは患者ごとに保存されます。在宅診療では定期的な訪問のたびに記録が増えるため、同じ患者の情報が長期間にわたって蓄積される傾向にあります。
病名や処方のように項目が決まった情報は、データベース上で集計しやすい形式で保存されるのが一般的です。一方、診察の所見を自由に記述した文章は、検索できても集計には向かない場合があります。どの情報を定型項目として入力するかは、後からデータを活用する場面を想定して決めておくとよいでしょう。よく使う所見をテンプレートに登録すれば、入力の手間を減らし、記録のばらつきも抑えられます。
訪問計画と居宅の情報
在宅診療向け電子カルテには、訪問の曜日や頻度、担当医、患者宅の住所や駐車場所、鍵の受け渡し方法、緊急時の連絡先といった訪問業務のための情報も保存されます。外来中心の電子カルテでは管理しにくい情報です。
ケアマネジャーや訪問看護ステーションの連絡先、介護保険の認定状況も、患者ごとに記録しておくと多職種連携の際に役立ちます。訪問時の注意事項として、ペットの有無や家族の在宅時間を残しておく医療機関もあります。これらの情報は変更が生じやすいため、誰がいつ更新したかが履歴として残る仕組みかどうかも確認しておきましょう。
写真や書類などのファイル
褥瘡や創部の写真、訪問看護指示書や情報提供書などの書類、他院からの紹介状をスキャンしたファイルも、在宅診療では多く扱われます。こうしたファイルは文字の記録に比べて容量が大きく、データベースとは別の領域に保存される設計もあります。
保存できる容量に上限があるか、上限を超えた場合に追加費用がかかるかは製品によって異なります。写真を撮影日や部位で並べて比較できるかといったファイルの探しやすさも日々の使い勝手に関わります。紙で受け取った書類をスキャンして取り込む場合は、原本の保管方法や廃棄の時期も院内で決めておきましょう。
在宅診療の記録を電子保存するルール
電子カルテのデータベースに保存する記録は、紙のカルテと同じく法令で保存が義務づけられています。電子で保存する際に満たすべき考え方と、保存期間を確認しておきましょう。製品選びでも、これらを満たす仕組みがあるかが比較のポイントです。
真正性・見読性・保存性の三原則
診療録を電子で保存する場合は、真正性、見読性、保存性の3つを満たすことが求められます。真正性は記録が誰によっていつ書かれたかが明確で、改ざんされていないこと、見読性は必要なときに読める状態で表示できること、保存性は決められた期間、記録を失わずに保つことを指します。
在宅診療では、訪問先で入力した記録が後から修正される場面もあります。修正の履歴や入力者が残るか、訪問先から同期した記録の入力日時がどう扱われるかは、真正性の確保に関わるため確認しておきましょう。
診療録と関連書類の保存期間
医師法では、診療録を5年間保存することが定められています。保険診療の場合は、療養担当規則で、診療録は完結の日から5年間、それ以外の診療に関する帳簿や書類は3年間の保存が求められています。
在宅診療は長期間にわたって続く場合があるため、診療が完結した日をいつと考えるかも含めて、保存の管理方法を決めておくことが大切です。電子カルテの更新や提供会社の変更があっても、保存期間中の記録を読み出せる状態を保つ必要があります。
標準規格で広がるデータの受け渡し
在宅診療向け電子カルテのデータを、他の医療機関や次の電子カルテへ受け渡すには、データの形式がそろっていることが重要です。代表的な標準規格と、出力できるデータの範囲を確認します。
SS-MIX2による標準化ストレージ
SS-MIX2は、患者基本情報や処方、検査結果などを、決められたフォルダ構成と形式で保存するための仕様です。電子カルテの製品が異なっても同じ形式でデータを取り出せるため、医療機関同士の情報連携やデータの移行に使われています。
ただし、SS-MIX2で扱える情報の種類には範囲があり、訪問計画や自由記述の所見がすべて含まれるとは限りません。電子カルテがSS-MIX2での出力に対応しているか、どの項目が対象かを提供会社に確認しておきましょう。
HL7 FHIRと電子カルテ情報共有サービス
HL7 FHIRは、医療情報をインターネットの技術でやり取りするための国際的な標準規格です。厚生労働省が進める電子カルテ情報共有サービスでは、この規格を使った仕組みの整備が進められています。共有の対象は、診療情報提供書や退院時サマリーなどの3文書と、傷病名や処方情報などの6情報です。
厚生労働省の資料では、全国での運用開始は2026年度冬頃の予定とされています。在宅診療では他院からの紹介や退院直後の患者を受け入れる場面があるため、電子カルテが対応する予定かどうかも確認しておくとよいでしょう。
CSV出力で取り出せる範囲
CSVは、表計算ソフトで開ける汎用的なデータ形式です。電子カルテから患者一覧や訪問実績をCSVで出力すれば、院内で集計や分析を行うことができます。
ただし、CSVで出力する項目は製品によって異なり、診療記録の本文や写真は対象外の場合もあります。出力したファイルには個人情報が含まれるため、保存先のパソコンや閲覧できる職員を限定するといった取り扱いのルールもあわせて決めておきましょう。
在宅診療向け電子カルテのデータを守るバックアップ
データベースの障害やサイバー攻撃で記録が失われると、訪問診療を続けることが難しくなります。バックアップの取り方と、実際に元へ戻すまでの手順を確認しておきましょう。提供形態によって担い手が異なる点にも注意が必要です。
バックアップの保存先と頻度
クラウド型では提供事業者が、院内サーバー型では医療機関や保守事業者がバックアップを取る役割を担う形が基本です。ただし契約によって分担は異なるため、どの頻度で、どこにバックアップを保存しているかを確認しておく必要があります。
ランサムウェアと呼ばれる身代金要求型のウイルスの被害に備えるには、普段使うネットワークから切り離した場所にもバックアップを保管しておく方法があります。複数の世代のバックアップを残しておけば、どの時点の状態にも戻せる可能性が高まります。
復元の手順と訓練
バックアップを取っていても、実際に元の状態へ戻せなければ意味がありません。復元にかかる時間や、どの時点のデータまで戻せるかを提供会社や保守事業者と確認し、復元の手順を文書にまとめておきましょう。
復元までの間は、紙に控えた訪問予定や処方の情報を見ながら診療を続ける必要があります。定期的に復元の訓練を行うと、手順の抜けや、担当者ごとの役割が曖昧な点に気づけます。訓練の結果は記録し、手順の見直しに反映させましょう。
蓄積したデータを在宅診療の運営に活かす
データベースに蓄積された情報は、診療の記録としてだけでなく、在宅診療の運営を振り返る材料としても使えます。集計できるデータを使って、業務の見直しにつなげる方法を紹介します。
訪問実績と移動の傾向の把握
訪問件数や担当医ごとの訪問数、地域ごとの患者数を集計すると、訪問ルートや担当の割り振りを見直す手がかりが得られます。新たに患者を受け入れる際に、どの曜日やどの担当医に余裕があるかを判断する際にも役立ちます。
集計を手作業で行うと手間がかかるため、電子カルテに集計機能があるか、CSVで出力して表計算ソフトで集計する必要があるかを確認しましょう。集計の条件を毎回そろえておくと、月ごとの比較がしやすくなります。集計した結果は職員間で共有し、訪問体制の見直しや新しい患者の受け入れ判断に役立てましょう。
患者ごとの状態変化の振り返り
体重や血圧、日常生活の状態といった記録を時系列で並べると、患者の状態の変化を把握しやすくなります。グラフで表示できる製品であれば、家族への説明や多職種との話し合いでも活用できます。
こうした振り返りを行うには、記録の項目や単位を職員間でそろえて入力しておくことが前提です。入力のばらつきが大きいと、データを比べても正しい傾向をつかめない場合があります。入力ルールを決め、定期的に見直していきましょう。
データの扱い方で比べる電子カルテ一覧
標準規格への対応やデータの保存先など、データベースの観点で比べたい特徴を製品ごとに整理しました。
| 製品名 | 提供形態 | 特徴 |
|---|---|---|
| CLIUS (クリアス) | クラウド・アプライアンス | SS-MIX2に対応し、グループ医院での利用を想定した機能も搭載。 |
| モバカルクリニック | クラウド・SaaS | オンライン資格確認や電子カルテの情報共有、電子処方箋などに対応。 |
| エムスリーデジカル | クラウド | データの自動バックアップと、レセプト電算ファイルからの移行に対応。 |
| Qualis Cloud/Qualis | オンプレミス・クラウド | オンプレミス型とクラウド型を選べ、同じ操作性のまま移行できます。 |
| セコム・ユビキタス電子カルテ | クラウド・パッケージソフト・ASP・サービス | SS-MIXの出力データをXML形式で保存するアーカイブカルテ機能を搭載。 |
| Zaitak Karte | クラウド・SaaS | カルテの枚数やデータ量に制限がなく、画像データも往診先で確認可能。 |
データの保管と受け渡しに配慮した電子カルテ
標準規格によるデータ出力、電子カルテ情報共有サービスなどへの対応、保存先の選択肢といった点から製品を紹介します。
CLIUS (クリアス)
- 事前カルテの記入、訪問スケジュールの調整もラクラク
- Mac、Windows、iPadで自由に運用!書類一括印刷もOK
- 在宅医療を低コストでスタートできる
株式会社DONUTSが提供する「CLIUS (クリアス)」は、地域医療連携に向けて標準規格のSS-MIX2に対応したクラウド型電子カルテです。グループ医院での利用や、複数医院をまたがった働き方に対応する機能も標準搭載。日医標準レセプトソフト「ORCA」と連携し、受付から診療、会計までを一貫して扱える点も特徴です。在宅機能は追加のオプション料金なしで使え、事前カルテの作成や定期処方、書類作成を支援します。基本プランでは、サポート担当者が遠隔操作で疑問やトラブルに対応します。
モバカルクリニック
- レセコンと連携し、カルテ操作のみで受付・診察会計業務が完結
- 高性能なオーダリング機能によりチーム診療を強力にサポート
- 在宅医療特化の電子カルテ『モバカルネット』との連携も可能
NTTプレシジョンメディシン株式会社が提供する「モバカルクリニック」は、医療DXへの対応を掲げる外来診療向けのクラウド型電子カルテです。オンライン資格確認や電子カルテの情報共有、電子処方箋など、幅広い業務のデジタル化に対応しています。データセンターは日本国内の複数拠点に分散して運用しています。在宅医療に特化したクラウド型電子カルテ「モバカルネット」と連携すると、サマリーの基本情報や検査結果、文書情報を両システムで共有でき、外来と在宅の記録をつなげられます。日医標準レセプトソフト「Web ORCA」との連携にも対応しています。
エムスリーデジカル
- 初期0円、AIによる自動学習で入力時間80%削減!
- 15年利用で約1,000万円のコスト削減が可能!
- 金融機関・政府機関も利用する安全技術
エムスリーデジカル株式会社が提供する「エムスリーデジカル」は、データを自動でバックアップするクラウド型電子カルテです。ほかの電子カルテから乗り換える場合は、レセプト電算ファイルからのデータ移行に対応しています。問診やバイタル、検査結果、診療履歴、投薬履歴などを管理でき、ファイル添付や文書作成、サマリーの機能も搭載。オプションのiPadアプリで撮影した写真は電子カルテへ転送されるため、訪問先で残した記録も院内の情報とあわせて管理しやすくなります。
Qualis Cloud/Qualis
- 多機能なのに直感的な使い心地
- 各種システムとの連携も充実
- BMLだからできる、安心のサポート
株式会社ビー・エム・エルが提供する「Qualis Cloud/Qualis」は、オンプレミス型の「Qualis」とクラウド型の「Qualis Cloud」から選べる電子カルテです。安全性と安定性を優先するならオンプレミス型、経済性とデータの保全性を優先するならクラウド型と、データの保存先を運用方針にあわせて決められます。両者は同じ操作性のため、将来移行する際も職員の負担を抑えられます。クラウド型ではオプションのiPadで、往診先からカルテ・病名・サマリの閲覧や入力ができます。
セコム・ユビキタス電子カルテ (セコム医療システム株式会社)
- 在宅、外来、入院機能を標準搭載
- 万全なサポート体制が好評
- 多様な部門システムとの連携実績
Zaitak Karte (株式会社アイソル)
- セキュアなクラウドにカルテを保存!いつでもどこでも参照できる
- さまざまな在宅医療関連の文書作成に対応!
- インターネットFAX連携で病院に戻らず処方箋や紹介状を送れる!
まとめ
在宅診療向け電子カルテのデータベースには、診療記録に加えて訪問計画や居宅の情報、写真や書類など在宅診療特有のデータが蓄積されます。電子保存の三原則と保存期間を満たし、SS-MIX2やHL7 FHIRなどの標準規格、CSV出力の範囲、バックアップと復元の手順を確認しておくことが大切です。データの出力方式や保存先は製品によって異なるため、電子カルテの資料請求で比較し、長く安全に使える製品を検討してください。

