経費精算の流れと起きやすい問題
経費精算は、社員、上司、経理という3者が関わる仕事です。どこで手間がかかっているかがわかると、システムに何を求めるべきかも見えてきます。まずは流れと、よくある問題を整理しましょう。
申請から支払いまでの流れ
経費精算は、社員が使った金額を申請するところから始まります。次に上司が内容を確認して承認し、経理が社内の決まりや税のルールにあっているかを確かめます。問題がなければ支払いの手続きを行い、会計の記録に反映します。この流れを月に1回か2回、締め日にあわせて繰り返します。
どの段階でも、確認する人の手が必要です。特に締め日の直前に申請が集中すると、上司も経理も一度に多くの件数を見ることになります。作業が特定の日に偏る点が、経費精算の負担を大きくしている理由の一つです。
紙や表計算ソフトで起きやすい問題
手入力の形では、交通費の運賃を間違える、領収書を貼り忘れる、社内の上限を超えた金額で申請するといったことが起こります。差し戻しになると、社員が直して再提出し、上司がもう一度確認する往復が発生します。
紙の申請書では、今どこで止まっているかがわかりません。承認する人が出張中だと、そのまま数日進まないこともあります。過去の申請を探すのにも時間がかかり、監査や税務の確認で書類を求められたときの負担も大きくなります。
経費精算システムを導入するメリット
この仕組みの効果は、入力が楽になることだけではありません。確認する側の負担や、会計の作業にも関わります。3つの角度から利点を整理します。
申請する社員の手間を減らせる
交通系ICカードの記録を読み込んで運賃を入れられる製品や、乗換案内の情報から経路と金額を呼び出せる製品があります。領収書はスマートフォンで撮影して添付できるため、貼り付けの作業もなくなります。移動中や出張先から申請できる点も、まとめて作業する必要を減らします。
入力の間違いも減らせます。社内の上限を超えた金額や、必要な項目の入れ忘れを、申請する画面で知らせる設定にできるためです。差し戻しの往復が減れば、社員にとっても上司にとっても負担が軽くなります。
承認と確認の作業を早められる
承認する上司は、届いた申請を画面上で確認して進められます。出張中でもスマートフォンから対応できるため、承認待ちで止まる時間を短くできます。今どこまで進んだかが見える点も、催促の連絡を減らします。
経理の側でも、社内の決まりにあっているかの一次的な確認を仕組みに任せられます。金額の合計や、勘定科目の割り当てを自動で計算できる製品もあります。人が見るべき部分に時間を使えるようになる点が、実務での効果です。
会計や給与の作業とつなげられる
承認された内容を、会計システムに取り込める形で出力できる製品があります。経理が同じ内容をもう一度入力する作業を減らせます。給与とあわせて支払う場合は、給与計算の仕組みに渡せる形にできるものもあります。
あわせて、電子帳簿保存法にもとづく保存の要件に対応した製品もあります。紙の領収書を保管する場所や、探す手間を減らせる場合があります。どこまで対応しているかは製品ごとに違うため、資料や説明で確認しましょう。
経費精算システムのデメリットと注意点
導入すれば自動的に楽になるわけではありません。準備を怠ると、かえって混乱することもあります。ここでは3つの注意点を取り上げます。
導入と運用に費用がかかる
利用する人数に応じた月額の料金がかかる形が多くあります。申請しない社員も含めて全社員分の料金になる製品もあるため、対象の数え方を確認しましょう。会計システムとつなぐ機能が追加料金の場合もあります。
費用を比べるときは、今かかっている時間を金額に置き換えて考える方法があります。申請する社員、承認する上司、経理の担当者それぞれが月に何時間使っているかを書き出すと、比べる目安になります。最初の設定を手伝ってもらう費用が別かどうかも確認しましょう。
社内ルールの整理が必要になる
システムには、誰がどの順番で承認するか、どの費用にいくらまで使えるかといった決まりを登録します。今のルールが文書になっていない場合、まず整理する作業から始めることになります。部門ごとに運用が違う場合は、そろえるかどうかの判断も必要です。
この作業は手間がかかりますが、あいまいだった決まりをはっきりさせる機会にもなります。導入の日程を決めるときは、この整理にかかる時間も予定に入れておきましょう。判断に迷う場合は、経理の責任者や顧問の税理士に確認する流れを決めておくと安心です。
使い方が定着するまで時間がかかる
これまで紙で申請していた社員にとっては、やり方が変わります。パソコンの操作に慣れていない人ほど、負担に感じることがあります。使い方がわからないまま放置されると、締め日の直前に申請が集中する状態が続きます。
説明会を開く、よくある質問をまとめた資料を配るといった準備をしておきましょう。一部の部門で先に始めて、出てきた疑問をまとめてから全社に広げる進め方もあります。相談を受ける担当者を1人に固定せず、複数人で対応できる体制にしておくことが重要です。
ITトレンドでは、最新の製品・サービスを多数比較・掲載しています。まず資料を取り寄せて機能や特徴をさまざまな製品で比較してみてください。忙しい業務時間内でも、各社に問い合わせる手間なく、たった1回の入力(約60秒)で経費精算システムの一括資料請求が可能です。浮いた時間で、じっくりと製品を比較検討し進めましょう。
失敗を避けるための確認項目
効果が出るかどうかは、自社の経費の内容と、使う人の環境で変わります。申請する場面と、経理側の作業という2つの点から確認しましょう。
自社の経費の種類にあっているか
会社によって、多い経費の種類は違います。営業の移動が多いなら交通費の入力が楽な製品、出張が多いなら日当や宿泊費の扱いに対応した製品というように、重点は変わります。まず、どの経費が件数として多いのかを書き出してみましょう。
法人カードを使っている場合は、その利用明細を取り込めるかも確認します。前払いの申請と、後からの精算をつなげて管理できるかも、出張の多い会社では確かめたい点です。実際の申請の場面を想定して、資料や試用で確かめましょう。
経理側の作業とつながるか
今使っている会計システムに、承認済みの内容を取り込めるかを確認します。取り込める形式や項目は製品ごとに違うため、実際のデータで試せると確実です。つなぐ仕組みが思ったとおりに動かない場合、製品の仕様、社内のネットワーク設定、つなぐ相手のサービスの制限など、複数の原因が考えられます。
あわせて、取り込みが止まったときに管理者へ知らせが届くか、手動でやり直せるかも確かめておきましょう。締め日の直前に止まると支払いに影響するため、困ったときにどこまで相談できるかも、見積もりの段階で聞いておきたい点です。
申請と確認の手間を抑える経費精算システム
申請する側と確認する側の双方の負担に着目し、日々の精算業務を支えるシステムを紹介します。
マネーフォワード クラウド経費
- 手入力ミスを省けるオートメーション機能&ペーパーレス運用
- 交通費・出張旅費の申請処理から会計ソフトへの仕訳連携まで対応
- 購買申請・住所変更・出張申請など柔軟な電子ワークフロー機能
株式会社マネーフォワードが提供する「マネーフォワード クラウド経費」は、申請から承認、経理の処理までをクラウド上で進められる経費精算システムです。スマートフォンから領収書を撮影して申請できるため、外出の多い担当者でも移動中に手続きを進められます。同社の会計サービスと組み合わせて使う構成にも対応しており、仕訳への反映を含めた流れを一つにまとめられます。
TOKIUM経費精算
- 領収書をスマホで撮って入れるだけ。のり付け作業は一切不要!
- あらゆる会計ソフトと連携が可能!
- 電子帳簿保存法への対応と同時にペーパーレス化を実現!
株式会社TOKIUMが提供する「TOKIUM経費精算」は、領収書の内容をデータ化する工程を含めて経費精算を支えるシステムです。申請者が撮影した領収書をもとにデータが用意される仕組みのため、入力にかかる時間を抑えられます。原本の取り扱いに関する運用もあわせて設計できる構成です。承認の経路や規程に沿った確認の仕組みも用意されています。
バクラク経費精算
- AI-OCRが領収書を数秒でデータ化!
- アラート機能でミスや差し戻しを削減できる!
- シンプルな操作画面なので従業員もミスなく使える!
株式会社LayerXが提供する「バクラク経費精算」は、申請の入力を簡単にすることに重点を置いた経費精算システムです。領収書を読み取って項目を補完する機能を備えており、申請者が入力する項目を減らせます。確認する側についても、規程に沿わない申請を見つけやすくする仕組みが用意されています。関連する支出管理の機能と組み合わせた構成も選べます。
Ci*X Expense (株式会社電通総研)
- 直感的UI/UXで、マニュアルなしで申請可能。
- 多様な規定対応の柔軟性と入力支援でミスを低減。
- モバイル対応、外部連携、グループ会社横断の統一管理。
kincone (株式会社ソウルウェア)
- 他社連携、ビジネスチャット打刻に対応。
- 月額220円/1名から、5名より利用可能。
- iOS/NFC対応Androidでスマホからすぐ開始可能。
経費精算システムに関するよくある質問
導入を考えるときによく寄せられる疑問をまとめました。社内で話し合う際の参考にしてください。
- Q1: 紙の領収書は捨ててよいのですか?
- 電子帳簿保存法の要件を満たす形で保存できていれば、原本を残さない運用も認められています。ただし満たすべき条件があり、社内の手続きも必要です。自社の運用が要件にあうかを、顧問の税理士や経理の責任者に確認しましょう。
- Q2: 小規模な会社でも導入する価値はありますか?
- 社員数が少なくても、経理の担当者が他の仕事と兼任している場合は効果が出ることがあります。まず、月にどれだけの件数と時間がかかっているかを書き出してみましょう。件数が少なければ、今のやり方を続ける判断もあります。
- Q3: 導入までにどのくらいの期間がかかりますか?
- 社内ルールの整理や社員への説明を含めると、数週間から数か月を見込む例があります。会計システムとつなぐ場合は、項目の対応づけや動作確認の時間も必要です。決算期や締め日と重ならない時期を選びましょう。
- Q4: スマートフォンを持たない社員がいる場合はどうしますか?
- パソコンの画面からも申請できる製品がほとんどです。領収書の取り込みについては、複合機でまとめて読み取る方法に対応した製品もあります。全員が同じ方法である必要はないため、対応している手段を確認しましょう。
まとめ
経費精算システムには、申請する社員の手間を減らせること、承認と確認の作業を早められること、会計や給与の作業とつなげられることという良い点があります。一方で、費用がかかること、社内ルールの整理が必要なこと、定着まで時間がかかることという課題も伴います。まずは月あたりの件数と、関わる人がかけている時間を書き出すところから始めましょう。製品を比べたい方は、資料請求を活用してみてください。


