紙による年功序列型評価の時代
かつての人事評価は、勤続年数や年齢を重視した年功序列型の考え方が中心で、評価作業も紙の評価表を使って行われていました。この時期の運用には、当時ならではの特徴と課題がありました。
紙の評価表による運用
紙の評価表に上司が手書きで記入し、人事部門へ提出する運用が一般的でした。評価項目は勤怠や協調性など定性的な内容が中心で、成果を数値で示す仕組みは限定的でした。
紙での運用では、評価表の集計や保管に人手と時間がかかり、部署をまたいだ評価基準の統一が難しいという課題もありました。評価者によって記入の粒度にばらつきが生じやすく、公平性の確保が課題として意識されるようになりました。同じ評価内容でも、上司によって表現の仕方が異なるため、人事部門が全社的に比較しにくいという声も上がっていました。
年功序列型評価が抱えていた課題
年功序列型の評価では、勤続年数が長いほど評価や処遇が高まりやすい傾向があり、若手社員の成果が処遇に反映されにくいという指摘もありました。評価基準が曖昧なまま運用されるケースも見られました。
こうした課題を背景に、成果や実績を評価に反映させたいという企業の意向が高まり、評価制度そのものを見直す動きにつながっていきました。評価の仕組みが変わることで、評価情報を管理する方法にも変化が求められるようになりました。定性的な評価項目に加えて数値目標を扱う場面が増え、紙の評価表だけでは対応しにくい部分が出てきたことも背景のひとつです。
成果主義の広がりと評価制度の変化
1990年代以降、成果主義を取り入れる企業が増え、評価制度は目標達成度や実績を重視する方向へと変化していきました。この変化は、評価情報の管理方法にも影響を与えました。
目標管理制度(MBO)の導入
MBO(Management by Objectives、目標管理制度)とは、社員が自ら目標を設定し、その達成度合いを評価する仕組みです。成果主義の広がりとともに、多くの企業がMBOを評価制度に取り入れるようになりました。
MBOの運用では、目標の設定から進捗確認、期末の達成度評価まで複数のプロセスを管理する必要があります。紙やExcelでの管理では、社員数が増えるほど進捗把握や評価内容の集計に手間がかかる状況が生じやすくなりました。期の途中で目標を見直す運用を取り入れる企業もあり、履歴を追いにくい紙の管理では対応が難しい場面も見られました。
360度評価など多面評価の登場
上司からの一方向の評価だけでなく、同僚や部下からの評価も取り入れる360度評価の考え方も広がりました。多面的な視点を取り入れることで、評価の客観性を高めようとする狙いがあります。
ただし、評価対象者が増えるほど評価者への依頼や回収の管理が煩雑になりやすく、紙やメールでのやり取りでは運用の負担が大きくなる傾向がありました。こうした運用面の課題が、評価業務を支援するシステムへのニーズにつながっていきました。評価者ごとの進捗を一覧で把握できる仕組みがあれば、回収漏れの確認にかかる担当者の負担を抑えやすくなります。
人事評価システムが登場した背景
評価制度が複雑化するにつれ、評価プロセスを一元管理できる専用システムが登場しました。Excelや紙での管理には限界があり、システム化による効率化が求められるようになりました。
Excel管理からの脱却
多くの企業では、評価シートをExcelで作成し、メールでやり取りする運用が長く続いていました。ファイルのバージョン管理が煩雑になりやすく、誰がどの版を最新として扱っているか分かりにくくなる課題がありました。
人事評価システムでは、評価シートをオンライン上で一元管理できるため、こうした混乱を抑えやすくなります。評価の進捗状況を管理画面で確認できる機能があれば、未提出者への催促にかかる手間も軽減できる場合があります。過去の評価シートをそのまま複製して次期の評価に使える機能があれば、毎回フォーマットを作り直す手間も抑えられます。
評価データの蓄積・活用ニーズの高まり
評価結果を一定期間蓄積し、人材配置や昇給・昇格の判断材料として活用したいというニーズも高まりました。紙やExcelでは、過去の評価データを横断的に分析することが難しい場合があります。
専用システムであれば、複数年の評価データを蓄積し、社員ごとの推移を確認しやすくなるケースがあります。人材育成の計画を立てる際の参考情報として、評価データを活用する企業も増えてきました。異動先の上司が過去の評価内容を確認できれば、引き継ぎの際の理解を助ける材料としても役立ちます。
ITトレンドでは、最新の製品・サービスを多数比較・掲載しています。まず資料を取り寄せて機能や特徴をさまざまな製品で比較してみてください。忙しい業務時間内でも、各社に問い合わせる手間なく、たった1回の入力(約60秒)で人事評価システムの一括資料請求が可能です。浮いた時間で、じっくりと製品を比較検討し進めましょう。
働き方の変化が評価制度に与えた影響
テレワークの普及や雇用形態の多様化にともない、評価の在り方も見直しが進んでいます。対面での観察が難しくなった状況が、評価方法や管理システムに新たな課題をもたらしました。
テレワーク下での評価の難しさ
テレワークが広がったことで、上司が部下の勤務態度を日常的に観察する機会が減り、成果を中心とした評価への関心がさらに高まりました。プロセスが見えにくい分、目標設定や進捗共有の重要性が増しています。従来のように様子を見て声をかける機会が減った分、意識的にコミュニケーションの機会を設ける必要が出てきました。
オンライン上で目標や進捗を記録できる仕組みがあれば、対面での確認が難しい状況でも評価に必要な情報を蓄積しやすくなります。定期的な1on1面談の記録をシステム上に残せる機能も、評価の納得感を高める手段として活用されています。面談の頻度や内容を後から振り返れる仕組みは、評価期の終盤になって記憶が曖昧になる状況を防ぐうえでも役立ちます。
多様な雇用形態への対応
正社員だけでなく、契約社員やパート、副業人材など多様な雇用形態が広がる中で、評価制度も雇用形態に応じた柔軟な設計が求められるようになりました。一律の評価基準では実態に合わないケースも出てきています。勤務時間や業務範囲が社員ごとに異なる場合、評価項目の重みづけも個別に調整できる仕組みが求められるようになりました。
人事評価システムの中には、雇用形態や職種ごとに評価項目や評価シートを切り替えられる機能を備えた製品もあります。自社の人員構成に合わせて評価の枠組みを調整できるかどうかは、選定時の確認点のひとつです。評価項目のテンプレートを複数用意できる製品であれば、職種ごとの見直し作業も一からやり直す必要がなくなります。
クラウド化が人事評価にもたらした変化
近年は、人事評価システムもクラウド型が主流になりつつあります。オンプレミス型に比べて導入のハードルが下がり、中小企業でも活用しやすくなった点が特徴です。
スマートフォン・タブレットからの入力対応
クラウド型の人事評価システムでは、パソコンだけでなくスマートフォンやタブレットから評価入力ができる製品もあります。外出の多い営業職の上司でも、隙間時間を使って評価入力を進めやすくなる場合があります。評価期限が業務の繁忙期と重なりやすい部署では、こうした柔軟な入力環境が評価の遅延防止につながることもあります。
入力のしやすさは評価業務の期限内完了にもかかわる要素です。操作画面がシンプルな製品であれば、システム操作に不慣れな評価者でも迷わず入力しやすくなり、催促にかかる担当者の負担軽減にもつながります。
他の人事システムとの連携
給与計算システムやタレントマネジメントシステムと連携できる人事評価システムも増えています。評価結果を昇給や配置検討にそのまま活用できる仕組みは、担当者の二重入力の手間を減らすうえで役立ちます。
連携できる範囲は製品によって異なるため、既存のシステム構成との相性を確認しておくことが大切です。連携範囲が広い製品ほど初期設定に時間がかかる傾向もあるため、導入スケジュールにも余裕を持たせておくと安心です。将来的にシステムを追加する可能性がある場合は、拡張性の高い製品を選んでおくと変更時の負担を抑えやすくなります。API連携の実績が公開されている製品であれば、導入前に自社システムとの相性を判断しやすくなります。
人事評価システムの歴史とともに普及した代表的な製品
人事評価システムは紙の評価シートの電子化から始まり、現在はタレントマネジメントと連動した製品へと発展しています。代表的な製品を紹介します。
HRBrain
- 評価シートの作成から集計まで煩雑な業務をワンストップで効率化
- OKR・MBO・1on1、360度評価など、豊富なテンプレートを完備
- 「使いこなせない…」の心配はご無用!充実したサポート体制
株式会社HRBrainが提供する「HRBrain」は、評価シートの作成・配布から回収・集計までをオンラインで一元化できる人事評価システムです。評価項目を自由に掛け合わせたクロス集計に対応し、研修履歴などの人材データと組み合わせた分析により人事戦略の立案を支援します。
カオナビ
- 企業独自の評価シートを再現し、評価の回収~集計を効率化
- AIが目標設定から振り返りまでデータをもとにアドバイス・添削
- 1on1や面談履歴の蓄積で振り返りやフィードバックの精度向上
株式会社カオナビが提供する「カオナビ」は、顔写真付きの人材データベースを軸に人事評価やタレントマネジメントを行えるクラウドサービスです。評価シートの運用やスキル・経歴などの人材情報を一元管理でき、人事異動や配置検討の際の情報活用を支援します。
ジンジャー人事評価
- テキスト・選択肢・計算式等、多様な入力方式に対応し操作が容易
- 評価者毎の進捗管理が一目で把握でき評価依頼が1クリックで完結
- 権限設定により入力担当者毎で閲覧項目のカスタマイズが可能
jinjer株式会社が提供する「ジンジャー人事評価」は、評価シートの作成から配付、回収、集計までをオンラインで行える人事評価システムです。同社の人事データベース「Core HR」と連携でき、評価の進捗をダッシュボードで可視化し、未提出者へのリマインド送信にも対応します。
HiManager (ハイマネージャー株式会社)
- 外資系コンサル出身者監修の高品質・低価格
- 最短3ヶ月で制度設計、1年間伴走支援
- 200社以上の支援実績ノウハウ
識学クラウド (株式会社識学)
- 理論学習動画とテストで習熟度を可視化する人材育成。
- 組織・個人の意識状態を可視化し、組織改善サイクルを支援。
- 制度設計・運用を支援するワンストップ人材管理基盤。
まとめ
人事評価は、紙の年功序列型評価から成果主義の広がり、専用システムの登場、クラウド化へと変遷してきました。評価制度の見直しにあわせて、システムに求められる機能も変化しています。自社の評価制度や運用課題を踏まえ、複数の製品を比較しながら導入を検討してみてください。


