オンラインストレージのメリットとデメリット
まずはオンラインストレージを導入することで考えうるメリットとデメリットをおさらいしましょう。
オンラインストレージの導入メリット
- ●場所を選ばず使用できるので在宅勤務やテレワークに対応が可能
- ●サーバ管理や運用にかかるコストや工数が削減できる
- ●バックアップやアップデートが自動で行える
オンラインストレージの導入デメリット
- ●カスタマイズが難しい
- ●セキュリティレベルや障害時の対応がベンダーに依存する
- ●インターネット環境が必須となる
メリットとデメリットについては、以下の記事で詳しく解説しています。
オンラインストレージの課題と注意点
ここからは、オンラインストレージ導入時の課題点と注意点を紹介します。
情報漏えいのリスク管理
オンラインストレージはデバイスを問わず気軽にファイルにアクセスでき、社内だけでなく社外のユーザーとも簡単にファイル共有が可能です。その反面、インターネット上に社内の重要な情報を保存するため、情報漏えいのリスクが少なからずあるでしょう。
例えば、「ファイルの保存先URLを記したメールの誤送信で、データが関係ない第三者に流出してしまった」「セキュリティの脆弱性に気付かず無料のオンラインストレージを利用していたため、不正アクセスの被害にあってしまった」などです。そのほかIDやパスワードなど、アカウント情報が流出してしまう懸念もあるでしょう。不正アクセス対策をしているサーバの利用や、情報漏えい防止に役立つ暗号化、2要素認証機能など、セキュリティ対策に強みをもつ製品がおすすめです。
バックアップデータの移行
オンラインストレージの運用を開始する際、自社サーバ内で実行しているバックアップをオンラインストレージに移行することがほとんどです。しかしすでに膨大なバックアップデータが存在する場合、移行作業に時間がかかるなどのトラブルが想定されます。
データ移行のサポートをしているオンラインストレージサービスもあります。導入時の設定や準備について事前に相談しましょう。
無料サービスのデータ保存期間
無料のサービスや無料トライアルには、一定期間ログインしなかったり、アクセスしなかったりすると、データやアカウントが削除されるものもあります。無料プランを運営し続けるにはディスクの稼働率を上げる必要があるので、許容すべきルールといえるでしょう。
したがって、無料プランを選択した場合は、利用開始前に規約を十分確認しておく必要があるといえます。また、無料トライアルから正式な環境へデータを移行できないこともあります。無料トライアルを利用する場合は、有料版への切り替え時のリスクについても事前に確認しましょう。
利用可能容量の想定
オンラインストレージには、保存可能な最大ディスク容量が設定されているものと、基本容量+従量課金の二本立てで制限なく保存できるものがあります。社内で作成されるファイルを分別せず保存すると、契約しているプランによっては、膨大なコストが発生するおそれもあるでしょう。
特に基本容量+従量課金で契約していると、基本容量を超えた従量課金部分で予算を超過してしまうリスクもあります。社内の保存ルールや自社のデータ使用状況などをふまえて契約しましょう。
シャドーITの対応
法人向けオンラインストレージを導入すると、社内すべてのデータを移行し集約させる工程が必要です。そこで障害となるのがシャドーITの存在です。シャドーITとは、社内で用いられているIT機器やクラウドサービスのうち、企業が把握できていないものや使用許可を与えていないものを指します。シャドーITは、企業の行うセキュリティ対策や管理が行き届かないため、セキュリティホールとなるリスクがあります。
これまでデータを保管する場を企業側が公に用意していなかった場合、シャドーITとして、無料のオンラインストレージサービスや個人向けのツールが蔓延している可能性が高いでしょう。リテラシー教育だけでは防ぎきれないため、業務で使用するオンラインストレージ以外をブロックする「フィルタリングツール」を導入することも検討してみてください。
法人向けオンラインストレージの選び方
これまで紹介したオンラインストレージのリスクを少しでも解消するには、正しい知識をもって製品を選ばなくてはなりません。ここからはオンラインストレージを法人利用する場合のサービス選定のポイントについて解説します。
自社のセキュリティ要件を洗い出す
法人向けオンラインストレージには、高セキュリティを謳ったものが多く存在します。そのなかで自社に適したものを選ぶには、まずは自社にとってどのようなセキュリティ機能が必要かを整理すべきでしょう。一般的には次のようなセキュリティ機能が備わっています。
- ●SSL/TLSなどによる暗号化通信
- ●ファイルの暗号化保存
- ●IPアドレスやアカウントごとの制限管理
- ●ログ管理
- ●ウイルスチェック
- ●バージョン管理
そのほかベンダーのセキュリティポリシーなどもチェックしてみるのがおすすめです。なお、高度なセキュリティ機能はオプション契約が必要な場合もあるため、要件の洗い出しとあわせて見積もりをとっておくとよいでしょう。
必要に応じてデータ移行サービスがあるものを選ぶ
情報システム部門の不在などで、NASやファイルサーバからデータを移行する作業に負担を感じるようであれば、データ移行サービスのある製品を選ぶのがよいでしょう。既存のデータを移行するだけでなく、データの整理を行いストレージ容量の圧縮をサポートするサービスもあります。
データ容量の拡張性が高いものを検討する
事前にどの程度のデータ保存量が必要かわかっていれば、容量に対応したプランやサービスを選べますが、将来的には拡張の必要も出てくるでしょう。最初から大容量のものを選ぶとコストがかかるため、変動する可能性があるのであれば、オプションで容量を追加できるものや容量ごとのプランが豊富なサービスを選ぶのがおすすめです。
ディザスタリカバリについても考慮する
災害の多い日本だからこそ情報漏えいのほか、事業継続性の確保は重要です。データセンターの位置や分散保存の可否、管理体制なども調べてみましょう。
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おすすめしたいオンラインストレージの比較表
ここからは、ITトレンド編集部がおすすめする製品を比較して紹介します。
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製品名 |
対象従業員規模 |
提供形態 |
参考価格 |
無料トライアル |
レビュー評価 |
|
使えるファイル箱 |
すべての規模に対応 |
クラウド / SaaS |
初期費用無料 月額21,230円~ |
◯ |
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|
セキュアSAMBA |
すべての規模に対応 |
クラウド / SaaS |
初期費用15,000円~ 月額15,000円~ 無料プランあり |
◯ |
|
※"ー"の情報はITトレンド編集部で確認できなかった項目です。詳細は各企業にお問い合わせください。
ビジネス利用に適したオンラインストレージ
ITトレンド編集部がおすすめする法人向けオンラインストレージのうち、ITトレンド年間ランキング2023で上位にランクインした製品を紹介します。容量や価格、特徴を比較しているので製品選びの参考にしてください。
《使えるファイル箱》のPOINT
- 社内サーバー不要で大幅コストダウン、管理業務の簡素化↑
- ユーザ数無制限だから個別アカウント管理で業務効率大幅UP↑
- 2要素認証/2重暗号化/アクセスブロックなどセキュリティ対策も◎
「使えるファイル箱」は、使えるねっと株式会社が提供するクラウド型ファイル共有サービスです。2要素認証設定のオンオフが自由にでき、SSL通信だけでなくシークレットキーでの2重暗号化にも対応しています。さらに、特定デバイスのアクセス制限や履歴の確認など強力なセキュリティ対策で、機密データの管理もしやすいでしょう。また、ユーザー数の制限なしに利用できる点も特徴です。
対象従業員規模 |
すべての規模に対応 |
参考価格 |
初期費用無料 月額21,230円~(税込み)/ユーザー数無制限 |
容量 |
1TB~ |
無料トライアル |
◯ |
《セキュアSAMBA》のPOINT
- ユーザ数無制限だから社外利用や従業員数が多い企業様におすすめ
- セキュリティ対策万全、非同期型の純国産オンラインストレージ
- 導入実績数8,000社以上&徹底したサポート体制
Chatworkストレージテクノロジーズ株式会社が提供する「セキュアSAMBA」は、3ユーザー、5GBまで無料で利用できる純国産オンラインストレージサービスです。フォルダやファイル、接続元や端末ごとにアクセス・編集権限を設定できるため、プロジェクトやチームごとのデータ共有がしやすいでしょう。NASAや米政府も利用しているアマゾンウェブサービス(AWS)のデータセンターを採用しており、安全なデータ管理が可能です。
対象従業員規模 |
すべての規模に対応 |
参考価格 |
初期費用15,000円~ 月額15,000円~/50ユーザーまで 無料プランあり |
容量 |
100GB~(有料版) |
無料トライアル |
◯ |
オンラインストレージ導入後のステップ
オンラインストレージ導入後に確認しておくべきポイントを紹介します。
1.使用容量と用途の再確認
導入前に概算での必要容量などはすでに算出し、導入作業が行われているはずですが、実際にどれくらい必要か確認は必須です。概算当初と比べて変更がある場合であっても、導入直後であれば対応できる場合も多いでしょう。
もちろん、追加費用が発生する場合もありますが、実際にデータ移行している最中などに容量不足が発覚した場合、対応に時間を要する可能性もあります。そのため、データ移行前にあらためて算出しておくのをおすすめします。
また、データのバックアップ先としてオンラインストレージを使用する場合は、なおさら厳密に確認しておかなければいけません。いざという時のバックアップが容量不足でうまくできていなかった、となれば業務が滞り、企業生命に関わる事態にもなりかねません。
さらに、使用用途についても言及し、導入作業開始前と変更されていないか確認する必要があります。業務における現状を見直した上で、再度容量や要件の調整を行う場合もあるでしょう。
2.ファイル取扱規程や運用ルールの策定
安全かつ効率的にファイルを管理するためには、オンラインストレージ上のファイルについて取扱規程を正式に決めておく必要があります。社内ルールとして決めておきたい項目の一例は以下のとおりです。
- ●フォルダの構成
- ●ファイル名の付け方
- ●共有・権限設定と承認プロセス
- ●ファイルの削除
あわせて、バックアップ先をオンラインストレージにする場合のバックアップ頻度や方法なども決めておきましょう。
3.ルールの周知と運用方法のアップデート
ルールの周知を徹底することで、オンラインストレージのセキュリティリスクを低減させられます。掲示板やメール、チャットなどで全社的に通知するほか、オンラインストレージを使用する予定の者や管理者に向けて社内講習を行いましょう。また、マニュアルを整備し、いつでも見直せるようにしておくのもおすすめです。
実際に運用してみたうえで、ルールの修正・追加が必要か、セキュリティ対策は十分に行えているかを再度見直してみましょう。データ量によっては料金プランの見直しも必要かもしれません。
オンラインストレージの注意点をふまえたデータ管理をしよう
オンラインストレージは導入することで得られるメリットは多くありますが、使い方を間違えると情報漏えいの危険性が出てきてしまいます。未然に防ぐためには、オンラインストレージ導入における注意点や課題点を理解し、社内で可能な限り対策を講じてからシステム導入する必要があるでしょう。
オンラインストレージ製品によって仕様やできることは異なるため、製品の比較をおすすめします。なお、ITトレンドではオンラインストレージの一括資料請求が可能です。比較表作成もできるため、社内検討に役立ててください。