オンラインストレージサービスとは
オンラインストレージとは、インターネット上でファイルやデータを保管・共有できるサービスのことです。インターネット環境さえあれば、時間・場所を問わずアクセスできます。パソコン内のディスクスペースと同じような感覚で利用でき、必要であればダウンロードしてオフラインでも使用可能です。画像や動画を保存できるため個人利用も多く、無料で使用可能な製品も多数あります。また、セキュリティ機能や管理機能が備わった企業向けの製品も多く、導入企業は年々増加しています。
オンラインストレージが企業で導入されている背景
企業間でのデータのやりとりは、メールにファイルを添付したものが中心でした。なかでも、パスワード付きzipファイルを送信し、あとからパスワードをメールで送信する「パスワード付きzipファイル(PPAP)」は日本企業で多く導入されていました。しかし、脆弱性が問題視されており、2020年11月に内閣府で導入の廃止が発表されたことで大きな話題を呼びました。現在ではメール添付だけに頼らず、オンラインストレージやファイル共有ツールが代替案として注目されています。
参考:平井内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和2年11月24日|内閣府
オンラインストレージサービスの主な機能
オンラインストレージにはデータを保存するだけではなく、さまざまな機能が搭載されています。
自動のデータバックアップ
企業で管理するデータは増える一方で、それらのデータをバックアップする作業や管理には大きなコストがかかります。
ほとんどのオンラインストレージサービスは、自動でデータをバックアップします。バックアップの頻度も自由に設定でき、サービスによっては指定したフォルダだけバックアップも可能です。
また、外部にデータを保存することで、災害時のリスク分散にもなるでしょう。
ファイル転送
オンラインストレージに保存したファイルを、URLでダウンロードできるサービスです。URLだけを送信すればファイルを送れるため、社外の人にファイルを送りたい場合におすすめです。また、ファイルの容量を気にせずに送信できるメリットもあります。
従来のUSBやDVD、メールへの添付などはセキュリティ面で問題がありました。ファイル転送機能ならダウンロードに期限やパスワードも設定できるため、セキュリティ面における安心感もあります。
ファイル共有
オンラインストレージに保存されているファイルに、複数人がアクセスできる機能です。一つのファイルを同時に編集できるため、業務の効率化にもつながります。
社内に設置するサーバとの大きな違いは、社外の人間も使用できる点です。オンラインストレージサービスでは、アクセスできるファイルや人を細かく設定できます。サービスにより異なりますが、ダウンロードの禁止や編集の禁止などの設定も可能です。
無料製品と有料製品の違い・メリット
オンラインストレージには、無料と有料のサービスがあります。それぞれの違いと導入メリットを中心に詳しく解説しましょう。
無料サービスのメリット
無料のサービスは主に個人向けのサービスで、コストと利便性がメリットとして挙げられます。
コスト
無料で利用できるオンラインストレージは、コストがかかりません。また、利用の状況によって容量などの契約内容を自由に変更できるため、有料プランへの変更も柔軟に対応可能です。
利便性が高い
無料のオンラインストレージサービスでも、データのバックアップやファイルの共有などの基本的な機能は有料と変わらず利用できます。有料プランになるとさまざまな機能が追加されるため、利便性はさらに高まります。
有料サービスのメリット
有料で利用できるビジネス向けのオンラインストレージは、無料のサービスよりも使用できる機能が多く実装されています。ビジネスでの利用を考えているのであれば、有料サービスの導入も検討してみましょう。
大容量で利用可能
有料プランは、1TBを超える大きな容量で契約できます。無料プランの多くは10GBや20GB程度で機能も限られるため、ビジネスでの利用には向いていません。とくに動画などの容量の大きなファイルを扱うのであれば、有料サービスがおすすめです。
セキュリテイ関連の機能が充実
有料プランでは、以下のような機能が揃っています。
- ■アクセス制限を細かく管理ができる
- ■IPアドレスやGPSでの制限が可能
- ■データの流出が発生した際にも操作履歴を遡って確認できる
- ■ファイル転送時に、パスワード設定やダウンロード制限が可能
オンラインストレージは企業の情報が入っているため、情報の流出につながることもあります。しかし、そのほとんどが人為的なミスによるものです。有料サービスはアクセス制限やパスワード機能などでデータが守られるため、安全性は高いといえるでしょう。
転送速度も早い
有料版は無料とサーバが異なるため、転送速度が早くなります。ビジネスでの利用となると、大きなデータのやり取りが頻繁に行われるので、転送速度は早いほうがよいでしょう。
無料製品を利用する注意点
無料製品はコストがかからない一方で、注意点もあります。
容量の制約がある
無料で利用できる容量には、制限があります。容量が小さい文書の一時的な保存や共有はできますが、容量の大きなファイルのやり取りやバックアップにはおすすめできません。利用するファイルの種類や用途によっては、容量の多い有料プランが推奨されます。
セキュリティ機能が制限されている
有料プランはアクセス制限などのセキュリティは充実していますが、無料プランは利用制限がかかります。とくにファイル転送のパスワード機能やファイルの閲覧制限は使用頻度も高いため、無料プランでも使用可能かチェックしましょう。
一時的なデータの保管しかできない
無料のオンラインストレージサービスの中には、一定期間利用がないとデータが削除されるものもあります。期間はサービスによって90日や1年など大きく異なるため、事前に確認しておく必要があります。うっかり忘れると消えてしまう可能性があるでしょう。
利用を禁止している企業もある
セキュリティの問題や、社内のコンプライアンスで無料のオンラインストレージサービスを利用しないと定めている企業もあります。
無料で使用できるオンラインストレージ
まずは、無料で使用できる製品の特長・無料で利用できる容量・有料プランに切り替えた場合の価格などを紹介します。
《Google Drive》のPOINT
- 文書やスライドを共同編集可能!チーム作業を効率化
- プラン次第で容量無制限!大人数での共有も可能
- AIを活用した高度な検索機能を搭載!情報が埋もれない
グーグル合同会社の「Google Drive」は個人でも企業でも使いやすい信頼性の高いオンラインストレージです。企業向けプランの場合Google Workspaceを導入することになり、ビデオ会議や共同編集機能、セキュリティ設定なども可能になります。なお無料プランでは1アカウントにつき15GBまで利用できます。
初期費用 |
0円 |
参考価格 |
月額250円~/1ユーザー |
データ容量 |
30GB~ |
無料トライアル |
◯ |
《Dropbox》のPOINT
- 長期間保存されるバージョン履歴から復元!ミスをしても安心
- 社外の人ともデータ共有!セキュリティも万全
- 30日間の無料トライアルあり!使用感を確認してから導入可能
Dropbox Japan株式会社の「Dropbox」は、世界で6億人以上のユーザーに使用されています。個人用とビジネス用アカウントの使い分けもしやすいため、従業員のスマートデバイスでも扱いやすいでしょう。2GBまで無料で利用でき、電子署名依頼も送信可能です。
初期費用 |
ー |
参考価格 |
月額1,250円~/1ユーザー |
データ容量 |
5TB~ |
無料トライアル |
◯(30日間) |
※"ー"の情報はITトレンド編集部で確認できなかった項目です。詳細は各企業にお問い合わせください。
《セキュアSAMBA》のPOINT
- 全プランユーザー数無制限!ユーザー数が多い企業様におすすめ
- 導入実績数3,000社以上の純国産の製品&徹底したサポート体制
- 非同期型の国産オンラインストレージ
Chatworkストレージテクノロジーズ株式会社提供の「セキュアSAMBA」は無料で5GBの容量を利用できる企業向けに特化したクラウド型ファイルサーバです。PC上にデータを保存させない方法で情報漏えい対策ができます。インターネット環境があれば企業規模を問わず利用できるので、テレワークを実施している企業にも活用されています。
初期費用 |
15,000円~ |
参考価格 |
ー |
データ容量 |
100GB~ |
無料トライアル |
◯(30日間) |
※"ー"の情報はITトレンド編集部で確認できなかった項目です。詳細は各企業にお問い合わせください。
OneDrive
Microsoft社の「OneDrive」はMicrosoftアカウントを持っていれば利用できるオンラインストレージです。無料の容量は5GBで、共有や共同での作業にも対応しています。Microsoftが展開しているサービスのため、Officeファイルとの相性も抜群です。専用のソフトウェアやアプリをインストールすれば、パソコン内のローカルディスクと同じように利用できます。
初期費用 |
ー |
参考価格 |
月額540円~/1ユーザー |
データ容量 |
1TB~/1ユーザー |
無料トライアル |
◯ |
※"ー"の情報はITトレンド編集部で確認できなかった項目です。詳細は各企業にお問い合わせください。
MEGA
Mega社のクラウドストレージ「MEGA」は無料で20GBを利用できます。専用のモバイルアプリやデスクトップアプリがあり、どこにいてもファイルにアクセスしやすいでしょう。チャットツールやコラボレーションツール機能もあわせて使用できます。
初期費用 |
ー |
参考価格 |
月額649円~/1ユーザー |
データ容量 |
3TB~ |
無料トライアル |
◯ |
※"ー"の情報はITトレンド編集部で確認できなかった項目です。詳細は各企業にお問い合わせください。
firestorage
ロジックファクトリー株式会社提供の「firestorage」はファイルをアップロードし、ダウンロードURLを取得して使用します。ファイル転送機能に特化したオンラインストレージです。ダウンロードURLには保存期限とパスワードが設定できます。なお「ストレージ保存」機能もありますが、利用できる容量は2GBでログインがないと30日でファイルが削除される仕組みです。
初期費用 |
55,000円~(税込) |
参考価格 |
月額54,780円~(税込) |
データ容量 |
1TB~ |
無料トライアル |
ー |
※"ー"の情報はITトレンド編集部で確認できなかった項目です。詳細は各企業にお問い合わせください。
無料トライアルが可能なオンラインストレージ
次に無料トライアル付きのオンラインストレージサービスを紹介します。よりセキュアで高機能なサービスを求める場合には、無料トライアルを活用して有料製品の使用感を試してみるのがおすすめです。製品の特長や料金などを解説しているので、導入の参考にしてください。
《使えるファイル箱》のPOINT
- 社内サーバー不要で大幅コストダウン、管理業務の簡素化↑
- ユーザ数無制限だから個別アカウント管理で業務効率大幅UP↑
- 2要素認証/2重暗号化/アクセスブロックなどセキュリティ対策も◎
使えるねっと株式会社が提供する、クラウド型ファイル共有サービス「使えるファイル箱」は、ユーザー数無制限で利用できます。世代管理やログイン履歴確認、機能制限設定など、管理者向けの機能が充実しています。さらに電話やメール、チャットなど充実したサポート体制が整っているのも安心です。
初期費用 |
0円 |
参考価格 |
月額10,780円~(税込) |
データ容量 |
1TB~ |
無料トライアル |
◯(2週間) |
※"ー"の情報はITトレンド編集部で確認できなかった項目です。詳細は各企業にお問い合わせください。
《GigaCC ASP》のPOINT
- 「パスワード付きZIPファイル送信(PPAP)」の代替手段に最適
- 柔軟なセキュリティポリシーの設定、詳細なログ履歴管理に対応
- ファイルアップロード&ダウンロードの自動化が可能
「GigaCC ASP」は日本ワムネット株式会社が提供する企業向けオンラインストレージです。セキュアな環境でのデータのやりとりだけでなく、メール誤送信防止機能も備わっています。PPAP(パスワード付きzipファイル)問題の解決を課題とする企業にも適しているでしょう。
初期費用 |
50,000円 |
参考価格 |
月額12,000円~/10ID |
データ容量 |
1GB~ |
無料トライアル |
◯ |
《Fleekdrive》のPOINT
- 簡単&分かりやすい操作で社内や取引先とのファイル共有を効率化
- ファイルの暗号化、ウイルスチェックなどセキュリティ機能も充実
- 国内複数拠点での保管などBCP対策にも効果的、堅牢なインフラ
株式会社Fleekdrive提供の「Fleekdrive」は世界190か国で利用されている、ユーザーからの評価も高いオンラインストレージサービスです。細かいアクセス制限の設定やIPアドレス制限などのセキュリティ機能が充実しています。過去5年間の操作履歴を見られる証跡管理機能も搭載しており、データの流出や不正アクセスを防止します。
初期費用 |
ー |
参考価格 |
月額500円~/1ユーザー |
データ容量 |
10GB~/1ユーザー |
無料トライアル |
◯(30日間) |
※"ー"の情報はITトレンド編集部で確認できなかった項目です。詳細は各企業にお問い合わせください。
Box(エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社)
製品・サービスのPOINT
- 世界10万社が利用の企業向けオンランストレージの決定版!
- 「Box」により、社内外コンテンツコラボレーションが加速
- 働き方改革に最適、容量も無制限!セキュアなVPN版もあります!
エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社が提供する「Box」は、世界で10万社に導入されている企業向けオンラインストレージです。一回のアップロード上限は5~15GBですが、データ容量は無制限で利用できます。なお、ログ管理やフォルダロックなどの20の管理機能から成る同社独自のサービス「Box管理クラウド」は250ID以上で契約していれば無料で使用できます。
初期費用 |
0円 |
参考価格 |
月額1,800円~/1ID |
https://www.concursolutions.com/
データ容量 |
無制限 |
無料トライアル |
◯(60日間)※提供条件有 |
製品・サービスのPOINT
- Webブラウザーだけで大容量ファイルや機密情報をやり取り可能
- 豊富なセキュリティ機能と可用性
- 月額16,500円(税込)~の定額制で、最大1万人使用可能
「Bizストレージ ファイルシェア」はエヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社提供のオンラインストレージサービスです。Webブラウザ上で2GBのファイルのやりとりが可能。最大10,000人での使用が可能です。なお、Web申し込みであれば初期費用・初月利用料金無料で使用できます。
初期費用 |
0円~22,000円 |
参考価格 |
スタンダード(100GB):月額29,800円※税込 プラチナ(4TB):月額234,700円 ※税込 |
データ容量 |
1GB~ |
無料トライアル |
◯(14日間) |
製品・サービスのPOINT
- AWS 環境に構築
- 完全定額制を実現
- 24時間365日のサポート体制
株式会社 USEN ICT Solutions提供の「クラウドファイルサーバ type3」は、Windowsサーバのアウトソーシングサービスです。サーバタイプと容量によってさまざまな料金プランがあります。24時間365日監視体制と定期的なハードウェアメンテナンスがあるため、ファイルサーバ破損対策にもつながるでしょう。
初期費用 |
30,000円 |
参考価格 |
月額29,800円~234,700円 |
データ容量 |
100GB |
無料トライアル |
◯ |
《eTransporter Collabo》のPOINT
- 自在にカスタマイズできる「権限管理」
- 業務に直結した「コミュニケーション」
- コラボレーションを広げる「ユーザ数無制限」
株式会社NSD提供の「eTransporter Collabo」は組織間のコラボレーションを支援する企業向けオンラインストレージです。ユーザー数無制限で利用でき、ファイル共有のほか、フォルダ内チャット機能や権限管理、ウイルスチェックなどの機能を有しています。また自社のセキュリティポリシーにあわせて、オンプレミス型の提供も可能です。
初期費用 |
0円 |
参考価格 |
クラウド版:月額35,000円~ |
データ容量 |
10GB~ |
無料トライアル |
◯ |
SmartConnect Smart Storage
製品・サービスのPOINT
- 要望にお応えするラインナップ
- セキュアかつ高速なデータ共有を実現
- どこからでもデータの集約が可能
「SmartConnect Smart Storage」はNTTスマートコネクト株式会社提供の企業向けオンラインストレージで、価格やデータ量、処理速度に応じて5つのプランが用意されています。AWSやMicrosoft Azure、Google Cloud Platformなど他社クラウドサービスと連携したデータの集約も可能です。
初期費用 |
37,000円 |
参考価格 |
月額20,000円~ |
データ容量 |
0.5TB~ |
無料トライアル |
ー |
※"ー"の情報はITトレンド編集部で確認できなかった項目です。詳細は各企業にお問い合わせください。
無料と有料のオンラインストレージを上手に使い分けよう
無料のオンラインストレージサービスは多くあり、個人利用に広く活用できます。ビジネスシーンでの利用を考えるなら、セキュリティや機能、容量などから有料製品が適しているでしょう。無料トライアルで使用感を確認したうえで、無料製品と有料製品を用途に応じてうまく使い分けてください。