オンラインストレージとは
オンラインストレージとは、インターネット上にあるディスクスペースのことで、クラウドストレージやファイルストレージとも呼ばれます。インターネットを介して利用する点を除けば、パソコン内のハードディスクやSSDと同じように使用可能です。
オンラインストレージを提供するサービスには無料版も多く、会員登録するだけで気軽に利用できるため、個人利用に限らずビジネスシーンでも導入されています。特に、感染症対策や柔軟な働き方の促進などにより在宅勤務やモバイルワークが急増した昨今では、社外からの社内データへのアクセス需要が拡大しました。また、法人向けオンラインストレージサービスでは、強固なセキュリティ対策を施した製品も多く、災害時のバックアップとしての活用も期待されています。
【図解】オンラインストレージの主な機能
オンラインストレージの主な機能は「自動バックアップ」「ファイル転送」「ファイル共有」の3つがあります。これらの機能について詳しくみていきましょう。
自動バックアップ
ハードディスクなどに直接データ保存していると、機器が壊れてしまった場合、復旧するのは困難です。データを復旧させるには専門業者に依頼しなくてはならず、時間も料金もかかります。
オンラインストレージなら、バックアップを取る手間もなく、データが消える心配もいりません。サービスによっては、パソコン内の指定したフォルダを定期的にバックアップするサービスもあります。
ファイル転送
電子メールなどでは一度に送れるファイルサイズに上限があり、サイズによっては送信できないことがあります。
ファイル転送機能を利用すれば、ファイルをオンラインストレージにアップロードし、送りたい相手にダウンロードURLを連絡するだけで、大容量ファイルも簡単に共有できます。
共有ファイルにはパスワードやダウンロード期間を設定できるため、第三者に勝手にデータをダウンロードされるリスクは低いでしょう。
ファイル共有
オンラインストレージに保存されたファイルは、アクセス権限のあるユーザーであれば複数人で共有・閲覧できます。さらに、ファイルの同時編集も可能です。
インターネット環境さえあれば、パソコンやスマホでどこからでもアクセスできるため、外出の多い企業や在宅勤務を導入している企業に最適です。
オンラインストレージができること
前述した基本的な機能のほかにも、オンラインストレージにはできることが多くあります。そのなかから以下の5つをピックアップして紹介します。
- ●堅牢性や高信頼性を確保したサービス
- ●問題発生時の検証やリカバリー
- ●作業効率が上がるオフライン作業
- ●複合機とのアプリケーション連携
- ●海外拠点とのスムーズな連携
堅牢性や高信頼性を確保したサービス
オンラインストレージは、今や単なる無保証のクラウドサービスではなく、堅牢性や高信頼性を確保したサービスとして利用できます。例えば、停電の際も一定時間電力が供給される無停電電源装置や、自家発電装置などを完備した耐震ビル内のサーバで運用されているケースが多いでしょう。
また、強固な障害対策を実施しているサービスも少なくありません。契約したディスクストレージ全体のスナップショットを別筐体のディスクに保存する、データ領域を3重化する、業務を考慮した日程で自動バックアップする、といった対策が講じられています。
高稼働率を保証するサービスもあり、堅牢性や信頼性の高いオンラインストレージサービスでデータを保護しておけば、自社サーバに万が一の事態が起こっても、バックアップから復旧が可能です。自社内のバックアップだけでは心配という場合は、遠隔地のデータセンターを指定できるオンラインストレージとの契約も検討するとよいでしょう。
問題発生時の検証やリカバリー
多くのオンラインストレージサービスには、詳細な履歴を確認する機能が実装されています。いつ誰が、どのような手順で、どのファイルを操作したか、後日すべて参照可能です。万が一ミスが発生した場合も、ミスが起こった過程をトレースすることで、適切な再発防止策を講じられます。
また、過去のファイルを何世代にもわたって保存しておくアーカイブ機能も、課題解決に有効です。過去のファイルで問題が発生した場合、そのファイルを復活させ、中身の検証を行えます。
作業効率が上がるオフライン作業
地下鉄や飛行機で移動している時はオンラインストレージと接続できないので、オフラインで作業を行います。この時、オフライン対応機能をもつオンラインストレージなら、ファイル更新などの作業内容が随時記録され、オンラインになった時点でオンラインストレージ側にも作業内容が反映されます。
オフライン作業の操作ログは、後でオンラインストレージから取得可能です。作業する側はオフラインとオンラインを意識する必要はないので、作業効率が格段に向上します。
複合機とのアプリケーション連携
サービスによっては、複合機にインストールする専用アプリケーションを提供している場合があります。オンラインストレージと複合機をアプリケーション連携すれば、複合機でスキャンした名刺や紙文書のデータをオンラインストレージで一括管理できるようになります。
これまでの複合機を使ったスキャンでは、取り込んだファイルを毎回リネームして、本保存するフォルダに移動させる手間が発生していました。連携アプリケーションがあれば、複合機からオンラインストレージへのアップロードを実行できるので、手動でのリネームや移動作業は不要です。
また、オンラインストレージに保存された書類は自動でOCR(光学的文字認識)処理されます。画像データの文字も自動でテキスト化されるため、スマートフォンでデータを確認して名刺の電話番号に直接電話をかける、地図を表示するといった作業も容易に行えます。
海外拠点とのスムーズな連携
日本語で提供されているオンラインストレージサービスであっても、英語などほかの言語への切り替えに対応しているケースがあります。多言語対応のサービスなら、海外に拠点を開設した際にも、拠点で使用されている言語を指定するだけで、すぐにオンラインストレージの利用を開始できます。
自社サーバの構築が難しいような環境や規模の拠点でも、ファイルのやり取りを素早く行えるのは魅力的です。海外拠点とのデータの送受信が必要な場合は、利用可能な言語を確認してサービスを選定するとよいでしょう。
個人向けサービスと法人向けサービスの違い
オンラインストレージには、無料または低価格で利用できる個人向けサービスと、企業での業務利用を想定した有料の法人向けサービスの2種類があります。
個人向けと法人向けの大きな違いは、セキュリティ機能の充実度です。法人向けサービスには、アカウント管理やログ管理、端末認証など、個人向けサービスよりもビジネスの実務に即した豊富なセキュリティ機能が搭載されています。
個人向けサービスにも最低限のセキュリティ機能は備わっているため、法人でも十分に活用できると考える方もいるかもしれません。しかし、サイバー攻撃や人的ミスによる個人情報や企業の機密情報の流出は、事業の存続に大きな影響を与えます。
社内文書や取引先情報など機密性の高い情報を扱う企業では、セキュリティ対策が強化されたオンラインストレージを導入し、情報漏えいリスクの対策を講じることは非常に重要です。個人向けオンラインストレージと法人向けオンランストレージの違いを認識し、自社のセキュリティレベルにあった製品の選定をおすすめします。
オンラインストレージの個人向けサービスと法人向けサービスの違いを以下にまとめました。製品選定時の参考にしてください。
|
個人向けオンラインストレージ |
法人向けオンラインストレージ |
費用 |
無料から使える |
低~高価格帯までさまざま |
保存期間 |
数日~無期限 |
無期限 |
転送速度 |
遅い場合がある |
速い |
バージョン管理機能 |
製品による |
あり |
情報漏えい対策 |
製品による |
あり |
システム連携機能 |
製品による |
連携できる場合が多い |
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オンラインストレージのメリット
ここからは、オンラインストレージを導入するメリットについて解説します。
- ●場所を選ばずどこでもアクセスできる
- ●管理・運用に手間がかからない
- ●コスト削減ができる
- ●保存容量を拡張しやすい
- ●リスク分散できる
場所を選ばずどこでもアクセスできる
インターネットさえあれば、職場や外出先、自宅など場所を問わずファイルにアクセスできます。外出先でのファイルの閲覧や編集が可能になるため、情報共有の迅速化や業務効率化につながるでしょう。
プレゼン資料など外出先で使用するファイルも、オンラインストレージにアップロードしておけば持ち運ぶ必要がなくなります。
管理・運用に手間がかからない
社内にファイルサーバを設置する従来の方法では、自社でサーバの管理や運用を行う必要がありました。しかしオンラインストレージサービスなら、メンテナンスやトラブルなどの対応をサービス提供会社に任せられます。サーバの管理や運用にかかる時間が減るため、情報システム部門などの担当者負担を大幅に軽減できます。
コスト削減ができる
オンラインストレージは比較的安価で利用でき、自社での管理・運用が不要のため、従来に比べて導入コストや人件費の削減が可能です。また、契約しているユーザー数やストレージ容量に紐づいた料金設定により無駄なコストが発生せず、オンラインストレージコストを最適化できます。
保存容量を拡張しやすい
オンラインストレージサービスは保存容量によって価格が決まります。例えば無料プランを利用していて容量が足りなくなっても、料金プランを変更するだけで簡単に保存容量を増やせます。必要なデータ容量にあわせて、月単位で柔軟に切り替えが可能です。
リスク分散できる
オンラインストレージはサーバ上にデータ保存するため、自社のネットワークがダウンしたりシステムトラブルが発生したりしても、オンラインストレージに保存したデータは守られます。
オンラインストレージ導入企業の大半がファイル共有を目的としていますが、災害やトラブル発生時のリスク分散としても有効です。
オンラインストレージのデメリット
次に、オンラインストレージの導入によるデメリットを解説します。
- ●セキュリティリスクがある
- ●パスワード管理に手間がかかる
- ●障害時に自社で対応できない
- ●カスタマイズが難しい
セキュリティリスクがある
インターネット上でデータを保管し、複数人で情報共有するオンラインストレージは、ハッキングの対象になる可能性があります。ハッキング対策をはじめとするセキュリティ機能はサービスによって異なるため、どのようなセキュリティ機能を利用できるのかよく確認したうえで導入することが重要です。
またセキュリティリスク対策として、個人情報や機密情報を含むデータはオンラインストレージには保存しない、などのルール策定を行うとより安心でしょう。
以下の記事では、オンラインストレージを利用する際のリスクと対策について解説しています。オンラインストレージを安全に利用するための参考にしてください。
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パスワード管理に手間がかかる
データが流出してしまう原因の多くは、不十分なパスワード管理がほとんどです。管理者はデータにアクセスできる権限を誰に与えているのか、正確に把握しておく必要があります。
オンラインストレージはIDとパスワードだけでデータにアクセスできるサービスも多いため、社員個人がパスワード管理を徹底することが大切です。
障害時に自社で対応できない
オンラインストレージに何か障害が発生した場合は、サービス提供会社が対応にあたるため、自社では何もできず復旧を待つだけです。ただし、法人向けサービスにはさまざまなトラブルに対処できるだけの設備が備わっているため、ほとんどの場合はすぐに復旧します。
障害発生時の対応について気になる方は、これまでの稼働率や障害発生頻度などを含めて、サービス提供会社に確認するとよいでしょう。
カスタマイズが難しい
オンラインストレージは料金プランごとに利用できる機能が決まっているため、自社にあわせたカスタマイズにはほとんど対応していません。そのため、導入時には自社が必要としている機能が搭載されているかよく確認しましょう。
オンラインストレージのメリット・デメリットについて、さらに詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
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オンラインストレージ人気TOP3を比較
ITトレンド編集部がおすすめするオンラインストレージのうち、カテゴリ別資料請求ランキングで人気上位の製品を紹介します。実際に導入している方の口コミ評価もあわせて掲載するので、導入検討の参考にしてください。
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製品名 |
対象従業員規模 |
提供形態 |
参考価格 |
無料トライアル |
レビュー評価 |
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Box |
すべての規模に対応 |
クラウド / SaaS |
ー |
◯ |
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使えるファイル箱 |
すべての規模に対応 |
クラウド / SaaS |
初期費用無料 月額21,230円~(税込み) |
◯ |
|
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セキュアSAMBA |
すべての規模に対応 |
クラウド / SaaS |
初期費用15,000円~ 月額15,000円~ 無料プランあり |
◯ |
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※"ー"の情報はITトレンド編集部で確認できなかった項目です。詳細は各企業にお問い合わせください。
Box(エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社)
製品・サービスのPOINT
- NTTCom版Boxには51ID以上でJIIMA認証対応で、管理クラウド付属!
- 「Box」により、社内外コンテンツコラボレーションが加速
- 弊社のWinactor+BoxでJIIMA認証も取得済。電帳法対応なら是非!
ITトレンド年間ランキング2023(オンラインストレージサービス)1位
「Box」は、エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社が代理店として提供するクラウド型コンテンツ管理サービスです。プレビューやコメント、バージョン履歴など豊富な機能により、ファイルのやり取りが効率化します。共有リンクにより、取引先など社外の方もファイル閲覧が可能です。また、ダウンロード制限をすれば外部流出の防止につながるでしょう。
業種 |
情報処理、SI、ソフトウェア |
従業員規模 |
500名以上 750名未満 |
Box(エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社)のいい点 |
★ ★ ★ ★ ★ 5
|
定額制容量無制限、世代管理も無制限のストレージサービス。パソコンやモバイル端末等からシームレスに利用可能。
セキュリティが高くデータ消失の可能性が少なく安全。容量に関係なくデータ・フォルダを社内、社外問わず簡単に共有できるのが良いです。
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業種 |
人材サービス |
従業員規模 |
100名以上 250名未満 |
Box(エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社)の改善してほしい点 |
★ ★ ★ ★ ☆ 4
|
一般的なクラウドサービスと比べるとビジネスに特化している印象があり、機能面や操作面などにおいては多少なりともとっつきにくい印象がある
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《使えるファイル箱》のPOINT
- 社内サーバー不要で大幅コストダウン、管理業務の簡素化↑
- ユーザ数無制限だから個別アカウント管理で業務効率大幅UP↑
- 2要素認証/2重暗号化/アクセスブロックなどセキュリティ対策も◎
ITトレンド年間ランキング2023(オンラインストレージサービス)2位
使えるねっと株式会社が提供する「使えるファイル箱」は、ユーザー数無制限で使用でき、ストレージ追加もしやすいファイル共有サービスです。ユーザーごとの権限設定や世代管理、ログイン履歴の確認など、機能も充実しています。また、右クリックによる簡単操作で共有リンクURLを発行できるため、社外とのファイル共有に役立つでしょう。14日間の無料トライアルが可能です。
業種 |
建設 |
従業員規模 |
1,000名以上 5,000名未満 |
使えるファイル箱のいい点 |
★ ★ ★ ★ ☆ 4
|
クラウド型のファイル共有サービスだが、ユーザー数が無制限なのが特徴で、社員一人ずつにアカウントを発行できる。ファイルの操作はデスクトップ上で行えるため、特別な訓練は必要なく通常作業と同じでよいので、大変扱いやすい。容量は1TBまでだが、課金すれば簡単に容量を増やせる。
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業種 |
情報処理、SI、ソフトウェア |
従業員規模 |
50名以上 100名未満 |
使えるファイル箱の改善してほしい点 |
★ ★ ★ ★ ☆ 4
|
同期やファイルロックなどの細かい作業が基本手作業なので、定期的に同期をしないと手間がかかる点。常時でなくてはいいが、定期的に自動同期してくれると助かります。
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《セキュアSAMBA》のPOINT
- ユーザ数無制限だから社外利用や従業員数が多い企業様におすすめ
- セキュリティ対策万全、非同期型の純国産オンラインストレージ
- 導入実績数4,000社以上&徹底したサポート体制
ITトレンド年間ランキング2023(オンラインストレージサービス)3位
Chatworkストレージテクノロジーズ株式会社が提供する「セキュアSAMBA」は、
詳細なアクセス権限の設定により、柔軟な運用が叶うオンラインストレージです。ファイルやフォルダの閲覧・編集を接続元や端末ごとに設定が可能なため、機密データの漏えい防止に役立つでしょう。また、信頼性の高いAWSサーバの利用によって、安全なデータ管理が実現します。
セキュアSAMBAのいい点 |
★ ★ ★ ☆ ☆ 3
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パソコンやスマホ、タブレット、どの端末からでもアクセスできる。情報やデータの共有が簡単に出来、暗号化機能などが標準で付いてくるのでセキュリティはしっかりしていると思います。
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セキュアSAMBAの改善してほしい点 |
★ ★ ★ ★ ☆ 4
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今のところ特に感じるところはありません。些細なことですがパスワード設定が10文字までと短く普段利用しているパスワードが使用できなかったことはやや面倒でした。
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「より多くの製品が知りたい」「選び方のポイントを詳しく解説してほしい」という方は、こちらの記事も参考にしてください。
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オンラインストレージを使って業務効率化しよう
オンラインストレージを利用すれば、場所を選ばずにファイルへのアクセスが可能になるほか、サービスによってはファイルの同時編集もできるなど、利便性の高さが特徴です。またデータのバックアップや、災害時におけるデータ損失のリスク分散としても有効でしょう。
オンラインストレージを法人利用するのであれば、セキュリティ機能を比較し、自社のセキュリティレベルにあった運用が実現するか確認することが重要です。自社に適したサービスを導入するために、まずは資料請求などを利用して、各社サービスの機能や特徴をよく把握することからはじめましょう。