アパレル物流とは
アパレル物流とは、衣類や帽子、バッグ、シューズなどの物流のことです。仕入れや運搬、保管など、商品の一連の流れを管理します。
特に顕著な特徴が、各商品にカラーやサイズがあることです。同じデザインの商品でもカラー・サイズが異なれば別の商品として扱わなければならないため、他業種と比べて管理が複雑です。
また、需要の変動が激しいのもアパレル物流業界の特徴です。季節やメディア、SNSなどの流動的な要素が複雑に絡み合って需要の変動が生じます。このような変動に柔軟に対応するには、常に充分な在庫を確保しておかなければなりません。先述したカラー・サイズによる差分も含めると、アパレル物流における管理対象は膨大な数に上ります。
アパレル物流の特徴・仕組み
続いて、アパレル物流の特徴と仕組みを詳しく見ていきましょう。
季節やトレンドに合わせて流通量を変化させる
アパレル物流では、季節やトレンドに合わせて流通量を変化させなければなりません。つまり、いつ流通させるのかを意識する必要があるということです。
同じ商品でも、サイズやカラーなどの違いがあれば、求められる流通量は異なります。アパレル物流における在庫管理は、それらの違いも踏まえたうえで詳細に行うことが大切です。
アパレルに適した気温や湿度で保管する
アパレル商品は気温や湿度の影響を大きく受けます。たとえば、湿気の多い場所で保管しているとカビが生えることがあります。また、直射日光に当たり続けると変色しかねません。
したがって、物流倉庫でアパレル商品を保管する際には適切な気温や湿度で管理する必要があります。屋根のある物流倉庫で天候による影響を防ぐのはもちろん、密着しないようにハンガーラックを使うなどの工夫が必要です。そして、最適な工夫は商品の素材や形状などによって異なるため、各商品ごとに適した環境を用意しなければならず、管理が複雑です。
アパレルに特化した「流通加工」を行う
物流の仕組みには流通加工と呼ばれる工程があります。これは流通の過程で商品の価値を高めるために行う加工のことです。具体的には、箱詰めや値札付けなどがあり、作業内容は業種・業界によって大きく異なります。
アパレル物流における流通加工は、タグ付けやネームの付け替え、不良品の補修などです。これらの作業は、アパレルに関する知識や技術が不可欠なため、物流業者にも専門知識が求められます。アパレル物流の一連の業務を丸ごと引き受ける専門の物流サービスも存在します。
アパレル物流における課題
アパレル物流には業界特有の課題があります。代表的な課題を2つ見てみましょう。
出荷の遅延や返品が起こりやすい
物流業務の中に、検品という工程があります。これは出荷する商品に異常がないかを調べる作業です。アパレル物流においては、汚れやほつれなどを探し、商品として問題がないことを確認する作業を言います。アパレル商品はサイズやカラーの違いがあるため、慎重に検品を行わなければなりません。
また、アパレル物流の特徴的な工程として検針もあります。これは加工過程で針が商品に混入していないか確認する作業です。万が一混入していたら怪我につながるため入念に確認する必要があります。このように、アパレル物流では他業界と比べて出荷前に確認すべきことが多く、遅延が生じがちなのが課題です。
一方、返品が生じやすいのもアパレル業界の特徴です。「着てみたらサイズが合わなかった」など、購入してから発覚する点が多いため、問い合わせや返品が多発します。結果としてアパレル物流の業務が増え、さらなる遅延の原因となることもあります。
物流にかかるコストがかさみやすい
アパレル物流は他業界と比べてコストがかさみやすいのも課題です。いくつかの工程に分けて解説します。
- 【保管】
- サイズやカラーの違いを踏まえて在庫を確保しなければならないため、管理品目数が多くなり管理の手間が増大し、人件費がかかります。また、ダンボールに入れられずハンガーに掛けて保管しなければならないなど、保管スペースへの投資も必要です。
- 【荷役】
- ダンボールに入れられない商品などはトラックへの積載効率も悪く、コストがかさみます。また、繊細な商品は手作業で扱わなければならないなど、積み下ろし作業自体に人手を要します。
- 【梱包】
- 梱包素材の大きさや強度などを商品の性質に合わせて用意する必要があり、費用が掛かります。
- 【配送】
- アパレル商品を販売する小売店は街中にあることが多く、そこへトラックでたどり着く負担が大きいため人件費がかかります。一度に大量に運ぶのが難しいこともこの負担に拍車をかけています。
物流コストを削減!アパレル物流会社を比較
前述したような課題を解決し、物流コストを最小限に抑えるには、アパレル物流会社のサービスを利用するのが有効です。そこで、最後におすすめのサービスを紹介・比較していきます。
株式会社トミーズコーポレーション
アパレルに特化した企業が提供。顧客のニーズに合わせて入庫や物流加工といった流通過程における作業に加え、カタログ作成や商品へのプリント、Web広告までワンストップで任せられます。工程ごとに別のベンダーに委託する必要がないため、コストを低く抑えられるのが特徴です。また、小売店向け・一般消費者向けの両方への出荷に対応しています。
佐志田倉庫株式会社
アパレルに対応した倉庫やシステムの構築を提供するサービス。流通加工や文書管理を含め、アパレルの倉庫業務を一手に引き受けてくれます。また、特徴的なのがシューズ物流で、DAS(デジタルアソートシステム)を活用することで効率的なシューズの保管・出荷を実現しています。目視・触診のほかX線透過装置、コンベア式検針器など検品体制の万全さも魅力です。
株式会社 オーティーエス
入荷から商品が店頭に並ぶまでの物流業務を任せられるサービス。流通過程を全面的に委託でき、需要への変動なども対応してくれます。また、品質管理に注力し、取り扱い絵表記の選定やお客様窓口対応の代行サービスなどを提供しています。そのほか、インポート物流やジュエリー物流、ECサイト物流など幅広いアパレル物流に対応しているのも特徴です。
丸二倉庫株式会社
ITツールの活用を特徴としたサービス。多くのエンジニアが在籍し、顧客のニーズに合わせて現場の状況に最適化されたITシステムを構築してくれます。アパレル物流では流通過程の業務をトータルで引き受けてくれます。日常的に着用される衣類のみならず、スーツやドレス、スポーツファッション、バッグ、服飾雑貨など幅広く対応しているのも魅力です。
アウトソー信グ中央株式会社
中国製のリーズナブルな商品から欧米などの高級アパレル商品まで幅広い取扱い実績があり、アパレル以外にもEC・通販や通信教育、建築資材などを取り扱ったケースもあります。アパレルという業界にこだわらず豊富な経験を持つため、顧客のニーズに柔軟に対応してくれるのが魅力です。
ジーエフホールディングス株式会社
グローバルロジスティクスを特徴とするサービス。約150ヵ国に持つグローバルなネットワークや国際輸送サービスを利用し、国内外における物流ソリューションを提供しています。海外に持つ工場を活用して時期に適した生産・調達を実現し、需要に柔軟に対応してくれます。また、関東・中部・関西を中心にアパレルの物流作業に特化した人材派遣をしているのも特徴です。
有限会社エクセレント急便
アパレルに特化した物流代行サービスで、ハンガー車や専用の倉庫などを活用してワンストップで引き受けてくれます。東京都江戸川区に位置しているため港や空港から近く、輸入製品の検品や検針に迅速に対応できるのも特徴です。スポット案件や急な案件などへも柔軟に対応してくれます。
株式会社ゆうりん
アパレル専門の物流企業で、ECサイト・ネット通販の発送業務を代行するサービスです。委託できるのは物流業務だけでなく、請求書発送や帳票作成といった書類作成・発送業務まで一任できます。そのほか、消費者のニーズに応じて行う2次加工業務にも対応しています。
アパレル物流を見直して、業務を最適化しよう
アパレル物流には他業界の物流にはない課題があります。サイズやカラーの違いにより管理が複雑なうえ、安定しない需要の変動に柔軟に対応する必要があります。検品にも充分な時間をかける必要がありますが、発送が遅延すれば顧客満足度が低下しかねません。
このような課題を解消する方法の1つがアパレル物流代行サービスの利用です。ほかにも物流管理システムを導入するのも良いでしょう。これを機にさまざまなサービスやシステムを比較検討してみてはいかがでしょうか。