FCLとLCLの違い
まずは、FCLとLCLの違いを見ていきましょう。
FCL:荷主がコンテナを独占して輸送
FCLとは「Full Container Load」の略で、コンテナを1個借り切る方法です。「フルコン」とも呼ばれ、途中でコンテナが開けられることはありません。そのため、荷物の紛失が起こりにくいメリットがあります。
一般的に満載できる貨物があるときに利用しますが、紛失を恐れたり混載できない品物の場合には、少量の輸送にも使われます。少量の場合は、輸送中にコンテナ内で貨物が動いて破損するケースがあるのでしっかりと固定しましょう。
LCL:複数の荷主が1つのコンテナを分けあって輸送
LCLとは「Less than Container Load」の略であり、複数の荷主が1個のコンテナを共有する方式です。複数の貨物を1ヶ所に集めて積み込み作業をし、荷下ろしの際にも荷物の仕分けを行う必要があります。
LCLでは、他の荷主の貨物との混載になるため、要冷蔵・冷凍など温度管理を要する荷物など、貨物の内容によって積み込めないケースも少なくありません。また、臭いや重量、長さによっても一緒に積めるかどうかが決まります。
FCLのメリットとデメリット
つづいて、FCLのメリットとデメリットを見ていきましょう。
メリット1:搬入作業を早くできる
FCLは荷主が1人であるため、搬入時にコンテナから荷物を出す作業が要らず、搬入作業が早くできます。その分、税関へ輸出申告し輸入許可を得るまでの時間を短くすることができます。
荷主が複数いるLCLでは、搬入の際にコンテナから貨物を出して仕分けるため、時間がかかります。搬入作業の時間を短縮し手間を省きたいときには、FCLがおすすめです。
メリット2:荷物にダメージがつきにくくなる
FCLのコンテナは独占的に使えるため、荷物どうしが干渉しないようしっかり固定して積み込むことができます。そのため、積んだ貨物が動き他の荷物やコンテナと接触するといったことが少なく、ダメージがつきにくくなります。
デメリット:料金が割高になる
FCLの最大のデメリットは料金が割高になることです。FCLの場合は、積み荷の量に関係なくコンテナ1台の費用がそのまま発生すると考えましょう。
コンテナにスペースなく荷物を積むことができれば、それほどデメリットにはなりませんが、荷物の量が少ないと、空いたスペースの分の費用もかかるため、無駄な費用が発生してしまうこともあります。
LCLのメリットとデメリット
つづいて、LCLのメリットとデメリットを見ていきましょう。
メリット:少量で安く輸送できる
LCLはFCLと違い、荷物の量に対して費用が発生するため少量の荷物を安く輸送できるメリットがあります。少量の荷物でもFCLを利用すると料金が高くなりますが、LCLを利用することで費用を抑えられます。
デメリット:他の荷物との接触の可能性がある
LCLは混載便になるので、積載率を上げるために強引に荷物を詰め込むことも多くあります。そのため、激しい波などで船体が揺れると積み荷同士が接触し、荷物がダメージを受けるおそれがあります。
また、LCLではコンテナに荷物を積み込む前に倉庫での仮置きがあり、このときダメージを受ける可能性もあります。
FCLとLCLの分岐点
FCLとLCLを使い分けるには、利用するコンテナに対して「どれくらいの積み荷の量があるか」が判断材料になります。基本的に、少ない荷物であればLCLの安さのメリットが大きく、コンテナいっぱい使えるほど荷物があればFCLの利点が勝るでしょう。
具体的には、以下の荷物量の場合にFCLを利用するメリットが大きくなります。
- 20フィートコンテナ
- 5~7平方メートルを超えるとき
- 40フィートコンテナ
- 8~10平方メートルを超えるとき
しかし、輸送する品物や利用するコンテナの種類によって費用は変わるので、よく確認しましょう。また、20フィートコンテナの料金は40フィートの半分とは限らないため、要注意です。
FCLとLCLの違いを理解して使い分けましょう!
船で荷物を輸送する場合は、状況に応じてFCLとLCLを使い分けることが大切です。
FCL【コンテナ1台を独占して利用する方法】
- メリット
- 搬入作業が早く、荷物にダメージがつきにくい
- デメリット
- 費用が高い
LCL【複数の荷主でコンテナを共有して混載する方法】
- メリット
- 費用が安い
- デメリット
- 荷物にダメージがつきやすい
FCLとLCLの違いを理解し、費用・早さ・安全性を比較して効果的に使い分けましょう。