渡邉氏は全社員に向けて、「すべての情報は会社の資産であり、発信してこそ価値がある」という経営メッセージを表明し、
部門を問わずすべてのデータを Sales Cloud に入力するよう指示を徹底しました。
その結果、たとえば営業部門における ToDo の入力数は、Salesforce 導入初年度下期 1590 件でしたが、
1 年半後に 8384 件、3 年後には 1 万 4218 件にまで増え、営業の行動が完全に可視化されました。
それによって最初に現れた変化は、半日がかりの営業会議や、週報・月報の作成が完全に不要になったこと。
代わりに始めたのが、2 週間に 1 回の立ったままのミーティングでした。
「その約 1 時間半で、全案件の進捗状況を Sales Cloud 上で確認し、上司が具体的にアドバイスしたり、
各人の仕事量を調整したりします。状況が手に取るようにわかるので、進捗が思わしくなく、可能性の低い案件については、
上司が思い切って“ロスト”と判断するなどの対応ができるようになり、営業活動が大幅に効率化されました」(渡邉氏)
また、長期間コンタクトを取っていない顧客がいる場合、担当者には Sales Cloud からアラートが飛ぶので、
受け身だった営業姿勢は一変し、60 日間接触なしの顧客数は、最初の 2 か月間で 280 件から3件に激減しました。
そうした業務改善の成果は、営業にとって重要な指標にも顕著に現れ、導入初年度下期、135 件だった商談数は
3 年後に 531 件、成約数は 43 件から 132 件まで一気に 3 倍以上に伸びました。
Salesforce のフル活用によって、見事な復活を遂げられました。
渡邉氏の社長就任時、30 億円と低迷してた売上高は、その後右肩上がりとなり、2016 年には 45 億円まで回復。
それだけを見ればゆるやかな復調ぶりですが、驚くべきは営業利益の推移です。
導入前の 2007 年と比べると、2016 年現在、売上高は依然として半分程度の水準であるにもかかわらず、
営業利益は 2007 年の 5 億円を若干上回っているのです。
「Salesforce があったからこそ、そういう“筋肉質”な収益構造を実現できた。『スマホの中に“会社”がある。Salesforce のない時代の働き方が想像できません』。これは、社内で“Salesforce世代”と呼ばれている、Salesforce 導入後に入社したある社員の言葉です。どこで働いていても全社員がつながっているという安心感とスピード感。弊社にとって Salesforce は、全社員の知恵を結集して課題を解決するためのツールになっているのです」(渡邉氏)
行動可視化により営業会議・報告書を全廃