社内SNSとはどのような仕組みか
種類を追う前に、何を担う仕組みなのかを押さえておきましょう。似た用途のツールとの違いを理解すると、必要な機能も見えてきます。
社内SNSの基本的な役割
社内SNSとは、従業員どうしが情報を投稿し、閲覧や反応を通じてやり取りするための仕組みです。個人や部署が発信した内容が時系列で並び、他の従業員がコメントや反応を返せる構成が基本になります。
用途は、経営層からの発信、部署の取り組みの共有、日々の気づきの投稿、社内制度の周知など幅広く及びます。メールのように宛先を指定せず、関心のある人が見に行く形になるため、部署をまたいだ情報が流通しやすくなる点が特徴です。
ビジネスチャットとの違い
ビジネスチャットは、特定の相手やグループとの会話を重ねる形が中心です。業務の連絡や確認を素早く進めることに向いており、やり取りは関係者の間で閉じます。
社内SNSは、不特定の従業員が見る前提で発信する形が中心です。過去の投稿を後から検索して参照する使い方も想定されています。両者は排他的な関係ではなく、日々の連絡はチャット、全社に知らせたい内容は社内SNSというように併用する企業もあります。近年は両方の機能を備えた製品も増えています。
目的から見た種類
何を主な目的に据えるかによって、重視される機能が変わります。代表的な三つの方向性を確認します。
情報共有を主目的とする種類
経営方針や制度の変更、部署の取り組みといった情報を、全社へ確実に行き渡らせることを重視する種類です。閲覧した人数を把握できる機能や、重要な投稿を上部に固定する機能が備わります。
拠点が分かれている企業や、現場勤務の従業員が多い企業で使われます。掲示板や社内報を置き換える形で導入されることもあります。この目的で選ぶ場合は、スマートフォンからの閲覧のしやすさと、過去の投稿を検索できるかを確認しておくとよいでしょう。
交流の活性化を主目的とする種類
部署をまたいだ従業員どうしの関わりを増やすことを重視する種類です。趣味や関心ごとに集まる場を作る機能、感謝や称賛を伝える機能を備えた製品が該当します。
在宅勤務が広がり、日常的な会話の機会が減った職場で検討されることがあります。ただし、交流そのものを目的にすると投稿が続かない場合もあります。何のために交流を増やすのかという狙いを整理し、業務の話題と組み合わせる設計にしておくと定着しやすくなります。
業務連携を主目的とする種類
日々の業務の進め方を効率化することを重視する種類です。チャットでのやり取りに加えて、ファイルの共有、予定の調整、タスクの管理といった機能を備えます。
他の業務システムと連携し、通知を受け取れる構成もあります。承認依頼や障害の通知が同じ画面に届けば、確認の手間を減らせます。この目的で選ぶ場合は、すでに使っているシステムとつなげられるかが判断の分かれ目になります。
提供形態と利用範囲による種類
目的とは別に、どのような形で用意するか、誰まで含めるかという軸でも分類できます。
クラウド型と自社設置型
クラウド型は、事業者の環境をインターネット経由で利用する形態です。短い期間で使い始められ、人数の増減にも対応しやすくなります。多くの製品がこの形態を採っています。
自社設置型は、自社のサーバに導入して運用する形態です。データを社内に置いたまま扱えるため、外部へ出したくない情報を扱う場合に選ばれます。一方で、機器の用意と更新作業を自社で担う必要があります。運用を担える体制があるかどうかが判断の目安になります。
社内限定と社外を含む利用
従業員だけが使う構成と、取引先や業務委託の担当者を含めて使う構成があります。後者では、外部の参加者が閲覧できる範囲を制御できるかが重要な確認点になります。
グループ会社や店舗のスタッフを含める場合も、権限の設計が必要です。雇用形態によって参加できる範囲を分けたい場合は、その運用が可能かを事前に確かめておきましょう。参加者が増えると費用にも影響するため、対象の範囲は早い段階で整理しておくことが望まれます。
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導入前に確認したい注意点
仕組みを用意しても、使われなければ効果は生まれません。検討段階で押さえておきたい点を二つ挙げます。
投稿が続かない場合への備え
導入直後は関心が集まっても、時間の経過とともに投稿が減っていくことがあります。何を書けばよいか分からない、反応がないと感じるといった理由で、発信をためらう従業員もいます。
対策としては、最初のうちは投稿する担当を部署ごとに決める、経営層や管理職が率先して発信する、投稿の型をいくつか示すといった方法があります。閲覧の状況を確認できる製品であれば、読まれている内容を把握して発信の方向を調整できます。担当者一人の働きかけに頼らない体制を整えておきましょう。
業務時間外の連絡と運用ルール
手軽に発信できる分、業務時間外にも通知が届く状況が生まれる場合があります。返信への期待が暗黙のうちに広がると、従業員の負担につながります。
通知の設定を各自で調整できることを周知したうえで、返信を求める時間帯の目安を社内で定めておきましょう。緊急の連絡は別の手段を使うといった取り決めも有効です。運用のルールは導入時に決めて終わりにせず、実際の使われ方を見ながら見直すことが望まれます。
社内SNSの選び方
ここまでの分類を踏まえ、実際に選ぶ際の確認事項を整理します。
目的と対象者の整理
最初に、何のために導入するのかを具体化します。情報を行き渡らせたいのか、交流を増やしたいのか、業務連絡を効率化したいのかによって、選ぶべき製品が変わります。複数の目的がある場合は、優先順位を決めておきましょう。
あわせて、対象となる人数と利用環境も整理します。パソコンを持たない従業員が多い職場では、スマートフォンからの使いやすさが定着を左右します。人数に応じた料金体系を採る製品が多いため、対象範囲は費用の試算にも関わります。
機能と既存システムとの連携
投稿と閲覧に加えて、ファイル共有、検索、アンケート、掲示の固定など、必要な機能を洗い出します。すべてを備えた製品は費用も上がるため、業務に欠かせないものと、あれば便利なものを分けて整理しましょう。
既存のグループウェアや業務システムとの連携も確認点です。予定表や承認の仕組みが別のツールにある場合、通知だけでも受け取れると確認の手間を減らせます。人事システムと連携できれば、入退社にあわせた利用者の登録作業も抑えられます。
費用体系とサポート範囲の確認
料金は、利用人数に応じた月額制が中心ですが、閲覧のみの利用者を別の単価とする形や、保存容量によるプラン分けもあります。全従業員を対象にする場合は、この違いが総額に大きく影響します。
サポートについては、どこまで対応してもらえるのかを具体的に確かめます。操作方法の案内にとどまるのか、社内展開の進め方を相談できるのかは製品ごとに差があります。定着に不安がある場合は、導入後の活用支援の内容も判断材料になります。
社内の情報共有を支えるSNS・チャットツール
用途にあわせて検討できる社内SNSやビジネスチャットのツールを紹介します。
Slack
- 安全で検索可能な1か所にコミュニケーション集約
- Slack AIでチームの集合知を活用し、生産性を向上
- コーティングなどの技術スキル不要で、定型業務を自動化
株式会社セールスフォース・ジャパンが提供する「Slack」は、チャンネルを使った情報共有を扱うビジネスチャットツールです。話題ごとにやり取りを整理でき、外部の業務ツールとの連携にも幅広く対応しています。過去のやり取りを検索できるため、必要な情報を後から探しやすい構成です。
TUNAG
- 感謝や称賛を可視化し、働きがいと文化を育む社内SNS
- 社内チャットで日常連携を強化し、情報共有もスムーズに!
- PC/スマホ対応で全従業員が使いやすい!
株式会社スタメンが提供する「TUNAG」は、社内の情報共有とエンゲージメント向上を目的とした社内SNSです。日常の業務連絡に加えて、社内制度の周知や従業員どうしの称賛を投稿できる機能を備えており、交流の活性化を重視した使い方に向いています。
WowTalk
- シンプルな操作性でとっても使いやすい!
- クローズド環境でセキュアにコミュニケーションできる!
- 40種を超える充実した管理機能で管理がしやすい!
キングソフト株式会社が提供する「WowTalk」は、社内連絡と情報共有を扱うビジネスチャットツールです。掲示板の機能を備えており、全社への一斉連絡と個別のやり取りを使い分けられます。現場勤務の従業員が多い職場でも使いやすいスマートフォン向けの画面が用意されています。
GoogleChat (グーグル・クラウド・ジャパン合同会社)
- 1対1とスペースで会話、スレッドやタスク付与に対応。
- チャット内でファイルを共有、共同作業を支援。
- Gmail、Meet、モバイルと統合しどこでも連絡可能。
commmuneforWork (コミューン株式会社)
- ITreview Grid Awardで最高位を連続受賞
- 声の統合で信頼を得る4つのステップ
- AIを活用したデータ統合・アクション基盤
社内SNSに関するよくある質問
導入を検討する担当者から寄せられることの多い質問と回答をまとめました。
- Q1: ビジネスチャットがあれば社内SNSは不要ですか?
- 用途によって適する仕組みが変わります。特定の相手との連絡が中心ならチャット、全社への発信や過去の投稿の参照が必要なら社内SNSが候補になります。両方の機能を備えた製品もあるため、目的を整理して判断しましょう。
- Q2: 小規模な企業でも導入する意味はありますか?
- 人数が少なくても、拠点が分かれている場合や現場勤務の従業員が多い場合は情報の行き渡り方に課題が生じます。少人数向けのプランを用意する製品もあります。現在の情報共有で困っている点を整理して検討するとよいでしょう。
- Q3: 導入すれば社内のコミュニケーションは活発になりますか?
- 場を用意する仕組みであり、それ自体が交流を生み出すものではありません。発信する人を決める、経営層が率先して使うといった働きかけがあって定着が進みます。運用の設計とあわせて計画することをおすすめします。
- Q4: 導入までにどのくらいの期間がかかりますか?
- 対象人数や既存システムとの連携範囲によって幅があります。クラウド型を標準機能で使う場合は短期間で始められる一方、人事システムとの連携や全社展開の準備を伴う場合は時間を要します。試験的に一部の部署から始める方法も検討できます。
まとめ
社内SNSの種類は、情報共有、交流の活性化、業務連携という目的別の分類と、提供形態や利用範囲による分類で整理できます。ビジネスチャットとは発信の形が異なり、併用する企業もあります。導入にあたっては、投稿が続く仕組みづくりと、業務時間外の連絡に関する取り決めが欠かせません。目的と対象者を整理したうえで、機能や連携、費用、サポートまで比べて選びましょう。まずは資料請求から検討を進めてみてください。


