社内コミュニケーションの重要性の背景
社内でのコミュニケーションには業務上のやり取りだけでなく、交流会など様々な機会があるでしょう。まずは、なぜ社内コミュニケーションの整備が重視されてきたのかを整理してみましょう。
働き方の多様化
社内コミュニケーションの必要性に注目が集まる背景の一つが、働き方の多様化です。ここでは、「働き方改革」に着目します。
「働き方改革」では社員の生産性の向上や職場環境の改善が優先されているため、以下のような働き方はなくなってきています。
- ●社員全員が定時に会社に出社する
- ●残業が当たり前
- ●上司が帰るまで部下は全員待っている
これらに代わる新しい働き方として、リモートワークやフレックスタイム制を導入する企業が増えています。また、同じ空間で社員同士が顔を合わせて仕事をする機会が格段に減ってきていると言えます。働き方の多様化によって、自由な時間を優先する非正規雇用の採用も進み、一つの会社の中でさまざまな立場の社員が働くことが一般的になってきました。
これにより、社内掲示板や回覧を用いた情報共有は難しくなってきています。離れた場所にいる社員同士を、いかに結びつけるかということが重要になっているのです。
社員のモチべーションの変化
従業員の意識の変化も、社内コミュニケーションの活性化が求められる理由の一つです。少し前までは、学校を卒業すると会社に就職し、定年まで働くことが一般的でした。
しかし現在では、従業員の転職は特別なことではなくなりました。その動機も、会社への不満などネガティブな理由から、より良い職場で働きたいといったポジティブな理由へと変わってきています。企業は、社員の離職防止のためにも、快適な職場作りや、社員のニーズに応える力が求められているのです。
また、グローバル化や価値観の多様化によって様々なバックグラウンドを持った人々が一緒に働くことも多くなってきました。仕事を円滑に進めて成果を上げるためにも、社内でコミュニケーションを密にしてお互いのことを理解しつつ仕事を進めなければならないとい考えられています。
社内コミュニケーション不足で生じる3つの課題
現在では多くの企業が社内のコミュニケーション不足を問題視しています。ここでは、コミュニケーション不足によって生じる主な課題を3つ紹介します。
1.社員のモチベーションの低下
社内コミュニケーションが不足していると、他部署など自分と異なった業務をする人との交流機会が少なくなります。これにより、自分とは別の視点からの考えを取り入れたり、自分がいざ仕事の幅を広げたいというときに話を聞ける人がいなくなってしまいます。
そのような状況だと、社員は自分のスキルアップの機会を失い、モチベーションを失ってしまうでしょう。会社をやめてしまうことにもつながりかねません。
2.不正行為・コンプライアンス違反の発生
社内コミュニケーションがなければ、社員がお互いに今何をやっているのかを把握することが困難になります。そのような監視のない状況は、社員の怠慢や不正行為につながります。
言い換えれば、お互いの業務の把握は情報共有やプロジェクトの進行をスムーズに行うのに役立つだけでなく、お互いを監視し、競争を促進するという効果もあるのです。
3.顧客との信頼関係の悪化
社内コミュニケーションが欠けていると、誰がどのような業務を行っているのかがわからないため、顧客からの質問への迅速かつ適切な対応ができない可能性があり、営業機会の喪失につながります。
社内のコミュニケーションが活発であれば、部署間での協働意識が生まれ、営業効率が向上するだけでなく、お互いに顧客を紹介しあえるような関係性を築くことができるでしょう。
社内コミュニケーションを活性化する3つのメリット
様々な企業が社内コミュニケーションの活性化を重視するようになったことを踏まえ、ここではコミュニケーションの活性化にどのようなメリットがあるのかを3つ紹介します。
1.生産性の向上
プロジェクトにおいて問題が発生した際にも迅速かつ適切な対応が可能になります。また、情報共有がスムーズになることによりメンバーの進捗管理ができ、プロジェクト管理も容易です。
部署横断的な協働が必要になる場合でも、コミュニケーションが活発であれば、より密接な連携が可能になり、全体の生産性が向上します。
2.社員満足度の向上
上司と部下との食い違いなどは、社内コミュニケーションが活発であれば起きにくくなります。意見交換が気軽に行えるので、仕事に対する認識を共有することができ、自分の意見を主張できるような職場を実現することができるでしょう。そのような職場であれば、社員の満足度は向上するはずです。
3.企業信頼度の向上
社内コミュニケーションが活発であれば、職場環境の良い企業として社会的な信頼を得ることができます。メディアなどに取り上げられれば、企業の良さをアピールできブランドとしての価値も向上することでしょう。
社内コミュニケーションの種類
では、どのような社内コミュニケーションを行うことが必要なのでしょうか。その種類は大きく2つに分けられます。イベントや社内報など業務に直結しないものと、メールや電話などの業務上のインフラです。
イベントや企画の実施
まず、業務に直結しないイベントなどの実施は、社員の親睦を深めたり、普段業務で関わりの少ない社員と交流を行うきっかけになります。一方で、「イベントの開催時に人事や企画担当者の負担が増える」ことや、「参加型のイベントの場合に、家庭の事情で参加できない社員が生まれ、参加者との温度差が生まれる」ことなどが課題として生じます。
こういった課題には、なるべく多くの社員が参加できるように開催の日時を配慮したり、業務時間を調整することなどでカバーする必要があるでしょう。
メールや電話などのインフラの整備
業務上におけるインフラとも言えるメールや電話は、どこの企業でも利用されているツールでしょう。しかし、それぞれの特徴を普段から意識して使っている人は少ないのではないでしょうか。使用状況は企業や業種によってさまざまで、メールよりも電話をメインに使っていたり、メーリングリストを使って一斉に情報の共有を行っている企業もあるでしょう。
メールの場合だと、時間を選ばず複数人に一度に連絡できるメリットがある一方で、入力の手間や返事がなかなか来ないことなど、デメリットもあります。毎回定型文を打ったり、関係者をCCに追加するなど、一回あたりの時間は数分でも、1日、1週間に換算すると驚くほど時間を使っていることがあります。
電話の場合だと、すぐに相手に要件を伝えて返答をもらえるメリットがありますが、複数人に対して一度に連絡ができないというデメリットがあります。
社内コミュニケーションの施策については以下の記事も参考になります。
社内コミュニケーションの新しい潮流
最近では、業務外のコミュニケーションの活性化やインフラの効率化のために、「社内SNS」や「ビジネスチャットツール」などのシステムを導入する企業が増えています。
社内SNSには、業務外の部活動の情報を社内に共有したり、部署内での個人の活躍を気軽に全社に紹介できる機能があります。
また、ビジネスチャットツールは一度に複数の人に連絡ができ、無駄な定型文を省いたコミュニケーションをとることができます。
以下の記事では、ビジネスチャットツールを導入することのメリットが詳しく説明されています。「ビジネスチャットについてもっと詳しく知りたい」という方は、ぜひ参考にしてみてはいかがでしょうか。
日々のコミュニケーションを見直し、改善していこう!
今回は、社内のコミュニケーションの必要性や活性化するメリット、種類についてまとめました。社内のコミュニケーションは、日々の積み重ねが大切です。自社の状況を振り返って、改善できるところから少しずつ見直してみてはいかがでしょうか。