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人的資本経営とは?実践手順や開示項目、人的資源との違いを解説

2026年03月06日 最終更新

人的資本経営とは?実践手順や開示項目、人的資源との違いを解説

人的資本経営がいま注目されています。人材を「コスト」ではなく「資本」として捉え、その価値を最大限に引き出す考え方です。

本記事では人的資源との違い、注目される背景、ISO 30414などの開示項目、人的資本経営の実践ステップについてわかりやすく解説します。

この記事は2026年3月時点の情報に基づいて編集しています。
目次

    人的資本とは

    人的資本(Human Capital)とは、人材が持つ能力やスキル、経験などを「資本」として捉える経済学用語です。

    従来、人材は管理すべき対象であり、人件費はなるべく抑えるべき「コスト」と考えられてきました。 しかし、人的資本の考え方では、人材は投資によって価値が変動する「資産」とみなされます。 適切な教育や環境整備への投資を行うことで、個人の能力が高まり、結果として企業価値の向上につながるという考え方です。

    人的資本の定義

    人的資本の定義は、OECD(経済協力開発機構)によると「個人的、社会的、経済的厚生の創出に寄与する知識、技能、能力及びその他の特性」とされています。 企業経営においては、従業員一人ひとりが持つスキルやノウハウを企業の成長源泉として捉え、その価値を最大化しようとする経営手法を「人的資本経営」と呼びます。

    参考:第2章 概念及び定義 - 内閣府 経済社会総合研究所|

    「人的資本」と「人的資源(人的資産)」の違い

    人的資本とよく比較される言葉に「人的資源(Human Resource)」があります。 両者の最大の違いは、人材を「消費される資源(コスト)」と見るか、「価値を生む資本(投資対象)」と見るかという点です。

    項目人的資源(Human Resource)人的資本(Human Capital)
    人材の捉え方消費される資源価値を生み出す資本
    費用の考え方管理すべきコスト成長のための投資
    人事の役割管理・統制価値創造・支援
    従業員との関係雇用関係(従属)選び選ばれる関係(対等)

    人的資本経営では、従業員への投資を惜しまず、そのリターン(生産性向上やイノベーション)を最大化することが重視されます。

    人的資本経営が注目される背景とメリット

    近年、人的資本経営が急速に注目を集めている背景には、企業価値評価の変化やESG投資の拡大があります。 ここでは、主な背景と企業が取り組むメリットについて解説します。

    投資判断への影響とESG投資

    かつて企業の価値は、設備や不動産といった「有形資産」で測られることが一般的でした。 しかし、デジタル化が進む現代では、技術力やブランド、人材のスキルといった「無形資産」が企業価値の大部分を占めるようになっています。

    特に海外の機関投資家を中心に、財務情報だけでなく、環境・社会・ガバナンスを重視する「ESG投資」が主流となりました。 人的資本はESGの「S(社会)」にあたる重要な要素であり、投資家が企業の持続可能性を判断する指標として重視されています。

    企業価値向上と生産性の改善

    人的資本経営に取り組むことは、投資家へのアピールだけでなく、実質的な経営メリットももたらします。 従業員のスキルアップやエンゲージメント向上に投資することで、労働生産性が高まり、イノベーションが生まれやすい組織になります。 また、働きがいのある環境を整備することで、優秀な人材の確保や定着率の向上にもつながります。

    人的資本の情報開示義務化の流れ

    世界的な潮流を受け、日本国内でも人的資本情報の開示義務化が進んでいます。 2023年3月期決算より、上場企業などを対象に、有価証券報告書への人的資本情報の記載が義務付けられました。 企業は、自社の人材戦略とそれを裏付ける指標を、ステークホルダーに対して透明性を持って説明する責任が問われています。

    日本企業に求められる具体的な開示項目

    では、企業は具体的にどのような情報を開示すべきなのでしょうか。 国内外の代表的な指針や規格について紹介します。

    人的資本可視化指針(内閣官房)の7分野19項目

    日本政府(内閣官房)が策定した「人的資本可視化指針」では、開示が望ましい事項として以下の7分野19項目が整理されています。以下は主な開示項目の例です

    分野具体的な項目の例
    育成研修時間、研修費用、リーダーシップ開発
    エンゲージメント従業員満足度、エンゲージメントスコア
    流動性採用者数、離職率、定着率
    ダイバーシティ女性管理職比率、男女間賃金格差、男性育休取得率
    健康・安全労働災害発生率、健康経営の取り組み
    労働慣行労働組合加入率、児童労働の禁止
    コンプライアンス法令遵守、ハラスメント対策

    企業はこれらの項目の中から、自社の経営戦略にとって重要な指標(KPI)を選定し、開示していく必要があります。

    参考:人的資本可視化指針|内閣府

    ISO 30414(国際規格)の概要

    ISO 30414は、2018年に国際標準化機構(ISO)が発表した、人的資本情報開示に関する国際的なガイドラインです。 社内外への報告用に11領域58の指標が定められており、グローバル企業を中心に採用が進んでいます。 国際的な比較可能性を担保するため、定量的なデータに基づいた開示が求められる点が特徴です。

    人的資本データの効率的な収集・可視化には
    ISO 30414や内閣官房の指針に沿った情報を開示するには、社内に散在する人事データを集約し、正確に集計する必要があります。エクセルでの管理には限界があるため、専用システムの活用がおすすめです。
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    人的資本経営の実践ステップと課題

    人的資本経営は、単に情報を開示すれば終わりではありません。 実際に経営戦略と連動させ、PDCAを回していくための実践ステップを解説します。

    Step1:経営戦略と人材戦略の連動

    まずは、自社の経営戦略を実現するために、どのような人材が必要かを定義します。 目指す姿(To be)と現状(As is)のギャップを把握し、それを埋めるための人材戦略を策定することがスタート地点です。 これを「As is - To be 分析」とも呼びます。

    Step2:現状の可視化とKPI設定

    次に、人材戦略の進捗を測るための具体的な指標(KPI)を設定し、現状を数値化します。 例えば「女性管理職比率」や「研修受講率」「エンゲージメントスコア」などのデータを収集します。 このフェーズでは、人事情報を一元管理し、リアルタイムに分析できる基盤(タレントマネジメントシステムなど)の整備が不可欠です。

    Step3:データに基づく対話と開示

    収集したデータをもとに、投資家や従業員との対話を行います。 単に数値を公表するだけでなく、「なぜその指標が重要なのか」「目標達成のためにどのような投資を行っているか」というストーリー(ナラティブ)を語ることが重要です。

    日本企業の課題と取り組み例

    日本企業はこれまで、長期雇用を前提としたメンバーシップ型雇用が主流であり、人材データの可視化や個別のスキル管理が遅れている傾向にありました。 しかし現在は、ジョブ型雇用への移行やリスキリング(学び直し)の推進など、個人の自律的なキャリア形成を支援する動きが加速しています。

    戦略的な人事配置とデータ活用を実現するために
    人的資本経営を実践するには、従業員のスキルや経験を可視化し、最適な配置を行うことが重要です。最新のITツールを活用して、人事戦略をアップデートしましょう。
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    まとめ

    人的資本とは、人材を投資対象の「資本」として捉え、その価値を最大化することで企業価値を高める考え方です。 投資家からの評価向上だけでなく、生産性向上や優秀な人材の確保といった経営メリットも期待できます。

    人的資本経営を実践するためには、経営戦略と連動した人材戦略の策定と、データの可視化・開示が不可欠です。 まずは自社の人材データを正しく把握し、戦略的な投資を行うための環境整備から始めてみてはいかがでしょうか。

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