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TOPベンダー2社が語る、BtoBマーケティングの”これから“【ITトレンドEXPO 2021 summer セッションログvol.3】

TOPベンダー2社が語る、BtoBマーケティングの”これから“【ITトレンドEXPO 2021 summer セッションログvol.3】

リモートワークやリアル展示会の中止・延期などに代表されるように、BtoBマーケティングも大きな変革を迎えようとしています。 本セッションでは、マーケティングオートメーションツールを提供しているTOPベンダー2社が、BtoBマーケティングのこれからを振り返りながら、これからどうなっていくのか、何が大事にすべきかについて徹底討論しました。

※本記事は2021年7月9日~11日にITトレンド主催で開催された「ITトレンドEXPO 2021 summer」のセッションを一部抜粋・編集しお届けします。

登壇者紹介

株式会社セールスフォース・ドットコム ソリューション営業本部 Pardot第二営業部 部長
広瀬 佑貴 氏

株式会社シャノン マーケティング部 部長
村尾 慶尚 氏

日本のBtoBマーケティングの現状についてどう思う?

株式会社セールスフォース・ドットコム 広瀬 佑貴 氏(以下、広瀬):
「市民権を獲得した」というのが私の回答ですね。というのも、一昔前までマーケティング部門すらなかったんです。

私がこの業界に入ったのは約10年前ですが、その頃マーケティングツールを売る相手は営業の管轄や役員の方で、マーケティング部門という形で独立したものはありませんでした。どちらかというと、マーケティングはイロモノ扱いだったんですね。ここ最近になって、ようやくマーケティング部門が独立して形になりましたので、そういう意味で「市民権を獲得した」という状態なんじゃないかと感じています。

特にこの5年くらいで変わってきた印象です。少し前は横文字嫌いなところもあったかもしれませんが、今ではむしろBtoBマーケティングをやっていること自体がカッコイイことになっている。こういう場所でBtoBマーケティングについて津々浦々話すと真剣に聞いていただけますし、マーケティングをちゃんとやっている会社に良い人材が集まってくるということもあって、時代が移り変わってきているんだなと思っています。

株式会社シャノン 村尾 慶尚 氏(以下、村尾):
私のほうは「施策単位から全体管理へ」というのが回答になります。

私自身もマーケティング部に所属している中で感じますが、これまでのBtoBマーケティングは展示会やメールマガジンといった単発の施策が多かったんです。しかし、その後のステップで費用対効果の改善やより大きな成果の獲得が求められてくる。そのようななかで、お客様を全体管理・一元管理していくことが大切だと思います。

BtoBマーケティングってお客様と接触してから買っていただくまでの期間が長いんですね。2年とか3年とか、8年ということもありました。長期的な戦いになる以上、単発の施策だけではなく、お客様の反応を俯瞰的に見ていくことが大事になります。こういう意味で、BtoBマーケティングは「施策単位から全体管理へ」という移り変わりを求められているのが現状かなと思います。

広瀬:
少し前って、メールを見込み客に送るだけでも営業にお伺いを立てないといけないことがありましたよね。

村尾:
そうですね。お客様からもそういう話を聞いたりします。

広瀬:
そんな立場だったのがようやく認められてきて、単発に施策を打てるようになった。でもこれだけではまずい、総合的に考えていかなければ、という風に皆さんの意識がシフトしてきましたよね。

村尾:
その意味でいうと、広瀬さんの「市民権を獲得した」というのは言い得て妙だと思いました。

広瀬:
展示会って、昔は営業部の管轄じゃなかったですか?今はマーケの管轄になってますよね。

村尾:
そうですね。徐々にやっぱりそのあたりも変わってきているのかなと思います。世の中どんどん複雑化してきているので、営業の人が営業をこなしながら展示会もやるというのは難しくなってきています。そこを、専門家として役割分担する形が浸透してきているなと感じますね。

BtoBマーケティングの現状に潜む課題

広瀬:
BtoBマーケティング自体、認知されてはきましたが、それを実際に回す人はまだ育っていない印象です。本を読むなど勉強すれば情報は入ってきますが、実際にやる人はまだまだ少ないかなと思います。実際MAツールのご提案をしていても、どんな課題を抱えていて、そのためにどのようなツールが必要なのかを深堀りできている段階ではないと感じる場面もあります。やはり、BtoBマーケターの実務家を育てていく必要があるなと感じています。

村尾:
私たちが思うBtoBマーケティングの課題は格差ですね。MAツールを販売していますが、その中にはゴリゴリとMAツールを活用されているお客様もいらっしゃれば、これから第一歩というお客様もいらっしゃいます。

たとえば、最近では創業75年くらいの弁と管を作っている企業様で、経営陣の方が「マーケティングをやるぞ」とすごくコミットしてくださった例があります。一方で、別のお客様の中には「やるぞっていう意思決定が踏み出せないんだよね」という方もいらっしゃる。こういう風に、強くコミットしてどんどん進んでいくところと、今一歩踏み出せないところで差が開いているなというのを痛感しています。

これからのBtoBマーケティングはどうすればいいのか

村尾:
「部門の確立」をご提案したいです。マーケティングってお金がかかりますよね。しかも失敗する可能性もあります。なので、まず経営陣の方にしっかりと説明して理解を得て、コミットしてもらわなければいけません。具体的には、マーケティングの担当は毎月のレポートなどをきちんと出して、経営陣がコミットできるような状態に持って行かないといけない。

たとえば、先ほど8年越しでお客様に製品を購入していただいたという話が出てきましたが、これをきちんと報告するには「どんなイベントでリードを獲得したのか」「1ヶ月後や半年後に商談がどのくらい発生したのか」「比較検討フェーズには何件くらい移行したのか」などということを、管理しないといけないわけです。そして、こういう根気のいる報告がちゃんとできる組織として、マーケティング部門の確立が必要なんじゃないかと思っています。

広瀬:
私は「人事構造の改革」「欧米かぶれしない」の2つが必要かなと考えています。村尾さんのお話にもあったようにマーケティング部門を作ろうとした場合、そこで実際に働く人間も必要になります。単純に人を配置するだけじゃダメで、ちゃんと優秀な人をあてがわないといけない、となると、今の人事構造の根本を変えていかなければならないと思います。

というのも、優秀な人が集まりやすい部署って決まっているんですよ。たいていの場合はエンジニアと営業です。売ることに関しては営業部に優秀な人が集まってしまい、別の部署に流れにくい構造が生まれています。なぜそうなっているかというと、総合職として雇われる人は、最初に営業へ配属されるケースが多いからなんですね。優秀な人は最初に配属された営業部で力を発揮し、部署がその人を手放さなくなるので、結果として優秀な人は営業部にたまってしまう。この構造を壊さないと、マーケティング部門に優れた人材が集まらないんです。あえて少し厳しい表現をしましたが、現状として存在する大きな課題だと感じています。

この構造を改革するには、マーケティング部門を確立するとともに、報酬体系の見直しなども必要かなと。優秀な人がマーケティング部門を選ぶ動機を最初に与えることで、構造が変わっていくと思います。

そして2つめ「欧米かぶれしない」についてですが、つい欧米がやっていることにキラキラした印象を抱いてしまうんですよね。MAに関して言えば、欧米でクラウド型システムが採用されたのが2000年ごろ、日本で定着したのが2014~2015年ごろなので、日本はかなり遅れています。

そして、そのせいで日本では「何を自動化すればいいの?」「どういう風に使うの?」という疑問が出てきていますが、私はこれが少し問題だなと思っています。というのも、そもそも自動化の導入というのは、自動化したい業務があることが前提なんですよ。その前提がない状態で自動化を目指しても仕方がありません。ですから、欧米の真似をするのではなく、まず自社で自動化したい業務を見つけ出していくといった、地に足の着いた形で日本らしい方法を模索していけばいいんじゃないかと思います。

成果が出るまで時間がかかる!だからこそ現場は…?

村尾:
私も広瀬さんの人事構造の点についてあるあるだなと思いますが、私たちのお客様では企画出身の方がマーケティングに取り組んでいるケースが多いです。メーカー業界や製造業界が多いからかもしれませんが、一つの流れとしてあるのかなと思っています。

ただ、この時に問題として出てくるのが、投資が失敗するリスクですよね。マーケティングには失敗のリスクがつきものなので、失敗した際にどうリカバリーを図るかというのも非常に大事になっています。

広瀬:
すぐ効果出ないんですよ、BtoBマーケティングって。長いスパンでやって初めて効果が出るものなんですが、マーケティングの経験がないと、少しやって効果がないだけで「意味ないんじゃないの」となってしまう。あるあるですよね。

村尾:
そうなんです。それでいうと、今新型コロナが非常に難しい時期になっていて、「やるか」って決めて、ちょっとワクチン打ってだいぶ落ち着いたから「戻すか」というスタンスだと、なかなか成果は上がらない。やるのであれば、腰を据えてやるのが大事だと思います。

広瀬:
どのぐらい我慢するのがいいと思います?失敗が続いていても。

村尾:
やっぱり1年から2年くらいじゃないですかね。ただ、その期間で中間報告をすること、失敗の分析を行うことが大事だと思っています。経営陣に対して説明責任を果たしながらマーケティングをやっていく姿勢が必須かなと思います。

広瀬:
営業が始まってから売れるまでの期間を、商談タームとか受注期間と言うじゃないですか。僕はその期間と同じくらいは待ったほうがいいと思います。

村尾:
そうですね、それもありますね。マーケティングの視点で見ると、1年以上試行錯誤したいなと思っています。予算って年度ごとに立てますよね。となると、前年分の反省点を踏まえてチャレンジするには、1.5年とか2年やらないといけないのかなと思います。

逆にいうと、2年やって成果が出ないのならやり方が間違っている可能性も高いと言えます。ただ、ベンダーの目線から見ると100%成功するというのは難しいですよね。

広瀬:
この対談を聞かれてる方たちの中には決裁者の方や役職のある方もいらっしゃると思いますが、そういう方たちには、今の現場のマーケティングは試行錯誤して頑張っているということを伝えたいです。ただ、今の話のとおり成果が出るまでには時間がかかります。ですから、2年は暖かく見守っていただきたいです。

どのみち、マーケティングは避けて通れません。成果が出ないならやり方を変えればいいだけなので、短期的な成果じゃなくて中長期的な目線で判断していただけたらと思います。

村尾:
今広瀬さんがおっしゃったように、逃げられないというのは正直多くの方が感じていらっしゃると思います。ただ、お客様と話していると、デッドロックの状態になっているようにも感じます。デッドロックというのは、決裁者は「じゃあ具体的にどういうのがやれるんだよ、お前ら」という状態で投資ができず、一方で現場では「ガッツリやるって意思決定してくれないと検討もできない」と、膠着状態になっていることですね。お互いがこの状態では、逃げられないのがわかっていても前に進めません。

そこで、私は現場側が提案していくのが大事かと思っています。いばらの道ではありますが、自分たちで何をどういう風にできるのか考えて意思決定をしていくスキルが必要になってくるかなと感じています。

おわりに

村尾:
ご視聴いただきありがとうございました。MAツールというと、施策の実行ばかりが注目されがちですが、全体像を管理して、弱点に基づいて施策の実行・投資判断ができるようなツールを私たちは提供しています。そうしたツールのベンダーの目線で見ると、多くのお客様はより良いマーケティングを目指して試行錯誤されています。ですので、ツールを無機質で冷たいものではなく、マーケティングをもっと楽しくし、皆様の提供されている商品・サービスが世の中に広がるよう支援するツールなのだと覚えていただければと思っています。

広瀬:
マーケティングは重要ですし、もう観念して取り組まなければならないものなのだと思います。ただ、成果がなかなか出ないこともあると思います。そういう時にグッとこらえて2年くらいは芽が出るのを待つという意識を、皆さん共通して持っていただけたらと思います。「踏ん張って我慢して頑張っていきましょう!」というのがメッセージですかね。今日はありがとうございました。

登壇企業による提供製品をご紹介!

本セッションにご登壇いただいた株式会社セールスフォース・ドットコム様、株式会社シャノン様が提供するMAツールをご紹介します。MAツールにご興味を持たれた方、マーケティングに取り組んでみようと思った方はぜひお問い合わせください。

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ITトレンドEXPO次回もお楽しみに!

当日のセッションでは、登壇者が視聴者の皆さんからの質問にリアルタイムで答えてくれます。ぜひ次回のITトレンドEXPOへのご参加お待ちしております!(参加無料)
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